数えきれないほどの伏線が未回収のまま2009年から連載がストップしている『NANA』ですが、今でもブログやSNS上で多くの方がいろんな考察を展開しています。
僕も大好きな作品なので、自身のブログでちょっとした考察記事などを書いてみたりしていたこともあったのですが、他の人の考察がすごすぎたので僕は考察業界から足を洗うことにしました。
今はいろんな人の考察記事を読んで「ふむふむ、たしかにそうかも…!」と納得したり驚かされたりして楽しませてもらっています。
そんな中、考察というほどではないのですが、最近改めて『NANA』を読み返していると、あることに気づいてしまいました。
あれ?これって、もしあの新幹線の中でたまたまナナと奈々(以降、ハチ)が出会っていなかったら、誰もこんな波乱万丈な人生を送らずに穏やかに暮らせていたのではないか?
と。
まあ、そんなことを言い出したら元も子もないのですし、それを言うならどの漫画もそうだろう、とも思いますが。
ですが特にこの『NANA』においては、この二人の出会いが本当にいろんな人物の人生を狂わせすぎているのではないかと思うのです。
そこで今回は、
【もしもナナと奈々が出会っていなかったら】
という“もしも話”をしたいと思います。
特に深い考察などはないので、軽い気持ちで読み流すつもりでお付き合いくださいませ。
※できる限り大きなネタバレは避けていますが、ある程度『NANA』を読んでいる方に向けてという前提で記事を書いていますので、『NANA』を未読で、いつか何の予備知識もなく読みたいと考えている方は、読まない方がいいかもしれません!
まず簡単にざっくりあらすじをお話しますと、『NANA』は大崎ナナと小松奈々(以降、ハチ)の2人のNANAが主人公となる少女漫画です。
2人を中心に、彼女たちに関わってくる多くの人物たちの交錯する人間関係が描かれている人間ドラマです。
コミックス1巻ではそれぞれのNANAが上京するまでの話が描かれていて、めちゃくちゃ簡単に言いますと、ナナは歌手になるという夢を叶えるために、ハチは彼氏を追いかけるために、それぞれ上京することになるのですが、東京行きの新幹線で偶然2人のNANAが同じ車両に乗り合わせて出会うというところから、ナナとハチを中心とした波乱万丈な人間ドラマが始まってしまうのです。
2人が出会うことによって、2人の周囲の人物たちがどのような波乱万丈な人生を送ることになるのか、という部分は、コミックスを参照してください。(ネタバレ防止のため)
この記事ではナナとハチに関することだけ(できるだけ大きなネタバレにはならないように)を言及させていただきます。
【もしも、新幹線で2人が出会ってなかったら?】
まずは2人の運命的な出会いである新幹線で隣同士に座って仲良くなるシーンですが、もしどちらかが乗る新幹線が1本でもずれていれば、2人は出会うことはなかったわけですよね。
また、このときの新幹線がすごく混みあっていて、ナナの隣の席だけがたまたま空いていた(正確にはナナがギターを置いていた)ため、ハチがそこに座ることになり、名前が同じということもあって意気投合するわけですが、もしこの新幹線が混みあってなかったら、または、ハチが違う車両から乗っていたら、2人が出会うことはなかったのです。
そして、後日ナナとハチは別々の不動産屋さんで物件探しをしていて、超偶然にも同じタイミングで同じ物件の内覧をして鉢合わせになり再会し、ひょんなことから2人で一緒に住むことになるわけですが、ここで2人が一緒に暮らすという決断を下せたのは、新幹線での運命的な出会いがあったからですよね。
この物件での鉢合わせが完全初対面だった場合、いくら家賃が半分になるとはいえ、一緒に暮らそうという流れには多分ならなかったはずです(見た目の第一印象的にも性格もほぼ正反対くらいな2人なので、万が一ここで偶然下の名前が同じということを知ることがあったとしても、じゃあ一緒に住みましょうとはならないはずです)。
ということで、マンションでの出会いが運命的に定められていたものだったとしても、新幹線での出会いがなければそもそも共同生活はスタートせず、ナナとハチはそれぞれ完全に別々の東京生活をスタートし、2人の人生が交わることはこれ以上なく終わっていたかもしれません。
【ナナと同居しなければ、ハチは章司と同棲してた?】
そもそもハチが部屋探しをしていたのは、彼氏である章司と一緒に住むのではなく一人暮らしをして自立することを選択したということもあるのですが、実は章司はこのとき、真剣にハチとの結婚を考えていたのです。
なので、ハチがナナと共同生活を始めることができず、なかなかマンションが決まらなければ、いずれ章司は一緒に暮らそうという提案をハチにしていたのではないでしょうか。
そしてハチも結局のところ、章司からそう提案をされるとそれに甘えていたのではないでしょうか。キャラ的に。
万が一、ハチが一人暮らし用の部屋を見つけて一人暮らしを始めていたとしても、ナナとの共同生活でなければ、これまで通り毎日のように章司や淳ちゃん・京助たちと過ごすことが多くなり、章司と会う時間が減って浮気されて別れてしまうということもなく、そのまま章司と上手くいっていたのではないでしょうか。
ナナと共同生活を始めてナナと過ごす時間が増えたことでハチのコミュニティが広がり、結果的に章司との間に少しずつ距離が生まれてしまったわけなので、全部とは言わないまでも、ナナとの共同生活が章司との別れの原因の一部にはなっていたと思います。
ナナと同居じゃなければ、もっと章司も気軽にハチの家に遊びに行けていたでしょうし。
ということで少々強引な部分もあるかもしれませんが、僕の中では、
ハチはナナと同居していなければ、章司に浮気されていなかった、
と推測しています。
もし章司と幸子(章司の浮気相手)の出会いが避けられない運命だったとしても、ハチとの気持ちが離れていなければ章司はきっと浮気していないし、こんなにも読者から嫌われることはなく、穏やかに幸せな日々を過ごせていたことでしょう。
【ハチと出会わなければ、ナナはどうなっていたのか?】
一方、ナナはハチと出会っていなければどうなっていたのでしょうか。
キャラクター的に、ハチの方がナナとの出会いに大きく影響されているように思えるのですが、話が進むに連れて実はナナの方がハチに依存してしまっているのがわかってくるんですよね。
(ハチを自分の傍にいさせるために、ノブの気持ちを利用したとノブに打ち明けるシーン)
ナナはレンのことがあったので元々「TRAPNEST(以降、トラネス)」のことをライバル視して意識していましたが、ハチがタクミといろいろあったこともあり、さらにトラネスを敵として意識するようになったのではないかと思います。
ハチとタクミとノブのエピソードのあたりから、特にナナはハチに執着するようになっていき、感情移入して深く読み込んでいると、だんだんナナがおかしくなっているようにも思えました。
必要以上にトラネスをライバル視したり、ハチを意識した行動をとったりすることが増えていきます。
ナナ率いる「BLACK STONES(以降、ブラスト)」vsトラネスという構図は、ハチとの出会いがなくても起こっていたことだと思うのですが、ハチがいたことでさらに拍車がかかっているのは明白です。
ハチとの出会いがなければ、ナナの中での「ブラストvsトラネス」という意識が少しは緩和されていたのではないかと思います。
それにより、いろんなことが複雑に絡まりあって、後半で起こってしまう、ナナにとって最大の悲しい事件も避けられていたのかもしれません。
(これはさすがにネタバレになるので伏せておきます)
このように、2人の出会いは2人の運命を大きく変えてしまった可能性が高いです。
そして当然ながら、2人の周囲の人物もみんな、2人の出会いにより大きく人生の歯車が変わってしまったと言えるでしょう。
軽く触れると、ノブなんかはハチがナナの家にいなければまったく違う人生になっていたと思いますし、シンもハチの存在により少しは心が浄化されている部分もあるので、ハチがいなければもっとヤバい人生(?)を送っていたかもしれません。
『NANA』という作品において、「ナナとハチの出会いがなければ」という仮定は作品を根底から覆してしまうことにはなりますが、
もしあのとき2人が出会っていなければ、もしどちらかが1本違う新幹線に乗って上京していれば、多くのキャラクターの人生がまったく違ったものになっていたかもしれない、と考えると、また作品の見え方が少し変わってきますね。
NANAの伏線回収や考察のファンで、この記事でもものすごい考察が飛び出すんじゃないかとワクワクしながらここまで読んでくださった方、本当にすみません。
ただの僕の妄想に過ぎない内容でした。
『NANA』の連載再開を待ちわびて何周も読んでいるうちに、ついにこんな根底からストーリーを覆すようなことまで考えてしまいました。
いろんな目線から『NANA』という名作を楽しみながら、いつか矢沢あい先生が元気になられて、連載が再開されることを、僕はいつまでも心待ちにしています!