本好きの下剋上 第一部

原作の雰囲気そのまま!最高のコミカライズ

本好きの下剋上 第一部 椎名優 鈴華 香月美夜
たか
たか

原作小説、WEB連載、コミカライズを読んだ本好きファンです。今まで多くのコミカライズを読んできましたが、失望より感動が上回った作品はこの本好きの下剋上が初めてです…! これは私の持論なのですが、いい漫画かどうかの判断基準は、「余計なセリフを用いずに絵だけで情報(感情・時間の経過など)を伝えきっているかどうか」です。 鈴華先生の描く「本好き」コミカライズは、まさにこれに当てはまります。 https://i.imgur.com/Ept4B15.png (「本好きの下剋上」1巻第3話より。マインと姉・トゥーリと幼なじみたちは全員最下層の平民) 原作の小説で地の文として書かれていたことは勿論、触れられていない部分についても、きちんと整合性が取れるように描写されています。 ルッツが「リンシャン」をしたかどうか、言及がなくても髪の毛を見れば一目瞭然ですし、洗礼式でマインの血を採取した神官の手を見ればその人物が誰なのかわかってしまいます…!(たまりませんね) また、コミカライズならではの楽しみといえば、主人公・マインが作った(考案した)品物を、実際に見て楽しむことが出来ることです。 粘土板、パピルス、糸で編んだ花、洗礼式の衣装etc…。 第一部に登場する品々は、どれも貧民・マインとその家族による手作りばかりで、漫画にはそのことを反映し、温かみのある素朴な品として描かれているところが本当に素敵です。 WEBに掲載されている原作は、PDFにして10,708ページと広辞苑約3.5冊分に相当する超長編で、未読の方にはかなり手に取りにくいかと思います。一方、この漫画版は原作の要の部分を抑えて作られており、非常にとっつきやすくなっています。アニメ化に合わせてぜひ読んでみてください! ▼WEB連載「ニコニコ漫画」 http://seiga.nicovideo.jp/comic/18228 http://www.tobooks.jp/booklove/ https://youtu.be/8AUVNYmxJ_c

なでしこドレミソラ

音楽表現と和楽器JKのブレイクスルー!

なでしこドレミソラ みやびあきの
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

音楽の表現に「擬音」を使わない事。これがこの作品の最大の特徴である。 擬音による音楽表現は、分かりやすい反面、表現できない事も多い。例えば音色は、伝えたい音を擬音で描いても(ポンとかガーッとか)結局は読者の脳内補完が頼り。正確な伝達とは言えない。また、合奏での、旋律やリズムが絡む感覚は表現しにくい。 『なでしこドレミソラ』では、流水紋で旋律の雰囲気、和柄で和楽器らしさを仄めかすのみ。絵で魅了したら、音は完全に読者の想像に委ねる、割り切りの良さ。しかし流水紋は音楽が流れる時間・空間感覚となり、それを重ねる事で各パートが混ざり合い、響き合う表現となっていて、今までに無い「穏やかな」ゾクゾク感がある。 かつて音楽漫画が発想しなかった「音楽表現」のブレイクスルーを、音楽漫画が好きな方には、ぜひ読んでいただきたい! ♫♫♫♫♫ 物語は、地味な自分を変えたい主人公・美弥を始め、和楽器同好会に集まったメンバー四人の、様々な「ブレイクスルー」の過程が描かれる。分かりやすい子から一見分かりにくい子まで、自分の拗らせを知り、悩み、殻を破って成長する物語は明るく、清々しい。 これは、四人が対等な関係で互いの音を聴き、自分の音を重ねる真の「合奏」を目指す物語。そしてそれは音楽を越えて人間関係でも、自分から動く事と、相手を見る事のどちらも大事だという「個性と調和」の物語になっていく。 少し拗らせていた女子高生達が、真に自立したメンバーの一員として舞台に立つ終幕は、とてつもない歓びに満ちている!

大江戸恐龍伝

その意気や良し

大江戸恐龍伝 夢枕獏 やまあき道屯
(とりあえず)名無し
(とりあえず)名無し

夢枕獏の小説は、漫画化してもあまり売れない…と、昔、知り合いの漫画関係者から聞いたことがある。 いやいやいやいや、岡野玲子との『陰陽師』があるし、谷口ジローとの『神々の山嶺』は名作だし、板垣恵介との『餓狼伝』だって売れたでしょ!…と反論したのだが、先方は「そうなんだけどねえ…」と言葉を濁した。 (ちなみに、この会話は「それに比べると菊地秀行の漫画化は数字的にかなり手堅い」と続いた。その比較について考えるのはとても興味深いのだが、このクチコミと主旨がズレまくるので触れない) 実は彼とは、かつてボクシングについても同じようなやり取りをしたことがある。 ボクシング漫画って売れないんだよねえ…と言われ、いやいやいやいや、『あしたのジョー』や『がんばれ元気』や『はじめの一歩』とか、ド名作があるじゃない!…と反論したのだ。だが彼は「いや、それはそうなんだけどね。でも、漫画家は描きたがるんだけど、かなり実力がある人でも、あまり上手くいかないんだよ」と答えた。 「夢枕獏」や「ボクシング」は、多くの漫画家がそれに魅了され、漫画にしたいと願い、そして実際に挑戦するのだが、作品的にもセールス的にもなかなか送り手が期待するような結果にならない、と言うのだ。 そう考えると、確かに、夢枕の小説が持つ破天荒な面白さを、漫画というフィールドに結実し得た作品というのは、あまり思い浮かばない。 上記三作はそれぞれの漫画家の類い稀な個性によって「面白く」なったのだが、あくまで「例外」ということなのか。 そういう意味では、スティーブン・キングの映画化と近いかもしれない。 (ちなみに、ボクシングについても、「村上もとか『ヘヴィ』や細野不二彦『太郎』といった意欲作が彼らの豊かなキャリアの中でどんな位置か」とか、「明らかにボクシング漫画を指向していたにも関わらず森田まさのり『ろくでなしBLUES』はなぜそのジャンルとして失敗したのか」とか、「車田正美『リングにかけろ』が正統的ボクシング漫画であることを止めてから売れたのはなぜか」とかを考えるのはとても興味深いのだが、これもやはりこのクチコミと主旨がズレまくるので触れない) 前置きが長くなりすぎた。 とにかく、夢枕獏の漫画化は「難しい」のだ。 しかし多くの漫画家や編集者は、この魅力的で危険な「賭け」に、今も挑み続ける。 やまあき道屯『大江戸恐龍伝』は端倪すべからざる作品である。 原作の、江戸期のスター・キャラをズラリ並べて荒唐無稽・縦横無尽に突っ走る面白さに、漫画家は必死に喰らいついている。 構成は少しダイジェスト感があり、いかんせん詰め込みすぎではあるのだが、熱気と主張ある絵柄で美事なコミカライズとなっていると思う。 近年の収穫と呼ぶに相応しい力作だと信じる。

ワンコそばにいる

犬人間(男子大学生or犬)?とOLの奇妙な共同生活がスタートする!?

ワンコそばにいる 路田行
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

いま、コミックDAYSでの更新が楽しみになってる漫画筆頭! 路田行(ろた・いこ)先生の漫画は全部面白いんですが、やっときましたよ連載が! 小さい頃に犬を飼っていたOLがある日家に帰ると、窓が割れ不審者が・・!?と思ったら犬!?犬・・人間?犬のふりした男?どうなってるの・・!? と始まるが主人公の女性がわりとネジはずれてるのか子供の頃に飼っていた犬のシロさんと重ねて見て癒やされてあまりの非日常からか受け入れてしまうという狂気っぷりが見逃せない!! 一体なんなんだこの話は! https://comic-days.com/episode/10834108156697557308 家に入ってきた男性は寝ることで、人格が犬と大学生の住田くんを行き来する。 犬のシロさんを受け入れるなら住田くんも受け入れるしかないのか? 近所の人にもバレてしまい!? 毎週見逃せない展開になっていく! 不思議な二重生活! 住田くんは主人公の女性に興味があるが、逆は犬としての住田くん意外は一切興味なし! 1話の冒頭で描かれる1ヶ月後はなんの問題もなく幸せそうに暮らしているのでどうやってそこまでいくのか! これからも楽しみです!! 路田行先生の作品はたくさん読んで欲しいので、公式で読めるものはリンク置いておきます! pixiv:https://www.pixiv.net/member.php?id=22055823 短編や、『ワンコそばにいる』の元になったような話もあります。 読切『透明人間そとに出る (モーニングゼロ2018年3月期佳作)』 http://www.moae.jp/comic/morningzero_toumeiningensotonideru/1 読切『ヤナギダクリーク(第74回ちばてつや賞大賞)』 http://www.moae.jp/comic/chibasho_yanagidacuriiku 読切『察せませんズ(くらげバンチ)』 https://kuragebunch.com/episode/10834108156685018111 読切とはいえ結構描かれてますよねー。 モーニング・ツーで掲載されていた読切『逆のボタンはかけづらい』読めてないので、どうにかして読まなければ!

にこめっこ

こんなラブコメを待っていたのかもしれない

にこめっこ 赤堀君
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

笑うの我慢してる女の子はかわいいい!! 交通事故で瀕死のときに悪魔と契約した女の子が今後一生、笑ったら身の回りの人に不幸が訪れるという話。 笑ってはいけない状況こそおかしくなってくるのは年末にやってる「笑ってはいけない~~」でもご存知かと。 可愛い女の子が笑い堪えてて、笑うまいとツンとして、ときめいてニヤけちゃいそうになってラブコメしてるの最高にかわいい! https://comic-days.com/episode/10834108156697555194 作者の赤堀君先生は『ドーナツ父さん』『ぐりこカミングスーン』『ガカバッカ』と登場人物が少しずれててシュールめギャグテイストな設定で描かれてたことが多かったのですが、今作で「絶対に笑ってはいけない」という方向性がついたことで、笑いの伸びしろがグッと伸びたように感じた。なんでもありよりも制限がついたほうが面白いことがある。 笑ってしまったら父がハゲることから始まり、周囲の人物に様々な災いがふりかかっていた。 笑うことを避けるために逆説的に笑いを研究するというのも逆に笑いを呼び込んでる感もいいし、大きな目でツリ目がちにキリッとしてるのめちゃくちゃかわいい。 主人公がいる場所にはいつも悪魔がついてきてるのもかわいい。 災いの種類が地味に嫌でめちゃくちゃ大きな不幸ってほどじゃないのもかわいい。 ほんとに素晴らしくいやらしくなくかわいさに溢れている漫画だと思う。 名前も草原ニコって!草生えまくりじゃないですか!「w」いいなあ。 それにしても、笑っちゃいけないっていうのにこの子の笑顔を見たくなってしまう・・! 最近、漫画家さんが単行本発売時によくやるツイッターに1話目載せる手法やったらめちゃくちゃバズりそうな気がする! たくさんの人に読んでほしいなあ。

運命を信じない彼が言うには

読んだ衝撃・勢いでクチコミを書きました(男子も読んで!)

運命を信じない彼が言うには おむ・ザ・ライス
なかやま
なかやま

わたしは「少女マンガ」を読まないのですが、単純に 作者さんの名前「おむ・ザ・ライス」というワードに興味を引かれて手に取りました。 「ザ」ですよ!「The」! Omu 「the」 rice! 正直、トライガンのGUNG-HO-GUNS以外で聞いたことないですよ! ドミニク・ザ・サイクロプス グレイ・ザ・ナインライブズ オム・ザ・ライス ザジ・ザ・ビースト ニコラス・ザ・パニッシャー ほら!違和感ない! そんな、導入で手に取りましたが、少女マンガというカテゴリに収めておくには勿体無い作品です。 運命の赤い糸が見える主人公「藤(27)」と彼が密かに好いている大学の同期「ゆか(26)」 自分たちの赤い糸が繋がっていない事を知りながら、もがき苦しむ主人公 運命に抗う系が好きな男子にもめっちゃ刺さります 1話1話の締めのコマも話を濃縮したような良いコマで「くぅー!」とさせてくれます。 そんな物語が大きな動きを見せないわけがなく、5話で雰囲気が変わります。 6話目がちょっと読むのにひと呼吸いるぐらいドキドキしました。 こんな感情を味わったのは シグルイ の伊良子VS虎眼先生 以来かもしれません。 もうコレは見届けるしか無い!藤くんガンバレ! 男子も是非読んでくれ!