突然ですが、あなたは、こんな感じで、顔に誰かの返り血がつき、腕のみならず首にまでタトゥーがゴリゴリ入った人に、目の前でキレられたらどうしますか？
もしくは、こんな風に思いこみが強すぎる人に縋りつかれたらどうしますか？
今回ご紹介する作品は、こんなヤバすぎる人たちに対し、少しも臆することなく、真正面から立ち向かう弁護士のストーリー。しかも、その弁護士、ギャルなんです！
マンガ界に新たな「ギャル」が爆誕！
マンガ界における「ギャル」というのは、とかく意外なものと組み合わされがち。例えば実は恋愛経験が皆無のギャル、野球場で一生懸命ビールの売り子をするギャル、ものすごくオタクのギャル、中には何故か恐竜と楽しく暮らすギャルまで……！
どのギャルも、一見、イケイケな雰囲気でスクールカーストなどでは頂点に君臨し、一般人には近寄りがたい存在。なのに、その実とってもピュアで良い子で話しやすい、心になんの偏見もないフラットなタイプ、という共通点があります。
ところがそんなギャルマンガに、異色の作品が爆誕しました。ヨウイチ先生の『ギャル弁 ー歌舞伎町の幽霊ー』です！
歌舞伎町の怖めのトラブルをボランティアで引き受ける弁護士が、ギャル!?
主人公の久語れいなは、日本一厄介事が集まりそうな土地、新宿歌舞伎町のトラブルを、「プロボノ活動」というボランティアで解決する弁護士。そして見た目はギャル。
「プロボノ活動」とは、「弁護士など各分野の専門家が自らの専門知識を社会貢献のために無償で提供して行うボランティア活動」（『ギャル弁 ー歌舞伎町の幽霊ー』/ヨウイチ/講談社より引用）のこと。
れいなは、日中は普通に弁護士事務所で働き、夜は歌舞伎町へ。搾取され、途方に暮れた弱者たちに寄り添い、問題解決に導いていきます。
と、ここまで書くと、正義感溢れるれいなが犯罪者に立ちはだかる、想定内の弁護士マンガかな？と思うところですが、この作品はちょっと違うんです。ヤバい人たちに法で立ち向かうれいなこそが、どうやら最もキレたキャラなのです……！
実は闇が深すぎる弁護士、それが『ギャル弁』！
前述の通り、ギャルマンガの「ギャル」は、ビ◯チそうな見た目に反して意外とピュアで素直で良い子というのがマンガ界の定石。
もちろん、このギャル弁のれいなもとってもピュアです。
本当に純粋に、とっても幸せそうに、弱者に寄り添い、笑顔で「プレボノ活動」に邁進しています。
しかし、れいなは誰よりも「闇が深そう」なのです……！
彼女と対峙するのは、冒頭で紹介したようなヤバいofヤバいような人たちばかり。例えば、顔や首の柔らかそうなところにもタトゥーが入った半グレの五十嵐。尖ったものを持たせると、ためらわずに人を刺します。
この五十嵐に、なんとれいなも、第1話にしていきなり刺されてしまうのです！刺されはするのですが……
全然平気！！ 意に介さない！！
刺されることなど想定内、少しも怯まず、ビビらず、最恐に悪そうな半グレに対峙してしまうのです。こんな肝の座った女性キャラクター、『BLACK LAGOON』とか『デストロ２４６』とか『極妻』とかでしか見たことないよ!?と脳がバグります！
このような危ない橋を渡りながら揉め事を解決に導くれいなですが、もちろんこれは、「プロボノ活動」なので無償。それでも何かお礼をしたいと言う依頼者からは、何故か「捨てたいけど捨てられない思い出のもの」を受け取り、本気で「これはもう私の思い出」と語るのです。
刺されたとしても全然平気、肝が座りすぎている、そして他人の思い出を自分のものとする……
これらは全て、れいなのある「過去」に秘密があるようなのです。
ぶっ飛んだれいなvsぶっ飛んだ犯罪者の戦いを目撃せよ！
割とぶっ飛んだキャラのれいなですが、自分の過去と向き合い、真摯に歩んできたからこそ、弁護士として活躍できているのは間違いありません。
一体彼女の過去に何があったのか？そして、それとどう向き合い、弁護士になったのか？そして、なぜ歌舞伎町を「プレボノ活動」の場として選んだのか？
ピュアはピュアでも、従来のギャルマンガとはぜんっぜん雰囲気が違う『ギャル弁』。彼女の過去と闇の深さ、そして覚悟を、一緒に覗いてみませんか？
