キチガエルに寄生された人間は抑圧された願望のままに暴れる壊人になってしまう。主人公の蛇ヶ崎晋太郎もキチガエルに寄生され、ムカつくやつらを「ぶっぱなしたい(銃で撃ち殺したい)」という願望から、右手から幽白の浦飯やコブラのようなビームを撃てるようになる。 普通の人間に戻るため、壊人を殺し、相棒のフクロウ毒山田惨死郎にキチガエルを食わせるために戦うマンガ。 壊人の造形はかさぶたが折り重なったような物質で構成されていて結構気持ち悪いんだが、そういう壊人同士が戦うバトルは激しくて見応えがある。金城宗幸らしい人間の薄暗い感情みたいなものが壊人の武器やフォルムに影響されておりダークさを際立たせていて良い
タイ出身の漫画家タムくんがタイで8巻まで出版されている漫画の第8巻に当たるのがこのヒーシーイットアクアのよう。「ノートに描いた」と説明がされているように、絵が荒くて、セリフは漢字を間違えたらぐちゃぐちゃってしたままになっている。基本的に日常の中でふと感じたことを基に物語を作っているようだが、とても引き込まれるものがあった。 特に「彫刻」と「部屋」の二つがとてもよかった。どちらも時間がなくて急いで描いたとあとがきで言っているんだけど、セリフは少なくて描写だけで人物の感情を伝えてきているから逆に伝わるものが多かったように思う。文化庁メディア芸術祭の奨励賞も受賞した作品のよう。たまたま手に取ったんだが、とてもよかったのでいろんな人に読んでほしい。
百野哲が主人公というか狂言回しという立場で登場する。一応架空の漫画家百野哲ということらしい。1巻には極貧漫画家の百野哲がアダルトビデオをネットオークションで売りにだしたら、ある女優の作品だけを高額で落札している奴がいると気づく話とか、リンダ(三乗)っていうアイドルグループのライブに行くために、オーストラリア(実家)から徒歩でライブ会場まで詣るドルオタをビデオカメラ片手に密着取材をする話などがある。 意外なことに、完全に創作というわけではなく、どれも実話が基になっているらしい。(特定されないように配慮はされているが) 話の作りが上手くドキュメンタリー番組を見ているような感覚で読めて面白かった。
飛空艇に乗ってドラゴンを捕まえて食べる冒険ファンタジー&グルメ、ではあるのだが、 見たこともない龍肉の味に無駄に想像をめぐらすよりも、スチーム情緒あふれる空挺や世界観、キャラクターの魅力こそこの作品の一番のみどころではないかと。 あ、でも龍の革細工はロマンがあるなと思った
「包丁人味平」「スーパーくいしん坊」「一本包丁満太郎」のビッグ錠と傑作寿司漫画「江戸前鮨職人・きららの仕事」シリーズの橋本孤蔵の傑作。初めてビッグ錠原作の漫画を見た気がする。確か食漫で連載していたんだけど、雑誌自体がなくなってしまった。 スカイツリーの工事現場から出土した一本の包丁を拾った主人公と、その包丁を狙う「魔海鬼一坊」との対決がメインだとは思うんだけど、1話から「ブロークンスカイツリー」って叫びながらマグロを解体したりと、全編通して、ビッグ錠テイストが溢れている。 この辺でかなりおかしいとは思うんだけど、一番すごいのは「魔海鬼一坊」のインパクトかな。名前、格好、喋り方全てが最高でやんす。
絵も物語も素敵で面白いです!『鋼の錬金術師』とか『Landreaall』が好きな人はハマるかも。講談社のデザートで『かわいいから許す』などを連載してた三月薫先生の新作。少年誌初挑戦。チェックしておいて損はないと思います!
空前のグルメ漫画ブームですが、結局グルメ漫画って食べた時のリアクション次第!みたいになりがちですが、この漫画は作るところだけで食べている描写がほとんどありません。新しいです。 基本おうちご飯なんで、手の届きそうなメニューばかりなんですが、それがいいです!主人公の行動理念が食のみで、食のために生きていて共感できないところもありますが・・・。 あと、何気に「ご飯は1人で食べたほうが絶対に美味しい!」みたいな真理に迫る名言も多いです。
プロ野球シーズン真っ只中ですが、巨人ファンの私は年2,3回東京ドームに行くことがあるんですが、球場で飲むビールは最高ですし、球場のメシってなんか美味そうなんです。祭りの屋台の豪華版みたいな。でも、多すぎてどれが美味しいか分からなくて、そんな頻繁に行くわけでもないので、失敗もしたくない・・・という方に是非読んでほしいです。球場ごとに何が名物かとかこの球場はビールが泡しか入ってないとか漫画で紹介してくれるので、とても分かりやすいです。しかも、やたら詳しい・・・。 広島、札幌みたいな地方の球場って行ってみたいけど、わざわざ金と時間をかけてまで・・って方にも是非読んでほしいです。とりあえず、来週東京ドームに行くので、これを読み返します!
絵が苦手で読んでいない人はけっこういると思う。私もその一人で、濃いタッチがなんとなく好きじゃなくて、なかなか手が出せなかった漫画です。とりあえず読んでみて、内容も濃いなぁ…と思いました。 実写化されたドラマでは良い意味で、わかりやすく見やすい演出がされていたのかな。主役の鈴木先生を長谷川博己さんが演じたのはかなり神的なキャスティングだったし、映像も原作もそれぞれ面白いですが、原作の方が濃い目です。じっくり読みたい漫画ですね。
ちーちゃんは九九も怪しいちょっとおバカな感じだけどいつも楽しそうで、ちーちゃんとその友達の日常が前半では楽しそうに描かれている。ちょっとおバカなんだけど憎めないところがあってみんなから愛されているなぁというのが節々から伝わってきてほっこりもする。 後半はある事件をきっかけに不穏な空気が流れ始めて、さっきまでのほっこりかわいいという感覚が一気に消え失せて痛いくらいヒリヒリする。 前半で描かれている女子中学生の天真爛漫さも、後半で描かれている暗さや焦りもどちらも自分が中学生の時に感じたことのある思い出ででそれを強引に引っ張り出された感じがした。後半は結構暗い展開になっていくんだが、ただちーちゃんのちょっと足りない感じに救われもした。面白かった。
現代日本の男子高校生が、13世紀初頭のチンギス・ハーンが生きた時代のモンゴルの世界へと繋がり、西夏文字をめぐる壮大な戦いに身を投じるお話。 祖国の西夏を滅ぼされた女、シュトヘル(悪霊という意味)と意識が同居する形で、当時のモンゴルへと接続する高校生スドー。 西夏の文字のすべてを記した玉音同を奪いたいチンギス・ハーンと、西夏の文字とシュトヘルに魅せられ、それを守ろうとするハーンの息子ユルールを中心に、登場人物の様々な思惑が複雑に絡み合う。 歴史モノとしての骨太さはもとより、戦闘シーンの迫力はさすが伊藤悠先生という他ない。 特にハラバルの戦いぶりは必見。ややファンタジックな弓使いであったが、個人的には一番カッコいいキャラだと思っている。 読みすすめるうちに、自然と文字が持つ「歴史の重み」のような物に思いを馳せるようになった。 ある意味「文字」そのものが主役とも言える異色の作品。 ぜひモンゴル人に読ませて感想を聞いてみたい。
死んでしまった彼女を生き返らせるために魔術師がいると言われている辺境の「異形の村」へとたどり着いたジファー。耳長でウサギ?のようなジファーに比べると色々な動物が混じったような体をしている異形の村の住人たちは魔法を使えると信じられていて、なんとか彼らに取り入って彼女を生き返らせてもらおうとするのだが、村人たちからは冷遇され、村を巻き込む大きな事件まで起こってますます魔法どころではなくなっていく…という流れの話。 異形の者たちはみんないいケモノばかりなんですが、見た目がおぞましいということで迫害されていたようです。そういった彼らがせめて仲間を守ろうとする姿や、ジファーが彼らに取り入ろうとする痛々しい努力、そして物語終盤で命の大切さについて考えさせられる展開など、2巻完結でまとまっていますが、内容は重たく厚いものがあってとても面白かったです。
twitter広告が気になり読破。これって私だけ?他の人はどうしてるの?気になるけどなんだか口に出しのは憚られる…ってなりがちな男女の夜の営みについて堂々と触れている漫画。男性が読むと「あぁこの漫画女性が描いたんだな」と素に戻る部分が所々ある故に、男女の性に対しての捉え方の違いを結構真剣に考えさせられる作品でした。作品も面白いしあとがきの取材旅行の漫画も楽しめました。サッと読めておすすめです。
※ネタバレを含むクチコミです。
身長9センチの小人ハクメイとミコチの生活を描いている。2人が喋れるのはもちろん小動物や虫とかも普通に話していて、街で生活を営んでいる。ハルタで1番好きな漫画。 シリアスな展開はあまりなくスイカみたいに大きなブルーベリーを食べたり、雨が降ったら川(我々にとっては水たまりだけど)ができたりして、それこそジブリ映画のように小人の生活が細かく描かれている。 ブルーベリー一粒があんなに大きいところとか、基本的に1話完結で、大工仕事をするハクメイと料理とか裁縫とかをするミコチが、ジャムとかを作ったりどこか旅をしに行ったり、あるいはみんな(仲間の小動物たち)で大きい仕事をしたりする生活が描かれている。 「もしも小人がいて動物たちと一緒に仲良く生活をしていたら」というコンセプト?を膨らませた作品だけどその膨らませ方がとても緻密で可愛く素晴らしい漫画
化物語のエンディングでイラストとかを描いているウエダハジメ氏の漫画。きっとエヴァンゲリヲンみたいに地球の滅亡の危機を通した少年少女の成長が描かれるはずだったんだと思うが、残念ながら打ち切られてしまった模様。 特区と呼ばれる囲いのある街に住む少年少女とそこに降り立った美少女っぽいロボット(人が搭乗できる)が宇宙から飛来したロボットと戦う漫画。地球は侵略されているようで、さらには各国の間で戦争も同時に起こっているらしい。らしいが続いてしまう理由としては世界観の説明がほとんどなく察するしかないから。ここら辺に打ち切られてしまった要因があるのかもしれない。 たぶん世界観の説明や散りばめられている謎の説明はこれから行う予定だったんだろうが、それを待たずに連載終了。しかし、ここで終わるのかよ!と思わせ、もっと読みたかったと思わせる面白さはあった。だからこそ残念。どうやらウエダハジメ氏には続きを描くつもりがあるらしいからいつか続きが読めるかもしれない。打ち切られたと言っても変に「俺たちの戦いはこれからだ!」的な終わり方ではなく、続くのが前提で終わっているような終わり方なので、そういう宙ぶらりんに耐えられるのなら読むのをオススメする。個人的には嫌いじゃない内容だったし、この作品にファンが多いのもうなづけた。
シェルターとか刑務所として使うために開発中だった技術の事故に巻き込まれて、生きているものを通さないようにする透明な膜で町が覆われてしまった。復旧のめどは立たず町から出られずに生きていく人々の話。短い短編がちょっとだけ繋がっている形で描かれている。 閉鎖された空間で生きていかなければいけない閉塞感や、色々な可能性(職業とか)を強引に閉ざされてしまった感じとか、その中でちょっとした生きがいを見つける感じの心理的なところをかなり緻密に描いていて、さすがヤマシタトモコと思った。 この漫画の主軸にもなっている希のストーリーだけど、外の世界に恋人がいてどうしても触れ合えない悲しみをそのまま描いているのでかなり心にきました。
リアルのTwitterなどでも見かける「#彼氏いません」タグ。 この作品の主人公、HN恋わずらいのエリーちゃんこと市村恵莉子の「#彼氏いません」ツイートが秀逸! こんなことを現実で彼氏にされたら確かに嬉しいかも…?と少し考えてしまう、ギリギリを攻めるリアルさがツボです。
源平合戦で平氏が勝ったパラレルワールドの鎌倉時代を舞台にしている。(鎌倉時代とすら言えないが) 不治の呪いに犯された平家の姫さまが不死身の体を手に入れるため不死身の鬼神?うらたろうと旅をする。 展開の速さといい、見開き大ゴマの使い方といい、キャラクターの立ち方といい、勧善懲悪的なストーリーといい、少年漫画らしい少年漫画でスカッと読めて楽しい(ヤンジャン連載だけど)
長野香子初の作品集。恋愛を題材にしている。表題作の「冬の熱」は画家とその嫁、そして弟子の話で、落ち目と言われている画家の男が再び良い絵をかけるようになるために嫁と弟子が画家の業を身を切りながら受け止める。そんな愛の形。 そういうちょっと歪だったりすれ違っていたりする愛にまつわる話が多い。短いストーリーで単行本を結構出して行っているが、最近ハルタに掲載されている読み切りとかも面白いので、これからが楽しみな漫画家さんの1人。
主人公キタローとあお高ナインが甲子園で成し遂げたとある偉業をうけて、試合後のインタビューで鈴ねぇ(監督)が流した嬉し涙に胸を射抜かれました。 女監督といえばモモカンが有名だけど、私は断然鈴ねぇ推し。 あと同作者の「Be Blues!」よりはキャラがサンデーっぽいというか、少年漫画的というか
デスゲームものの面白さって、そのゲームが面白いかが重要だと思うんですが、この漫画はゲームが面白いのでとても面白く読めました。注意なのが、ゲームが複雑で読んでいて疲れてくるのと、一気に読まないと前の展開忘れちゃうことです。しかし、ゲームで逆転する場面はとても爽快ですし、キングダム作者の原先生もおススメしていますし、おススメです。
細い道、バラの垣根、四段の石段、平凡な木製ドア……。 子どもの頃、くりかえし夢に見た家をさがして、どこまでも、どこまでも。 彼(彼女)は、夢と現実の境界を越えるようにして、男性と女性の境界を越え、生と死の境界を越え、ときには天と地の境界までを曖昧にしてみせる。こうして境界を次々に越えて、どちらのものともつかなくなるそのたびに、彼(彼女)は自由になり次の幕があがる。そして人生はつづく、どこまでも、どこまでも。
エロマンガじゃないです。 タイトルそのまんまなのですが、デフォルメされたかわいい絵でいろんなカップルの情事一時間前をオムニバス形式で描いていきます。 全編愛があって健全でかわいいです。ちょっと泣けるし。
マンガの描き方という題ですら小林まことのギャグなんだろうなと思うくらいマンガの描き方については何も学べない。けど、そんなことは気にならない。 人気実力ともNo.1 描けば雑誌が売れる 年収7億の漫画家Kの話だが、すぐ原稿をほっぽり出して逃げ出したりする。編集に捕まって描いたマンガも見開きページの連続の斬新(手抜き)マンガみたいなギャグが満載。ある意味では、こうして俺はマンガを描いてきたということなのかもしれない。 自伝マンガとしては青春少年マガジンの方が内容は詰まっているがシリアスなテイストもあった一方で、小林まことのマンガ家生活を完全にコメディとして仕立てたのがこの漫画かもしれない。 ちなみに『What’sMichael?』のマイケルのモデルになった猫が「青雲の志・苦闘編」に出てくる。
原作の同名小説は未読だったんだが、むしろそういう人のために描かれた『死者の書』の鑑賞の手引きを目指した、とあとがきで近藤ようこが書いているためむしろ私のような人間のための漫画だったのかもしれない。実際かなり難解な小説のようで、通読を断念した人も多いようで小説から入ってたら読み通せなかったかもしれない。 鑑賞の手引きを目指したからか、この漫画にわかりにくさを感じることはほとんどなかった。だからちゃんと面白さが伝わってきたんだと思う。 ストーリーは、斎き姫にあがる娘として大事に育て得られた藤原南家の娘(郎女)が写経や機織りなどを通して神の存在を確かにし奉仕しようとする姿が描かれている(と思う) 郎女はかなり才能のある女性だったようだが文物を全く与えられない(女に知識を与えるものではないという風潮もあったようだ)中で育てられたが、ひょんなことから法華経を手に入れて、それを習い始めて知識というよりも神という認識に目覚めて彼女の信仰が始まっていく。その姿が淡々としているんだが、写経を1000部行ったりして激しい。 時系列が整理されているようでその点も原作よりも読みやすくなっている点だとか。信仰の神秘さを保ちながら文化的な背景が骨太で面白かった。原作は頑張って読もうと思う。
・謎めいた力を持った美少女と ・未知のテクノロジーが眠るとされる古代島を目指し ・空に浮かぶ島々を巡り、飛行艇で世界を駆ける冒険ファンタジー。 グ○ブルかな?冒険よくばりセットみたいな。 ヒロインがアンドロイドというのも良いですね。憎からず思っている主人公に対するその気持ちは果たして本物の感情なのか…ベタだけど萌えます。
STARSHIP ADVENTURE Star Fieldが収録されている。スーパーアクションで連載していたようだが休刊してしまい未完になってしまった作品。アーサーワールドの1〜3話とさそり座の赤い星1話の合計4話が収録されている。 1万年以上前のものと思われる2つの宇宙船が火星-木製間小惑星帯から発見され、1つは星々を滅ぼそうとする悪の宇宙船、もう一つが星を守ろうとした宇宙船で、間違って悪の宇宙船を起動させてしまい本国に通信を許してしまった…っていうスペースファンタジーの王道的な内容。宇宙船での戦いが緻密ながら迫力のある描かれ方をしていて面白い。 だからこそ未完なのが惜しいが、それでも面白いことには変わりがないのでSFファンには読んでもらいたい作品。アーサーワールドで一応一区切りになっているので、そこまでモヤモヤしないというのもある。 『2001夜物語』の番外編「夜の大海の中で」も収録されている。番外編ながらこれだけ読んでも面白かった。
職を転々として最後の失業保険で風俗に行こうとした28歳の童貞男上田敦に、殺人を犯してしまった友人から「お前しか頼めるやつがいなかった…」と赤ん坊を託される。そして時はすぎ、赤ん坊も立派に15歳の女子中学生になり、ズボラな上田敦に代わり家事全般をこなす可愛く立派な女の子に成長した鈴とたーたんこと上田敦の生活の話。 刑期を終えて、実の父親が来年出所してくるんだけどまだ本当の親は別にいると言えないでいる上田敦の葛藤と、たーたんのことを本当の父親だと疑っていないけどお母さんに会いたくてしょうがなくなっている鈴の思い込んだら突っ走る感じのすれ違いが、時に心温まり、時にハラハラし、毎回頑張れたーたんと思う漫画。そのうちたーたんの恋愛も描かれそうで、そっちも頑張れ!って思ってる。
母にまつわる短編集。主人公になるのは、母だけではなく息子や娘のものも半分くらいある。『かごめかごめ』のアフターストーリーに当たると思われる作品も3つ収録されている(『ザザetヤニク』『カラスの鳴く夜にヤニクは』『アンテルメ』) 個人的に特に好きだったのは就職して独り立ちする息子をもつ母親の話の『きらきらと雨』修道院に捨てられたヤニクと母の話の『カラスの鳴く夜にヤニクは』引きこもりの息子とその母の話の『stand up』の3つ。どれも悲しかったり感動している表情がとても強烈で、表情でキャラクターの感情がめきめき伝わってきてよかった。 母の話となると、(僕は)いわゆるお涙頂戴的なのを想像してしまうが、そういうのはあまりなく普通の母親と息子娘を描きながら、その時々に感じているだろう感情を逃さず描いているから、キャラクターたちに感情移入してとても感動するような作りになっていていい短編集だった。
ポケモンは今年で映画20作目!!!!! そして、なんと、サトシとピカチュウの出会いから!?!? 赤緑をやった大人の皆さん。 金銀までやった20代後半のみなさん ルビーサファイヤまでやった20代前半の皆さん!! そして、サンムーンから好きになったお子さんまでみんなでみにいきましょう!!!!
ガッシュ、うえきの法則、メルヘヴン、史上最強の弟子ケンイチ、犬夜叉。 サンデーにバトル漫画がとにかく多くて、毎週わくわくしていた。当時の中学生(今の社会人のあなたへ) 社会人1年目や、2年目の方。 社会の仕組みに苦しんでませんか? そんな時、自己啓発本を読むのも、自分を勇気づけるポエムを読むのも、明日の知識にと新聞を読む。そんな時間もいいけれど、見ず知らずの誰かの勝利を祈ってた当時の気持ちに戻らせてくれるバトル漫画。 主題歌のカサブタを聴きながら、再読してみてください。 きっと、当時の自分がそばにいてくれますよ。
第71回ちばてつや賞 準大賞受賞作品 http://www.moae.jp/comic/chibasho_mitsugonotamashii
美少女の淫らな姿が満載のマンガではあるんだが、その淫らさを演出する手法がSF。そういう意味では攻殻機動隊(士郎正宗)のエロ回を彷彿とさせるものがなくはないと言えるかもしれない(あまり自信はない) 単発的に女の子のSF的エロを描く漫画かと思いきや最終的に微妙に繋がってきたりして侮れないところもある。 表題にもなっている「へんなねえさん」は一人っ子として15年生きてきたのに家に帰ってみたら姉がいる。しかも背中にチャックがある…という感じの話で、へんなねえさんの正体は早速明かされるのだが、クライマックスに当たる「へんなねえさん」の3話目ではなんかこんなにひどいエロギャグはあるのかってくらいピノチェピの演技に笑ってしまう(これ以上はネタバレになってしまうので割愛) 下ネタが苦手だと合わないだろうが、青年誌のエロネタが楽しめるのならきっと面白いと思う。『地球の放課後』を読んだ流れで読むとギャップに腰抜かすと思う。
2002年Vanillaに掲載された短編「大門パラダイス」と、2006年のFEEL YOUNGに掲載された短編「雪月花」を1冊にまとめた単行本。 タイトルは、それぞれの作品内容から新たに付けられたようだ。 どちらの作品も時代性をしっかりと捉えていて、大正の花魁と明治をまっすぐに生きた女性たちを、それぞれ見事に描ききっている。この二作品が一つの本となったことでより完成度が高くなったように感じる。
三隅健先生の奥様があとがきに「なんだかどこかで本当にありそうな感じ、だけど変わっている」と三隅健先生の作品を表していますが、まさにその通りだなと思います。 表題作の『ムルチ』は「ムルチは人がさわると1週間で死んでしまうんで…」という書き出しで始まりますが、ムルチとムルチに触ってしまった女の子と高校生の話。架空の動物を巡るストーリーながら、その動物がいる世界がきちんと作られていて、彼らの焦りや優しさや驚きがとても伝わってきて面白かったです。 あとは『ブルーハワイ島』がとても好きで工業廃水に乗って町に流れる川を降って海へ行きハワイを目指すといういかにも登場人物の小学生たちの無鉄砲さが全開のストーリーでこれもすごく好きでした。
一見、どこにでもありそうな下町の電気屋さんを営む「ピース一家」の物語。 知られざる天才科学者である父・貫太郎と、息子の健太郎は、どんなささいな問題でもすべて科学の力で解決!!・・・しようとするのですが、日常生活ではとても使い物にならないとんでもない道具ばかり作り出します。普通に仕事をしていれば非常に優秀なエンジニアなのに、プライドに火が着いたら最後。店の部品や在庫を勝手に持ち出しては、他人の家電を魔改造して迷惑をかけまくります。まるでダメなドラえもんみたいな感じです。一話完結型で、オチは大体この親子が自らの発明品によって酷い目に合うのですが、他の家族たち(母や弟、妹)はそんな2人を反面教師として、科学に頼りすぎることなく、人間力で問題を解決していく姿を見せてくれます。家族同士のほっこりするエピソードだけでなく、商店街を舞台に、老若男女、さまざまな人達と関わり合いながら、日常の小さな悩みから世界規模の話まで出てくる、とても懐の深いマンガです。ちなみに一番のお気に入り回は、バカ親子が飼い猫のミャーちゃんの為に、超科学を駆使して道具を作る回。これがもう滑稽なことこの上なくて、何回読んでも笑えます(=^・^=)
装丁がとてもスタイリッシュでカッコ良いので久米田康治とははじめ気づかなかったが、読んで見ると幅広いネタをバンバンぶち込んでくるところとかは変わらずの久米田作品でした。下ネタの量も増えたので「かってに改造」の頃を思い出す。 時間を移動できる代わりに人間の時間に換算すると1年しか生きられないが故に時間を無駄にする男を許せないサンジェルマン伯爵と、水滴が口の中にいっぱいになるのは何滴だろうって数えたりするほど時間を無駄に使う時只卓のせっかちとマイペースの2人が喧々諤々しているギャグ漫画。久米田康治ファンなら間違いなく好きだと思う。
フランス人の女子高生クロエがマナーが悪い日本人とかに物申す漫画。時代劇を見て日本語を学んだから口調が時代劇風で迫力がある。変な意味ではなく「説教漫画」というのが1番しっくりくるこの漫画の表し方だと思う。 ただ、人にぶつかったら謝れとか電車の中では携帯で電話するなとかゴミのポイ捨てするなとか一般的なマナーなんだけど、守らない人もいてモヤモヤするよねっていうのをクロエが強い口調で言ってくれるから爽快感がある。 成人式になると定期的にクロエの流儀の成人式回の画像が回ってくるので見たことある人もいると思う。
このところネットで騒がれてるちょいわるジジだけど、これ読んで落ち着けと言いたい。
スピルバーグ監督の『宇宙戦争』が映画であるからそっちの印象が強い人もいるかと思うが、同名小説を原案にしたマンガ。『宇宙戦争』では宇宙からの侵略がメインになっていたと思うが、宇宙人からの侵略を契機に人間同士の醜い争いがこの漫画では主題になっている。 そういった醜い争いのようなものがありながら、オリバーとアリスが信頼を深めていく。人間模様・宇宙人からの侵略・恋愛模様、色々な面で面白さがある名作。
構想20年執筆4年も頷けるこわさ。言葉に現わせないけど、読んでいると不安になるような メンタルに響く怖さがある。ホラーが好きな人にはぜひとも1度読んでいただきたい。 でもこのホラーを描いた人が今現在「ぼのちゃん」を描いている事実が一番こわいかもしれない。
小路啓之の作品集。表題作の『小さな世界』が最初に収録されていて、小路啓之が四季賞を受賞した『十代の潜水生活』が最後に収録されている。 なんか他人を見ると殺したくなっちゃうようになった世界とか(『5Hz』)みんなが小人に操られているのに気づいていないけど私だけ知っている(『小さな世界』)とか、ギスギスと表現したくなる空気が世界観として設定されている。 そして、あんまりハッピーエンドの気配とかあまりないんだけど、最終的に綺麗なハッピーエンドで終わる。力技で無理やりという感じもあまりないので違和感もないし読後感もさわやかで良い。 小路啓之の作品集2冊目に『Lovely』がある
水のあるところで出血をしていると、金魚鉢男が現れて血を吸われてしまうという都市伝説のような事件が発生し、金魚鉢男の金魚に血を吸われた人々が金魚になってしまう中、血潜りと呼ばれるスクール水着(ユニフォームらしい)を来た女の子たちが金魚に血を吸われた人の体の中に入って金魚化を防いでいる。 そんな血潜り見習いの女の子の林檎と偶然出会った男子高校生の昊介が、血潜りをして金魚鉢男から人々を守る漫画。女の子はかわいいし、日常シーンではコミカルな内容の話も多いんだけど、金魚鉢男の登場は毎回結構ホラーなテイストで怖いし、血潜りして金魚と戦うときは金魚が不気味なだけでなくアクション的な派手さもあって面白い。
体格には恵まれないながらも健脚強肩でバッティングセンスも抜群なら守備もうまい主人公の白戸大輔のもとに野球の神様が現れた。抜群に野球が上手くないと姿を見ることができないらしいんだが、姿が見れたからって何か不思議なパワーを授かるというわけではない。ただ、一打逆転のチャンスとかいわゆる後々の逸話になるようなシチュエーションが巡って来やすくなるらしい。そのチャンスを大輔が見事ものにしていって弱小中学から都立の強豪校へ入学し成り上がっていく漫画。 つまり、野球の神様に愛された男の成功のために知らず知らずのうちにみんながお膳立てしているような漫画。なんでもできてしまう天才系の主人公なので努力しているシーンとかはそんなにない。むしろ、こんな状況じゃどんなに才能があっても完全に道が閉ざされただろって思っている状況を覆していくところが爽快で面白い。そんな漫画です。
高度なAIを搭載した人型ロボット兵器と、主人公たちパイロットとの絆に感動。AIに疑似的な性別のようなものがあってそれが機体ごとの個性になってるのが面白いし、「セカンドアース」を支配する謎のAIも凄く魅力的に描かれている。 ロボット漫画はほとんど例外なく絵が上手いから好き
江戸時代の武士の生活がよくわかる漫画。主人公は50俵3人扶持(今でいう年収114万円だとか)の次男。家を継ぐことはできないが剣の腕が立つため、どこかに士官して身を立てるつもりでいる。 剣術の試合の場面も多くそちらも面白いんだけど、下級武士がいかに困窮していたかというのが50俵3人扶持だけじゃなく札差やそばの値上がりやらリアルに描かれていく。 「ごっつあんです」も相撲でののし上がっていくところと金回りの話がうまくバランス取れていて面白かったので「武士のフトコロ」も楽しみにしている。
キチガエルに寄生された人間は抑圧された願望のままに暴れる壊人になってしまう。主人公の蛇ヶ崎晋太郎もキチガエルに寄生され、ムカつくやつらを「ぶっぱなしたい(銃で撃ち殺したい)」という願望から、右手から幽白の浦飯やコブラのようなビームを撃てるようになる。 普通の人間に戻るため、壊人を殺し、相棒のフクロウ毒山田惨死郎にキチガエルを食わせるために戦うマンガ。 壊人の造形はかさぶたが折り重なったような物質で構成されていて結構気持ち悪いんだが、そういう壊人同士が戦うバトルは激しくて見応えがある。金城宗幸らしい人間の薄暗い感情みたいなものが壊人の武器やフォルムに影響されておりダークさを際立たせていて良い