翻訳出版クラファン中! 台湾発の百合漫画『綺譚花物語』昭和11年の台中市に、ひっそりと咲く少女たちの恋

 20197月、ちょっとした偶然から台湾の漫画雑誌『CCC創作集』の一冊が、私の手元にやって来た。その中に掲載されていた『昨夜閑潭夢落花(昨夜、閑潭の落花を夢む)』(『綺譚花物語(きたんはなものがたり)』の第二話に当たる)の後編を目にした瞬間から、私はこの作品を訳したくてたまらなくなった。

 昭和十一年の台中高等女学校、クラス内では少数派である本島人(台湾人)の荷舟、そして多数派である内地人(日本人)の茉莉。「今なら、簡単にあの角を折り取れる」。願い事を叶える力を持つ水鹿(すいろく)*の角を前に、熱に浮かされたように口走る茉莉の、押し殺したような興奮と、怯え。角を折り取る決定的な瞬間は描かれず、次のページでは既に角は折り取られ、それを抱えて逃げ出す茉莉が描かれている。

*水鹿は東南アジアに生息する大型の鹿。英語で大鹿を意味する「サンバー」とも呼ばれる。

 本島人である荷舟は水鹿の復讐を恐れて躊躇い、角を返すよう茉莉を促すが、茉莉はそれを拒む。

図版1:レポート作成のために赴いた夜明け前の日月湖で、茉莉と荷舟は噂になっていた水鹿の姿を目撃する。(『綺譚花物語』P72、P73より)

 「遠くに行こう。誰にも私たちを見つけられない遠い場所に」。水鹿の角を抱えてそう告げる茉莉の陶然とした表情は、荷舟に対し茉莉が抱いている恋心を余すところなく読者に伝えてくる。そしてそれと同時にその「恋」が――水鹿という他者を巻き込み傷つけ、そしてそれによってしか成就せず、加えて茉莉本人の身も水鹿の呪いによってむしばまれていくその「恋」が――まるで台湾に対する私自身の気持ちをも反映しているようで、ぞくりとしたものを感じずにはいられない。

図版2:「遠くに行こう。誰にも私たちを見つけられない遠い場所に」。(『綺譚花物語』P80、P81より)

 それでも呪いを受けながら「私は幸せなの」と茉莉は口にする。しかしその幸せは「荷舟の傍にいられることが約束された」ことに由来しているのだと、それが荷舟に対し明言されることはない。言わなくてもそれは荷舟に伝わっているのだと、そのように私たち読者も誤解している。あの、茉莉がうっとりと口にした言葉があるからだ。

 だからこそ、茉莉が最後に突き落とされる絶望は、私たち読者自身にも、絶望的なやるせないなにかとして突きつけられる。

 著者は二人とも台湾人であり、そこまで想定してこの物語を誕生させたのかはわからない。それでもこの物語は、ひょっとすると著者自身も意図しないところで、そもそも存在からして想定すらしていなかったかも知れない一日本人の読者である私に「自分事」の物語として衝撃を与え、他の日本人にもこの衝撃を味わってほしいと思うに至らせた。

 日本と台湾の間にある歴史、そして今に至るまでの相互の関係を一言で言い表せる言葉は「片恋」だと私は思っている。

 台湾という土地を自分達の都合のいいように、さまざまに理想化してきた、個々の日本人からの台湾へのどこか自己陶酔的な勝手な「片恋」。そして台湾から日本への「片恋」。

 『綺譚花物語』を貫く恋の形もやはり「片恋」だ。

 だからこそ、この「片恋」を描いた物語を、今、私は日本に届けたい。私たち日本人がしている「茉莉の恋」に気付く日本人がどこかに他にもいるのではないかと、この問いを放ってみたい。そして一人でも多くの日本人にこの衝撃を「自分事」として味わってほしい。

 双方の片恋が片恋のまま潰えてしまう前に。

 そう思って即座に翻訳を開始し、『CCC創作集』のスタッフにも作品の権利について問い合わせた。実はこの時点ではまだこの作品に『綺譚花物語』という通しタイトルは付いておらず、単なる読み切り漫画という状態だった。

CCC創作集』は毎号何らかのテーマを設けて特集をしており、通常の連載漫画の他にそのテーマに合わせた読み切りを掲載することがある。『昨夜閑潭夢落花』は「韓国発の縦読みコミック」と「異文化を描く作品」特集号への掲載だった。「日本人である茉莉が台湾人である荷舟との友情を通して台湾の土着文化に触れる」という要素を持っているのはこのためだろう。

 果たしてこの漫画は将来、何かのコミックスとしてまとまることはあるのか? シリーズ化される予定はあるのか? もし単なる読み切りとして単行本化されることもなく消えていくのだとしたら、この作品を何らかの形で日本へ紹介できないだろうか?(そうすればひょっとしたら日本でシリーズ化し、単行本化できるかもしれない)

CCC創作集』のスタッフからは「今後もこの作者コンビで作品が掲載される予定はあります」という回答しか得られなかった。まったくあてはないまま、私は手元にある後編だけを訳し、数日後にまた台湾へ向かった。

 台湾では夏にアニメと漫画の見本市「漫画博覧会」が開催され、更にその数日後には台湾コミケと呼ばれる同人誌即売会CWT(コミックワールド台湾)が開催される。接触を試みてみたい漫画家さんとリアルで遭遇できるチャンスでもあるため、夏コミ参加を一度だけ見送ることにしての台湾行きだ。見本市会場で『CCC創作集』のバックナンバーを購入し、前編も目にすることができ、即座にホテルで訳した。

 バックナンバーの中には『綺譚花物語』第一話に当たる『地上的天國(地上の天国)』が掲載された号もあった。タイで隆盛しつつあったホラージャンルを特集する号だった。『地上的天國』に死者との冥婚という要素が含まれているのはこれが理由だろう。

図版3:還暦も過ぎた玉英の大叔父のところへ、昭和初期でもいまどき珍しい位牌婚で嫁いできた幽霊少女「詠恩」。何故か玉英になついてしまい、彼女の部屋で暮らしている。(『綺譚花物語』P24、P25より)

 そして秋、『CCC創作集』のフェニミズム特集号に『庭院深深華麗島*(華麗島の秘密の花園)』前編が掲載される(前中後の3号連載)。更に翌年、コロナが流行り始めつつあった頃、聖地巡礼特集号に読み切りの『無可名狀之物(説明できかねる物)』が掲載された。

*華麗島はフォルモサ(麗しの島)に由来する台湾の美称。

 しかしその3号あとのデジタル漫画特集号で『CCC創作集』そのものが紙雑誌を廃刊してデジタルに移行するという重大発表が行われ、これによって本作の今後だけでなく台湾漫画の先行きそのものがさっぱり見えなくなってしまったのだ。

 コロナで台湾に行くこともできず、ひたすらにネットで情報を拾う日々が続く。幸い雑誌は手元にあるので、『昨日~』以外の3話も次々に翻訳した。そして数ヶ月、台湾で本作の単行本化が発表される。書き下ろしのおまけ漫画付き、しかも小説版も同時発売だ。ついでに出版社が「台湾東販」ということで、これは日本語版の権利入手に幾分有利なのでは?*という希望も見えてきた。

*台湾では近年、東南アジア諸国への作品提供が進み、日本での出版にさほど興味を示さない出版社も増えてきている。台湾でオリジナルサブカル作品の出版点数が増え始め、台湾が日本での出版に熱意を持っていた時期、日本の出版界がちょうど氷河期で、コストの掛かる翻訳ものに興味を示す余裕があまりなく、さらに国産のサブカル作品も飽和状態だったという需要と供給のミスマッチが原因。

 そして、実は「日本の出版社でここならいけるのでは?」という心当たりがあった。クラウドファンディングで読者を事前に募るという手法で、海外書籍の翻訳版を出版しているサウザンブックス社だ。

 ちょうど2018年から19年に掛けて、台湾の独立書店(基本的には「個人経営書店」を指す)を紹介する書籍『書店本事 台湾書店主43のストーリー』の翻訳に私は参加していた。その本の出版社がサウザンブックス社だった。そしてここはその後「サウザンコミックス」という海外コミックの出版レーベルを立ち上げていた。加えて「サウザンプライド叢書」というレーベルで性的マイノリティに関する海外書籍を次々に出版していたのだ。

 ここならばたぶん行ける。そんな思いで相談を持ち掛けたところ、まずは企画書を仕上げてみることになった。四苦八苦して書き上げた企画書を提出して数週間、『綺譚花物語』の企画にはゴーサインが出たのだった!!

 そして817日、ついにクラウドファンディングが始まって、今日でそろそろ1ヶ月になろうとしている。

 クラファンの実施期間は1115日まで。この期間に申し込んでいただけると書籍が割引価格で購入できる他、特典の付いたコースも色々と用意している。ご興味がおありの方は、是非、下のリンクからクラファンページへ行ってみてほしい。

『綺譚花物語』クラウドファンディングページ

書名: 綺譚花物語
作画:星期一回収日
原作:楊双子
発行国・地域:台湾
発行年:2020年
ジャンル:外国文学・コミック
ISBN:978-9-865114-23-7

 さて、『綺譚花物語』は、昭和11年の台中市を舞台にした台湾発の百合漫画だ。

 当時の台湾は日本の統治下にあり、戦前の昭和日本と同じく、モダンタイムスの風が吹いていた。台湾人少女たちの前にも「高等女学校」「日本への進学」「職業婦人」といった「新しい未来」が輝かしく提示されている。

 それでも、その未来への扉を開くか否かの選択は、決して少女たち自身の自由意思にはまだゆだねられてはいなかった。煉瓦やコンクリートの洋風建築が建ち並び、欧米の映画が封切られ、テニスボールの弾む音が日本語や台湾語に混じって響く台中の街にも、葛藤を抱える少女たちがいた。

第一作「地上的天國~地上にて永遠に~」
台中女学校に通う詠恩(インウン)と玉英(ギョクイン)。仲の良い先輩後輩である二人だが、16歳で卒業すれば二人を待つ未来はいずれも結婚。どこかの家の嫁になってしまえば、外出もろくにできず、もう二度と会えないかも知れない。だがそんな二人の再会は、予想外の形で叶えられることに。

第二作「昨夜閑潭夢落花~乙女の祈り~」
同じく台中女学校の同級生である日本人の茉莉(まり)と台湾人の荷舟(かしゅう)。荷舟は卒業後も補習科に一年通い教師を目指す予定だったが、茉莉を待つ未来は東京での結婚だった。着実に迫りくる荷舟との別離に焦った茉莉は、とある禁忌に手を伸ばしてしまう。

第三作「庭院深深華麗島~小夜啼鳥~」
台中市内の林家の屋敷で「奥様」として優雅に暮らす若き妾の蘭鶯(ランイン)と、跡取りの「お嬢様」である女流詩人の雁聲(ガンシン)。かつて台中女学校を受験し合格していながらも籠の鳥となる未来しか許されなかった蘭鶯、誰かの妻となり林家の次代を産むことしか期待されない雁聲。二人はこの鳥籠を打ち砕くことができるのか。

第四作「無可名狀之物~夢の通い路~」
そして時は経ち、現代の台中。同性婚が法的に認められた「21世紀の自由な台湾」で、昭和11年には到底考えられなかった人生を送っている二人の女性、大学院生の蜜容(ミーロン)と小説家志望の阿貓(アーマオ)。だが、彼女達は本当に「自由」なのだろうか? 昭和11年の鳥籠は、形を変えて二人を捕えてはいないのだろうか?

 ここで、「台湾漫画」についても簡単に述べておこう。

 日本時代を通じて台湾でも漫画文化は定着しつつあった。しかし日本の撤退後、新たな支配者としてやってきた国民党政権の下では戒厳令が敷かれ、漫画もまたその表現に厳しい制約を受ける。このため台湾では海賊版という形で流れ込み非公式に販売された日本漫画が非常に人気を博し、エロ、グロなどの要素も含めて漫画家たちに大きな影響を与えた*。

 現在でも日本式の漫画文法は、アメコミスタイル、バンドデシネスタイルと並んで台湾漫画に於ける主流な文法の一つになっている。特に少女漫画に於いてはキャラクターデザインなども含め日本漫画の影響が大きい。

*著作権条約への加盟以前だったため、厳密に言えばグレーゾーン。また初期は写真製版以前だったため、台湾人漫画家による手書きコピーであり、原作に含まれる日本要素も徹底的に取り除かれるなどの加工がされ、時にはエピソード自体も新しく作られていた。この辺の雰囲気を窺うには、台湾映画『ナイルの娘』がお勧め。主人公が愛読している漫画『ナイルの娘』は、まさに手書きコピー原稿による台湾版『王家の紋章』。海外や異世界が舞台で日本要素が含まれない作品はアレンジの必要もないため、写真製版時代になるとこのタイプの導入が増えていく。

 本作は合作であり、作画を今注目の台湾漫画家「星期一回収日(シンチーイーフイショウリー:月曜日はゴミの回収日、の意)が担当し、原作は小説家の「楊双子(ヤン・シュアンヅ:ようふたご)」が担当している。両者のプロフィールは以下の通りだ。

図版4:GNN新聞掲載の写真。2020年8月の「漫画博覧会」会場では『綺譚花物語』出版記念のサイン会が行われた。左側に立つ星期一回収日先生の衣装は、『綺譚花物語』第3話『庭院深深華麗島』を意識。右側が楊双子先生。

星期一回収日
 台南出身、2015年デビュー。2018年出版の『粉紅緞帶(ピンクのリボン)』で、ロリータ服を愛好する(ことで若干周囲から浮いている)少女と、かわいいものは似合わないと自認している少年のようなバレーボール選手との間に徐々に芽生えていく友情を描き、同作は2019年の金漫獎で年度漫畫大獎(「今年度の漫画」大賞)と少女漫画賞をダブル受賞。

 2019年出版の『九命人(きゅうめいじん)――溺光(できこう)』*では高校時代のキャンパスクイーンだった美少女を中心に、「理想の先輩」である彼女に高校時代から恋していた後輩の少年と、彼女が自分にだけ見せる「優等生」ではない素顔に惹かれつつも、ふとした事情からその感情を封じる同級生の少女、両者の想いとその後を描き、2020年の金漫獎で年度漫畫大獎を受賞している。

*『九命人』は台湾でかつて人気を博したSF漫画であり、近年リバイバル。関連企画としてオマージュ作品が何作か出版され、本作もその一作。『九命人』というタイトルの由来でもある「九つの命」は、本作では「一つの恋心を自覚した際に、その恋に対して付与され、自分の想いを意識するたびに消えていく何か」として描かれた。

原作:楊双子
 台中出身の小説家。台湾の民主化に伴い、いわゆる「台湾アイデンティティ」作品が派生してくる中、台湾歴史小説のジャンルで初期から「女性目線による日本時代」を描き、更に「日本時代に於ける女性にとって唯一構築可能だった対等な恋愛関係」としての百合を描くことで「百合歴史小説」という独自のジャンルを確立した。『リリカルなのは』の二次創作を始めたのが小説を書くようになった切っ掛けであり、大衆文学やアニメ、漫画、ゲームの研究者としても評価を得ている。

 ペンネーム「双子」は日本語の「双子」に由来。元は双子の姉妹での共同ペンネームであり、妹が資料収集を担当(日本時代台湾は元々はこの妹の研究テーマ)、姉が執筆を担当していた。しかし妹は「楊双子」の商業デビュー前年に若くしてガンにより死去している(両者が小説の賞に応募するようになったのはそもそも、獲得した賞金を治療費に充てるためだった)。

 2016年の初刊行小説『撈月之人(水面の月を掬う人)』は、主人公である代々霊媒を生業とする家に生まれた女子高生が、従姉の友人である先輩の幽霊を成仏させるべく、幼少時からの友人である山神の助力を得て、その死因と現世に残る理由となった未練を探るため奔走する、というミステリー。ライトノベルでありながら、優れたグリーフケア小説としても評価を得ている。

 2017年刊行の『花開時節(花咲ける時)』及び、翌年刊行の外伝『花開少女華麗島(花咲ける少女たちの華麗島)』は「百合歴史小説」の大作であり、大正時代の富豪の幼いお嬢様「雪泥」の身体に入ってしまった現代の大学生が、一種の転生チートで「優等生」にのし上がりつつ、第二次大戦期に至るまでの昭和の女性史を「自分事」として体験し、現代とのギャップに衝撃を受けつつも名家の女性当主として成長していく姿を描いている。

 上記三作及び2017年に参加したアンソロジー『華麗島軼聞:鍵(華麗島のエピソード集:鍵)』に収録の『庭院深深(ていいんしんしん)』は、いずれも『綺譚花物語』内の昭和11年を舞台にした三篇の原型、習作としての性格を備えており、『綺譚花物語』はこれまで書きつづられてきた「百合歴史小説」の集大成であるとも言える。

 

黒木夏兒(くろきなつこ)
 重度の台湾中毒者な中文和訳翻訳者。
 2009年の初台湾旅行時に書店で台湾BL小説『虚無假設』に一目惚れ。数年後にこの本の翻訳企画を持ち込み、2013年にフロンティアワークスから『ロスト・コントロール~虚無仮説~』で翻訳者デビュー。2014年からは同一作者のサスペンスホラーミステリー『示見(しけん)の眼』シリーズを電子書籍で日本に公式展開している。2016年に台湾映画「太陽の子」字幕翻訳を担当。2019年、翻訳を長年希望していた台湾漫画『北城百畫帖~カフェーヒャッガドウ~第一巻』がデジタルカタパルトから刊行(第二巻も待機中)。同年、サウザンブックス社から刊行の『書店本事 台湾書店主43のストーリー』翻訳に参加。2021年、五月書房新社から刊行の『緑の牢獄 沖縄西表炭坑に眠る台湾の記憶』を翻訳。映画「緑の牢獄」の字幕翻訳及びパンフレットの編集も行う。

 現在はクラファンチラシを置いてもらいに東京神奈川を駆け回る日々。1010日のJGARDENにはいつも通り「プロジェクト・たいわにっく」としてサークル参加し、ブース内で原作本や仮翻訳ページなど展示の予定。

ブログ:http://www.suijintei.com/
Facebookプロジェクト・たいわにっく

こんな感じの自作チラシをただいま、あちこちのお店や映画館、台湾関連施設に置いていただいております。お見掛けの際は是非応援よろしくお願い申し上げます。

記事へのコメント

>『リリカルなのは』の二次創作を始めたのが小説を書くようになった切っ掛けであり、

ここ好き

竹崎 伸司

ほぼ偶然に高い形で第二話に出会い、読んだ時の黒木さんの興奮と熱量、そして物語の溢れんばかりの詩情が伝わってくる文章に圧倒されました。その後紆余曲折あって、4つの物語が一冊の『綺譚花物語』としてまとまった経緯も感動的。昭和11年という、戦争からは遠く戦前の豊かさが感じられる時代を選んだ設定の巧みさ、日本人と台湾人の微妙な関係の描写、非常に魅力的な画風などがこのレビューから伝わってきて、きっとこの本の日本語版を手にするだろうと確信しました

本作の第一話〜第三話までは、第二次大戦までの日本占領下の台湾のお話です。

当時台湾には日本人向けの女学校があり、台湾の名家の子女も少数通っていました。日本の女学生文化、「エス」的なものがそこにはあったようです。

ちなみに戦後の台湾は国民党による圧政が敷かれ、台湾人は中国本土から来た政権から抑圧されることになります。

そして第四話は、現代の民主化された、同性婚も認められた台湾が舞台となります。

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