たか
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2022/05/02
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香水を巡る幼馴染2人の運命は…!?近代中華風ファンタジー
冒頭の花鳥画のような柔らかいカラー絵が美しくそのまま世界観に引き込まれてしまいました。 調香師の家系に生まれた主人公・沈月(シェンユエ)と夜静(イェ・ジン)は大切な幼馴染。 https://i.imgur.com/Yb04Qqs.png しかし、静の父・夜莫然(イェ・ハオラン)が月の父を陥れ処刑し、茉莉花から作る香の技術奪ったことで、月は追われる身に…。 13年後、盗みをしながら市井の人々に香水を届けていた月は暴漢に襲われ連れ去られる。襲ったのは大人になった静だったが、月のことを覚えておらず、自らと結婚し調香の腕を役立てるよう迫る…。 とにかく絵がきらびやか! 花、伝統衣装、調度品、調香に使う道具、おそろいの首飾りなどアイテムがどれもこれも素敵…! そしてドキッと惹き込まれるようなキャラクターの表情もたくさんあり、面白い1話でした。 けど一番面白かったのはリボルバー出てきたところですね。「えっ、この世界観で!?」と衝撃でした。意外と文明が発展してるみたいなので他にどんなものが出てくるのか気になります。 続きが気になって有名な小説のコミカライズなのかな…?と思って調べましたが、オリジナル作品なんですね。本格連載は9月号とのことで待ち遠しいです!
たか
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2022/04/26
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あまりにも良い…!冷笑主義者(30歳)のビルドゥングスロマン #読切応援
まだ4月だけど2022年の読み切りベスト3に入るレベルで良かったです。おっさんのビルドゥングスロマンとしても素晴らしいし、「無償の愛」の具体例としてもこれ以上なくて感動しました。マジで全国のミッション系の学校でキリ概とか礼拝のときに読ませた方が良いと思う。 30歳にもなって他人を冷笑し見下すことで上に立った気になり、自分自身に対しても皮肉ぶることで心を守っているしょうもないの男・加藤純哉が主人公。 ▼根本拓実『Cynic』前編 https://i.imgur.com/Ht0nwbj.png この物語は、そんな彼が心を入れ替えひたむきに純粋に努力する心を取り戻す話なのですが、とにかくその過程の説得力がすごい! 加藤みたいな筋金入りのカスがボーイ・ミーツ・ガール、若くて可愛い女子大生に出会った程度で「素直になって熱く努力しよう」とかなるわけがない。 じゃあ何が彼を変えるのに必要なのかと言われたら、それが「無償の愛」。他人が何の見返りも求めず身を投げだしてくれることでしか、その腐りきった心を癒やすことができないんですよね。 そして作中。恋人に振られた加藤が酔って路上に座り込んで泣いていると、チンピラからアイスコーヒーを投げつけられ嘲笑される。 あまりに惨めすぎてお得意の冷笑ですら自分を救えなくなったときに、ヒロインの松本さんはコーヒーまみれの加藤を抱きしめ、ともに嘲笑の対象となってまで加藤の心に寄り添う。 ▼根本拓実『Cynic』前編 https://i.imgur.com/88wpHMr.png 普通、自分の大切な家族や恋人のためならまだしも、ただの知り合いのためなんかにこんなふうに自分を投げ出すことはできない。 「そう!!これが無償の愛だよ!!」と感動しましたし、さすがの冷笑主義者・加藤もここまでされたら改心せざるを得ないよね、という説得力があって素晴らしかったです。 松本さんの無償の愛について長々書いてしまいましたが、バスケ要素もメチャクチャよかった! 前編で加藤がいきなり飛んできたボールをキャッチしたところ。ボールを返すときに手首を外側にかえしてて「こいつ絶対経験者じゃん」てなるのが良い。 そしてバスケサークルのリーダー的な人があっさりめのゴリみたいな見た目だなぁ…と思っていたら!後編で加藤が断髪&洗髪してあの髪型にするとは痺れました。 そりゃいま30歳で学生時代にバスケやってたなら黒子じゃなくてあひる世代だし当然スラダンも読んでますよ(バスケ部並の感想) 前編・中編・後編。全部読み終わったあと「読んでよかったなぁ」という思いでいっぱいになった本当に素晴らしい作品でした。 早くTwitterやうぇぶりで公開されて死ぬほどバズってくれ〜〜!!!
たか
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2022/04/15
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もはや少年漫画!令和の爽快激アツ嫁姑バトルロイヤル!!
最近おざわゆき先生の『またのお越しを』を読むためにBE・LOVEをチェックしてるのですが、その際にいつも見かけて気になっていたのがこの作品。1巻を買って読んでみたら…なんですかこれは!最高じゃないですか!!!真夏さんかっこよすぎる! 物語は東大卒エリート・秀太郎(36)が仕事も人間関係も上手く行かず死を考えていたところを、居酒屋の店員の真夏(30)が温かく手を差し伸べたことで始まります。 順調に告白・交際と進みいよいよ結婚の挨拶へ秀太郎の実家を訪れると、そこには真夏をダニ扱いする、絵に描いたような最高のクソ姑が! (▼あいだ夏波『東大くんと元ギャルさん~格差婚ロワイヤル~』1話) https://i.imgur.com/mMRbFNl.jpg 嫁姑モノには、嫁のほうが圧倒的に弱くてただ姑からの虐めに耐える…みたいなじめじめしたシンデレラ系のお話もありますよね。 が、これはそうでは全くありません。 愛する未来の夫と大切な愛息子を賭け、最高のヴィランと最高のヒーローによる少年漫画のような熱いバトルが繰り広げられるんです。 というのも、真夏は元ギャルで元レディース総長の娘なのでメンタルが激強で、八王子育ちで義理人情を知っている一本筋の通った気持ちのいい女性なんです。なので当然、周囲の人々もいい人ばかり。 しかもタフでかっこよくて……! 1話の秀太郎に声をかけるシーンが超イケメンで、私は即オチしてしまいました。 この圧倒的ヒーローと対するのが、圧倒的クソバアアの秀太郎母。 秀太郎の居ない間に手切れ金を渡そうとし「真夏に恐喝された」と嘘をつき、真夏が働く居酒屋を潰そうと裏から手を回し、真夏が秀太郎に渡した手製のぬか漬けを勝手に捨て、防犯カメラの映像を編集し真夏が暴言を吐いたように見せかけ……。 次から次へと最高のクソ姑ムーブを繰り広げ、真夏と秀太郎、そして真夏と居酒屋の関係を崩壊させようとする。 この仕打ちに秀太郎の気持ちを大切にしつつ、真夏が立ち向かっていくのが熱い。 そしてこの漫画の本当に面白いところは、ギスギスどろどろした関係の中に黄金の精神が見えるところですね。 真夏は一度、秀太郎に裏切られる(真夏の言葉を信じず母を守ることを優先した)のですが、そのときのセリフが本当に素晴らしいんです。 (▼あいだ夏波『東大くんと元ギャルさん~格差婚ロワイヤル~ 分冊版(5)』) https://i.imgur.com/i6ZbPR9.jpg https://i.imgur.com/uUl2IFZ.jpg 「あのクソババアは信じらんねーくれー性格が悪くて大っっ嫌いだけどさ…」 「あたしはあのくそババアのこと…きっとまだ1000分の1ぐらいしか知らねえんだ」 「残り999の中に大嫌いがひっくり返るくらい好きなトコがあるかも知んねーじゃん??」 「だから残りの999も全部大っ嫌いってわかるまでは諦めない」 どれだけの仕打ちを受けても、相手を絶対的な悪とはみなさない。 この視野の広さ・善性の強さはまさに少年漫画の主人公の資質で、それがどろどろの中で輝いていて爽やかな気持ちになるんです…。 現在、最新話は8話。 真夏が祭りで助けた、明らかに身分の高いスーさん的な老紳士の正体が判明し、物語は第2ラウンドへ…!! マジのガチでいま読むのがおすすめの作品です!! https://comic-days.com/episode/3269754496472158458 ちなみに私は以下のような読み方で最新話まで読みました。 1巻(1話〜4話) +分冊(5話) +BE・LOVE コミックDAYS(6〜8話)
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2022/04/01
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この世の仕組みに争う平安大河!
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面白い…!昨日まで3巻無料だったので読んでみました。深谷先生の作品を読むのは初めてだったので最初はタッチに慣れなかったのですが、あっという間に引き込まれました。 舞台は、京と異なる文化やルーツを持つ各地の人々が様々な名を付けられ蔑まれている平安の世。 理不尽で非合理な貧富の差と差別・暴力の蔓延る世界で、「童」と呼ばれる者たちが戦のない世を目指して進んでいく物語。 ・安倍晴明と滝夜叉姫の逢瀬 ・安和の変による2人の決別 ・民を慮る郡司と西洋人の妻の子・桜暁丸(おうぎまる) ・足柄山に住む土着の民として生まれ京人となった坂田金時 ・京人を憎み義賊・花天狗となった桜暁丸と、貴族出身の先達・袴垂の出会い 桜暁丸の実の父も後に出会う兄者も立派な人物で、別れを繰り返しながら桜暁丸が自問自答し成長していくのが熱い。 歴史上の人物と伝説が混ざり方が絶妙でワクワクしますね。 滝夜叉姫こと皐月様がマジで強い女(物理)でかっこいい…! 物語の担い手が子・孫世代に引き継がれていくのもいい。 個人的に、重房が実の息子である桜暁丸を吉祥天のようと言うとこメッチャ好きです。
たか
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2022/03/26
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壮絶 #読切応援
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妹にだけ暴力を振るう父親の下で生きる兄妹の物語。読み終わって「こんなの感想書けるわけない」となるタイプのただただ圧倒される素晴らしい読切だった。 公式の作品紹介がないため以下あらすじ。 ・・・ 優しい兄の「兄ちゃんが大人になったら あいつ殺して 2人で逃げよ 俺らの手で殺すんや ほんで 幸せに暮らそう」という言葉で、小学校6年生の妹・幸は決して手に入らない家族という幸せの代わりに恋心を手にする。 しかし、兄が友人と遊びに行って帰りが遅くなった日に幸は父に犯される。 ・・・ https://comic-days.com/episode/3269754496788637696 幸がずっと願っていた本当の兄妹になることが、最後に壮絶な方法によって叶う展開はもう…。 幸が今までで一番の笑顔を見せ本当に幸せを感じていることに対して、クソみたいな家庭環境に怒ればいいのか、死によって救われたことを喜べばいいのか。感情がグシャグシャになった。 この作品、ストーリー自体もすごければ、踏切のシーンのマンガならではの表現(演出)も本当に巧い。 細い引っ掻いたような線を重ねるザラついた絵のテイストもシリアスな作風にものすごく合っている。 もはや途中から作者が16歳だということを忘れ完全にのめり込んで読んでいた。 (そもそも、その歳でジャンプラじゃなくて「モーニング&イブニング月例賞」に応募してくるあたりもう有望としか言いようがない) 今後発表されるであろう鳥羽瀬七先生の新作を今から楽しみにしています。
たか
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2022/02/18
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女傑(ギャル)の生き様が示す「自分らしさの美しさ」 #読切応援
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たえ様の凄味はそのブレなさから来ている。決して弱気になったりしないし一切迷わない。なぜならギャルだから。 ギャルとは「自分らしく生きる」という信念。 岐路に立たされても、信念があるからブレずにまっすぐ進んでいける。 そして自分らしさファーストでいつでも自分を大事にしているから、自己肯定感バリカタで自信に満ち堂々としている。 「迷わずまっすぐ信念を貫いているたえ様の姿は美しい」。この作品を読んで一番言いたいのはそれ。 https://shonenjumpplus.com/episode/3269754496760131146 漫画のストーリー以外の部分については、「ここぞ」というシーンでデフォルメが平田弘史ライクなリアルな筆致になる演出がすごく好き! そんでもって「戦国×ギャル」により、戦国時代的なガチシリアスと現代的なアレンジとギャルのユーモアが混ざり合って、ハチャメチャなんだけどかっこいい『BATMAN NINJA』的な作品に仕上がってるのがスゲ〜〜最高。 最後の「やってやるよ」のシーン。最初は笑いを取るためのギャグシーンに登場したデコ甲冑&ドクロ面頬が、最後にはあんなにかっこよく見えるって構成がまたすごい。 平田将先生、一体何者!?と思って調べたら『ソレギア』の方でしたか…! 今回の『ブシギャル』あまりにも良かったんで、他の作品も全部読んでみようと思います。
たか
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2022/01/26
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弟のためにボウリングで賞金を稼ぐ「ぐう畜」JK主人公が最高!
マンバ通信で知り読んでみたのですが記事では触れられてない部分が予想外に面白くて得した気分です。 しょっぱなから自分より格下の相手のことを指差して腹抱えて笑う主人公のアニー。品性なさすぎで最高……!いくら目の見えない弟のためとはいえ、この言動ではボウリング場の風紀を乱していると嫌われるのも納得。 謎の男性に川に落とされたときは、高笑い(高笑いするJKって何)したあとに川に突き落とし返すと 「このアニーさまはブジョクするやつをけっして許さないって事さ」 「キザ保安官 あんたには説教より犬かきがお似合いだよ!」 といい放ち、やはり高笑いしながら去っていく。 ▼『最後のストライク』井出ちかえ https://i.imgur.com/W53Nfwd.png https://i.imgur.com/swbkQci.png 女子高生にしてこの煽りスキルと手を上げるスピードの速さよ……女子高生天才小説家・響さんを思い出します。 ライバルとなる学生チャンピオンのアメリカ人・ロマとの初めて出会ったときも ▼『最後のストライク』井出ちかえ https://i.imgur.com/XYvvGJ4.png 「フ...思った 通りかこの毛唐め!」 「よっしゃ あのキザ野郎もふくめてほえずらかかせてやる!」 と、この言いよう。まあロマもロマで試合後に札束(10万円)でアニーを引っ叩いて 「さっさとそれをもってきえるがいいわ」 「ダニの顔はもうもうみるのもふゆかいよ!」 と言い捨てる。この主人公にしてこのライバルあり。 **ズベ公** **めくら** **対戦相手ども** **毛唐** **ボーリング界のダニ** **ハゲチャビン** 主人公のアニーだけでなく周囲の人間もキレキレで、1話にして悪口のデパートとなっていますが、いくらなんでも毛唐はヤバすぎだろと読みながらひとりで焦ってしまいました。 絵に関してはコマ割りが凝ってて複雑ですし、ぶち抜きも多用されていて迫力があります。 それにしても隆史コーチがアニーに惚れるの超スピードすぎてマジで謎。 アニーに事情を尋ねることさえせず、2回も酷い誤解をしておきながら「ぼくのアニー」とか何様なんだよと思ってしまう。 物語最後のロマとの再戦がかかっているプロの試合。 ライバルが週刊誌に弟の失明の真実を報道するように仕向けたらしく、その記事を試合中に読んだアニーは激しく動揺するが、そんなアニーをみてロマが喝を入れる。 そもそも試合中にわざわざ自分から週刊誌読むなよというツッコミはさておき、女の子同士のゴリゴリにバチバチのライバル関係って最近の少女漫画であんまり見ないのでやっぱいいなぁと思いました。 呪術廻戦の野薔薇と真依さんみたいなバチバチの関係大好きなんで少女漫画でも増えてほしいです(願望) 後半の短編「ホームラン広場にあつまれ」もスポーツマンガで、こちらは対照的に女の子同士ライバル関係が毒抜きで爽やかに描かれていて違った味わいがありました。 弟の失明の確定しアニーが右手の負傷を乗り越えプロになってからはアニーの素行がよくなってしまい、普通のスポ根になってしまいちょっと物足りなかったですが序盤のぐう畜ぶりは必見です。 https://manba.co.jp/manba_magazines/15647
たか
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2021/12/09
「中学時代」と書いて「地獄」と読む。最悪すぎて最高なジュブナイル・ストーリー
2021年12月、半年ほど前に知り合いからおすすめされたものの積んでいた『来陽と青梅』をついに読みました。ヤバすぎますねこれは……!なんでこんなに知名度ないのか不思議。ある意味『チ。』ばりにエグくてぶっ刺さる話だからもっと話題になっていいはずなのに。 狭い世界。 未熟な男女交際。 男に媚びて友達を陥れる一人称が名前のクソ女。 シンプルに頭が悪い同級生。 陰口。 同調圧力。 とにかく中学生の最悪なところが全部ブチ込まれています。 私は中学時代「ねぇ〜たかは好きな人いる〜?⤴️」と恋愛体質の女子に絡まれて死ぬほどつまらない恋バナに巻き込まれるのがだ〜〜いっ嫌いだったので、「あはは…今は好きな人いないかな〜」と愛想笑いで流しながら 「なぜ常に好きな人がいる前提で聞いてくるのか」 「仮にいたとして、おめーに話したら確実に次の日には学年の無数の女子にバレるのにそんなリスク犯すわけねえじゃん」 「そもそも対して仲良くもねえお前にそんな大事な情報話すわけねーべ馬鹿か?」 と内心罵詈雑言を浴びせかけつつ、全力で恋バナを回避する努力していました。 本当に仲のいい友達には話しても良かったかも知れませんが、その当時読んだ小説で読んだ「誰が1人に秘密を言うことは世界中に向かって言うのと同じだ」という言葉を噛み締め、『身の安全』には充分気をつけて学生生活を送っていました。 だからこそこの漫画はゲボ吐きそうなくらいしんどい。 自分もほんのすこし何かが違ったら、主人公と同じこの地獄にいたかも知れない……。 「存在しない中学時代の記憶」を眺めているかのようなおぞましさがこの作品の魅力だと思います。 中学時代に味わわされた嫌〜な気持ちがブワーーッと全部まとめて甦ってくる最悪すぎて最高なジュブナイルストーリーです。メンタル元気な時にぜひ……!