ちなみに巻末には谷川俊太郎の解説があって、なるほどなぁと思った。
タムくんの漫画にはヒー(彼)シー(彼女)イット(それ)という代名詞でしか呼ばれない存在しか登場しないよねというところから谷川俊太郎が過去に書いた詩を交えて解説している。これも面白かった。
タイ出身の漫画家タムくんがタイで8巻まで出版されている漫画の第8巻に当たるのがこのヒーシーイットアクアのよう。「ノートに描いた」と説明がされているように、絵が荒くて、セリフは漢字を間違えたらぐちゃぐちゃってしたままになっている。基本的に日常の中でふと感じたことを基に物語を作っているようだが、とても引き込まれるものがあった。
特に「彫刻」と「部屋」の二つがとてもよかった。どちらも時間がなくて急いで描いたとあとがきで言っているんだけど、セリフは少なくて描写だけで人物の感情を伝えてきているから逆に伝わるものが多かったように思う。文化庁メディア芸術祭の奨励賞も受賞した作品のよう。たまたま手に取ったんだが、とてもよかったのでいろんな人に読んでほしい。
タイ在住のマンガ家“タムくん”がノートに描いた 枚数もジャンルもバラバラのマンガシリーズです。 巻末に詩人の谷川俊太郎さんによる解説を収録。