少女マンガにハマったきっかけ『あたしはバンビ』は良い意味で邪道!? まったくオチが読めない異色の三角関係!

『あたしはバンビ』

はじめましての方、はじめまして。
記事を読んでくださったことがある方、お久しぶりです!

以前マンバ通信で槙ようこ先生の『勝利の悪魔』という作品を紹介させていただいたのですが、僕は『りぼん』作家の槙ようこ先生の作品が大好きで、全コミックスを所有していて、何周も読んでいるほどです。

槙ようこ先生への愛については、『勝利の悪魔』の紹介記事で熱く語っていますので、もし究極に暇だから読んでやってもいいかなという方はこちらから。

そんな槙ようこ作品を愛してやまない僕が今回紹介したい少女マンガは、槙ようこ先生の初期の代表作『あたしはバンビ』です!
ちなみにこの作品は、僕が少女マンガにハマるきっかけとなった作品のひとつでもあります。
つまり今の僕を形成している核(コア)の一部であると言っても過言ではありません。
当時中学生くらいだった田舎はるみ少年は、『週刊少年ジャンプ』『週刊少年マガジン』『りぼん』の3雑誌を読んでいたのですが、周りに少女マンガの話題で盛り上がれる男友達がいなかったこともあり、完全に『ジャンプ』と『マガジン』を優先的に読んでいて、新しい号の『ジャンプ』や『マガジン』が発売されるまでの“つなぎ”として、妹が買ってきていた『りぼん』を読む程度でした。

しかし、『あたしはバンビ』の連載が始まった月から、『ジャンプ』・『マガジン』・『りぼん』のパワーバランスがひっくり返ったのです。
まさに革命でした。
それからというもの、月に一度しか発売されない『りぼん』の発売日を今か今かと待ちわびて、合間に寂しさを埋めるように『ジャンプ』・『マガジン』でつなぐ日々。
まさに『あたしはバンビ』に人生を狂わせられたと言っても過言ではありません(超大袈裟)。

では『あたしはバンビ』とはどんなマンガなのか。

簡潔に言うと、
まったくオチが読めない邪道展開の異色の三角関係恋愛マンガ
です!

僕は少女マンガを人に紹介する際に「邪道」という表現をよく使うのですが、これは完全に良い意味のニュアンスで使っています。
展開も設定も邪道すぎて、当時(2001~2002年)の『りぼん』作品としては、かなり異色の作品だったのではないでしょうか。

邪道展開であるがゆえに、まったく予想がつかないオチが待っています。
そうさせている最大の要因が、「異色の三角関係」という部分です。

「三角関係」って少女マンガでは非常によくあるシチュエーションですよね。
ヒロインをめぐって二人の男の子がバチバチする女1男2タイプの三角関係や、一人の男の子をめぐってヒロインとライバルの女の子(大体、超美人だけど性格に難ありのお金持ちキャラ)がバチバチする女2男1タイプの三角関係。
女子の友情マンガなどで女の子3人の三角関係マンガなども稀にありますが、恋愛マンガの三角関係と言えば大方このどちらかのパターンです。

そして『あたしはバンビ』は、女1男2の三角関係が展開されます。

しかし、一見ヒロインをめぐって二人の男の子がバチバチ系かと思いきや、このマンガ、一人の男の子をめぐって、ヒロインともう一人の男の子がバチバチにやり合う三角関係なのです。

 

『あたしはバンビ』(槙ようこ/集英社)第2巻 表紙 ※この表紙に描かれている3人の三角関係がメインとなります

 

この点が、当時の『りぼん』作品の中では、かなり異色でした。
当時まだ(僕が知らなかっただけかもしれませんが)、ボーイズラブなんていう言葉もありませんでしたし、BLマンガというジャンルも確立されていなかったかと思います。
特に、『りぼん』誌では同性愛をテーマにした作品は、まったくなかったわけではないと思いますが、かなり珍しかったと思います。
少なくとも僕にとっては初めてだったので、衝撃を受けたのと、このあとどうなるんだろうというハラハラ展開に目が離せなくなり、一気に作品に引き込まれていったのを覚えています。

このレアパターンの三角関係の何が面白いかって、他の王道少女マンガではあまり見られないシチュエーションが盛りだくさんに描かれているのです。
少女マンガをあまり読まない方からは「少女マンガってワンパターンなんじゃないの?」と言われることがよくありますが、そういうイメージを持たれている方にこそ是非おススメしたい!
見たことのない展開ばかりで、ハラハラドキドキととても新鮮な気持ちを最初から最後までずっと維持したまま読み終えることができました。

まず、ヒロインのライバル像がまったく違います。
基本的に少女マンガのヒロインのライバル女子というのは、ヒロインの真逆の存在であることが多いです。
例えば、先ほどもチラッと書きましたが、「地味で目立たなくて自分に自信がないヒロイン」に対して「派手な美人で性格に難ありのお金持ちキャラ」がライバルだったりするのがいわゆる“少女マンガあるある”だと思います。
この作品のライバルは、ヒロインの真逆の存在ではありますが、次元が違います。
性別ごと真逆にいってしまっていますので。
ただ、この設定が面白すぎる。
この設定から生み出される、ヒロインとライバルの葛藤だったり、ライバル心から逆に芽生えてくる友情に近い信頼関係だったり、異性ライバルならではの邪魔の仕方だったりが、いずれも従来の少女マンガでは見たことがないものばかりで、少女マンガの世界の新しいフィールドに足を踏み入れたような感覚だったのを覚えています。

特に、ライバルの男の子の気持ちが切なくてたまらないんです……。
麻衣(ヒロイン)と八重蔵(ライバル)は泉(ヒーロー)のことが好きなのですが、八重蔵と泉は小学校からの大親友なんです。
いつしか八重蔵の泉への気持ちはただの男同士の友情ではなく恋心に変わったのですが、親友という立場を壊したくないから、気持ちを伝えることができないのです。

 

 
『あたしはバンビ』(槙ようこ/集英社)第1巻より

 

個人的に、この作品の肝は八重蔵の心情の描かれ方だと思います。
想いを伝えたいけど伝えられずに葛藤する八重蔵の心理描写がすごく上手で、めちゃくちゃ引き込まれてしまい、自然とヒロインよりも八重蔵の方に感情移入させられました。

他にも、異性のライバルだからこその掛け合いやマウントの取り合いが終始面白くて、シリアスだけでなくコメディテイストもありますので、基本的には明るく爽やかに三角関係を描かれた作品です。

この異色の三角関係に、どうやって終止符が打たれるのか、気になりませんか?

多分ほとんどの方が、この三角関係の結末を言い当てることができないと思います。
まっっっっっったく予想できないとんでも展開が待ち受けています!(ハードル上げすぎ)

全3巻の比較的短めのお話ですので、気になった方は是非この三角関係のラストを見届けてください!

 

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