でぃす×こみ

結構好きだったなんちゃってBL漫画家マンガ

でぃす×こみ ゆうきまさみ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

漫画家になることが夢で少年誌に投稿し続けるが手応えなしの女子高生の主人公だが、ある日有名な新人漫画賞を取ったと連絡がきてビックリ!それもそのはず、投稿したこともない少女漫画の賞に、兄が勝手に妹である自分の名前を使用してさらに「BL」を題材にして投稿していたからだった。授賞式にも出てしまったため引くに引けず、天才の兄に支えられつ読んだことも描いたこともないBLに挑戦するのだった。 こんな漫画家マンガもアリなのね、というコメディテイストの全3巻。 あれ?あれれれ、という間に上のような状況。 展開が軽妙にコロコロと変わっていき楽しい一話目と、2話目からは四苦八苦しながらも、天才的でゆるい兄の助言を得ながら編集者にバレないように描いていく一話完結スタイルで読みやすい。 読んでいる僕自身、BLには全然詳しくなくて、さらにゆうきまさみ先生の漫画も「いつか読もうリスト」には入っているものの読んだことないというにわかだけど、このマンガのおかげでBLの読み方みたいなものが少し分かって興味を持てた。 最近話題になっているBLドラマ「おっさんずラブ」も楽しく見ることができたからBLの初心者向けの入口には良いかもしれない。 もっと読んでいたかったが作者本人がこれ以上描くのはネタギレできつい、ということで3巻でおしまいなのが悔しいというかなんというか、他はどんなバリュエーションあるの?と、もっと読んでいたかったなと思う。 一つのジャンルとしてBLは読んでいきたいと思っているけど、どこから手をつけていけばいいものか・・・。

リボーンの棋士

華々しい「舞台」に上がれなかった男が絶望の淵から這い上がる

リボーンの棋士 鍋倉夫
mampuku
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 "26歳"という年齢制限により将棋のプロ"四段"への夢を断たれた、元奨励会員の主人公。どうしても将棋への想いを捨てきれずにいた彼はアマチュアという新たな世界に出会うことで、目指すべき頂点へと再び歩み始めるのだった。  「1話でプロへの道が断たれてしまったなんて、これからどう物語にするっていうんだ」みたいな感想も耳にしました。でも実際には、将棋以外の道、アマチュアで頂点を目指す話、ハチワンダイバーみたいな話、など無限に可能性があったわけです。藤井聡太さんはマンガの主人公みたいだとよく喩えられますが、その道のスーパーホープが並みいる敵をバッタバッタ薙ぎ倒しながら王道を往くよりも、道なき道をゆく「リボーンの棋士」の冒険感のほうが個人的にはワクワクできます。  将棋の世界に関しては連日の藤井さんの報道や3月のライオン、ハチワンダイバーくらいでしか知らないド素人ですが、Tシャツにジーンズ姿で大量にフラッシュを浴びるこのカラーイラストが如何に型破りで掟破りなものであるかは分かります。でもだからこそ物語への期待が膨らむというものです。  私はどうしても、小説や漫画に限らず映画、アニメ、音楽など、楽しみ方を狭めるような消費の仕方をしたくありません。  例えば、これは何度も色んな人に申し上げていることなんですが 「『君の名は。』では二人がお互いに惹かれあう描写が希薄だったから駄目だ」 一昨年よく耳にした評でしたが、必要ないから描かれなかっただけです。スペクタクル、映像美、カタルシス、極上だった点を挙げればキリがない。 「『けいおん!』には中身がないからクソだ」なんて言う萌え豚は居ませんし 「本職のアーティストの方が上手いからキャラクターソングは無価値だ」なんていう二次元アイドルファンは居ませんし 「絵が雑だし休載ばっかり」なんてハンタヲタは百も承知なわけです。  私は絵が雑なマンガが苦手なのでハンタは読みませんが、別に否定はしません。読まないだけです。  話が逸れましたが「リボーンの棋士」には、藤井フィーバーに湧く我々素人には想像もつかなかったような"道"と"頂"を見せてほしいです。

東京核撃

日本国民は全員読むべき作品

東京核撃 細野史羽
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

核爆弾が東京で炸裂したときどうなるか、どうするかという話。 ヤマザキマリ先生の新作『オリンピア・キュクロス』を読もうとグランドジャンプをぱらぱらめくっていたら目に飛び込んできた東京での核爆発のシーン。 パッと手が止まって読み始め、引き込まれるのにそう時間はかからなかった。 壮絶である。 第一話→http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/tokyo_kakugeki.html 子どもの頃、3年ほど広島県に住んでいたことがある。 わりと大きな小学校で1学年に5クラスあり、すべてのクラスの学級文庫には「はだしのゲン」が置いてあった。 転校してすぐの頃は馴染めなかったのでずっとはだしのゲンばかり読んでいた。 特別授業というものがあって広島市、原爆、戦争の歴史など学び、課外授業で広島平和記念資料館に行ったりして原爆の現実を肌で学んだ。 もう、二度と日本で核に怯えることはないと思い、自分の中ではファンタジー化していた部分もある。 そしてすっかりその脅威を忘れて安穏と生活していた。 しかし、その恐怖が呼び覚まされることになる。 そう、北朝鮮だ。 ミサイルが日本上空を通過した。 まさかと思っていたのに。 そしてJアラートの性能を知ることになった。 この漫画は、東京・永田町に核ミサイルが落ちたことを想定し、その時どこにいて、どの時間経過でどう行動すべきかが描かれている。 これを読んだらJアラートを「どうせまた誤作動でしょ」と切り捨てることなんて出来ようがない。 誤作動だったらそれで良し、まずは自衛のため行動に移すのみと具体的な危機感を持つことができた。 グロ描写もないので読みやすい。 僕は専門家でもなんでもないのでこの漫画がどの程度のシミュレーションの上で描かれていて情報がどの程度確実なものかなんて知らないけど、危機感を持てただけでもかなりの収穫だ。 おかげで生き延びる確率が格段に上がるはず。 あとは普段から自分で調べて行った先々で軽くでいいからシミュレーションして備えることだ。 「東京核撃」が「はだしのゲン」や「サバイバル」のように傑作になり人々に目に触れる機会が増えることを祈る。 いま、北朝鮮の核ミサイルの脅威にさらされている日本国民全員が読むべき漫画かもしれない。

彼女、お借りします

いま一番好きなラブコメ

彼女、お借りします 宮島礼吏
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

AKBファンの方すいません、AKBに詳しくないのでAKB49の方が実物より面白いんじゃないかと勝手に思いながら読んでいた層なんですが、「彼女、お借りします」めちゃくちゃ好きです。 まず女の子みんな素晴らしくかわいいし、表情の変化とか躍動感とか色気とか、主人公のアホさ具合と誠実さのバランスとかいいですよね。 最近のラブコメは、主人公が猿みたいに性欲に振り回されて都合いい女性が出てくるていうのはNGな方向なのか少年マンガのラブコメではあんまり見かけなかった気がするんですが、これは主人公に性欲があって嬉しいです。 不感症なんじゃないかというくらいの鈍感さでハーレム状態作り上げてるラブコメには違和感があるんですよねやっぱり悶々としてほしい僕としては。 AKB49のときはステージに立つ者としての気構え、気持ちの熱さなどラブコメ以外の部分もベタでありつつもしっかり面白かったので楽しめましたし、なぜか勉強になるなーと思いながら読んでました。 今回も仕方ない状況に追い込まれて嘘に嘘を重ねて苦しくなっていくのも見どころで好きですし、極端にエロに走りすぎないのがいい。 そこまでたくさんラブコメ読んでるわけないじゃないですけど、いまやってるラブコメの中では一番好きです。

将棋指す獣

女性の快進撃が楽しみ

将棋指す獣 市丸いろは 左藤真通
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

「アイアンバディ」の左藤真通原作、「ミリオンジョー」の市丸いろは作画のタッグが描く、いまだかつて女性がプロ棋士になったことがない中、女性主人公が将棋界へアマチュアの大会から攻め込んでいく。 プロ棋士になるためには、2つ方法がある。 奨励会というプロ予備軍たちの龍の巣を26歳までに勝ち抜くか、プロ棋士から推薦を受けてアマチュアから「プロ編入制度」を使う方法だ。 調べてみたら、女流棋士とプロ棋士はどうやら少し違うらしい。 一話目からスピード感があって面白い。 女の子がかわいいのに男がブスでいい。 藤井聡太の現実離れした快進撃で将棋ブームに火が付き始めているらしく、知り合いがよく通っている将棋教室は今までになかった賑わいを連日見せているらしい。 さすがに漫画界もこのタイミングを見逃さないのか、ジャンプやスピリッツ、そしてバンチでほぼ同時期に将棋漫画が始まったが、一話目のワクワク感からいまのところ一番期待できそうなのがこの「将棋指す獣」だ。 やはり天才を見るのは楽しい。 いままで見れなかった景色をその目を通して見せてくれる。 楽しみがまた一つ増えた。