かしこ
かしこ
2021/03/27
土田世紀は熱心な宮本輝ファンだったそう
文藝春秋が発行していた「コミックビンゴ」という雑誌で連載されていたらしいです。原作は宮本輝の同名小説。土田世紀は熱心な宮本ファンだったそう。 【あらすじ】普通の大学生だった主人公は父親が急死したことで、いきなり借金取りに追われる生活を送ることになる。まだ電気も通っていない夜逃げ先のアパートで帽子をかけようと柱に釘を打ったところ、偶然にもトカゲを刺してしまう。しかしトカゲは生きていた。こうして釘が刺さったままのトカゲを飼育しながら、借金取りに追われ八方塞がりになっている自分を重ねて生活していく…。 宮本輝の小説は「錦繍」を読んだことがあるんですが、どんな内容だったか忘れてしまいました。映画監督の是枝裕和のデビュー作も宮本輝原作の「幻の光」で、これも観たんですが忘れちゃいましたね(主演の江角マキコがよかったことだけは覚えてます)…。久々に宮本輝作品に触れて「そういえばこういう作風だったなぁ」と何となく思い出しました。普通のコミック雑誌だったら物足りない連載になっていたかもしれないけど、文藝春秋の雑誌だし、土田世紀との相性はとてもいいです。 「生き方は死に方なんやと…」と言いながら借金を残した父親がものすごい形相で死んでいくんですが、もっとすごい死顔の人も出てくるのでギョッとしてしまいました。ちょっと笑えるくらいすごかったです。
かしこ
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2021/03/25
私の「思い出せないマンガ」はこれだった!
マンバには「思い出せないマンガ」を探してる方がたくさんいますが、そういえば私にもそういう漫画あるな〜と最初に思い出したのがこの作品でした。たぶん小学生の時にネットで試し読みをしたんだと思うんですけど、「少女漫画」「誉ちゃん」「メイド服」の記憶があったので、検索したらすぐヒットしました。えっ!『山田太郎ものがたり』の森永あい先生の作品だったのか…!どおりで20年前に数ページしか読んでないのに強烈なインパクトが残っていた訳だ。そして森永あい先生が2019年に亡くなられたと知ってショックでした。 『まにあってます!』はイケメン三兄弟の家に借金のカタとして誉ちゃんがやって来て平和な暮らしをめちゃくちゃにしていくコメディーです。家の中では雇われの身としてメイド服を着て家事をするのですが、コロッケを揚げたら家を燃やすなど散々な出来です。でも三兄弟が通っている私立の名門校の編入試験に満点合格するし、去年まで男子校だったから女の子は一人だけっていう逆ハーレム状態で、むしろ誉ちゃん無双な漫画だったりします。イケメンを天然ドジっ子がブンブン振り回すTHE漫画なマンガで面白かったです。また読めて嬉しかったなー。
かしこ
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2021/03/24
実は漫画家マンガです
楠本まき先生って作家性が強くて難解な作品を描いてそう…というイメージがあったのですが、エッセイ漫画「A国生活」を読んでから印象が変わりました。思ってたより読みやすくて、でもセンスがあってユニークな作家さんなんだと。 この作品は「赤白つるばみ」のスピンオフらしいのですが、これだけ単体で読んでも内容を理解するのに問題ありませんでした。色々と話題になったジェンダーバイアスについてのセリフがある作品ですが、全編通して読んでみると漫画家マンガとして面白かったです! 美大生のノエル子さんは少女漫画誌ガーマレットで新人漫画家としてデビューしますが、編集者からは読者が共感してキュンキュンするような漫画を描いてくれと言われてしまい、自分の作家性との違いに悩みます。そんな時に大ファンの谷崎真珠先生のアシスタントをしに行くことになり、谷崎先生はどんなことを思いながらガーマレットで連載しているのかを聞くことになります。 ノエル子さんも谷崎先生も楠本まき先生ご自身がモデルになっているところが多分にある気がします。マーガレットでデビューされて今もココハナで活躍されている楠本先生のまんが道のような側面もある漫画です。ぜひ気軽に読んでみて下さい!
かしこ
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2021/03/12
エリート銀行員の加賀谷次長に育成されたい男子達
最近のエレガンスイブの漫画って(「凪のお暇」とか「10年シてないスダチさん」とか…)どれも面白いよな〜と思ってこちらも読んでみました! みどり銀行まちなか支店に勤めている加賀谷次長は、生まれつき備わっていたかのようにスマートな人心掌握術の持ち主。上司や部下のハートをガッツリ掴んでいるので、彼のことを嫌いな人なんて一人もいません。正直モテモテです。しかし彼は心の中でこう思っています「女性を口説くより誰かを育てる方がずっと楽しい」と。 そうです。この漫画はやる気が空回りしている若手社員や、親の借金で卑屈になっていた苦学生を、エリート銀行員の加賀谷次長が育成する漫画です。しかし育てられる側はどちらも恋愛感情を持っちゃうし、加賀谷次長も思わせぶりな態度を取ったりします。なかなかハッキリしない感じが長かったですが、2巻のラストで思いっきり加賀谷次長のことを抱きしめたので確信しました。これはBLです。 作者の小山田容子さんの他の作品も銀行が舞台になっているものばかりだったので調べてみたら、金融機関で10数年間勤務されていた経験があるんだそうです。どうりで銀行員の業務の描写がリアルな訳だ!お仕事マンガとしてもオススメです。
かしこ
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2021/03/08
「龍宮殿」読んでみた
松永豊和の漫画を初めて読みました。恥ずかしながら最近まで存在を知らなかったのですが、マンバの書き込みでバクネヤングが面白いというのを見かけて気になりました。先に手に入ったのが龍宮殿だったのでこちらから読んでみた次第です。失礼になっちゃうけど…知識も期待もゼロの状態で読んだので、読み進めていくごとに「お、思っていたより面白いぞ…!」となりました。傑作というにはあと少し何か物足りないような気がしますが、また読みたい作品であるのは間違いないです。 タイトルと表紙で「あ〜男の子が竜宮城に行くんだろうな」というのは分かっていましたが、深海の遊郭「龍宮殿」ではメスは人間の姿で産まれるけど、オスは頭が魚の形をしている魚人の姿で産まれて、ある事情でオスは産まれたらすぐに殺されることになっている…という事が判明してから一気に面白くなりました。ちなみに主人公兄弟がうさぎの着ぐるみを着てますがストーリーとあまり関係なかったです。 作者さんがホームページで公開してくださってるので、次は「パペラキュウ」を読んでみようかな。自伝小説?「邪宗まんが道」も気になったので早速kindleもダウンロードしました。
かしこ
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2021/02/23
ほのぼのした日常こそ深イイ
コロナになってから仕事の休憩中もおしゃべりしないように黙々とご飯を食べているので、そんな食事のお供にスマホで漫画を読む機会も多くなりました。最近コミックDAYSのアプリを開くとトラ猫の絵のバナーをよく見かけて気になっていたのですが「今は猫マンガを読む気分じゃないな〜」と何度かスルーしていました。しかし何気なく読んでみると…これがなんとも味わい深くて面白いエッセイ漫画なのでした!!とっくに一巻も出てるんですね。勉強不足ですみません…。 エッセイ漫画が好きでよく読むのですが、この作品は珍しい経験をした人の体験記ではなく、何気ない日常を描いている随筆タイプのエッセイです。私はどちらも好きですが随筆タイプのエッセイは自分の好みと合う合わないがあるので出会うのが難しいと思っています。それでも巡り合えたエッセイ漫画は私にとってストーリー漫画以上に魅力があるものなのです…! 今作「老猫ユキポンと漫画家父ちゃんのお仕事なし」は基本的に作者の目線で語られる日常エッセイです。たまに老猫ユキポンや奥さんの視点で描かれることもありますがどの回も秀逸です。楽しいことも悲しいこともありますが、それが自分の人生とも重なるところがある気がして何だかとっても深イイんです。フルカラーなのもいいなぁ。高畑勲の「ホーホケキョ となりの山田くん」みたいな感じと言えば伝わるでしょうか? とにかく百聞は一見にしかずなので読んでみてほしいです。コミックDAYSでチケットも使えば単行本に収録されている分も無料で読めるので…!タダで読んでいいのだろうかと思いながら読んでしまいましたが、ちゃんと一巻買います。 https://comic-days.com/episode/10834108156629026778
かしこ
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2021/02/23
毒親に育てられたミステリーコミックの女王による自伝漫画
高階良子先生の作品を読んだことはないのですが、本屋の新刊コーナーで「ミステリー&サスペンスコミックの女王」「高階良子引退作」「真実の実話的物語」という気になるワード満載の帯を見たら買わずにいられませんでした。 実母の葬式で泣くことが出来ず、むしろホッとしていた主人公。どうして自分がこんな気持ちになったのか過去を振り返るところから物語が始まります。主人公が生まれたのは戦後ですが、まだ母のお腹の中にいた頃、疎開する旅の途中で何度も空襲に遭いながら、母は「ああ苦しい…!こんな子いなければよかったのに…」思っていました。そんな出来事があったからなのでしょうか、5人兄弟の3番目に生まれた主人公だけが母から愛されることなく虐待を受けて育ちます。しかも母には虐待をしてる自覚がないというのが恐ろしいです。 主人公がまだ小さかった頃に命の危険があるような病気になってしまうのですが、母がロクに看病をしようとしないのを父が見兼ねて、子供を欲しがっていた自分の姉夫婦の養子に出そうとしますが、母と姉の関係が悪化した為に一年で元の家に戻されてしまう事がありました。これが主人公に「自分は母に捨てられ、叔母にも捨てられた…」という意識を植え付けていて読んでいてとても辛かったです……。 とにかく最近よく問題にされている「毒親」の事例がてんこ盛りです!しかも学校の先生にもいじめられるし、唯一の救いだった父も亡くなるし、ハード過ぎる人生が続きますが、「辛くても自分には漫画があるから大丈夫だった」という言葉と、これから漫画家として活躍されることを知っているので、安心して読むことが出来ます。高階先生にはこれまでのしんどかった出来事をすべて吐き出して頂きたいです。続きを楽しみにしております。 #1巻応援