音楽の表現に「擬音」を使わない事。これがこの作品の最大の特徴である。
擬音による音楽表現は、分かりやすい反面、表現できない事も多い。例えば音色は、伝えたい音を擬音で描いても(ポンとかガーッとか)結局は読者の脳内補完が頼り。正確な伝達とは言えない。また、合奏での、旋律やリズムが絡む感覚は表現しにくい。
『なでしこドレミソラ』では、流水紋で旋律の雰囲気、和柄で和楽器らしさを仄めかすのみ。絵で魅了したら、音は完全に読者の想像に委ねる、割り切りの良さ。しかし流水紋は音楽が流れる時間・空間感覚となり、それを重ねる事で各パートが混ざり合い、響き合う表現となっていて、今までに無い「穏やかな」ゾクゾク感がある。
かつて音楽漫画が発想しなかった「音楽表現」のブレイクスルーを、音楽漫画が好きな方には、ぜひ読んでいただきたい!
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物語は、地味な自分を変えたい主人公・美弥を始め、和楽器同好会に集まったメンバー四人の、様々な「ブレイクスルー」の過程が描かれる。分かりやすい子から一見分かりにくい子まで、自分の拗らせを知り、悩み、殻を破って成長する物語は明るく、清々しい。
これは、四人が対等な関係で互いの音を聴き、自分の音を重ねる真の「合奏」を目指す物語。そしてそれは音楽を越えて人間関係でも、自分から動く事と、相手を見る事のどちらも大事だという「個性と調和」の物語になっていく。
少し拗らせていた女子高生達が、真に自立したメンバーの一員として舞台に立つ終幕は、とてつもない歓びに満ちている!
卒業文集で不名誉な三冠を獲得する地味な中学時代を送ってきた音古間美弥。高校でイメチェンを図り“変わりたい”と願う美弥は、竹海陽夜との出会いをきっかけに和楽器という未知の世界へと踏み出す――!! 注目の和楽器ガールズバンドストーリー第1巻!!
卒業文集で不名誉な三冠を獲得する地味な中学時代を送ってきた音古間美弥。高校でイメチェンを図り“変わりたい”と願う美弥は、竹海陽夜との出会いをきっかけに和楽器という未知の世界へと踏み出す――!! 注目の和楽器ガールズバンドストーリー第1巻!!