大企業になればなるほど陥りやすいのが、前年通り・前例通りという判断の硬直化。こんな大企業病に冒されたときは、新しい試みをと社長の一声があったとしても、なかなか動かないものです。さて、中堅ゼネコンの鈴建もまた、社長のスーさんが停滞する会社の業績に何か変革を、と考えていたその時、定期採用面接が行われようとしていました。去年のように、いつも通りに、という重役達の発言に引っ掛かったスーさんは、大胆不敵な行動をとります。それは、今度の新入社員採用試験の、いつもは役員による面接で採用・不採用を決める最終試験の全てを、よりにもよって万年平社員のハマちゃんに任せちゃおうというもの。これは停滞する企業にイノベーションをもたらす大英断か、それとも無能な経営者の無責任な丸投げか!?重責を担ったハマちゃんは、30人の学生達を房総半島の富浦に連れて行ったのでした。そこには釣り船が……やはり、まさか、の釣り入社試験。ハマちゃんの行動は、果たしてただの趣味ゆえか、はたまた真面目な仕事ぶりゆえなのか?前代未聞の磯での入社選考が始まり、遂には社内上層部をも巻き込む一大事件へと発展するのでした!?
葛城邦彦は会社を定年退職し妻と二人暮らしだったが、妻が若年性アルツハイマーを発症。病状は急速に悪化し、邦彦のことも認識することも困難な状態に。そんなある日、邦彦の兄・辰彦の訃報が届く。知らせてきたのは、兄の愛人である村上由美という女性だった。兄の遺品整理のため由美と会った邦彦は、お互いの寂しさを埋め合うように身体を重ねて…病身の妻と、兄の愛人だった由美、二人の女の前で邦彦の心が激しく揺れ動く表題作『白色矮星のあなた』。会社を解雇され、故郷の北海道に戻ってきた加古川照夫53歳。彼は、21歳のときに不思議な”恋”をした経験があった。未来からタイムスリップしてきたという柴崎未来という女と恋に落ち、その後彼女は忽然と消えたのだった。そして2013年、二人は再会を果たしたすが…『未来(みく)の星』の2タイトル(全9話)を収録。大人向けの上質な「弘兼憲史ファンタジー」の世界をご堪能ください!!