かしこ
かしこ
2021/12/29
令和になったあたしンち
2021年個人的に一番嬉しかったのは久しぶりにあたしンちの新作単行本が発売されたことです。あたしンちは子供の頃から読んでいて大学卒業くらいの時に休載したんですが、自分のお金で単行本を買うようになってからは、年一回の発売日がちょうど誕生日に近かったので自分へのプレゼントとして買っていたんです。なので休載が本当に悲しくて、空白の6年が体感として10年に感じるくらい長かったです。それからのAERAでの連載復活のニュース、そして今年になっての単行本化はとっっっても嬉しかったです。しかもその発売日がちょうど私の30歳の誕生日だったので、まるでタチバナ家のみなさんに祝福されているかのような気持ちになりました。 待っている間はあんなに長かったのに、新刊を読んだら「お久しぶり感」がゼロでした。あたしンちの世界もコロナ禍になっていて、お母さんはAmazonで買い物してるし、お父さんはUber eatsを使おうとしてるし、しっかり現代にアップデートされてるのに、いつもと同じタチバナ家の日常にするっと入り込める。こんなに自然な続編を私は他に知りません!でもこれはいつも「当たり前の日常」を汲み取って形にしてきたけらえいこ先生だからこそ成せる技だと思います。これからはいつもの面白さにプラスしてあたしンちの絶妙な進化も楽しめるなんて最高です!!
かしこ
かしこ
2021/11/18
ネタバレ
手塚治虫版「白い巨塔」でありながら…
ハコヅメの作者さんが元警察官だったり、その仕事を経験した人が描いた漫画って最近すごく増えたような気がしますが、そういえば手塚治虫が医学生だったことを忘れてました。「ブラック・ジャック」も医学の知識がふんだんに盛り込まれていますが、ブラック・ジャック自身の生い立ちにまつわる復讐劇だったり、ドラマチックな内容が多くて純粋に漫画として面白い!が勝るので、意識してても忘れるんだと思います。「きりひと讃歌」は大病院の政治的なことも含めて、医師としての葛藤もリアルに感じました。ただ、医者である男性達が葛藤していく中で、いつも恋人である女性達が犠牲になっていたのが解せません。占部はシスター・ヘレンのことを愛してると言っていましたが、私にはそれが本心とは思えません。どうしても自己保身の為の言い訳に聞こえてしまいます。それから婚約者のいずみさんの髪型が途中でガラリと変わるのも不自然ですが、電話で桐人の居場所を教えてくれたのは誰なのかも謎でした…。しかし、色んな後味の悪さも含めて傑作だということは分かります。これぞ大人が読むべき人間ドラマですね…。読み終わると「きりひと讃歌」というタイトルもより深いな〜と思いました。