舞台は近未来、植物との会話が成功したという新聞記事を読んでいた柴田文吾(しばた・ぶんご)の元に、殺人事件の一報が。現場ではサボテン好きの会社社長・大越(おおこし)が銃殺されていた。その死亡確定時刻の昨夜11時に、部屋の出入りを目撃した者はおらず、被害者の網膜に残っていたはずの犯人の映像は、両目を潰されていたことで取り出せなかった。文吾たちは昔ながらの捜査方法をして、動機のある人物・永倉(ながくら)が浮上するが、永倉には完璧なアリバイがあった。永倉が犯人に違いないと確信する文吾に、あるアイデアが……!?
しょっちゅう意見は対立するものの、互いを認め合っている父・勘太郎と息子の文吾。そして個性豊かな下ノ町警察署の面々。そこには泣ける人情話もありクスリと笑える楽屋落ちもある。一話完結で読みやすく、恋も友情も出会いも別れもあって、どんな年代でも楽しめるはず。現存するカラーページをすべて復刻版したもので、またそのカラー原稿の美しいこと。こんなもん見せられたらやっぱり復活させてくれた人々に感謝ですよねえ。