2020年3月30日。志村けんさんの死去が報道されました。
もう2年ですか。
今回はその志村けんさんとザ・ドリフターズに思いを馳せて『漫画ドリフターズ』を紹介します。
1969年に昭和のお化け番組として名高い「8時だョ!全員集合」の放送が始まった1年後に『週刊少年ジャンプ』で連載開始です。
作者は榎本有也さん。ジャンプ創世期から「漫画コント55号」を連載されてましたが、終了から入れ替わる形で『漫画ドリフターズ』が始まります。
少し当時を振り返らせてください。ただしだいぶ記憶があやふやでごっちゃになっており、色々検索した上での記述なのを御承知ください。
『漫画ドリフターズ』が連載開始された1970年頃のジャンプ、あるいはそれ以前からも読んではいたものの熱中するまでにはいきませんでした。
9歳ですからね。他の週刊漫画誌含めて少年誌とはいえ載っているストーリー漫画作品はもう少し上の年齢にならないと内容に入り込むのは難しかったと思います。
しかし「漫画コント55号」も『漫画ドリフターズ』も、大好きなタレントさんが漫画になっている4ページは楽しみでした。
どんな漫画雑誌でも必ず掲載されてます。決してメインのおかずでもご飯でも汁菜でもない。でも御膳の中に必ずある小鉢の副菜のような漫画。
その小鉢作品(記事を書いてて勝手に名付けました)、雑誌派の私は子供の頃も現在も大好きです。
たまにメインを張って巻頭カラーになったりすると、おお!と嬉しくなります。
「コント55号」も「ザ・ドリフターズ」も私の世代では大人気です。もちろんテレビにかじりつくように見て笑い転げました。
リアルタイムで見た映像の記憶は今も多く鮮明に残ってます。
その「ザ・ドリフターズ」、あるいは「8時だョ!全員集合」に本気で熱中するのは小学校低学年だと分析してます。
小学校高学年になると面白く見ているとはいえ、生放送で聞こえてくる観客席からの歓声が明らかに低学年の児童の声ばかりなので同じ感覚では観れません。
上級生としての意識が育っているのも要因ではあると思います。
私が低学年の頃はメンバーに志村けんさんはいなく、荒井注という方でした。
大好きでしたよ、注さん。
私が純粋にドリフに熱中したのは荒井注さん在籍の頃です。
加藤茶さんの「ちょっとだけよ」は社会現象にまで発展したと言っていいくらいです。
クラスの陽気者は必ずと言っていいくらい机の上でカトちゃんのストリップの真似をしてました。
ところが突然荒井注さんがドリフを辞める、そして後任の新メンバーとして「志村けん」という方が入る。
1974年です。
当時「スター千一夜」という番組があって、荒井注さん含めたドリフの全員と志村けんさんが出演してメンバー交代の報告をされたのを観ました。
この放送を観たのはよく憶えてます。
志村さんがドリフの付き人になった経緯や、弟子入りを志願していかりやさんの家の前で待ち続けたエピソードも荒井注さんや他の面々から語られます。
観ましたがメンバーが変わることに驚いたものの、特に深く考えずに受け入れました。
ただ当初は志村さんの大げさなアクションに馴染めず、荒井注さんの方が良かったと私も学校の友達も言ってました。
最初は仕方ないですよね。それまでと全く違うんですから。
ところがその後は御存じでしょう。
数々のヒットギャグを生み、ドリフといえば志村さんとして定着していきます。
また志村さん単独でも多くの笑いを届けてくれました。
さて過去記事でも紹介した、私が所有する『週刊少年ジャンプ』1974年17号。永井豪さんの愛読者賞作品「真夜中の戦士」が巻頭カラーです。
この巻頭カラー目当てで買いましたが、収録された『漫画ドリフターズ』はなんと志村さんが新しく入るという内容です。
長髪の志村さん。弟子入りを認められて家事をやらされますが失敗ばかり。
それでも弟分として可愛がって行こうという最後のコマがとてもいいですね。
他に74年29号と75年32号の『週刊少年ジャンプ』を所有してますがどちらもゆるいドタバタで4ページ掲載です。
毎週4ページにまとめたショートストーリーを考えるのは大変な作業だったと思います。
いかりやさんだけが長ズボンで他のメンバーは半ズボン。
子供として描いてあるのでしょうが、顔が似顔絵調の為奇妙な感覚です。
ここは結構重要ではないかと思います。
少年漫画誌での4ページギャグマンガ。
しかしザ・ドリフターズが登場人物です。
読者である子供たちにドリフの漫画だと認識してもらうためには顔は忠実に描き、体は子供という手法は大きく役立ったと思います。
同じ時期にジャンプでは「それいけジャンプでヤングおー!おー!」という関西の番組を漫画化して連載されてます。
この番組も当時人気でしたね。
私が住む九州の地方都市でも放送されて、結構見てましたよ。
作画は宮のぶなおさん。
関西の芸人さんである笑福亭仁鶴さんや桂三枝さんがキャラクターとして登場しますが、宮のぶなおさんのデフォルメした画は榎本有也さんとは違います。
あくまで漫画の登場人物としてとらえざるを得ず、実際のタレントさんが作品の中で動いている感覚はどうしても薄くなってしまいます。
その方がいいと感じる読者もいたでしょう。
ジャンプ編集部がどこまで意図していたのか、それとも私が単に深読みしているだけなのか。
そんな分析もまた昔の漫画を読む楽しみの一つです。
『漫画コント55号』はジャンプコミックスとして出版されてますが、『漫画ドリフターズ』は単行本化されてません(榎本有也さんで『ザ・ドリフターズ101のひみつ』という本が小学館から出てますがこちらは別作品です)。
当時のリアルタイムでのみ通用する話も多い為でしょうか。理由は不明ですが残念ですね。
ザ・ドリフターズの貴重な資料として、あるいは高度成長期の昭和漫画の記録として復刊されるのを望む次第です。