かしこ2021/09/24謙一郎、革命を起こす!漫画家の長岡謙一郎が妻と子供と暮らすマンションにファンを名乗る黒人の巨女シモーナがやって来て「この世界は〈悪い奴ら〉にコントロールされてる」「お前の漫画を読んでピンときた」と言われ一緒に革命を起こすことになってしまう! 夢と現実が混ざっているようなめちゃくちゃな話なんだけどめっちゃ面白い。謙一郎が総理大臣とキスしたり戦争が起きたりヤバいシーンがたくさんあるんだけど、漫画業界をくさするネタが一番ドキドキする!これぞPUNKだ! 漫画喫茶のパタリロの棚の後ろに秘密の部屋に繋がるスイッチがあったり、檸檬が爆弾になったり、所々の小ネタがかっこよくて好き。PUNK長尾謙一郎1わかる
かしこ2021/09/20主人公は賞金稼ぎ父親の死をきっかけに普通の大学生だった主人公が賞金稼ぎになるんだけど、確実に獲れる賞を地味に泥臭く狙っていくのが面白い。主人公はクォーターで美形な顔をしてるけど眉毛が繋がっていたり、恋人の留学生ビッキーを「ミツコ」と呼んだり、キャラクター付けが独特なんだけどそれが段々かっこよく思えてくる。ビルの早登り競争、百貨店主催の美術展、村のカラオケ大会など、賞金を獲得してくごとにゆかいな仲間達も増えていくのも好きなポイントだった。ザ・プライザー末田雄一郎 山田芳裕
かしこ2021/09/18川勝徳重、3年ぶりの新作「アントロポセンの犬泥棒」初めて鈴木翁二とか安部慎一とかガロ作家の漫画を読んだ時に「すごく個人的な話を漫画にしてるんだなぁ…!」と驚きましたが、その表現の仕方が芸術的でかっこいいからいつ読んでも古臭くないんですよね。でも今の時代にそれを違和感なくやれるのってなかなか難しいと思うのですが「アントロポセンの犬泥棒」では出来てるからすごいし、逆に新しいな〜!と思います。前作の「電話・睡眠・音楽」よりも読みやすい内容になっている気がしました。正直あらゆるところで絶賛されてるので変なことを言って無知が露呈するのが怖いです(笑)どうでもいいことですが「リヤドロの置物」を読んで、のらくろのことを心から愛していたとしてもリヤドロの置物は絶対にいらないな…と思いました。アントロポセンの犬泥棒川勝徳重2わかる
かしこ2021/09/16「戦えナム」読んでみた「心とは人間のどこにありますか」 「人間が太陽ならば心とは陽射しなのです」 「わかりますかアミ」 「おぼろげながら」 ナムとアミの心が清らかになるような掛け合いの後に、諸悪を根絶する為に戦うのがお約束の流れになっている。テンションの高低差がすごいけどそれがクセになる。面白かった!戦えナムジョージ秋山1わかる
かしこ2021/09/14記憶喪失の男が帰るのはどっちの家庭?事故によって5年間の記憶をなくした男。離婚した妻と娘のことは覚えているのに、再婚した新しい妻と息子の記憶は一切ないし、顔を見ても仮面を被っているように脳が認識してしまうので何も思い出せない。 男は複数の鍵を持っていて、ふと記憶がよみがえった時にその鍵を使って、愛人の家や、大学時代の友人の家や、単身赴任中に住んでいた家を訪ねるけど、その度に記憶を無くす前の自分はろくでもない人間だったことが分かってくる。 記憶がない自分にとっては離婚した妻と娘が本当の家族だけど、すでに元妻も再婚している。今の妻はどんなに一緒にいても他人のように感じてしまうし、もしかして自分は離婚するつもりだったのかもしれない疑惑も出てきた。最後に男が帰るのは一体どこなのか…? 2回ドラマ化するのも納得の面白さだった。記憶喪失前の主人公が結構なクズ男なのも嫌〜な感じがしつつ読み応えがあった。ラストもいい。どんな家庭も実はこうなのかもしれないと思わせられた。アイ’ム ホーム石坂啓
かしこ2021/09/11映画化もされた復讐劇最初の設定がズバ抜けて面白いですよね。雑居ビルの7階と8階の間に7.5階があって、そこの監禁部屋に前触れもなく10年監禁させられ、その間は昼と夜に出前の中華を食べ続け、ある日突然釈放されたと思ったら、犯人から動機を当てるゲームに参加させられる。シンプルなのにすごく引き込まれる設定です。 あとがきを読むと先の展開を決めずに連載をしていたらしいですが、だからこそ追い込まれる人間の心理描写にリアリティがあって、犯人の動機にも納得させられました。 10年前に韓国映画版を観た時は、エリちゃんが主人公の娘だったという映画版オリジナルのオチに衝撃を受けたのですが、漫画でこのオチだと後味悪すぎるし、そういう可能性も含めて復讐は終わっていないんだと解釈しました。オールド・ボーイ嶺岸信明 土屋ガロン1わかる
かしこ2021/09/07宝塚を受験しようとする女の子高校の同じクラスに誰にも応援されないまま宝塚を受験しようとしてる女の子がいるんだけど、主人公の男の子だけは味方になってくれるという全5話のお話がメインの短編集。両親はただ受験することすら大反対だし、他のクラスメイトにはバカにされるし、逆風しかないのに諦めない女の子の気持ちにも胸が打たれますが、主人公の応援の仕方がそんなに格好いい訳じゃないのがすごくいいんですよね!不器用なんだけど優しさが伝わってきて女の子は何より嬉しかったと思う。他の短編もどれも心温まる話ばかりでよかった。今ちょうどこういうのが読みたかったんです。私は「ロッタレイン」の作風よりこっちの方が好きかも。すみれの花咲く頃松本剛
かしこ2021/09/05ネタバレある連続殺人者の生涯サブタイトルに「ある連続殺人者の生涯」とあったので、あぁそういう話かと分かった上で読んだのですが、生まれた場面から物語が始まるので、こんなに可愛い赤ん坊が殺人鬼になってしまうのか…となかなかしんどいものがありました。 昭和27年、主人公の梅川一期は土木建設業を営んでいる父親の元に生まれます。年を取ってから生まれた子供なので父親は息子を可愛がるのですが、生まれて間もない一期が麻疹をこじらせて片方の肺を取ったことで、祖父から体の弱い子は梅川家の跡取りに相応しくないと言われて里子に出されてしまいます。 里親の老夫婦はいい人たち(おばあさんがイタコをやっていたり、寝かしつけに日本神話を聞かせるのは少し普通じゃないけど…笑)でしたが、おじいさんから丈夫に育ててもらった一期は「どうして自分だけが家族と一緒に暮らせないのか」と不満に思い、山奥から一晩中歩いて家族の元に帰るのです。 こうして家族と暮らすことになった一期ですが、その頃には弟の利行が生まれていて、自分の代わりに跡取りとして育てられていました。一期はこの頃から肺を取った時に出来た大きな傷を見ながら「自分には何かが欠けている」と思うようになります。 小学生になると体の傷のことでいじめられ、クラスに馴染めずにいた一期でしたが、そこへ顔に大きな傷がある文也という転校生がやって来ます。お互いに仲間意識が芽生えた二人は親友と呼べるまで仲良くなりますが、ある日ふとしたことで文也の顔の傷が偽物だということを知り、一期の運命が大きく変わるのです…。 こうして一期の幼少期を振り返ってみて、どうしたら殺人鬼にならなかったかも考えてみたけど、何をやっても悲しい結末になるのは変えられないような気がする…。 物語の中盤で、高校生になった一期が文也の父親に会いに行くシーンもすごかったけど、夢の中で母親が川を泳いでアパートにやって来て「隠してるものを見せなさい」と言われるシーンもすごかった。 終盤は(ネットの感想で「一期が就職してから」と書いてるがいた…笑)どうなんだろう…。私は世の中に不満がない平凡な人間なのかもしれないって思ったなぁ。だからこそ弟の利行が一期に対して持っている歪んだ感情の方が共感しやすい。でも昭和天皇の崩御と同じタイミングで全てが終わっていく最終話は、タイトルもそのままズバリ「死」の一文字で、かっこいい終わり方だと思いました。ICHIGO[二都物語]六田登8わかる
かしこ2021/09/04コミカライズの最高峰でしょ!大和和紀先生の絵ってゴージャスなのに可愛らしくって令和になっても変わらず憧れさせてくれる魅力があります。そんな先生が千年前から愛されている名作「源氏物語」を漫画化してくれているなんて最高としか言いようがありませんね。私も寝ても覚めても光源氏のことしか考えられないほど夢中になって読んでしまいました。 結構ゲスいこともしてるけどこんな絶世の美男に愛されるなら大抵のことは許すと思ったり、最愛の人である紫の上の死期を早めたのはやっぱり光源氏の浮気心のせいだから許せんとも思ったり、心が揺れまくりました。こうやってみんな「源氏物語」にハマってしまうんだなぁ…。 ただ今回初めて読んでみて後半から始まる光源氏が40歳を超えてからの話もすっごく面白いんだなってことを知りました。生まれた時からイケメンの光源氏も年を取ってからは若い人に嫉妬したり恋愛で憂き目を見ていたなんて人間らしくって新鮮です。 1コマ1コマが美しすぎて読み飛ばせないので描くのも相当大変だったはずと思っていましたが、読み終わってから大和和紀先生のインタビューを検索しまくってたら「私は描くの早い方なのよ」とおっしゃってるのを発見して驚きました。やっぱりレジェンド作家と呼ばれる方々って普通じゃないですね!才能がすごい!源氏物語 あさきゆめみし 完全版 The Tale of Genji大和和紀
かしこ2021/09/03より善く生きるってこういうことかもきっと誰が読んでも心に響く話が必ず一つは見つかる短編集ですね。絵もストーリーも詩的ですがコミカルな話もあるのでぜひ気負わずに読んでみてもらいたいです。悲しい話もありますが誰一人として不幸になっていないのが坂口尚らしい。この人の作品を読むと「純粋」という単語が思い浮かびます。子供の頃は誰だってそうだったと思いますが、大人になっても純粋な心を持ち続けていようとするその気持ちが自分にあるかどうかを問われているような気がするのです。下巻に収録されている「夜の結晶」で、鉱石や隕石みたいな美しい結晶のように生きるにはどうしたらいいか主人公が問いかけていたのが印象に残りました。12色物語坂口尚
かしこ2021/09/03スランプになった漫画家が再起するまでどこまで本当の話か分からないけど面白かった!スランプに苦しんでる1巻より、漫画家としての仕事が充実してきた2巻の方が読み応えあるかも。いつか読もうと思ってた「拡散」が月産7ページ、年1連載、6年かけて完成した作品だって知らなかった…。これは心して読まねば…。「拡散」の元担当さんが度々登場して結構厳しいことも言うんだけど、小田ひで次の一番の読者はこの人なのかもと思うような愛情を感じましたね。岩手にある実家の本屋が閉店する時に小田ひで次、黒田硫黄、五十嵐大介、小原愼司の合同サイン会をしたって話は本当なのだろうか。笑っちゃうくらい豪華だな〜!平成マンガ家実存物語 おはようひで次くん小田ひで次1わかる
かしこ2021/08/29「Dr.クマひげ」読んでみた📷一話完結で読みやすい。主人公は大学病院で助教授になれる程の腕を持っている医者だけど、とある理由で過去を捨てて、今は新宿のゴールデン街で診療所を営んでいる。ほとんどお金にはならないけれど、訳ありの街の人々から「熊先生」と呼ばれ慕われている…というお話です。あまりオペシーンもないですし本格的な医療漫画とは少し違いますが、ヒューマンドラマとして患者との心の交流と医者としての葛藤の両方が描かれています。読んでいるとだんだん熊先生が阿部寛にしか見えなくなってきました。すごく似てません?Dr.クマひげ史村翔 ながやす巧1わかる
かしこ2021/08/28「駅から5分」と「花に染む」「花に染む」は「駅から5分」の派生作品らしいけど、両方読む必要あるのかな?どっちから読んだらいいのかな?と疑問に思っていたのですが、どっちも読んで自己解決しました。絶対に両方読んだ方がいい!そして先に「駅から5分」を読むべし!どっちも単体で楽しめる作品ではあるんだけど「駅から5分」のエピソードが「花に染む」のワンシーンとして繋がってくるので、先に読んでいた方がすんなり読める。そしてその組み込み方がまさに匠の技なので感動します。 「花に染む」がどういう物語なのか説明するのがとても難しいのですが、↓のインタビューでくらもちふさこ先生が「最後まで読んでくださって、『なんだか分からないけどよかった』とおっしゃっていただけることが、私としては一番うれしいことです」と語られていたので、無理に考察したり言葉にしなくてもいいのかもしれません。個人的にはラストで陽大が晴れ晴れとした表情をしているように感じられたのが印象に残りました。 https://tezukaosamu.net/jp/mushi/201706/special1.html花に染むくらもちふさこ2わかる
かしこ2021/08/26ネタバレさすが2021年手塚治虫文化賞大賞受賞作!まだ未読の人は絶対にネタバレなしで読んだ方が楽しいと思うので、ダマされたと思ってまずは1巻を読んでください。1巻を最後まで読んだら続きを読まずにはいられないと思います。 正直に言うと自分がちゃんと理解できているのか怪しい…。 でも一話目の冒頭が 「果たしてこの世が本当に在るのかということさえも証明されていない 私がいてあなたがいるそれしか実感として感じられない まあその実感すらも本当かどうかは分からないのだが」 という言葉から始まったけど、 最終話の結末が 「果たしてあの世が本当にないのかということも証明されていない 私が死んでもあなたが死んでもそれは実感として残らない まぁその実感すらも本物かどうかは分からないのだが」 で締めくくられていて、これが対になっていることを発見してなんとなく腑に落ちたような気がする。いい漫画を読んだなと心から思った。最初の言葉は何も知らなかった頃の杏の言葉で、最後の言葉はすべてを知った上での杏の言葉なんだなぁ。つまり「知る」ということは恐怖に立ち向かう最良の方法であるということなのだ。ランド山下和美
かしこ2021/08/25もうウワサは聞きましたか〜♪袴を着て、長い髪をなびかせて、自転車に乗っている…「はいからさんが通る」といえば主人公の花村紅緒のこんなイメージが浮かぶと思いますが、実はこの姿の紅緒は2巻までしか登場しません。物語の大半はボブヘアーで洋装なんです。それというのも紅緒は職業婦人として出版社で働くからなんですね。 子供の頃にNHK衛星アニメ劇場で再放送を観たおぼろげな記憶しかなかったので、改めて原作を読んで「こんな話だったのか…!」と驚いた点がたくさんありました。めちゃくちゃギャグが多いし(笑)!!なにより大人目線で読んでみると大和和紀先生は少尉よりも編集長の冬星さんの方がどうやら好みっぽいぞ…というのがヒシヒシと伝わってきた(笑)。 でも、やっぱり「はいからさんが通る」の魅力は、紅緒さんと少尉が両想いなのに結ばれないもどかしさと、どんなことがあっても少尉を信じる紅緒の一途な強さですね。すべての少女漫画に流れる血脈がここにある…!!と思いました。はいからさんが通る 新装版大和和紀1わかる
かしこ2021/08/22初めて読んだ巻末のインタビューでラスト間際はネームが間に合わなくて編集者がデタラメの次回予告を書いてたって語ってたのにびっくりした!しかも本当にデタラメだからすごい。編集者ウケは相当悪かったんだなとインタビューを読んでも思ったけど、読者は何も思わなかったんだろうか。そういうことも受け入れてもらえるような作者とファンの間柄ってことなんだろうか。描き下ろしエンディングはさらに煙に巻くような終わり方ですよね…。あまりにも完結を熱望されて嫌になっちゃったのかなと思っちゃった。少年探検団の中に一人だけ高校生がいるのがなんか好きです。ほとんど初めていましろ作品を読んだので、もっと思い入れがある人の感想が読んでみたいな…。デメキング 完結版いましろたかし1わかる
かしこ2021/08/21江戸だ!絵も奥浩哉先生のタッチに似てて好きだ。黒い球にミッション書いてあっても「俺、字が読めねぇんだよな…」って言ってるのが江戸っぽーい(識字率)!と思った。なんで過去にまで遡って戦わなきゃいけなくなったんだろう?そこらへんの理由も解明されていくんだろうか?これはリアルタイムで読めるから嬉しいな!GANTZ:E奥浩哉 花月仁
かしこ2021/08/21物足りなかった…本編を読み終えてすぐに読むんじゃなかったな。あらすじとしては、修学旅行中のバスが事故を起こして乗っていた教員と生徒が全員死亡してしまい、GANTZゲームに巻き込まれてしまう…って感じなんだけど、結局この戦いで生き残ったのが女子5人だけで、ストーリーの途中で女同士ギスギスしたりするのがちょっと嫌だった。どれも本編で見たような展開ばかりだし物足りなかった…。GANTZ:G奥浩哉 イイヅカケイタ 大崎知仁
かしこ2021/08/20ネタバレ「GANTZ」読んでみた最近の漫画だと思ってたけど作中でガラケー使ってて驚いた。でも13年も連載してそれくらいしか違和感ないのがすごい。あんなに流行ったのに自分があまりアクションものが得意じゃないから読んでなかったけど、結構笑えるシーンがたくさんあるし誰が読んでも面白い漫画なんだなって思った。もっと早く読んでおけばよかったです。 とくに印象に残った笑えるシーンは… ・玄野の学校でのあだ名が昼行灯 ・坂田師匠がいい人 ・風さんが父性に目覚める ・黒い球の中の人が突然出てくるシーン ・タエちゃんを助けてくれたロリコン いい終わり方だったけど後日談エピソードがつい欲しくなっちゃいました。でも最初から最後まで面白かったです。振り返ってみると初期の頃の戦闘後に採点してもらうくだりが一番好きかもしれない。大阪編とか主人公がいないのに盛り上がるのも面白かったけど。カタストロフィ編に登場する異星人がアバターに似てるなって思ったけど、巻末のインタビューにアバターよりGANTZが先って書いてあって、一瞬でもアバターに似てると思ったのが申し訳なくなりました。GANTZ奥浩哉1わかる
かしこ2021/08/14ネタバレ「クーの世界」読んでみたもうすぐ中学生になる主人公・ねれいは悲しみに暮れていた。それは10歳上のお兄ちゃんが交通事故で亡くなってしまったからである。ある日「お兄ちゃんに会いたい…」と思いながら眠りについたところ、目が覚めたら不思議な世界にいて、クーと名乗るお兄ちゃんにそっくりな男がいるではないか。しかもその不思議な世界で眠って目が覚めると現実世界に戻っているのだ。こうしてねれいは奇妙な二重生活を送ることになって…という話。子供も大人も楽しめるような純ファンタジーだった。漫画というより文学っぽい。もし中学校の図書室にあったら歴代の本好き達が読破してそう。あんまりネタバレになるのもどうかなと思うのでフワッとした感想にするけど、お盆の時期にぴったりの漫画を読んだなと思った。それとおばあちゃんが活躍するのがよかったな。あとがきに「夢の空地」という続編があると書いてあったのでそちらも読んでみたい。クーの世界小田ひで次
かしこ2021/08/14花染町の住人たちが繰り広げる群像劇学校内の人間関係だったら色んな漫画でも描かれてますけど、町に暮らす人々が繋がる物語って読んだことなかったな。小学生、主婦、お巡りさん、タクシー運転手、巫女さん…花染町に住んでいる面識がない人たちが自然に繋がっていくのがすごい。自分も町に暮らしていて関わりがないような近所の人とも実は色んなところで繋がってるんだなと実感した。しかも一話完結のエピソードのどれもが粒揃い。もちろん恋の話も素敵だけどそれも人間ドラマの一つのようなものだから男性にも読みやすいと思う。これから続編?スピンオフ?の「花に染む」も読むのでどう発展するのか楽しみ。 単行本派だったから雑誌なんてあんまり買わないのに何故かコーラスを買ったことがあって、それにローラが髪を切って弓を射る話が載っていて、今回10年ぶりくらいに同じエピソードを読んだけどセリフとかコマを自分が鮮明に覚えてることにびっくりした。くらもちふさこは記憶に残る漫画を描くんだなぁ。駅から5分くらもちふさこ
かしこ2021/08/13男の子×男の子?身長2mのイケメン男子高校生・鈴木一郎が、女の子みたいに可愛い同級生の男の子・佐藤ゆうきに恋しちゃうラブコメ。1巻から面白かった。マジで一瞬で読み終わった。佐藤が可愛くてたまんないし、鈴木が佐藤に異常にメロメロで変な言動ばっかりしてるから何やっても面白くて笑ってばかりだった。ただ最終回があまりにも呆気なく終わるのにはびっくりした。だから次作の「HEN」にも出てきて大団円的なエンディングを迎えるのかぁと納得した。やっぱり両方とも読まないとダメなやつだったんだ。 連載前の読み切りも収録されてて「変」と「HEN」の元になった作品もあった。奥先生が山本直樹先生のアシスタントをしていたことは知ってたけど、超初期の作品は大友克洋っぽいのは知らなかった。デビュー時からこんなに絵が上手いなんて…!どの作品もタイトルが漢字一文字(「糸」とか「缶」とか)なのがまたカッコいいです。変奥浩哉1わかる
かしこ2021/08/12女の子×女の子モデル業もこなす超絶美人だけど性格が悪い女子高生・吉田ちずるが、小動物のように可憐な転校生・山田あずみに恋しちゃうラブコメ。3巻くらいから面白くなってきてそこからは一気でした。何でもあり!な展開が楽しかったです。でもクライマックスで前作「変」のキャラクター達が当たり前のようにストーリーに合流してくるので、読む順番を間違えたことを後悔しました…。読んでなくても面白かったけど、これを読んだら「変」を読まずにはいられないと思います。HEN奥浩哉
かしこ2021/08/09ネタバレ地上の楽園で実際に起こった悲劇の物語約100年前のバリ島に中国人が乗ったオランダの船が座礁するところから物語は始まり、そんな些細なきっかけから戦争に発展してしまう悲しいお話なのですが、侵略から国としての尊厳を守る為に王とその民は集団自決をします。このクライマックスを迎えるまでにバリの人々の習慣や思想というのを読みながら理解していくので、悲しいけれどそれよりもバリの底知れなさに圧倒される気持ちの方が大きいです。最初は内容が難しそうで自分に理解できるのか不安でしたが、読み進めると夢中になってしまいました。原作者のヴィッキー・バウムという女性はグランドホテル形式を生み出した方だそうで、実は「バリ島物語」も群像劇なのです。なので多少は日本人には馴染みのない文化に戸惑うところもあるかもしれませんが、ストーリーとして面白くない訳がないのです。でもこれを漫画に出来るのはさそうあきら先生だけだろうなぁ…!流石だなぁ…!と思いました。バリ島物語 神秘の島の王国、その壮麗なる愛と死さそうあきら ヴィキイ・バウム 金窪勝郎