小林眞理子先生の『タイのひとびと』(ワニブックス)はタイでの生活を描いたエッセイコミックです。日本ではなかなか見られない人々の様子に、思わず笑いがこみ上げます。
小林先生は日本とタイを行き来しながらイラストレーターとして働かれています。滞在時間が長いからこそ見えてくる、日本ではなかなか見ることができないタイ独特の生活や人々が面白く描かれています。
日本人だと理解して、日本語をわざわざ使ってくれる店員に触れるローカル食堂、街中の高い木にハシゴなしで登って作業をする植木屋さん。思わず読んでいて笑ってしまったのは、道路上で私服のまま(タイの方々は私服で仕事をされる人も多いとのこと)、道路工事をする人たちのエピソードです。
これは私も実際目の前に現れたら、まじまじと見てしまう気がします。タイの街中でゆったりと過ごす時間が多いからこそ、出会えたひとびとなのでしょう。
興味深かったのは曜日占いです。日本人が血液型占いや星座占いをするように、タイの人々は生まれた曜日で占います。
作者の方がそれぞれの曜日の特性についてアンケートをとり、独自の人となりとシンボルカラーをまとめてくれています。自分の生まれた曜日を調べて占ってみるのもいいでしょう。
多くの現地の方々と付き合いがあることから、「タイ人のカンカク」が垣間見えるのも面白いです。「暑い=怒りっぽい、寒い=冷静」という感覚は、なかなか日本で生活していては育たない感覚です。
普段は意識しないお金がアイテムになる様子など、タイでの滞在を通じて、旅、特に海外への旅の面白さも浮き彫りになります。ぜひ『タイのひとびと』に背中を押されて、今自分がいるところから飛び出てほしいです。