かしこ2021/08/08「人間交差点」の好きな話一話完結でいい話がたくさんあるので備忘録として残したい。 【文庫1巻】 『海の時間』海辺の旅館っていうシュチュエーションとおもちゃみたいな腕時計で「あ、あの時の…」って気づくのが好き。事情を聞かなくても分かってくれる女将の存在もいいよね。 『谷口五郎の退官』退官直前に死刑を執行した死刑囚が「わしは殺しとら〜ん!!」と絶叫して死んでいったことから、独自に事件の真相を調べる話。やっぱり死刑が執行される場面が壮絶でインパクトがある。(ちなみに弘兼憲史オリジナル作品) 『黒の牧歌』出所の日が近づくと脱獄を繰り返す男には理由があった…。純愛って言葉が安っぽく感じるくらいのすごい話だった。人間交差点(ヒューマンスクランブル)弘兼憲史 矢島正雄2わかる
かしこ2021/08/07母と娘の関係の真理をついてる絶世の美女として有名な大女優・若草いずみには誰にも言えないコンプレックスがあった。それは普段はドーランを塗り固めて隠している顔にできた大きなアザと、どうしても抗うことのできない老いである。しかし主治医からある提案をされたことにより、彼女は女の子を産む。そして芸能界を捨てて表舞台から姿を消した…。数年後、大女優だった面影がないほど醜くなった母親は、昔の自分のように美しく育った小学生の娘・さくらを襲う。そして娘の身体に自分の脳を移植する手術を行うのだった!美しい身体を手に入れた母親は、これまでの人生では手に入れられなかった平凡だけど幸せな生活を送る為に、新婚だった担任の家に潜り込み、その妻を殺そうとする…。 母親と娘の関係って怖いですよね。仲が良くても悪くても怖いよな〜って、自分を見ても、他人を見ても感じます。やっぱり似てしまうからしょうがないってところもあるんでしょうけどね。脳移植後の見た目は少女だけど中身はオバサンっていう恐怖は「エスター(映画)」にも似てるなって思いましたが、オチは「洗礼」の方が怖かった。自分が娘だからより怖く感じたんだと思う。これを少女コミックで連載してたってヤバすぎる。笑!洗礼楳図かずお1わかる
かしこ2021/08/07賢明なる読者諸兄は…すでにご存知だと思うがめちゃくちゃ面白い忍者漫画である。めちゃくちゃ面白いらしいと聞いてハードルを上げまくって読んだが、それでもめちゃくちゃ面白かった…。はぁ〜今すぐもう一回読みたい、マジでおかわりしたいくらい面白い。 ギャグ漫画と過酷な忍びの世界の描写をものすごく巧みに両立していて、まったく破綻していないのがすごい。最初はギャグ漫画表現の実験シリーズなんて別にいらないんじゃないかと思ってたけど、だんだん次はどんな実験をするのか楽しみでしょうがなくなってきた。忍びの厳しさも容赦なく描いてて女子供もバンバン斬られて死んでいくのが逆にいい。ムジナ相原コージ
かしこ2021/08/05「まんだら屋の良太」を読み始めたけど…九州の山奥にある温泉旅館「まんだら屋」が舞台のお色気漫画です。色恋沙汰って言うとちょっと綺麗に言いすぎてるなって思うくらいエロのインパクトがすごいです。決して子供には見せられませんが、大人が読むと不思議といやらしいとは感じない作品だと思います。 文庫版で買ったんですが、文庫版は売れ行きが良くなくて途中で出版中止になってしまったんだそうです。最終回がどうなってるのか気になるけど、50巻全部読むべきか迷ってます…。文庫版では青木雄二が「畑中純さんの漫画を読んで僕も大人の鑑賞に耐えうる漫画を描きたいと思った」と語っていました。まんだら屋の良太畑中純1わかる
かしこ2021/08/04完結してから読むべきだったかも「リウーを待ちながら」を読んだら「ペスト」を読まなければらならない!という気持ちになったので読んでみた。車戸亮太先生の漫画も元から好きなので連載開始した時から気にはなっていたんだけど、世の中がコロナでパニックになり始めたばかりの頃だったのでなんとなく読まずにいてしまっていた。 感想ですが、2021年秋発売の4巻で完結するそうなので、完結してから一気読みすればよかったな…というのが正直なところです。現実世界の状況とも似ているところがあるけれども、「リウーを待ちながら」のストーリーもだいぶ「ペスト」の影響があるんだなってことが分かりました。なので益々ラストが気になる。ペスト車戸亮太 カミュ1わかる
かしこ2021/08/03水木しげるのアシスタント歴40年の作者が送る回想エッセイ巨匠レベルの漫画家にもなるとアシスタントをされていた方が描いた回想エッセイがあったります。例えば「あしたのジョーに憧れて」「藤子スタジオ アシスタント日記 まいっちんぐマンガ道」などです。こういうのを読むと大先生の人柄や師弟愛に感動せずにはいられないのですが、「水木先生とぼく」は更にすごかったです…!何がすごいって水木しげる先生の絵にそっくりなんです。素人目には水木先生が描いてるとしか思えない。それはつまり作者の村澤昌夫さんは今も水木先生の背中を追っているということなんです。詳しくは巻末で京極夏彦さんが説明してるのでそれを読んで欲しい。水木先生がすごいのはもちろんだけど村澤さんの画業もすごい。マジで泣けるくらいすごいです。これ続編はないのだろうか?もっと読みたい!!水木先生とぼく水木プロダクション 村澤昌夫1わかる
かしこ2021/08/01終わり方がいいので満足度が高い主人公は偉そうなことばっかり言うけど何にも本気になったことがない元劇団員で、ダマされて借金をして裏世界の運び屋のバイトをすることになるんだけど、自分のミスでヤクザの組長を殺した暗殺者「背骨」を逃がしてしまったので、そいつのフリをして報復しようと待ち構えてるヤクザの元に運ばれることになってしまう…。真鍋昌平の漫画ってあんまり読んだことないと思ったので読んでみました。ウシジマくんの人ってイメージが強いし、それより前にどんな作品を描いていたのか全く知らなかったですが、結論としてすごく面白かった!です。真の主人公はもしかしたら「背骨」なのかもしれませんが、ダメダメ主人公も最後には開眼してかっこよくなってた。終わり方がいいので満足度が高い。でも連載デビュー作だけあって少し読みにくかったかな…。読み終わるまで時間がかかってしまった。傑作だったのに埋もれてしまっていたのも分かるし、完結から10年後に映画化されるくらい熱いファンがいるのも分かる。映画化記念に描かれた新作短編もエグくてよかったなぁ。運び屋のジョーとジジイの2人が特に好きです。SMUGGLER真鍋昌平1わかる
かしこ2021/07/24現実とリンクしてる!!日本のとある街でペストが流行してしまうパンデミックサスペンス漫画。コロナ禍になった最初の頃にも話題になりましたが、今更ながら読んでみました。す、すごい…!今の私達の状況と一緒だ!!これを2017年に連載していたなんて。AKIRAよりすごいのでは。前から「リウー」って何だ?と思っていたのですが、カミュの小説「ペスト」に出てくる医者のことだったんですね。最近は恐ろしいことに自分も少しパンデミック慣れしてしまっていたので、これを読んで改めて気を引き締めなければと思い直しました。あと「ペスト」も読みたくなりました!リウーを待ちながら朱戸アオ
かしこ2021/07/24二ノ宮知子の初期名作!!六菱物産の営業ニ課には美男美女のエリート、丸山と佐野がいる。社内の誰もが憧れる2人だが恋愛関係などではなく、ただの飲み友達!しかも超酒豪!!昼間は億単位の仕事をこなし、就業時間になったら居酒屋に直行、これが彼らのスタイルなのである。しかも飲んでる間に社内の揉め事も解決してしまう(社長も飲み友達だから)。そして翌日も二日酔いすることなく出社するのだった。たった2話しかないんだけどめっちゃ面白い。あと二ノ宮知子先生の結婚秘話もあるのでファンはぜひ。飲みに行こうぜ!!二ノ宮知子
かしこ2021/07/22奥山ケニチは初期作品も面白いなぁ!10年前のまだ商業デビューする前の作品から収録されてる短編集。奥山ケニチさんを知ったのが「ワンナイト・モーニング」からだったので、スピリッツとかモーニングとか色んなところで掲載されたり受賞されてる方だったなんて知らなかった。特に「磯辺くんとパンツ」は何回読んでもグッと込み上げるものがあるし、こんなに面白い読み切りを描いてても連載ってなかなか出来ないもんなんだって恐ろしくて震えてます。でもこれらの作品が「ワンナイト・モーニング」に繋がってるんだって思うとファンとしても感慨深いです。本当にドラマ化おめでとうございます!奥山ケニチ短編集 めくれる思春期奥山ケニチ2わかる
かしこ2021/07/21母と娘って似てるからややこしい今「マンガ黄金時代'60年代傑作集」を読んでいて、ガロとかCOMの漫画って詩とか絵画みたいだなと思ってたんだけど、この読切にも似たような雰囲気を感じた。あんまり説明が多くないから、お兄ちゃんが傍観しすぎじゃないか?とも思ったけど、これは母娘の話だからありなのかな。家族の中で母と娘だけ仲悪いとか現実にあるもんね。この作風が好きだからあまり変わらずにいてくれたらいいな。掲載されたスピリッツの発売日が藤本タツキの「ルックバック」が発表されたのと同じ日だったから、なんとなくこっちも話題になってほしいなと思った。いい漫画なので。ア・ピリオド・イン・ウィンター岩崎真4わかる
かしこ2021/07/20これこそ安達哲の最高傑作では?ここ数ヶ月で「バカ姉弟」以外の単行本化されてる安達哲作品をほとんど読んできたけど、ダントツで「幸せのひこうき雲」がよかった…。世間的な代表作は「さくらの唄」「お天気お姉さん」かもしれないけど、この2つの後に描かれただけあって、漫画家・安達哲にとっての到達点のような最高傑作だった。超簡単にあらすじを説明するとサディスティックな女教師におもちゃにされる少年の話なので、現代の価値観でいうと連載するのも難しいだろうし、こういうのを読むのも嫌な人もたくさんいるだろうけど、まさにファム・ファタールって感じでオチも含めて圧倒されます。考えてみると「キラキラ!」みたいなラブコメを描いていた頃から、安達哲にとって女の光と闇がテーマの1つなのかもしれないと思った。正直にいうと「バカ姉弟」は興味がなかったけど、「幸せのひこうき雲」があまりにもよすぎて、この後にどんな作品を描いてるのか気になってしょうがなくなってきた。幸せのひこうき雲安達哲3わかる
かしこ2021/07/17母親を介護するということ認知症になった母親を介護する体験を描いたエッセイ漫画なのですが、作者がひさうちみちお先生なので随所に耽美なイラストが描かれているので、重い内容ですがリアリティがあり過ぎて読むのが辛いとは思わなかったです。超ネタバレになるから詳しくは書きませんが、母親の妄想だと思ったら本当だった出来事にマジでびっくりしました!事実は小説より奇なりってまさにこういうことだ。紙版だと林静一先生との「母親を介護すること」についての対談も収録されてました。これも読み応えがあって面白かったです。電子版にもあるのかな?精G 母と子の絆ひさうちみちお1わかる
かしこ2021/07/17ネタバレ女子高生が海賊と宝探しする夏休み!ひと夏の冒険譚だから夏休みに読むのにぴったりだし、これが本当のONE PIECEだ!って思ったくらい(こんなこと言うと怒られそうだけど…) 面白かったです!主人公の女子高生・大和鮒子は「強い子になってね」というママの遺言を勘違いして格闘技を極めてしまったようなちょっとおバカな女の子。漁師だったおじいちゃんが建てたマグロ御殿にパパと暮らして、地元の水産高校に通うだけの退屈な毎日を過ごしていたところに、海賊・カトーが下宿人として鮒子の家にやって来たことから、ひと夏の大冒険が始まります。 遠い遠い海の果てにある宝島には100兆円超えの財宝が眠っていて、実は鮒子のおじいちゃんがその島に辿り着いて生還した唯一の人物だったことから、カトーは宝島のヒントを探しに鮒子に近づいたのです。そして16歳の誕生日におじいちゃんから手紙が届き、海の中の岩穴に隠されていた漁業権利書、巨大な銛、宝の地図のプレゼントを発見します。その地図をカトーに奪われ、それを追うように鮒子も異種格闘技部の先輩・鴨林らと共に船出するのです! ネタバレになっちゃうけど、3巻で海に出て、7巻で宝島に着く、全11巻のこの2つのタイミングでギアが上がるように面白くなったと思います。おじいちゃんからの鮒子宛のメッセージが手紙として度々登場するんですが、作者の望月峯太郎が読者に伝えたいテーマそのものって感じでとても深かったです。そして因縁のカトーはラストですごくカッコいい人になって、これが本当の海賊王だ!と思いました(怒られる…)。万祝望月峯太郎3わかる
かしこ2021/07/13読み返してみたけど…何年か前にジャケ買いした「私の好きな週末」を読み返してみました。買った当時も読んだのですが自分の中で面白いと思えるまで消化することが出来なくて。でも最近「いるのにいない日曜日」を読んだらすごく自分好みな作品だったし、世界観のヒントを掴めた気がしたので、今読んだら楽しめるかもと思ったのですがやっぱりまだ難しかったです。「もう体脂肪率なんて知らない」と「海辺へ行く道」も読んでから再チャレンジしてみようと思います。私の好きな週末三好銀
かしこ2021/07/12ネタバレこっちの夫婦もたぶんヤバいぞ #1巻応援「ただ離婚してないだけ」がすごく好きだったので、新連載も夫婦ネタと知って楽しみにしていたのですが、1巻を読み終えて謎しかありませんでした…。これは一体どういう漫画なんだろう?ただし今回も夫がヤバいのは確実だから、妻もヤバい奴なんだと思う。読んでいて訳が分からないながらも、至るところに狂気が漂っているのを感じました。 結婚してから5年間、生活費を切り詰め、極貧の中で多額の費用をかけて不妊治療をしたものの上手くいかず、夫から「これからはお互いにやりたいことをしよう」と提案されます。一見するといい夫のようですが、妻のことを平気で叩きますし、妻はそんな夫のことを「自分を叱ってくれるから」好きなのです。42歳と26歳という歳の差も気になりますが、とにかく主従関係で繋がっているような夫婦なのです。 夫の提案を受け入れて、社会経験がほとんどなかった妻は弁当屋でアルバイトを始め、そのバイト仲間に歓迎会をしようと連れて行かれた合コンでAV男優と出会い、なぜか彼から夫婦一緒に「愛あるセックス」とは何かを学ぶという展開になります。ここで夫から不妊治療中はプレッシャーを感じていてセックスが怖くなっていたと初めて告白されるのですが、本当は優しい人だったみたいなことは絶対にないと思う…。 妻が働き始めた弁当屋に怪しい男がよく来るのも気になるし、個人的にはこの男がストーリーの肝なんじゃないかと思ってるんだけど…。2巻からどうなっていくのか全く読めない。でも「ただ離婚してないだけ」の狂気を超えてくれたらいいなと期待してます。あたらしい結婚生活本田優貴
かしこ2021/07/10「1ポンドの福音」読んでみた高橋留美子先生の有名な作品は地元の図書館にもあったので大体読んでるんだけど、「1ポンドの福音」は今まで読まずにいてしまっていた。子供心にちょっと大人向けだなと思っていたのかもしれない(ちなみに「めぞん一刻」はアニメから入りました)。今回初めて読んでみて面白いなと思ったのは、まず絵柄の変化です。「1ポンドの福音」はヤングサンデーでの不定期連載で、約20年かけて完結しているので、最初と最後で絵柄がだいぶ違っています。それから「あしたのジョー」のパロディが多々あって、高橋留美子先生のちばてつや先生に対するリスペクトを感じられて興奮しました。そして高橋留美子先生は小学館のあらゆる雑誌で描いててマジですごいと改めて思いました。1ポンドの福音高橋留美子1わかる
かしこ2021/07/10江戸の町に化粧する最初は主人公が化粧で女の人生を激変させていく漫画なのかなと思って読んでたけど、実は化粧だけじゃなく店のプロデュースなど流行全般を取り仕切る「弘め屋(今でいう広告代理店)」の仕事をしてる話だった。なので舞台は江戸時代なのに内容がどことなくバブルっぽい。最後の方では政治にも関わりを持ち始めて「俺は江戸の町に化粧(世直し)をするんだ」がテーマになってくる。石ノ森章太郎の漫画を初めて読んだけど、絵に華があるなと思った。こういう大人向けの作品をもっと読んでみたいから、次は「HOTEL」を読んでみようと思う。八百八町表裏 化粧師 【石ノ森章太郎デジタル大全】石ノ森章太郎1わかる
かしこ2021/07/09変な漫画がいっぱいなんか記憶違いだったら申し訳ないんだけど、ちょっと前にマンバの思い出せないマンガの質問の一つに「人魚に精液をくれと頼まれる漫画」を探してる人いなかったっけ…?その時はそんな変な漫画がこの世にあるんだと思ってたんだけど、こないだ久しぶりに「黒船」読み返したらあったよ!そんな変な漫画が!しかも精液の代わりにカルピスをあげるってオチで、人魚も「初恋の味…なるほどね…」って納得してたよ!久しぶりに読んだら変な漫画がいっぱいあって楽しかった。黒船黒田硫黄
かしこ2021/07/05やっぱり山崎紗也夏の漫画はこういうのが好き! #1巻応援これは面白い!一気読みしてしまった!行き場のない未成年の女の子たちが稼ぐ手段として援助交際を取り仕切る組織に加入するんですが、要は犯罪ですから環境は劣悪な訳です。そういうことが『未成年援デリ』と呼ばれてるのも初めて知りました。ただ漫画としては重くて暗いだけの話ではありません。主人公の里奈が賢いんですよ。闇しかない世界で自分と仲間を守ろうと組織のリーダーになるんです。常に危険と隣り合わせなのでハラハラしっぱなしではありますが、ただそれだけじゃないっていう所の加減が上手いのは山崎紗也夏先生だからこそですね。特に「サイレーン」と「シマシマ」が好きな人にオススメかな!アンダーズ〈里奈の物語〉鈴木大介 山崎紗也夏4わかる
かしこ2021/07/03「美代子阿佐ヶ谷気分」読んでみたガロ作品の中でも「美代子阿佐ヶ谷気分」はファンが多い印象があったのですが、読んでみて納得しました。これはカッコいい。同じく「赤色エレジー」も貧乏同棲カップルのアート系なカッコいい漫画だけど、「美代子阿佐ヶ谷気分」にはフランス映画っぽいカッコよさがある。作者のあとがきを読むと永島慎二が好きだったようで、リアルに「漫画家残酷物語」みたいな生活をしていて、それをそのまま漫画にしてるだけなんだけど、美代子の存在によって傑作になってる。漫画の中で美代子は男に振り回されっぱなしの女性なんだけど、とにかく美しく描かれてる。作者自身も自分は絵が下手だと書いてたけど美代子だけは上手い。この2人が別れることなく今も夫婦でいるってのはすごいことだなぁ…。美代子阿佐ヶ谷気分安部慎一2わかる
かしこ2021/07/01これは〈過去、現在、未来〉の話である…物語の冒頭で「舞台は1970年以降の仮想日本だが、それが起こるのが10年後なのか明日なのかは誰にも分からない…」という何とも不穏な気持ちになる説明をされて始まります。読んでいて連載当時としても衝撃的だったであろうシーンが多々あるんですが、これから先こんなことが起こるはずがないと言い切れないのが恐ろしいです。私が印象的だったのはお兄さんの出征をみんなが万歳三唱で見送ろうとするのを主人公が怒鳴るシーンです。なぜ歴史は繰り返されてしまうのか、どうしてみんなそれが平気なのか、主人公の怒りが爆発するんです。最後まで読んだけど完全に理解できた気がしないので読み返そうと思います。光る風山上たつひこ4わかる
かしこ2021/06/27きみは天下のお天気お姉さんお天気お姉さんこと仲代桂子はその美貌で世の男たちを虜にしているが、性格は凶暴である。下着姿でテレビ出演することなんて屁でもないし、ライバルの女子アナを性奴隷にするほど奔放だが、誰も彼女には逆らえない。むしろ崇拝してしまうのだった。 ほとんどが無茶苦茶な内容で完全に度が過ぎてるのだが、それでも私が桂子さんのことを不快に感じることはなかった。それがなんでかっていうと最初の方でのエピソードでこんなのがあるからだ。 ライバルの策略によって自分の人気がなくなったと思い込んでショックを受けた桂子さんは「お天気お姉さんを辞めてお茶汲みでもするワ」と言い出す、しかしそれを聞いた高校時代から桂子さんと因縁の関係にある山岸君が心の中でこう思うのだ「”女っておもしろいこと考えるな”男が女を尊敬するのはこういう時だけだ 男のマネなんかしなくていいんだ 男の予想範疇で動かないでくれ…!」そして叫ぶのだった「きみは天下のお天気お姉さんなんだぞーーーーーッ」と。 こういうのって現代の価値観でいうとアウトなんだろうか?でもなんか私も山岸君と同じ気持ちになるんだよな。でもラストで2人がああいう関係になるのはよく分からなかった…。お天気お姉さん安達哲3わかる
かしこ2021/06/24読み返すたびに傷つきそうだけど…隣のクラスに転校生してきた女の子に一目惚れして仲良くなるんだけど、その子はヤクザ者な父親から売春を強要させられていて…という、嫌な予感しかしない始まりですが、すごくいい漫画でした。『甘い水』というタイトルの意味はこういうことだったのかと心が感動で震えました。女の子の妹は嘘がつけないとか読んでて上手いと思ったところがたくさんあったけど、ラストでサブタイトルにもなっている「風花」が降ってくるのが素敵でした。晴れてるのに降ってくる雪のことを「風花」というのですが、それがまたラストの喜びと悲しみの両方があるような主人公の心情とものすごく合ってるんです。読み返すたびに傷つきそうだけど、それでも何度でも読みたくなる傑作でした。甘い水松本剛 板垣久生3わかる