※ネタバレを含むクチコミです。
大人になって『ブラックサッド』というバンドデシネを読みました。ハードボイルドな黒猫の探偵ブラックサッドが主人公。骨太でビターな物語…実に素晴らしい作品です。 しかし。しかしだ。 我々はハードボイルドな猫を…それも黒猫を…他にも知っているんじゃないか…? そう、それがサイボーグクロちゃんです! クロちゃんはちょっぴりひねくれ者の黒猫で、ついでに不死身で最強のサイボーグです。 かつての仲間グレーやマタタビとの絆、電気スタンドのガールフレンドナナちゃんへの愛、異世界サバイバル編での誇りを賭けた死闘(※このマンガには異世界編があります)、辛い境遇に置かれたゴローとチエ子ら子どもたちへの想い…。 語り尽くせるものではありませんが、クロちゃんはいつも大切な誰かへのアツい気持ちを胸に秘めて戦っています。 不平不満を言いながらも、誰かが困っていたら必ず手を差し伸べてニヒルな笑みを浮かべて助けるのです。猫なのに。カッコイイ。 だから周りにはいつも賑やかな仲間が集っています。本人がどれだけ孤高を気取っていても…。 思えばこのハードボイルドな黒猫の生き様にずっと憧れている気がします。 クロちゃんはいつまでも僕のヒーローです。
授業中、やりましたね。 消しゴム削ったり、定規と机を使ってテコの原理で飛ばしたり。 関くんはそんな子供の遊びを、ものスンゴイレベルでやります。 机の上でできること全部やっているような、色んな工夫やアイデアがあって面白いんです。 それを隣で眺める桜井さんは、関くんが気になって授業に集中できず、関くんをかばって逆に怒られる始末。 関くんを眺める桜井さんを眺める、感じがクセになります。 まったりぼんやり癒やされたい時、寝る前とかに読むのがおすすめです。
個人的に、もっと続きを読んでいたかったマンガの代表作。 まず、名作であることは間違いない。 『キングダム』とか戦記物好きな人や、『ゴールデンカムイ』好きな人にはオススメしたい。 明治時代の日本っぽい架空の国「皇国」の北領を侵略しにきた帝国軍に敗北し撤退するといった話なんだけど、主人公である中尉が凄まじい。 絶望的な状況を、知恵を振り絞って活路を見出す姿に惚れる! 『封神演義』の太公望とか好きな人には読んでほしいよね。 軍の中にサーベルタイガーがいるのも絵的に面白い。 なんとなく戦争ものを読むのを避けてきた人生だったけどこの漫画を読んで面白さに気づいたとこもある。 原作はさらに続きがあるらしいけど、この絵で読みたいんだよこの絵で! そして、すでに絶版なんてもったいなすぎる・・。
へたれ男どもにはたまらなく沁みる男の背中を描く傑作。 何歳だって青春だ。 もうすぐ三十路のダメサラリーマンが、恋をして浮かれ、裏切られて奪われて絶望のどん底へ突き落とされ、ダサくても不格好ながら泥臭く何度だって立ち上がって、意志を貫く。 その姿を見て沸かない男はいるだろうか? 震えない男はいるだろうか? いや、いない!! 傷を負ってこそ男は輝くってもんだ! これを読まないといくつになっても大人になんてなれません!!
大阪の湯阪温泉が舞台のお話。 経営の話かなと思いきや、湊を主にして、家族の話、恋愛も少しだけあってドロドロ話ではなかったからサラーっと最終巻まで読めた。 湊のお父さんの成長、湊との関係の変化が如実に現れていてよかったなと。 何よりも温泉まで足を運ぶこと、の意味を教えてくれた漫画だった。
まぁはっきり言って主人公草。でも、おもろい。是非読んでください。むしろ願望出すぎで草。
すこし前に海外エッセイ漫画と海外ウェブトゥーンにハマっていて、フランスはとにっきやモンプチ(フランスに偏ってますが)などを読み漁っていました。そのころにたまたま「海外のマンガ家さんが日本での生活を描いたエッセイ漫画」という興味ドンピシャのマンガがあると知って「絶対面白い…!」と思いながら読んだのがこれでした。 https://www.comic-essay.com/episode/68/ 絵がすごくかわいい!コミックエッセイらしさとお洒落さが絶妙なバランスの絵が素敵✨ クチコミを書くにあたりさっき冒頭を読み返してみたら ・アニメやマンガで買い物袋から突き出しているものが「ネギ」だと知って真似したくてスーパーで買う ・日本で人の家に招かれた際、「(※客間に)上がって上がって」の意味がわからなくて、3階まで上がって待っていた ・スーパーで売ってる下着が地味なのが不思議 …という面白エピソードがたくさん出てきて笑ってしまいました。 ちなみに私が好きなのは「あられの日に窓の外を見たら男の子がマンガみたいに屋根の上で空を見上げていた」という話。もし自分が海外出身のオタクでそんな光景を見たらエモすぎて一生忘れられないと思う…!! (↓このエピソードです。「第10話 あられで出会った少年2」) https://www.comic-essay.com/episode/read/747 20話以上がコミックエッセイ劇場で公開されているのでぜひ読んでみて下さい! (追記) 当時は知らなかったのですが、フー・スウィ・チン(FSc)さんは、日本でも著者を発表してる有名な作家さんなんですね。最近知ってすごく驚きました。 (画像は序文の挨拶のところ。優しい塗りと洗練された柔らかいデフォルメが素敵です。)
人形遣いの少年・「橘左近」が、童人形「右近」と共に事件解決に挑む推理マンガ。 腹話術によって人形を操り出すと、性格が一変するという設定がなかなか面白く、只の人形であるはずの右近が、まるで本当に生きているかのようです。どういう仕組なんだとか、その辺は深く考えずに「右近」の存在を受け入れて読むのが吉でしょう。ちょっとオカルト的な雰囲気もある推理モノなので。 連載を開始した1995年は、「金田一少年の事件簿」(1992年)や、「名探偵コナン」(1994年)といった推理マンガブームが超盛り上がっていた時期で、このブームに続こうと少年ジャンプが送り出した推理マンガという印象が今もあります。残念ながら大ヒットとはならず、短期連載に終わってしまいました。 ただ、作画・小畑健、原作・写楽麿(しゃらくまーろー)※宮崎克という強力タッグが生み出した、独特の和風ミステリー世界は、とても記憶に残るものだったと思います。そういえばアニメ化もされてましたっけ。 全4巻。スッキリとした終わり方にはなってないので、なにかの拍子で続編企画がひょっとしてあるのではないか…と、いつまでも期待してしまう作品です。
宮西計三は黙殺された才能なのだろうか。 きっと、そうなのだろう。 『ちびまる子ちゃん』のキャラ名に使われていないのだから。 …というのは、まあ、軽口の冗談として。 しかし、彼のそれほど多くない漫画作品を、こうして電子で簡単に読むことができるのだから良い時代ではある。 本書は 「79年ブロンズ社刊「ピッピュ」と81年久保書店刊「薔薇の小部屋に百合の寝台」から自選した物」 ということで、80年代初頭に花輪和一や丸尾末広に続く才能として一部から注目された早熟の異才を知るには、格好のものであると思う。 個人的には、けいせい出版から出た『金色の花嫁』が最も印象に残っているのだが。 とりあえず本書の「1巻を試し読み」をクリックしてもらいたい。 表紙画面から1ページ進むと、モノクロの総扉が顕れる。 寝台に身を横たえた全裸の少年の絵。 この絵にこそ、漫画家・宮西計三の異能が凝縮されていると信じる。 これに感応(=官能)するなら、ぜひ漫画へと進んでいただきたい。 ちなみにこのイラストは、上記『金色の花嫁』所収の「リアリティ」という作品の一部だと記憶する。自分は、この掌編が宮西作品のフェイバリットなのです。 すごい絵だ。 今見ても、心が震える。 名前の印象が近いせいか、宮西計三のことを考えると、いつも宮谷一彦を思い出してしまう。 一応「一時代を築いた」宮谷のマチズモとは、アンダーグラウンドに身を潜め続けた宮西のハイリー・センシティブな資質は随分と異なるのだが、それでも、漫画史の表舞台からこぼれ落ちた「幻の漫画家」として、このふたつの異能は似通ったところがあると感じているのだ。
かわぐちかいじは、上手い漫画家である…と、こんな当たり前のことを書くのもどうかと思うのだが、本当に上手いのだから仕方ない。 もちろん現在では、『沈黙の艦隊』や最近の『空母いぶき』のような大柄な世界観設定をもった「戦艦」物で知られているのだろうが、なにせキャリアが長く、売れるまでの「下積み」も長い人である。 『風狂えれじい』やら竹中労と組んだ『黒旗水滸伝』まで遡る必要はないが、出世作『アクター』以降(いや、本当の出世作は麻雀漫画の意味を変えてしまった『プロ』だろうが)、狩撫麻礼とのセッション『ハード&ルーズ』、絶品の青春ヤクザ物『獣のように』他、それぞれの時代で忘れがたい佳品を描き続けてきている。(個人的にはモーニング連載以降なら短命に終わった『アララギ特急』を偏愛しています) そのどれを読んでも、とにかく漫画が上手い。 構成・コマ割り・コマ内のキャラの置き方・ネームの処理、どれをとっても天下一品のなめらかさ。 下積み時代に練り上げ獲得した「漫画を見せる術」については、他の追随を許さないと思う。 この短篇集『愛物語』は、そうした漫画の巧みさをほぼ完璧な形で発揮させた、まさに「教科書」たり得る一冊だ。 例えばアーウィン・ショーの『夏服を着た女たち』のような、手練れの小説家の短篇集に匹敵する肌触りがある。 良質なエンターテインメントとして、ジャンルは違うが、ヒッチコック劇場みたいだ…と言っても言い過ぎではないのではないか。 正直なところ、ちょっと鼻につくぐらい「上手い」です。 しかし、『力道山がやって来た はるき悦巳短編全集』とか、あだち充の『ショートプログラム』とか、『1 or W 高橋留美子短編集』とか、このあたりの名前のある漫画家は、本当に短篇が上手い。 最近、こういう手堅く風通しが良いのに個性豊かな短篇が、あんまり読めなくなっている気がして、さみしいですね。
アルルでの暮らし、ゴーギャンとの共同生活と諍い、サン−レミの病院生活と、最後の時を過ごしたオヴェール・シュル・オワーズ…ゴッホの晩年を描いたグラフィックノベル! ゴッホの作品に負けないくらい色鮮やかで、とてもキュートな絵柄ながら、そのときどきのゴッホの心の揺れ動き(ときにはあまりにも不安定な)が可視化されています。 ページの随所で、風景だったりゴッホの描く姿によって、多くのゴッホ作品が登場するのも見どころのひとつです!
最近Amazonでこの表紙がよくおすすめされるのですが、「女の裸を生で見たい」というド直球タイトルに手をこまねいていました。「ど〜せこの表紙の女の子がすーぐエロエロになっちゃうドスケベなやつなんでしょ〜?」と疑いつつも、ページ数も短くKindle Unlimited作品だったため読んでみたら… めっっちゃ良いラブコメじゃんすか…!!なんだこれ…!!? 5つのお話からなる短編集なのですが、特に表題作がピュアっピュアで素敵でした。早々に芸術に目覚め、ヌードを絵画と同じようにしか見れなくなった主人公(無駄なエロがないのが好感度が高い)だったけれど、最後は関西弁女子(元気で明るくて可愛い)との恋が実り…という展開が上手い…! 百合カップルや逆玉など、他のお話は結構下ネタもあるんだけど、出てくる女の子が「いやらしくない可愛さ」なのがとにかく好き! https://i.imgur.com/2osXyyy.png (画像は本編より。こんな可愛い子に優しくされたらそらまた来るわ)
「のぼうの城」や「忍びの国」で有名な和田竜の同名小説をコミカライズした作品。本屋大賞も受賞したヒット作です。 原作が小説って、とにかく難しいと思うんですよ。 活字で表現されたものって、人によって思い浮かべる情景が異なり、そこに第3者が介入してくると、どうしたって違和感を覚えると思うのです。 なんか思ったんと違う…的な。 だけど、これは別格でした。 ストーリーとしては、戦国時代、大坂本願寺を攻める織田信長に対し、毛利軍が「村上海賊」を使って援軍を送る…というお話。 村上海賊は、戦国最強とよばれる最大の水軍で、卓越した造船・操舵技術をもって信長軍と対峙します。 とにかく歴史もので大切な、ド迫力なシーンと人間ドラマが魅力たっぷりに描かれているのが特徴です。 大坂本願寺にいる、盲目的な信者たちの熾烈な戦闘シーン。 海上いっぱいに広がる圧倒的な船艇の描写。 正しいことだけでは通じない、血なまぐさい戦を通しての、主人公・景(キョウ)の成長。 逆境で魅せる、親兄弟・仲間との絆。 小説で体験したものとは、また違った形で、心に訴えかけてくれます。 原作知らない人はもちろん、知っている人も楽しめる1冊かと。 むしろ原作も読みたくなってきますので、良い作品とは相乗効果をもたらしますね。
シンガポール出身のフー・スウィ・チンさんの日本で最初の商業誌 出会いのキッカケは「弐瓶勉先生がウルヴァリンのアメコミを描いているらしいぞ!」と言うことでネットの通販サイトを観ていたら、たまたま隣に表示されていたことだったと思います。(十数年前のこと・・・ 当時はマーベルやDCでもない作品が翻訳される事など無いと思っていて、一生懸命 英語で読んでいたのが懐かしいです。 作品は、各話で変わる「人形のアナベル」の持ち主の女性を主人公とし、彼女たちが何らかの事件に巻き込まれていくことで話が進んでいきます。 後半は赤ずきんやシンデレラのおとぎ話をベースにした話に変わっていくので読みやすくなっていきます。 ただ、全体を通して後味が悪い話が多いため、人を選ぶとは思います。 自分がこの作品(作者さん)が好きなのは 日本人にはかけない絵柄で、日本人に読みやすいマンガの形で成立している という点です。 現在出版されている他の作品も魅力的ではありますが、彼女の作風がよく出ているという点では自分はこの作品を一番推しています。 絵柄が気になったら是非気にかけて頂きたい作家さんです。 とにかく日本で出版してくれてありがとうございます 何かのキッカケに 同人誌で描いていた muZz も出版されないかなぁ・・・ アレも良いんですよ・・・
寄宿生活をしている少年たちは、皆儚げで、心に闇を持ちながら生活している。 こんなに繊細で生きていけるのか、心配になる。 物語のはじめから、トーマが・・・。 そして、人生は2度死ぬ。 まず、自己の死 そしてのち、友人に忘れ去られることの死 芸能人が亡くなったときに聞いたことのあるフレーズ。 もしや、ここから?
なので本棚に縦に差せない。個人的にもだけど、多分本屋さんも困っていると思う。なんでこの判型にしたのか謎。字が小さいから? どのくらいでかいのかは、ぜひ自分の目で確認してほしい。 初コミックスでこれなので、話題性という意味では成功したかもしれないし、内容的にも買って損したという人はそんなにいないと思っています。 ペンネームも謎すぎる。 阿部共実とか好きだったら面白く読めると思います。 置く場所に困ってもいいなら紙で読むべき。
志村貴子先生らしい素敵なストーリーです。 心理描写が緻密です。
かわぐちかいじ先生と言えば 「沈黙の艦隊」「太陽の黙示録」など、 国家問題・国際紛争レベルのテーマを扱った大作を 幾つも描かれた巨匠だ。 その巨匠が描いた野球漫画「バッテリー」。 最初は「え、かわぐち先生がスポ根物を描くの?」 と戸惑った。 とりあえず読み始めたら、 「沈黙の艦隊」の登場人物の海江田と深町を そのまんま野球選手にしたようなバッテリーが 主人公のようだった。 なのでああ野球が舞台だけれどスポ根ってわけじゃないんだ。 もしかして沈黙の艦隊の海江田や深町のキャラを 先生自身が気に入ったので、そのキャラを使って息抜き的に ゴラク作品を描く気にでもなったのだろうか。 などと思った。 海部は沈黙の艦隊の海江田をそのまま投手にしたような 天才肌で何を考えているかわからない男だったし、 武藤は深町をそのまま捕手にしたような 武骨な男だったし。 あのキャラを使った野球漫画ってのも面白いかもね、 くらいに考えていた。 プロ入りした海部が 「自責点ゼロ、失点したら引退」 を宣言し、 徐々にそれが現実的になっていく展開を読んでも 「風呂敷を広げまくる野球娯楽漫画か」 くらいに感じていた。 天才児・海部と努力家・武藤がそれぞれ成長して、 クライマックスは二人が桧舞台で勝負して、 とかになるんだろうな、と。 良い意味で裏切られ、自分の読みの浅さを思い知らされ そして感動した。 まさか、ラストに向かって、こんなにもダンディズムが 溢れる話になっていくとは思わなかった。 なんせ国際問題をリアルに描き切った大先生なんだから、 それに比べたらたかが球技を舞台にしては、どうやっても スケール的に小さい話で終わらざるを得ないと思っていた。 もちろんプロ野球の世界で「自責点ゼロ」を貫くことが とてつもなく困難な偉業であることはわかるが、 所詮は漫画なんだし、達成しました、大団円です、か 達成は出来ませんでした、これも人生です、か、 どっちかで終わるんだろうな・・くらいに考えていた。 だがそれだけじゃない、かわぐちかいじ先生流の ダンディズムが溢れ出しまくるいい終わり方だった。 面白かった。さすがは、かわぐちかいじ先生。
中学生の一人息子・出海を連れて14年ぶりに地元へ戻ってきた主人公・月見には、忘れられない幼馴染・ひなたがいる。そのひなたの旦那は、出海の父親で…というあまりにも複雑な事情がふたりの間にはあった。 当のひなたはバンドマンの彼(現旦那)と海外移住をしているとおもっていたら、地元で酒屋を営んでいたため予定外の再会を果たすところから物語は始まる。 息子の父親を奪った憎き女が、いま目の前に。そしてうざったいくらいに何事もなかった顔をし、関わりを持とうとしてくるのでハラハラ。 そして、出海にはひなたの旦那が実父だなんて絶対に言えないという事態で、4人の複雑過ぎる関係性がドタバタとこじれたり、ほぐれたりする。 最後は、予想外の終わり方だった。正直「え、なんで?」と思ったけど、そこは幼馴染という長く同じ時間を共有した関係性の結果なんだろうと、納得することにした。 イシデ電さんが珍しく女性誌で描いた漫画らしく、今までと違うのかと興味があって読んだけど、この一筋縄ではいかない感じ。「女の友情」とかひとことで片付けさせない感じ。やっぱり著者らしくて好きです。
家事上手なまじめ秘書(男)とズボラな天才博士(女)のご飯漫画。 博士のVR研究の補佐するために、秘書がランチ係として食事を提供するという流れが基本。 巧みな画力で、出てくる食事が全部美味しそうなのもさることながら、この作品は「食事すること」に重点おいているのがポイント。 誰と、何を、どこで食べるか?に重点おいてて、食事の魅力を全面的に押し出してくれます。 とにかく食べている時の楽しそうな雰囲気がすんごくいいんです。 読むと不思議と元気になります。 「食は元気の源」といいますが、栄養素だけでは測れない、心の栄養も満たしてくれる1冊です。
能田達規先生のサッカー漫画は我が家の本棚で10年以上スタメンを張っています。 氏の作品の特徴でもあるのですが「試合としてのサッカー」よりも「サッカーに係る人間のドラマ」に焦点を当てています。 この作品はまだ少年漫画でのサッカー漫画をしていますが、他の作品は中々振り切ったテーマになっています。 オーレ! サッカーチーム経営 サッカーの憂鬱 ~裏方イレブン~ 芝生の手入れから審判、広報のひとに ぺろり!スタグル旅 スタジアムのグルメ 本作のストーリーは 少年時代の約束を守るために、天才ストライカー ムサシが J2 の存続すら危ぶまれる南予オレンジに加入し J1 昇格を目指す J2 のチームが J1 に上がれるか?とマイナス方向にハラハラさせるのが読んでいて引き込まれます。 結構敵チームをいい味を出していて、どっちも負けてほしくない試合がチラホラと・・・ 以前、友人に勧めたら 「これ、ゴール決まったらすぐ試合終了になるじゃん・・・試合短いじゃん・・・」 と言われてしまったので、サッカー漫画好きには物足りないかもしれませんが、スポーツ漫画と言うよりも人間ドラマとしてみると凄い良き作品だと私は思います。
中学時代ハンドボールに全力を捧げた晴菜、高校では絶対彼氏をつくると息巻くが、どうにもうまくいかない。そんな時、「男ウケ」を知る超絶イケメンが現れ…!? 少女マンガらしい王道をいきながらも飽きることなく読めるんです。それは河原和音先生の魅力。主人公が、とにかく一生懸命で素直、皆が応援したくなる女の子だからなんです!元気は一番!みたいな。 だからこのマンガは男ウケファッションも学べるし女ウケする女の態度も学べます。
同人誌を軸に4人の女性のそれぞれの接し方をオムニバス形式の作品で描いた全一巻の作品 自分は男性で且つ同人誌を作る側の人間では無いのですが フィクションではあるにしても、同人誌一冊一冊にストーリーがあるのだなと改めて思わせてくれる作品でした。 作風に関しても、絵に癖がない作家さんなので話の内容が直接伝わって来る感じで好きです。 他の作品も読んでみたいと思います ※オススメがあれば教えてください 自分は作品をアウトプットすることはできないですが、ちょこちょこ口コミで応援できればと
ひどいですね。たまにはいつもと全然違うやつ読んでみようとして振り切っちゃった…。絵はうまいと思うのでもったいないと思ってしまったけど、小・中学生男子には人気あるだろうなぁ~このセンス。
この漫画が伝えたいメッセージは、読めばなんとなくわかるけど、それをわかりやすくかつ大勢に伝わるように言葉にすることは非常に難しい… 見た目と性格が対照的な主人公2人が、ある日突然中身が入れ替わってしまうところから物語は始まる。なにがトリガーかは不明。 容姿が変わり、世間からの見られ方も変わってしまうことでブスにはブスの、美人には美人の苦しみがあることに気づくが…というあらすじ。 日本は特にルッキズム的思想が根強いから、美人は得でブスは損であると真っ二つに分けてしまう頭になっている。人によってはそれが呪いとなって一生苦しみ続けることもあるけど、どっちが幸福でどっちが不幸かを定義すること自体が無意味。 正直いうと、本編の中ではブスというワードが頻繁に出てくるので読んでいて不快なこともあった。 でも嫌だなと思いながらも最後まで読ませるパワーはあるし、もしかすると今まで自分の中に蓄積された固定概念がひっくり返る事だってありえるなと思う。
実在の脳性麻痺のバイオリニスト、式町水晶さんをモデルにした物語です。 この単行本1巻に収録されている短編「水晶の音」から始まったこの作品ですが、「水晶の音」は母親視点から見ると非常に心が苦しくなります。何らかの障害を覚悟しての出産。何とか産まれた後も、度々医師から告げられる他の子たちにはない困難。動かせない体、見えなくなるかもしれない目、尽きるかもしれない命。それでも、懸命に我が子の生きる道を作ろうと尽力する姿に心を打たれます。と、同時に自分がもし同じ立場に置かれたら、と考え込まずにはいられませんでした。 少年がバイオリンや素晴らしい奏者と出逢いその天性の才能を花開かせることはそれ自体素晴らしいですが、そこに至るまでに精神的にも大変な疲弊をしたであろう彼の親の愛と努力も同様に素晴らしいと思いました。 そして、連載版。少年が出逢ったのは、腎臓が悪く透析が必要で耳が聞こえない親友。彼に自分のバイオリンを聞かせたい、という純粋で切なる願いの尊さがまた響きました。 しかし、異質な物を排除しようとする人間の醜さにより、少年は差別・いじめという試練も受けます。子供特有の残酷さに人よりも生きるのが大変な心身を更に傷つけられる様子は見ていて心が痛くなります。 それでも、親友のために頑張ろうとする水晶のように美しい心を持った気高い少年を応援せずにはいられません。良い舞台の上で、少年のバイオリンで親友がその音色を聞きながら得意のダンスを踊れる日が訪れることを待望します。
あまり知られていないが古泉智浩先生の作品はほとんど映像化されている。クリエーターに愛される作家なのである。私もジンバルロックを面白いなと思いながら読んだのですが、おそらく本当の意味では理解していないんだろうなという自覚がある。女の子と一線を越えるかもしれないけど、その子はあんまり可愛くなくて好きでもなくて、自分に対して「ごめん」って謝るシーンがある。結局は女の子に「私のこと好きじゃないでしょ?」と言われてパンツを脱がずに終わるんだけど。なんで謝るのか…分かるけど、分からない。主人公の気持ちにシンクロできないというか。でも、みんなが好きな古泉先生の魅力ってこういうところなんでしょ?と勝手に思ってる。私も心からジンバルロック面白いって言えるようになりたい。
別冊チャンピオンで始まったクワトロバッテリーについて語りましょう!
導入の、母のひとコマ、父のひとコマ、娘のひとコマ、それから、それら三人に息子を加えた朝の忙しないリビングを俯瞰で描いた大コマ、もうたったのこれだけで十二分に素晴らしい。 「サトル、ニンジン食べて!」という母に、 「ボク、サトルって名前 キライだ」とかえす息子。これで一頁。 なかなか衝撃的なセリフではあるけれど、テンポがいいのか、なんなのか、あまり悲壮感のようなものはなく、むしろ恩寵にあふれている。 父は日常の忙しなさから逃れるために山へ行こうとする。ところが道行く先々でひとに捕まってしまい、なかなか山へ辿り着けない。けっきょく今日も忙しくなってしまい、泣く泣く山は諦めることに。でも、山へ行けなくても、このマンガの端々に恩寵がひっそりと息づいていることは山をみるより明らかである。
山田芳裕の作家性ついては、幻にして伝説の未完作品『度胸星』のたったひとつだけで信用に足る漫画家だということが分かります。およそ漫画にかかわらず、ありとあらゆる作品と呼ばれうるもので、いくつもの世代を超えて読まれ続けているものには不思議と未完作品が多い。なぜ未完なのか、ということについては、作者の死と、それ以外の理由とにわけることができると思いますが、どちらにしても、あまりにも無謀で途方もない挑戦をしたがために完成が無限に遠ざかっていったということが言えると思います。その意味で『度胸星』は、ほんの一瞬でもその途方のない遥か遠方を垣間見させてくれたというだけで素晴らしい作品であることはまちがいない。しかも、山田芳裕はその果敢な挑戦を気合ひとつでやってのけたのです。 そう、山田芳裕のマンガはとにかく気合の入り方がちがう。問題の有無や大小にかかわらず、とにかく気合が入っている。なんだ気合か、と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、これが実はなかなか容易ではない。どうしても、ひとというのは、何らかの効果を狙った手段を投じることで、問題を問題解決に導こうとする習性があるように思われます。つまり、どうしても語りが二義的で説明的になってしまう。それにつき山田芳裕のマンガにはまず気合の入った顔面がある。「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、何よりもあの顔面がすべてを物語ってしまっているんですね。何かの効果のある手段といった副次的な語りを追い越して何よりもまず、あの顔面が最前線ですべてを物語っている。 『へうげもの』に話をうつせば、私たちは安土桃山時代の数寄者ではないのですから茶のことはよくわからない。それでもとにかく古田織部の毎度のこと驚愕する顔面をみれば、何かヤバイことが起きているとすぐに察知することができるのです。そして何より、稀代の怪人、千利休を顔面として描き切ったことの素晴らしさよ。けっきょくのところ、何を考え、何を為したひとなのかがよくわからない千利休、何なら楳図かずおの『イアラ』のように何千年も生き続けていると言われたほうがしっくりくるあの千利休をありのままの顔面として描き切ったことは『度胸星』の挑戦にも並ぶチャレンジだったのではないでしょうか。
平穏な日常が過ぎていっているように見える地球、しかしこの星には地球人の気づかない所で宇宙人が紛れ込んでいて、地球人と同じように過ごしている。良い宇宙人もいれば当然悪い宇宙人もいるわけで、そんな悪徳宇宙人を人知れず取り締まる存在、それが「東京入星管理局」なのだ! とにかく画面の情報量が多く、付いて来られない奴は全員置いてくぐらいの勢いで最初から密度の濃い絵を大量投下していく。でもアクションだけでなくSFとしてもかなり練り込まれてるハイブリッドな作品。振り落とされないよう意地でも追っかけてかなければ。 1巻まで読了。
筋肉に憧れます。20歳前後のころは、スタローンやレスラーの藤波、ケンシロウを夢みたものです。それで、じゃあいつ筋肉というものを意識したのかというと、この作品にたどり着くのですね。前作「巨人の星」は誰もが知っている名作中の名作。しかし残念ながらアニメで見た世代なもので、漫画で読んだのはこちらが先。読めば一目瞭然ですが、”新”の星飛雄馬は、小柄でともすればひ弱な感のあった前作から大きくイメチェンしています。盛り上がった腹筋と背筋、Tシャツ(このTシャツもサッカーのイタリア代表みたいなピチT)の袖からのぞく上腕二頭筋など、見事にビルドアップした身体を見せ付けてくれます。これだけでも「カッチョええ~」なんて思っていたわけなんですが、”ぐッ”と擬音の入るコマの力強いことといったらもう。今でこそ私はぶよぶよの体になってしまいましたが、美青年になった飛雄馬のしなやかで力強い肉体は永遠の憧れです。
あー!すごく面白い。一瞬で3巻まで読んじゃった。 チヨちゃん、はじめは想い人のワタルくんと会話どころか姿を見せることすらできないけど、話が進むと着実にチヨちゃんも周りに助けられながらみるみる成長してくので、いつまでもモダモダしてないのがいい。 展開も早くて絵も最高レベルに上手いし、忍者マンガとしてもバトルシーンが物凄くかっこいい。 6月に3巻でたばかりだから、4巻出るのまだまだだなぁ、つらい
農業大学で、「きのこ」等の菌類を研究する三枝教授の研究室に、何故か連れて来られた新入生の天谷。さあ、楽しいきのこ講座の始まりだ!……って、頼んでねぇよ! ----- 小学二年生の舞ちゃんにいざなわれて、素敵な紳士風の三枝教授から、半ば強引にきのこの知識をレクチャーされていく天谷。 教授と舞ちゃんのきのこ愛は熱烈で、天谷はとてもついていけない。でもそんな素人の彼が、細かく強烈なツッコミを入れることで、オタクのしょうもない拘りを笑いにしてくれるので、読んでいて飽きない。 同級生とのやりとりから、または生活の中から生まれた「きのこ」に対するよくある疑問が、三枝教授によって解説され、きのこの知識が増えるのも楽しい。 農大の描写は、例えば『もやしもん』(石川雅之先生)と同様に、普通の大学とは違う独自の文化が見られて、大学生活漫画としても今後、期待できるかも。 とかく分かりにくく、興味はあっても取っ掛かりのない「きのこ」の世界の入門書として、楽しく分かりやすく、何より「情報が正しい」、貴重な一冊となっている、と思う。 (1巻の感想。今後、野外で観察する回があることを望む!) ----- 最後に、一介のきのこ好きとして、参考文献の頻出人名を少しだけ紹介させて下さい。 ●伊沢正名…きのこ写真のパイオニア。古い図鑑は基本、この方の写真で構成されている。 ●大作晃一…白バックの、図鑑用きのこ写真撮影の技法を確立。近年の美しい図鑑はこの方の労力の賜物。 ●新井文彦…阿寒湖を中心に、きのこと、きのこのいる風景を撮影する写真家。ひたすらに美しい写真。 ●小宮山勝司…きのこ好きが集まるペンションを経営し、自身の名前で図鑑も出される程のきのこ通。 ●保坂健太郎…きのこが専門の、国立科学博物館の研究者。面白そうなきのこの本や企画には、この方がよく絡んでいる。 ●飯沢耕太郎…写真評論家として著名だが、きのこに関しては、きのこの文学や切手の蒐集家として有名。 ●堀博美…きのこライター。図鑑では得られないきのこ知識を網羅した『きのこる』は名著。
美術も数学もステレオタイプを補強するものでしかなく、現役の大学院生のリアルな生活の描写というよりは世間の欲望を具現化した感じで私の読みたいものとは違った。 芸術の答えがひとつじゃない、数学の答えがひとつなんてのは大学院レベルでは単純すぎる考え方だし、美術系の人間が使う感覚的な言葉は単なるオノマトペではない。 業界内で使われている言葉そのままだと一般の人には理解不能になるから分かりやすくした、ということなのかも知れないけど、ディティールのぬるさが気になって没入できなかった。学生時代を淡く美化しつつ思い出すにはいい作品だと思う。
「七三一部隊を扱ったマンガとかってないですかねぇ」 トリガーの常連さんとそんな話をしていたことがありました。流石においそれとは着手できないテーマであろうなと思っていましたが、この作品が登場しました。 若干ファンタジー要素はあり、舞台は終戦直後とはなっていますが、七三一部隊の人間やそこで作られた生体兵器らが中心となって織り成される物語です。 アクションマンガとしての質が高く、一癖も二癖もあるキャラ達により繰り広げられるガンアクションにはとても迫力と臨場感があります。言動にキレがあり、躊躇いがなさ過ぎる所は読んでいて疾走感があります。また、銃器そのものにも拘りがあるのが見て取れる丁寧な作画です。 折角七三一部隊を扱っているので、戦時中の回想などでより重みのある所にも届いて深みを増してくれたら良いなと思います。 これで新人とは思えないレベルで、今後が楽しみです。 なお、紙の本の方は遊び紙も凝っていてお洒落です。
地方から上京してきた女子大生の主人公・春香は元バスケ部で今は居酒屋のバイト。汗臭い世界を渡り歩く彼女は何のオシャレもせず、メイクの知識も道具もなければまともな服すら持ってない女子力皆無の女の子。 しかし、彼女だって本当は「女の子」がしたい。自分に自信がないし、そもそもやり方が解らないからできない。でもできることなら彼氏も欲しいし、何ならバイト先に憧れの人もいる。 そんな冴えない女の子だからこそ、正にタイトル通りシンデレラのように変身した時のカタルシスもあろうというもの。シンデレラを着飾ってくれた魔女のように、春香を綺麗にする魔法を掛けてくれる美女が現れて物語は動き始めます。 柳井わかなさんの絵が綺麗で、光の美人さに説得力があります。その上で春香の意外と少し厚かましいものの憎めない性格、光の思い掛けない行動、スペックが高過ぎて裏があるのではと疑ってしまうもののどうやら純粋に良いやつっぽい黒滝、中心となる人物たちが内面的にも魅力的です。 そうして生じる不思議な三角関係。この後どっちに転がって行くのかはまったく解らず、楽しみです。 Twitterでは #シンデレラクロゼット投票 でどっち派か投稿するキャンペーンもやっているので、読んだら参加してみて下さい。
アイヌというと皆さんはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか。近年ではゴールデンカムイやうたわれるもの、咲-Saki-といった作品で興味を持つ方も増えていると思います。 そうして少しでもアイヌに興味がある方にぜひ読んで欲しいのがこの一冊。筆者は30年以上前からアイヌの漫画を描きたいという想いを持っており、それが遂に結実したのが本書です。 1話10ページ前後の短編で、様々なアイヌの風習や文化、日々の営みが紹介されていきます。アイヌ式の求婚や犯してはならないタブーなど、今まで知ることのなかったアイヌにまつわる知識が得られます。特に丁寧に数多くルビが振られたアイヌ語は沢山学ぶことができます。 アイヌの歴史は悲劇の歴史でもあり、アイヌへの差別などについても意志を持って触れられています。元々、アイヌではなく知識も全然無かったという筆者が、それを自覚して真摯にアイヌについて長年調べて学び、蓄積していった膨大な知識が漫画という形に昇華されています。 私はかつて阿寒湖に行った時にアイヌコタンに入りカルチャーショックを受けましたが、この本を読んだ後に行くとまた違った視点から見ることができそうです。 これだけ高純度でかつ読み易いアイヌの本もなかなかないのではないでしょう。読んでおいて損はない一冊です。
『好きっていいなよ。』の葉月かなえさん新作は、そこそこ人気のある19歳の美人ネット配信者が主人公のラブコメ。 普段はメイドカフェで働きながら疲れていても毎日頑張って動画配信を行う生活をしている主人公・小春。多少の心無いコメント程度では全く動じない強さも持ち、そこでファンもできている彼女がまず魅力的です。 小春の配信を日々の活力にする視聴者、そして自身も視聴者とのコミュニケーションを楽しみとしている小春。その一方で、ネット配信している女の子に入れ込み月10万課金して彼女と別れる事になった青年のエピソードや小春に降り掛かる災難など、実際に配信絡みで起こり得る良い面も悪い面も等しく描かれていきます。 その上で描かれる恋模様。ネット上ではかわいいかわいいと言われ慣れていても、リアルで向けられる素直な好意には割とあっさり絆されてしまう小春がまたかわいいです。一見クールでしたたかに見えながら、そうではない面も適宜出してくる凄く良いヒロインだなと。 こういう出逢いや馴れ初めも現実に起こっているだろうなと思わされる、令和感たっぷりのラブコメ。1巻最後の破壊力に悶えつつ、今後の配信への影響などを無駄に心配してしまいます。
直近では高飛び込みの『ノースプラッシュ』、高級マンションのコンシェルジュの『シンデレラコンシェルジュ』など特徴的なテーマを描いている七鳥佳那さん。その最新作は、「競馬×婚活」。それも一口馬主というこれまたニッチな所を突いたラブコメとなっています。 サラブレッドが大好きで、少コミ時代から担当編集さんに「競馬マンガが描きたいです!」と力説していたという筆者。しかし、その時は「馬券が出ないなら良いですよ」と言われ、「馬券が出ない競馬マンガとは……?(哲学)」となってしまい描けなかったそうですが、その溜まった想いがこの作品では見事に噴き出しているかのように生き生きとした筆致です。 とは言えヒロインも最初は競馬のことなんて全く知らず、推し俳優目的で初めて競馬場に向かうというスタートなので競馬を全く知らない方でもヒロインと同じ目線で楽しめます。馬主になるのは無理でも一口馬主なら比較的気楽になれるということが解り、若干興味を持ちました。 婚活をしても上手くいかない焦燥感、要領よく定時退社して遊ぶ同期に対するモヤモヤ……。等身大で好感の持てるヒロインですが何となく閉塞感のある所から始まりながら、新しい趣味や気になる相手ができたことで日常のすべてが新鮮な彩りを得ていく様も読んでいて爽快な作品です。
安野モヨコさんの漫画って根底に親との確執とかAC的要素(愛のわからなさみたいな)が多くて、理解してる人には刺さるし、無意識で読んでても共感させる力があると思う。 特にデブとかブスとかっていうテーマはわかりやすくて良いですよね。愛されたくて縋ってしまう彼女と自信がなくて劣った女に安心する彼。一見良い相性なのがまたつらいところですが、本当に少しずつ彼女の心が動いていくのが救いでもあります。
こういう話よくあるけど、実際どうなんだろうね。都市伝説みたいになってるけど
高橋しんというと冬のイメージが強かったのだけど、本作もよかった。個人的には表題作「なつのひかりの」がよかった。10年越しに同級生と会って、タイムカプセルを探すという話なのだけれど、その空気感がいい。昔と変わっていることいないこと、顔を覚えてなかったり、一部のちょっと良かった人のことは覚えてたり、うまく言ってるように見えてどこかうまくいってなかったり、そういうひとつひとつの描き方に、センスを感じた。作者の得意な不思議な設定が、独特の読後感を用意していたのもよかった。
ムーコ連載の歴史が見れてよかった。もう8年なんだね
※ネタバレを含むクチコミです。