フィンランドへの偏愛が紡ぐ道『北欧こじらせ日記』

フィンランドへの偏愛が紡ぐ道『北欧こじらせ日記』

週末北欧部chika 先生の『北欧こじらせ日記』は、北欧の国フィンランドとの出会いから好きなところ、そしてその「好き」をどう自分の人生と組み合わせていったのかをまとめたコミックエッセイです。丸ごと受け入れ、そして愛するフィンランドとどのように距離を縮め、身近なものとしていったかが細かくそして赤裸々に描かれています。

作者曰く「北欧好きを『こじらせて』12年」とのこと。サンタクロースが縁でフィンランドを知り、初めて訪れたときにその人や言葉、沈黙を愛する雰囲気や距離感に魅入られ、フィンランドをそのまま受け入れ、愛していく様子がつづられます。作者はこの過程を「一目惚れ」と描写していますが、のめりこみ具合はまさに惚れ込んだとしか言いようがありません。

 

『北欧こじらせ日記』(週末北欧部chika/世界文化社)より

 

■あふれ出るフィンランド愛 キャリア構築にも影響

作者のchikaさんは本作を書いている間は東京などで働きつつ年に1度フィンランドを訪問。家もフィンランド系のグッズであふれ、雑貨など旅先で出会ったものをうまく日本の生活に取り入れているそう。「週末北欧倶楽部」を立ち上げてフィンランドのものを持ち寄ったピクニックを開催したこともあります。

その愛はchikaさんの生き方にも影響しています。まず大学3年生でフィンランドに出会い、通常の就職活動はせずに大学卒業後の働く場として北欧系企業に直接アプローチ。縁があった企業でインターンをし、働きが認められて就職に至ります。

 

『北欧こじらせ日記』(週末北欧部chika/世界文化社)より

 

会社がなくなるということで大学卒業後に就職した北欧系企業は去ることにはなったものの、次に入った企業の上司の助言を受けて、仕事をしながらカフェでの修行など週末にいろいろな活動に挑戦します。北欧などには大学入学前などに1年間社会体験活動を行う猶予期間である「ギャップイヤー」という考え方がありますが、chikaさんは会社員を続けながらの挑戦を「週末ギャップイヤー」と振り返ります。

コラム部分では、キャリア構築の方法として「山登り型」「川下り型」に加え、節目以外は偶然の出会いと楽しむ「キャリア・トランジション・モデル」を紹介しています。chika先生はゴールを決めつつ色々な道を行ってみることを「ジャングルジムのように進む」とも表現。キャリア形成に迷う人が、何かへの愛をどうキャリアとつなげるかを考えるのに役立つ部分でしょう。

 

■フィンランドを愛する人の旅行術

日本でフィンランドを楽しむ一方で、「旅行先」としてのフィンランドの楽しみ方を描く部分も充実しています。そのひとつがフィンランドのサウナ。最近は日本でも人気が高まっています。

フィンランドではなんと個人宅にサウナがあり、アパートメントも住民専用のサウナを持っているそうです。chika先生は、クリスマスに訪問した友人宅の家のサウナ、ヘルシンキのサウナ施設、友達アパートの部屋のソロサウナと様々なサウナを味わいます。その中で旅情を誘うのは、白樺の木で温める、サマーコテージのサウナではないでしょうか。フィンランド人が夏を過ごすというサマーコテージをchika先生がレンタルし、一人で気をくべながらサウナに火を入れていく様子は、大変だとわかりながらも「私もやってみたい」と思わされます。もちろんその後は、フィンランド特有の「冷たい海へのダイブ」もセットです。

何度もフィンランドを訪れている作者には到着した日にする駅から海までのパトロールという「ルーティーン」が確立しています。このあたりの楽しみ方は前作の『マイフィンランドルーティン100』(ワニブックス)でより詳しく描かれていますが、オンラインのやり取りでフィンランドの友人を作り現地の人と交流しながら、お金がない中での工夫を凝らした旅行術を読んでいると、同じような旅をしたくなります。

 

■「北欧こじらせ日記2」をお願いしたい激動の人生

「あとがき」で書かれているように、作者はとうとうフィンランドで寿司職人を目指すため退職されたとのこと。もちろんいきなり退職したわけではありません。休暇を取ってフィンランドに行き、すでにフィンランドに住んでレストランを経営している人らに話を聞くなどしてリサーチ済み。

実際にフィンランドに一定期間生活し、「ここでも住めそう」と実感しています。本当に寿司職人になって移住できるのか。これからの激動の人生もぜひエッセイにまとめていただきたいです。

 

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記事へのコメント

つい数日前、偶然作者の方のインスタの投稿をみかけて、ついにフィンランドで寿司職人として働くことが決まったとありました。それをきっかけにこの方の本を読んでみたいと思っていた矢先にこの記事だったので少し運命的なものを感じます。

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