沼に落ちれば人生は好転必至!『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』

あなたは何かに「沼った」ことはありますか……?

「沼」とは、アイドルや作品、キャラクターなどに、周囲から見ると異様なほどにハマってしまう現象のこと。「沼」「沼落ち」「沼った」などと表現します。

私もいろんな沼にハマっていますけど、沼は本当にいい……最高に居心地がいい……傍から見ると多分相当「ヤバ……」となるでしょうけど、周囲の視線なんてどうでも良いほどに、毎日が本当に楽しいんです!

今日は、そんな「沼」にハマる喜びがつぶさに描かれた作品をご紹介させてください! さとうはるみ先生の『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』です!

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

 

40年以上心が空っぽだった中年男性が、急激に満たされる時

42歳の中年サラリーマン、矛橋真澄(ほこはしますみ)。会社でもそれなりの地位となり、良い物を身に着け、良い物を食べ、いわゆる「良い」暮らしをする日々……でも、何故か心は空っぽ。物理的には満たされても心が満たされない矛橋は、ある日、ネットショッピング中にオークションサイトに出品されていたある「ドール」と目が合います。

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

そのドールは、幻のエーテルドール”スターレット”と呼ばれる逸品。スターレットと目があった瞬間に、前世の記憶を思い出したかのような、大切なモノに気付いたような気持ちになった矛橋。どうにも気になり、夢中になって入札を繰り返した結果、最終的には98万円で落札に成功!

人形に98万円!? と愕然としたものの、なんだかんだで手元に届くのが楽しみでならない矛橋。届いた箱を開けてみたところ……なんと、頭ひとつしか入っていませんでした! 一体ここからどうすれば……!? 知識ゼロのところから、理想のドールを作り上げるべく奔走する一人の男の物語です。

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

 

一見おじさんがハマるにはヤバそうに思える「ドール沼」で人生が好転!?

中年男性がハマるには、なかなかハードそうなドール沼。でも、スターレットに出会った矛橋の人生はあっという間に好転していきます。ここで、矛橋に1巻のうちに起きた好転現象を見てみましょう。

1.世界が輝いて見えるようになる
2.周囲の人間に優しくなった
3.悪いことが起きても心が強くなっているので何も感じなくなる
4.友だちができる
5.節約するようになる

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

一度「沼」を経験した人なら、同意で頷きすぎて首が取れちゃいそうになることばかり! 個人的な話ですが、私は観劇の沼にハマってからというもの、1〜5の現象以外に「痩せた」「収入が増えた」などの現象まで起きております。沼の効能は本当にすごいんですよ…!!

 

本物と代用品。見逃せない2種類の宝探し要素!

矛橋が一目惚れしてしまったスターレットは、いわくつきのドール。スターレットの作家が、最愛の妻亡き後に、スターレット以外の作品を全て壊した後に死亡。その後、作家のアトリエに忍び込んだ何者かの手によって、スターレットはパーツをバラされて売られてしまったのです。

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

バラバラになってしまったパーツの一つ、頭部を奇跡的に手にした矛橋。きっとこの先、本物のスターレットのパーツを求める険しい道を突き進むことになると思われるのですが、お堅いサラリーマンの矛橋と一緒にそんなお宝探しの冒険の旅に出るのはとっても楽しそう!

また、本物のスターレットのパーツにたどり着く前の過程もとっても胸熱。良きオタク仲間に出会った矛橋が、先輩ドール愛好家の指南を受けながら、そして感動にむせび泣きながらスターレットをカスタマイズしていく様子を見ると、ついつい矛橋と気持ちがシンクロしてしまい、多幸感に溢れてしまいます!

『ドルおじ #ドールに沼ったおじさんの話』/さとうはるみ/新潮社

幼い頃から自分の意思がなかった矛橋が、初めて自分の目で、手で、意思で、「良い」と思ったものを求めて組み上げた先に、どんなスターレットが誕生するのか。パーツを探しながら自分の意思で人生を「生き直す」、そんな矛橋の今後を、ぜひ一緒に目撃しませんか!?

 

 

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