皆さんは最近、月を見ていますか?
日々の忙しさにかまけて、そういえば夜に空を見上げていないなあという方もいるかと思います。
でも、この日は月を見た方がいいですよ。
2月20日。
2019年で最も大きな満月が見られる日です。
逃す手はありません。
なんせ1番なんですから。
他の満月を見て物思いに耽ろうにも、「どうせ2月よりは小さな満月なんだよなあ」と雑念が混じってきます。
「月はいいけどわざわざ外に出たくない」
「人混みで空とか見てたら変な奴だと思われる」
「地球の周りをぐるぐるしてるだけの物体」
なるほど。
こういった意見もあるでしょう。
この記事を少し経ってから見た人は、既に見逃している可能性もあります。
そこで!
外に出なくても手軽に満月を鑑賞できるマンガが登場するんです。
マンガの中の満月なら好きなときに好きなだけ眺めることができます。
そのマンガこそが、『伊賀の影丸』です。
『伊賀の影丸』とは?
『伊賀の影丸』は1961年から1966年にかけて『週刊少年サンデー』で連載された忍者マンガです。
主人公の少年忍者影丸が、仲間とともに様々な刺客たちとバトルを繰り広げます。
能力バトルの先駆けとも言える作品で、火薬使いや幻術使いといった多彩なキャラクターが登場します。
作者は、『三国志』や『鉄人28号』でお馴染みの横山光輝です。
少年の大好きな、忍者、チャンバラ、バトル、スリル、魅力的な強敵などがこれでもかと散りばめられています。
演出もセンスに溢れているので、そりゃ子供たちが夢中になるわなと納得できる作品です。
満月の多さ
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この『伊賀の影丸』、作品自体の面白さは他の愛好家に語ってもらうとして、まあ満月が多い。
隠密行動が基本の忍者なので、夜の場面がそもそも多いです。
その中でさらに、異様に満月が出てくるんです。
30日に1回なんてもんじゃない。
体感で3日に2日は満月です。
お月見し放題。
もはやこれは、満月のマンガと言ってもいいでしょう。
よくなかったです、すみません。忍者のマンガです。
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例えばこのコマ。
月影の中で斬り合う二人。
単純に一枚の絵としてかっこいい。
このデザインの皿があったら買いたいくらいです。
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実際の満月の大きさをあまり気にせず、画面の事情を重視して描いています。
コマを彩るオブジェのような考え方なのでしょう。
こんな満月がいっぱい見られます。
では、実際にどれくらい満月が多いのか。
数えてみることにしました。
レギュレーション
・満月の出てくるコマ数を数える
・比較のため、他の月も数える
・範囲はコミックス版『伊賀の影丸』1〜15巻とする
・新月は考慮しない
満月
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調査の結果、満月(月齢15日)は131コマ出てきました。
図のように、月の全面が光っているものを指します。
三五の月、十五夜の月とも呼ばれています。
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先述しましたが、絵としていちいちかっこいい。
忍者がロープで移動する場面をこんな鮮やかに描けますかね。
この一枚だけで忍者の身のこなしの軽やかさ、忍び込み慣れた感じが伝わってきます。
しかも月があることで、一瞬だけ照らされて姿を見せたような臨場感があります。
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中盤には、ぼやけた満月も確認できました。
満月に飽きてきた読者に配慮して、別バリエーションを用意したということでしょうか。
全体を通して同じ満月の演出が続くのを嫌って、目先を変える意味で他の月を出したりしている印象を受けました。
さすが巨匠。
丁寧な仕事をします。
三日月
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満月ほどではありませんが、三日月も22コマ登場しました。
どちらかというと月齢4日辺りの形に近いものが多いのですが、4日目に該当する月の名前がないので便宜上三日月とします。
昔の人たち、マイナーな月にも呼び方を付けといてくれよ。
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影丸の話に戻りましょう。
この白と黒の使い方よ。
互いが互いを引き立てあっている。
マンガがモノクロだからこそ活きる描き方ってあるんだなあと感心させられます。
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因みに、1巻のこのコマだけは、月の向きが逆に描かれています。
太さだけで言えば、月齢で25日辺りの月でしょうか。
非常にレアなケースです。
どっちから描いたらかっこいいのかが、初期の段階では確立されていなかったからかもしれません。
この直後から三日月は、左側が空いたものに統一されます。
謎月
カップヌードルで謎肉ってありますよね。
何の肉か分からないブロックみたいな肉。
それの月バージョンが『伊賀の影丸』で散見されたのです。
通常の満ち欠けでは起こり得ない形をしている。
これを、「謎月」と呼ぶことにしました。
謎月全体では46コマありました。
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謎月の中でよく出てきたのは、この形。
左下だけ微妙に欠けています。
日常生活では、部分月食の際にこのような状態になることがあります。
部分月食は、21世紀の100年間で57回しか起きず、しかもこの形となるとさらに少なくなります。
それが『伊賀の影丸』を読みさえすれば、けっこうな頻度で拝むことができます。
お得ですね。
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欠けた部分がアクセントになり、おしゃれな感じになっているのが憎いです。
コミックス5巻から出始めたので、やはり同じ月が続くことを嫌って、目先を変える意図があるのでしょうか。
普通の月に満足できなくなった作者が遊び心を入れ始めたようにも見えます。
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他には、ダイナミックに下が欠けている月も見られました。
今回はこの月の形が最善だと判断して、それを実行できる力量がすごい。
違和感が強くて、なかなかかっこよく仕上がらないと思うんですよね。
恐れ入ります。
影丸の集計結果
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月全体では、199コマ登場しました。
満月のコマ数は131コマでしたので、全月の68.5%を占める多さでしたね。
体感3日に2日は満月って言いましたけど、本当に割と近い数字でした。
話数159話で割った比率は、約82.3%でした。
仮に満月の出てくる数を均すとすれば、5話に4話は満月が出てくることになります。
実際に満月の出てくるコマは夜に屋外で行動する話に偏っているので、そううまくはいかないんですけどね。
他の月でもいいよって場合は約125.1%あるので、なんと話数よりも月の数が多くなります。
これは驚異的なことですよ。
比較対象がないから伝わりづらいですかね。
では、比較のためにタイトルに満月のつくマンガも集計しましょう。
満月をテーマにするからには、きっと満月のコマも多いはずです。
これよりも『伊賀の影丸』の方が上回れば、満月の多さにきっと納得してもらえるかと思います。
集計するのは『満月をさがして』です。
読み方は満月(フルムーン)ね。
『満月をさがして』とは
『満月をさがして』は、2002年から2004年に『りぼん』で連載された少女マンガです。
余命幾許もない少女、神山満月(こうやまみつき)が好きな男性のためにアイドルを目指すというストーリーです。
作者は種村有菜で、『神風怪盗ジャンヌ』などで知られています。
コミックスは全7巻ながら、大きな展開が何度もあり、重厚な物語が味わえます。
主要なキャラクターの全員にしっかりとした背景があり、きちんと掘り下げられています。
アニメ版を観ていれば作中の歌のメロディーが分かるため、より一層楽しめます。
ストーリーはさておき、今回はとにかく満月のコマを探しましょう。
『満月をさがして』は「満月の出てくるコマを探して下さい」って意味でもありますからね。
フルムーンの集計結果
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『伊賀の影丸』から急にコマ割りが変わって、脳がクラクラしました。
ちゃんと満月出てきていますね。
よしよし。
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本編全30話で10回満月が出てきました。
確かに、満月の比率自体は約83.3%で影丸よりも多いです。
ただ、影丸に比べると、絶対数の少なさを感じます。
月自体があまり出てこない。
本編の補足的な位置づけの番外編4話を含めたとしても、15コマしか満月を拝めません。
これでは満月が見たくてマンガを読みたいという場合に、寂しい思いをしてしまうかもしれません。
話数で割った割合は、本編のみで約33.3%、番外編込みで約44.1%となります。
片や影丸は82.3%です。
どうですか?
伊賀の影丸のとんでもない満月の多さが分かったんじゃないでしょうか。
まとめ
以上です。
『伊賀の影丸』、満月多かったですねえ。
この作品さえ読んでいれば、満月に事欠くことはありません。
最後に、集計のコツを一つ。
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作中には、満月なのか太陽なのか分かりづらい天体も出てきます。
これは太陽ですね。
なんで分かるのか。
どうやって見分ければいいのか。
お教えしましょう。
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直前でスズメが鳴いていたら朝(太陽)です。
参考資料
『伊賀の影丸』1巻〜15巻 1969-1976 横山光輝 秋田書店
『満月をさがして』1巻〜7巻 2002-2004 種村有菜 集英社
『月学—伝説から科学へ』2017 稲葉茂勝 縣秀彦 国立 今人舎
『ビジュアル理科事典』2015 今泉忠明 樋口正信 讃岐美智義 渡部潤一 山賀進 市村均 学研プラス 東京 学研プラス
伊賀の影丸のマンガ情報・クチコミ