『キス、絶交、キス』の真似をしていたら彼女が出来た話

『キス、絶交、キス』の真似をしていたら彼女が出来た話

僕はもうすぐ35歳になるおじさんですが、二人の妹の影響で10歳の頃から少女漫画の世界にどっぷりハマってしまい今も尚抜け出せずに現役の少女漫画おじさんをやらせていただいております。

今回は、そんな僕が15年前、20歳の学生時代に『キス、絶交、キス』という少女漫画にハマりすぎて、主人公の男の子の真似をしていたら彼女が出来た、という奇跡のエピソードを語らせていただきます。

 

  • 『キス、絶交、キス』とは?(軽いネタバレあり)

その前に、まずはこの素敵すぎる漫画の紹介からさせてください。

『キス、絶交、キス』はヒロインの向坂真緒(さきさかまお)とヒーローの羽鳥裕也(はとりゆうや)のW主人公の小学生時代から高校時代までを描いた恋愛漫画なのですが、ゲームのザッピングシステムのように、ひとつの物語をそれぞれの視点を切り替えながら描かれているのが特徴です。

同じエピソードを二度読むことになるのですが、真緒サイドの話ではわからなかった羽鳥の心情が羽鳥サイドでは深く描かれていたりして、「この時、実はこっちはこう思ってたんだ!」「あのセリフってこういう意味があったんだ!」と新たな発見があるので物語に深みが出ます。

大まかなあらすじとしては、タイトル通り、2人がキスをして絶交してキスをするというシンプルなストーリーなのですが、この2人が本当にもう全少女漫画の中で最もピュアな2人なんじゃないかというくらいピュアすぎて、微笑ましくてもどかしくてたまらないのです。

そもそもこの2人は性格やクラスでの立ち位置が真反対な2人で、真緒は真面目で頭が良い学級委員タイプの大人しい女の子で、羽鳥は小学生ながら金髪をトレードマークとしているクラスの中心のガキ大将タイプのモテモテ男子。

そんな真逆の2人の両片想いを描いているのが、『キス、絶交、キス』なのです。

(『キス、絶交、キス』2-3ページ/藤原よしこ/小学館)

(『キス、絶交、キス』4-5ページ/藤原よしこ/小学館)

この作品で特に僕が注目してほしいポイントは、羽鳥のピュアすぎる恋心です。

僕は生涯でおよそ1万冊以上の少女漫画を読んでいるのですが、彼のピュアさは少女漫画界で間違いなくトップクラスです。

上で紹介したページは、真緒目線で描かれている回なのですが、

・「女とキスしたことあるぜ」という発言(真緒は目立とうとして言ってるだけだと思っている)

・男子みんなを先導して掃除をサボる

・靴紐を結ばないだらしなさ

・やらしいキーホルダー

・不良っぽい茶色い髪の毛(ほぼ金髪)

羽鳥目線の回を読めばわかるのですが、実はこれらはすべて、羽鳥が真緒の気を引くためにやっていることなのです(もちろん真緒はそんなことまったく気づいていませんが)。

真緒の気を引くために「女とキスしたことある」とわざと大声で話し、真面目な委員長タイプの真緒に怒って追いかけられたくて男子を引き連れて掃除をサボり、髪の毛はどこにいても真緒に見つけてもらえるように目立つ色にしているのです。

ちなみにやらしいキーホルダーは、なんとなく真緒に似てるからずっと付けているみたいです。

中でも僕が1番好きなのは、靴紐を結ばないだらしないところです。

(『キス、絶交、キス』78ページ/藤原よしこ/小学館)

これは2人が初対面のときに、真緒が羽鳥のほどけている靴紐を指差して「転ぶわよ」と注意されたことがきっかけで羽鳥は真緒のことを好きになったのですが、羽鳥は「またあいつに転ぶわよって話しかけてもらえるかもしれない」という思いから、靴紐をずっとほどいたままにしているのです(多分ただただだらしないだけというのもあると思いますが)。

ちょっとピュアすぎて可愛すぎませんか?

少女漫画の男の子って、かっこよすぎたり完璧すぎたりとかでなかなか僕のような一般男子は感情移入しづらかったりするのですが、羽鳥はいいやつすぎて100%の気持ちで応援できる男子キャラです。

 

  • 羽鳥の真似してたら彼女が出来た話(本題)

長々と作品紹介が続いてしまってすみません。

ここで冒頭の「主人公の男の子の真似をしていたら彼女が出来た」という本題に戻るのですが、20歳の大学生の僕が真似をしていたのは、羽鳥の「靴紐を結ばない」ことでした。

その当時、僕には好きな女の子がいたわけでもなく、ただ羽鳥に憧れすぎて靴紐をほどいたまま生活するというのを半年ほど続けていたのです。

約半年間も靴紐ほどき状態を続けていると段々慣れてしまい、羽鳥の真似をしてみたいという当初のきっかけや理由などはすっかり忘れてしまい、ただただ意味もなく靴紐をほどいたまま生活していたのですが、ある日、大学構内でベンチに座っていると突然、近くを歩いていた女の子から「それ、結ばないと転びますよ」と声をかけられたのです…!

こ、これは…!『キス、絶交、キス』で見たのとまったく同じやつだ…!

その瞬間、人生で1番大きく胸が高鳴ったのを覚えています。

僕は突然訪れた羽鳥チャンス(羽鳥のようなピュアな恋愛をするチャンス)の到来に動揺を隠せず、あわあわしながら必死に脳内で言葉を紡ぎ出した結果、

「いや…蝶々結びのやり方がわからなくて…」と訳のわからないことを言ってしまいました。

終わった、と思いました。

羽鳥は小学生だったので「だらしないけどピュアな可愛い男の子」と評価されていましたが、20歳の男子大学生が蝶々結びのやり方がわからず靴紐をほどいたままにしているなんて、聞いたことがありません。

「確実にキモがられてしまった、せっかくの羽鳥チャンスを無駄にした」と、心から後悔した直後、その女の子が「…もう」と言って少し呆れた様子で僕の前にしゃがんで靴紐を結んでくれたのです…!

実写版の真緒が現れたと思いました。

それがきっかけでその女の子とよく話すようになり、会う度に靴紐を結んでもらうという奇妙な関係がしばらく続き、最終的には付き合うことになったのです。

その後、数年付き合った後に彼女とは別れてしまったのですが、僕は結局本当のことが言い出せないまま最後まで蝶々結びが出来ない男を演じきったため、僕は今でも彼女の「学生の頃、20歳のくせに靴紐を結べない彼氏がいたんだけど…」というエピソードトークの中で生き続けているのかもしれません。

少女漫画の男の子の真似をしたら彼女が出来た。

これほどまでに、少女漫画を読んでいて良かったと思ったことはありませんでした。

とても良い思い出です。

藤原よしこ先生、ありがとうございます。

 

  • 最後に

ここまでこの記事を書いて読み返してみたら、何なんだこの記事は…と我ながら公開するのが不安になってきてはいるのですが、こんな記事をきっかけに少しでも『キス、絶交、キス』に興味を持ってくれる方がいてくださったら幸いです。

僕の変なエピソードのせいで作品紹介を簡単にしか出来ていませんが、ピュアすぎて心が温まる本当に素敵な作品なので、是非皆さんに読んでいただけたらいいなと思っています。

ちなみに、先ほど紹介した2人の小中学校時代が描かれた『キス、絶交、キス』はナンバリングなしの読切単行本なのですが、この作品が好評すぎたために生まれた2人のその後を描いた全10巻の『キス、絶交、キス -ボクらの場合-』も合わせてお楽しみください。

続編の羽鳥も最高にピュアで可愛すぎるのでお見逃しなく!

(真緒とキスした回数を正の字で机に彫って数えて、「これが○回になったら真緒って呼び捨てにするんだ~~」って密かに決意表明したりするのが最高すぎます)

(『キス、絶交、キス -ボクらの場合-』1巻表紙/藤原よしこ/小学館)

記事へのコメント

こういうのを「運命の出会い」というのではないか?
結果的に別れてしまったとしても、一生の宝物のようなエピソードだ。

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