かしこ2021/07/20これこそ安達哲の最高傑作では?ここ数ヶ月で「バカ姉弟」以外の単行本化されてる安達哲作品をほとんど読んできたけど、ダントツで「幸せのひこうき雲」がよかった…。世間的な代表作は「さくらの唄」「お天気お姉さん」かもしれないけど、この2つの後に描かれただけあって、漫画家・安達哲にとっての到達点のような最高傑作だった。超簡単にあらすじを説明するとサディスティックな女教師におもちゃにされる少年の話なので、現代の価値観でいうと連載するのも難しいだろうし、こういうのを読むのも嫌な人もたくさんいるだろうけど、まさにファム・ファタールって感じでオチも含めて圧倒されます。考えてみると「キラキラ!」みたいなラブコメを描いていた頃から、安達哲にとって女の光と闇がテーマの1つなのかもしれないと思った。正直にいうと「バカ姉弟」は興味がなかったけど、「幸せのひこうき雲」があまりにもよすぎて、この後にどんな作品を描いてるのか気になってしょうがなくなってきた。幸せのひこうき雲安達哲3わかる
かしこ2021/07/17母親を介護するということ認知症になった母親を介護する体験を描いたエッセイ漫画なのですが、作者がひさうちみちお先生なので随所に耽美なイラストが描かれているので、重い内容ですがリアリティがあり過ぎて読むのが辛いとは思わなかったです。超ネタバレになるから詳しくは書きませんが、母親の妄想だと思ったら本当だった出来事にマジでびっくりしました!事実は小説より奇なりってまさにこういうことだ。紙版だと林静一先生との「母親を介護すること」についての対談も収録されてました。これも読み応えがあって面白かったです。電子版にもあるのかな?精G 母と子の絆ひさうちみちお1わかる
かしこ2021/07/17ネタバレ女子高生が海賊と宝探しする夏休み!ひと夏の冒険譚だから夏休みに読むのにぴったりだし、これが本当のONE PIECEだ!って思ったくらい(こんなこと言うと怒られそうだけど…) 面白かったです!主人公の女子高生・大和鮒子は「強い子になってね」というママの遺言を勘違いして格闘技を極めてしまったようなちょっとおバカな女の子。漁師だったおじいちゃんが建てたマグロ御殿にパパと暮らして、地元の水産高校に通うだけの退屈な毎日を過ごしていたところに、海賊・カトーが下宿人として鮒子の家にやって来たことから、ひと夏の大冒険が始まります。 遠い遠い海の果てにある宝島には100兆円超えの財宝が眠っていて、実は鮒子のおじいちゃんがその島に辿り着いて生還した唯一の人物だったことから、カトーは宝島のヒントを探しに鮒子に近づいたのです。そして16歳の誕生日におじいちゃんから手紙が届き、海の中の岩穴に隠されていた漁業権利書、巨大な銛、宝の地図のプレゼントを発見します。その地図をカトーに奪われ、それを追うように鮒子も異種格闘技部の先輩・鴨林らと共に船出するのです! ネタバレになっちゃうけど、3巻で海に出て、7巻で宝島に着く、全11巻のこの2つのタイミングでギアが上がるように面白くなったと思います。おじいちゃんからの鮒子宛のメッセージが手紙として度々登場するんですが、作者の望月峯太郎が読者に伝えたいテーマそのものって感じでとても深かったです。そして因縁のカトーはラストですごくカッコいい人になって、これが本当の海賊王だ!と思いました(怒られる…)。万祝望月峯太郎3わかる
かしこ2021/07/13読み返してみたけど…何年か前にジャケ買いした「私の好きな週末」を読み返してみました。買った当時も読んだのですが自分の中で面白いと思えるまで消化することが出来なくて。でも最近「いるのにいない日曜日」を読んだらすごく自分好みな作品だったし、世界観のヒントを掴めた気がしたので、今読んだら楽しめるかもと思ったのですがやっぱりまだ難しかったです。「もう体脂肪率なんて知らない」と「海辺へ行く道」も読んでから再チャレンジしてみようと思います。私の好きな週末三好銀
かしこ2021/07/12ネタバレこっちの夫婦もたぶんヤバいぞ #1巻応援「ただ離婚してないだけ」がすごく好きだったので、新連載も夫婦ネタと知って楽しみにしていたのですが、1巻を読み終えて謎しかありませんでした…。これは一体どういう漫画なんだろう?ただし今回も夫がヤバいのは確実だから、妻もヤバい奴なんだと思う。読んでいて訳が分からないながらも、至るところに狂気が漂っているのを感じました。 結婚してから5年間、生活費を切り詰め、極貧の中で多額の費用をかけて不妊治療をしたものの上手くいかず、夫から「これからはお互いにやりたいことをしよう」と提案されます。一見するといい夫のようですが、妻のことを平気で叩きますし、妻はそんな夫のことを「自分を叱ってくれるから」好きなのです。42歳と26歳という歳の差も気になりますが、とにかく主従関係で繋がっているような夫婦なのです。 夫の提案を受け入れて、社会経験がほとんどなかった妻は弁当屋でアルバイトを始め、そのバイト仲間に歓迎会をしようと連れて行かれた合コンでAV男優と出会い、なぜか彼から夫婦一緒に「愛あるセックス」とは何かを学ぶという展開になります。ここで夫から不妊治療中はプレッシャーを感じていてセックスが怖くなっていたと初めて告白されるのですが、本当は優しい人だったみたいなことは絶対にないと思う…。 妻が働き始めた弁当屋に怪しい男がよく来るのも気になるし、個人的にはこの男がストーリーの肝なんじゃないかと思ってるんだけど…。2巻からどうなっていくのか全く読めない。でも「ただ離婚してないだけ」の狂気を超えてくれたらいいなと期待してます。あたらしい結婚生活本田優貴
かしこ2021/07/10「1ポンドの福音」読んでみた高橋留美子先生の有名な作品は地元の図書館にもあったので大体読んでるんだけど、「1ポンドの福音」は今まで読まずにいてしまっていた。子供心にちょっと大人向けだなと思っていたのかもしれない(ちなみに「めぞん一刻」はアニメから入りました)。今回初めて読んでみて面白いなと思ったのは、まず絵柄の変化です。「1ポンドの福音」はヤングサンデーでの不定期連載で、約20年かけて完結しているので、最初と最後で絵柄がだいぶ違っています。それから「あしたのジョー」のパロディが多々あって、高橋留美子先生のちばてつや先生に対するリスペクトを感じられて興奮しました。そして高橋留美子先生は小学館のあらゆる雑誌で描いててマジですごいと改めて思いました。1ポンドの福音高橋留美子1わかる
かしこ2021/07/10江戸の町に化粧する最初は主人公が化粧で女の人生を激変させていく漫画なのかなと思って読んでたけど、実は化粧だけじゃなく店のプロデュースなど流行全般を取り仕切る「弘め屋(今でいう広告代理店)」の仕事をしてる話だった。なので舞台は江戸時代なのに内容がどことなくバブルっぽい。最後の方では政治にも関わりを持ち始めて「俺は江戸の町に化粧(世直し)をするんだ」がテーマになってくる。石ノ森章太郎の漫画を初めて読んだけど、絵に華があるなと思った。こういう大人向けの作品をもっと読んでみたいから、次は「HOTEL」を読んでみようと思う。八百八町表裏 化粧師 【石ノ森章太郎デジタル大全】石ノ森章太郎1わかる
かしこ2021/07/09変な漫画がいっぱいなんか記憶違いだったら申し訳ないんだけど、ちょっと前にマンバの思い出せないマンガの質問の一つに「人魚に精液をくれと頼まれる漫画」を探してる人いなかったっけ…?その時はそんな変な漫画がこの世にあるんだと思ってたんだけど、こないだ久しぶりに「黒船」読み返したらあったよ!そんな変な漫画が!しかも精液の代わりにカルピスをあげるってオチで、人魚も「初恋の味…なるほどね…」って納得してたよ!久しぶりに読んだら変な漫画がいっぱいあって楽しかった。黒船黒田硫黄
かしこ2021/07/05やっぱり山崎紗也夏の漫画はこういうのが好き! #1巻応援これは面白い!一気読みしてしまった!行き場のない未成年の女の子たちが稼ぐ手段として援助交際を取り仕切る組織に加入するんですが、要は犯罪ですから環境は劣悪な訳です。そういうことが『未成年援デリ』と呼ばれてるのも初めて知りました。ただ漫画としては重くて暗いだけの話ではありません。主人公の里奈が賢いんですよ。闇しかない世界で自分と仲間を守ろうと組織のリーダーになるんです。常に危険と隣り合わせなのでハラハラしっぱなしではありますが、ただそれだけじゃないっていう所の加減が上手いのは山崎紗也夏先生だからこそですね。特に「サイレーン」と「シマシマ」が好きな人にオススメかな!アンダーズ〈里奈の物語〉鈴木大介 山崎紗也夏4わかる
かしこ2021/07/03「美代子阿佐ヶ谷気分」読んでみたガロ作品の中でも「美代子阿佐ヶ谷気分」はファンが多い印象があったのですが、読んでみて納得しました。これはカッコいい。同じく「赤色エレジー」も貧乏同棲カップルのアート系なカッコいい漫画だけど、「美代子阿佐ヶ谷気分」にはフランス映画っぽいカッコよさがある。作者のあとがきを読むと永島慎二が好きだったようで、リアルに「漫画家残酷物語」みたいな生活をしていて、それをそのまま漫画にしてるだけなんだけど、美代子の存在によって傑作になってる。漫画の中で美代子は男に振り回されっぱなしの女性なんだけど、とにかく美しく描かれてる。作者自身も自分は絵が下手だと書いてたけど美代子だけは上手い。この2人が別れることなく今も夫婦でいるってのはすごいことだなぁ…。美代子阿佐ヶ谷気分安部慎一2わかる
かしこ2021/07/01これは〈過去、現在、未来〉の話である…物語の冒頭で「舞台は1970年以降の仮想日本だが、それが起こるのが10年後なのか明日なのかは誰にも分からない…」という何とも不穏な気持ちになる説明をされて始まります。読んでいて連載当時としても衝撃的だったであろうシーンが多々あるんですが、これから先こんなことが起こるはずがないと言い切れないのが恐ろしいです。私が印象的だったのはお兄さんの出征をみんなが万歳三唱で見送ろうとするのを主人公が怒鳴るシーンです。なぜ歴史は繰り返されてしまうのか、どうしてみんなそれが平気なのか、主人公の怒りが爆発するんです。最後まで読んだけど完全に理解できた気がしないので読み返そうと思います。光る風山上たつひこ5わかる
かしこ2021/06/27きみは天下のお天気お姉さんお天気お姉さんこと仲代桂子はその美貌で世の男たちを虜にしているが、性格は凶暴である。下着姿でテレビ出演することなんて屁でもないし、ライバルの女子アナを性奴隷にするほど奔放だが、誰も彼女には逆らえない。むしろ崇拝してしまうのだった。 ほとんどが無茶苦茶な内容で完全に度が過ぎてるのだが、それでも私が桂子さんのことを不快に感じることはなかった。それがなんでかっていうと最初の方でのエピソードでこんなのがあるからだ。 ライバルの策略によって自分の人気がなくなったと思い込んでショックを受けた桂子さんは「お天気お姉さんを辞めてお茶汲みでもするワ」と言い出す、しかしそれを聞いた高校時代から桂子さんと因縁の関係にある山岸君が心の中でこう思うのだ「”女っておもしろいこと考えるな”男が女を尊敬するのはこういう時だけだ 男のマネなんかしなくていいんだ 男の予想範疇で動かないでくれ…!」そして叫ぶのだった「きみは天下のお天気お姉さんなんだぞーーーーーッ」と。 こういうのって現代の価値観でいうとアウトなんだろうか?でもなんか私も山岸君と同じ気持ちになるんだよな。でもラストで2人がああいう関係になるのはよく分からなかった…。お天気お姉さん安達哲3わかる
かしこ2021/06/24読み返すたびに傷つきそうだけど…隣のクラスに転校生してきた女の子に一目惚れして仲良くなるんだけど、その子はヤクザ者な父親から売春を強要させられていて…という、嫌な予感しかしない始まりですが、すごくいい漫画でした。『甘い水』というタイトルの意味はこういうことだったのかと心が感動で震えました。女の子の妹は嘘がつけないとか読んでて上手いと思ったところがたくさんあったけど、ラストでサブタイトルにもなっている「風花」が降ってくるのが素敵でした。晴れてるのに降ってくる雪のことを「風花」というのですが、それがまたラストの喜びと悲しみの両方があるような主人公の心情とものすごく合ってるんです。読み返すたびに傷つきそうだけど、それでも何度でも読みたくなる傑作でした。甘い水松本剛 板垣久生3わかる
かしこ2021/06/23なんてことないのが最高の日曜日とある夫婦と飼い猫が休日を過ごしてるだけの一冊なので、なんてことないと言えばそうなんだけど気づいたら夢中になって読んでました。「三好さん」って呼ばれてるから作者夫婦と飼い猫がそのままモデルになってるのかな。トウモロコシを食べ過ぎたなんて本当にたわいもないこともあれば、すっとぼけた話や不思議な話もあるのが面白い。ものすごく無口な義兄が出てきたのが個人的にインパクト大だった。私も出来ることなら毎週こんな日曜日を過ごしたいな。いるのにいない日曜日三好銀1わかる
かしこ2021/06/22本当に傑作しかない短編集子供の頃によく読んでた。すごく面白くて何度も読んだのに記憶が曖昧。『勝手なやつら』は高橋留美子先生のデビュー作らしいですが、そんなこと知らずに「昔の絵だ〜」とか思いながら読んでたな。今思えば『うる星やつら』の原点になった記念すべき作品ですよね。とくに好きだったのは2巻の表紙になってる『炎トリッパー』です。たしか女子高生が戦国時代にタイムスリップする話で、終わり方がちょっとしんみりしたような気がするけど、違ったかな…?これも今思えば『犬夜叉』の原点みたいな作品ですよね?!自分にとって読み返すべき作品ナンバーワンはこれだな。大人になった自分がどう思うか知りたいかも。高橋留美子傑作短編集高橋留美子
かしこ2021/06/18ネタバレ恋をしない人を好きになったら普通の童貞主人公マンガのゴールって恋愛成就(セックス)だと思いますが、そうなると一体このマンガのゴールは何になるんだろう…。というのも主人公が片想いをしているのが「アセクシャル」という他者に対して恋愛感情を抱かないセクシャリティを持っている女性なんです。タイトルも恋の可能性を表示したものじゃなくて、日本の人口の1%がそうだという意味でつけているんだと思います…。早々にフラれた主人公は好きじゃない相手とセックスしたりしますが諦めきれず、彼女への想いを込めて詩を書き始めるんですが、全3巻のうち1、2巻が同時発売だったので物語的には次でクライマックスですよね。本当にどうなるんだ…。恋愛経験がない男と恋愛感情がない女の間に何が生まれるのか見届けたいと思います。1%の恋榎屋克優1わかる
かしこ2021/06/16ネタバレ猟奇的なストーカー女「運命の女性」を夢見るようなピュアさを持ちながら、自分がイケメンであることも自覚している、どこか二面性があるような男子高校生が主人公。そんな彼が憧れの雑誌にスカウトされて軽い気持ちで読者モデルを始めたら、ヤバい女がストーカーになってしまい、自分の周りにいる女性達が襲われるようになるところから物語が始まります。もちろんストーリー的にはストーカー女の狂気がメインなのですが、この漫画が有名なのはストーカー女のバックについてるヤバい男が主人公の幼馴染を殺してしまうシーンがあまりにも猟奇的であることらしいです。個人的にはそこが怖いもの見たさで楽しみに読んだのですが、実際は決定的な描写はなくセリフで書かれているのみだったので、期待しすぎたな…と思いました。ストーリー全体として一気に読みたくなるくらいの面白さはあったけど、物足りなさもあったかな。「LOVE GOD 〔完全版〕」の前に読んだ「援助交際撲滅運動」の方が好きかも。LOVE GOD 〔完全版〕こしばてつや2わかる
かしこ2021/06/15やっぱり名作もともと「BLUE」ってビッグコミックスピリッツに掲載された読み切りだったんですね。知らなかった〜。なんか単行本になった時に色々あった印象が強いのと、今じゃ絶対載せられないだろうなってのがあるから、普通に青年誌に載ってたなんて信じられないですね。でもすっごい名作だよなぁ。復刊ドットコムから出てるやつだと定価で2300円もするし、もう5回も単行本化されてるっていうのも驚くけど、それだけの価値のある作品っていうのは間違いない。エロ抜きにしてもカッコいいよね!BLUE山本直樹1わかる
かしこ2021/06/15コンビニで売ってたコンビニコミックの棚で見かけて「これぞ壮絶。」「伝説の名作に打ちのめされろ!!」等のキャッチコピーに惹かれて購入しました。いやぁ〜壮絶、壮絶。本当に壮絶でした!自分で腹をかっさばいて腹わた投げつけるシーンとかそんなんザラなんですけど劇画ってこういうのもグロいって感じにはならないですね。めっちゃ痛そうだけどシーンとしてすごくカッコよかった。「! (バーン)」とかも洒落てますね。これから平田弘史イズムを勉強していこうと思います。あと戦場で命乞いするのは武士として恥なのだと肝に銘じました…。首代引受人平田弘史2わかる
かしこ2021/06/05ラストがつらいどうして紫電改のタカを読もうと思ったかというと萩尾望都先生が好きだとおっしゃっていたな〜と覚えていたからです。主人公の滝城太郎は誰にもマネできないくらい高レベルの飛行テクニックを持っているんですが、まだあどけない少年なので可愛らしさが満点です(確か萩尾先生もそこを推していたはず)。少年マンガで連載されていたのでストーリーもTHEマンガな展開が続くんですが、ラストでいきなり現実を突きつけられるのでかなりショックを受けました。やっぱり反戦がテーマの作品なんだな…。紫電改のタカちばてつや2わかる
かしこ2021/06/04大人向けの谷川史子作品って感じでハマる!現在ココハナで連載中の作品です。大人向けの谷川史子って感じでハマりました。面白いです。色んな初めての経験が出てくるんですが、どれも前置きとして「大人になって初めて」が付くようなところが味わい深いです。例えば「本当に好きな人が出来たから苦しい」とか「友達が他の人と仲良くしてるのに嫉妬してしまう」とか。子供の頃よりも大人になってからの初めての方がハードルが高くなってて難しいですよね。「好きになった人が既婚者だった」女の子も登場するんですがドロドロし過ぎてないのが谷川先生らしいかも。シリーズ物で1話完結だったり数話続いたりバラバラなんですが、それぞれの登場人物が繋がっているのも面白いと感じたポイントです。自分もこういう大人な話を背伸びしないで読めるようになったんだな〜。はじめてのひと谷川史子1わかる
かしこ2021/05/31心が洗われる名作です原作のあしながおじさんを未読だったのですが、初めて読んだのが勝田文先生版で超よかった!!!と思いました。もうっっっ大好きな物語になりました。ストーリーはそのままだと思いますが舞台が昭和初期になってるんです。 孤児院で育った女の子の文才に惹かれた資産家のお坊ちゃんが匿名で援助するんですが、その条件が月に一回手紙を書くこと。女の子は自分を援助しているのがまさかそんな素敵な人だと思わず、あしながおじさんというあだ名をつけてせっせと手紙を書くんですが、またその文章がいいんです〜! こんなにピュアな気持ちになれたのは久しぶり。短編集なので他の話も収録されているんですが、すべて吹っ飛んじゃうくらい「Daddy Long Legs」が素晴らしすぎました。Daddy Long Legs勝田文4わかる
かしこ2021/05/28初々しい安達晢密かに憧れていたちょっと不良な女の子からテスト中にカンニングさせてと言われて応じてしまいバレた事件が元になり、第一志望に落ちて地元の底辺高校に入学することになってしまった主人公。俺は本当はこんなとこにいるはずじゃなかったんだ…と最初は絶望していましたが、地元で有名な美女や因縁の不良女子とも同じクラスになり退屈な学校生活が一変していきます。 ここ最近安達哲の作品をよく読んでいるんですが、この人はどんなに下品な話題が続いたとしても「ああ、なんていいこと言うんだろう…」ってシーンが必ずありますね。連載デビュー作の『ホワイトアルバム』は全体的に初々しくて爽やかで、過激さに慣れちゃうと退屈なくらいなんですが、最終回で高校を卒業した主人公が3年間の総括としていいこと言ってました。どうってことない言葉なんだけどそういうとこが上手いな〜と思わずにいられない。 私が読んだKCコミックスの第2巻には描き下ろしの「In His Own Words -安達 哲の高校生日記-」も収録されてたんですが、電子書籍版には収録されてるのかな?これもめちゃめちゃよかったです。ずっと片思いしてた女の子と同じクラスになることは一度もなかったんだけど、高3の時に入った美術系予備校に彼女も通っていたという淡い思い出のエッセイ漫画で、ちょっと「さくらの唄」にも通じるというか、本人も「好きなヒロインの絵をこっそり描く主人公ってプロットはワタシの漫画によく見られますが出所はこのあたりの実体験による」と語ってました。ホワイトアルバム安達哲
かしこ2021/05/25すごい作家に出会ったぞ樹村みのりという作家の存在を今日まで知らなかったけど読んでみるとすごく面白い。Kindle Unlimitedやスキマでも無料で読めるし電子書籍になってるものは全部読むことにしようと思う。なんで知る人ぞ知る作家になっちゃってるんだろう。ちょっと勿体なさ過ぎですね。どんな漫画でも面白ければ読むっていう漫画好きな人にはぜひ一読して頂きたい。間違いなく良さを分かってもらえる…はず。 表題作の『見送りの後で』は81歳の母親を看取った女性の話です。いつかは誰だって親を亡くすということを経験しなければいけない訳ですが、どんな人も時間をかけて喪失と向き合って乗り越えていくんだよって教えてくれます。そこに押し付けがましさがないんです。優しさと誠実さがあるんです。他に収録されてる短編も「人が生きるということ」がテーマなのかな。とにかく良作ばかりです。見送りの後で樹村みのり3わかる