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法月理栄さん第11回。みんなでワイワイが楽しい「おしげさん」の騎馬戦と即席楽団。『利平さんとこのおばあちゃん』「帰省」「ハレー彗星」

利平さんとこのおばあちゃん』の電子版未収録の話を紹介する記事も11回目です。

今回は「おしげさん」を交えて、みんなでワイワイする話を紹介しましょう。

 

まずは『ビッグコミック』昭和59年8月10日号掲載の「帰省」

『ビッグコミック』(小学館)昭和59年8月10日号

夏のある日。中学の同窓会がある為、続々と村へ帰ってくる若者たち。

30歳過ぎてますが、若者と表現してもいいでしょう。

おしげさんの店に紙コップを買いに来た若者から、「運動会などよく手伝ってくれたから、ばあちゃんもおいでよ」と同窓会に誘われます。

普通村の住人とはいえ関係ない人を同窓会に誘わないと思いますが、そこは村出身の若者の温かさとおしげさんの人柄でしょう。

学校で開かれる同窓会。

皆や学校の先生に挨拶するおしげさん。

話題は当時の村長の息子で、汚職にまつわり逃げるように村を出ていった「英雄(ひでお)」の話になります。

おしげさんは昼間も会場の学校へ入る際も人影を見ており、きっと英雄君も帰って来ていると主張します。

『ビッグコミック』(小学館)昭和59年8月10日号

今や廃屋となった英雄君の家へ皆で行くと、隠れるように体育座りをする英雄君を見つけます。

全員が遠慮する英雄君を温かく迎え入れて、どうせならこの星空の下で同窓会をやろうと提案されます。

宴もたけなわになり、おしげさんから男たちの騎馬戦を「死に土産」にもう一度見たいとお願いされます。

騎馬戦に熱中し元気を取り戻す英雄君。

『ビッグコミック』(小学館)昭和59年8月10日号

「三十すぎた男が無邪気な汗を流す。ふるさとの空気はさわやかだ。」

最後のコマに書かれた法月さんの文で終わり、いつも通りのおしげさんのお節介で皆がまとまる展開の心温まる話です。

扉ページをめくった最初のコマの構図が良いですね。

村の風景と歩くおしげさんの後ろ姿ですが、手前に大きく灯篭が描かれてます。

『ビッグコミック』(小学館)昭和59年8月10日号

ただの遠景がこの灯篭で立体的になり、法月さんの上手さが伺えると思いますがどうでしょうか。

同窓会の会場となる学校は木造校舎です。

私は昭和36年に生まれ、九州の地方都市で育ちました。

小学校と中学校はこの画と同じく木造校舎でしたよ。

小学校は4年生か5年生の頃に鉄筋に建て替えられましたが、中学校は3年間木造校舎でした。

その中学校も卒業後に鉄筋に変わってます。

調べたところ、現在でも現役で使用されている木造校舎があるようですね。

文化財的な目的で保存されている建物ばかりだと思ってましたが、ちょっと驚きです。

 

次は『ビッグコミック』昭和61年4月10日号掲載の「ハレー彗星」

『ビッグコミック』(小学館)昭和61年4月10日号

「法月理栄の世界」第1回目の記事で紹介した、電子版第21話に出てくる「竹ちゃん」がおしげさんの店の前を通りかかる場面から始まります。

竹ちゃんは両親が共働きでいつも一人でご飯を食べている為、「ばあちゃんとこで夕飯食ってっか」とおしげさんが声を掛けます。

食べながら本を読む竹ちゃんをたしなめるおしげさん。

夢中になって読んでいたのは「天文ガイドブック 彗星」という本。

76年ぶりに地球付近へ戻ってきたハレー彗星に竹ちゃんが興味を示しているのを知るおしげさん。

なんと子供の時分に見た事があると言います。

調べたところハレー彗星が到来したのはこの話が掲載された1986年です。

前回の到来が1910年。

おしげさんの年齢が80歳前後だと予想出来ます。

外に出て夜空を見上げるおしげさんと竹ちゃんですが、そこへ芸術家先生が通ります。

竹ちゃんが作った「ハレーさんの歌」を歌うおしげさんと竹ちゃん。

おしげさんの「ハレーさんはまた宇宙の彼方へ行っちまって76年もけえって来んだよ。歌ぁ歌って送ってやるだに」という発言に感銘する芸術家先生。

そして「ハレー彗星に捧げる音楽会」が企画されます。

しかし芸術家先生の呼びかけで集まった楽団はちょっとばかし本格的な音楽演奏会の色合いが濃く、おしげさんと竹ちゃんは子供たちで別の楽団を作ります。

曲はみんなが学校で習った「きらきら星」。

ところが楽器なぞ普段触らないおしげさんは上手く演奏できず、子供たちから馬鹿にされてしまいます。

その場を離れ、山を歩くおしげさん。

拗ねてます。不機嫌です。

『ビッグコミック』(法月理栄/小学館)昭和61年4月10日号

笑顔のおしげさんが良いのは勿論ですが、こういうおしげさんも私は大好きです。

単に人の良いおばあちゃんではなく、おしげさんの喜怒哀楽が描かれるのがこの作品の大きな魅力と言っていいと思います。

その後皆と仲直りしたおしげさん。

最後は村から多くの人が集まり、午前3時に高台の神社の境内で自由気ままな演奏会が始まり盛り上がった様が描かれて終わります。

『ビッグコミック』(法月理栄/小学館)昭和61年4月10日号

1986年最も見頃だったらしい春先に、私は大阪から神奈川へ居を移す真っ最中でした。

その頃どうしてたのかは覚えてますが、ハレー彗星の接近に関しては全く記憶にありません。

年明けからずっと忙しく神奈川へ移ってからも何かと大変で、ハレー彗星の事は知っていたかもしれませんが興味を持つ状況ではありませんでした。

今更どうにもなりませんが、それなりの宇宙好きとしてはちょっと勿体無かったとは思います。

予想される次のハレー彗星接近は2061年だそうです。

あと37年ですね。

私は無理ですが(ちょうど100歳です。流石に生きている自信はありません)、可能性のある方は心に留めておいてもいいかなと思います。

37年後の宇宙科学技術がどれくらい進んでいるのか全く未知ですが、観測できて楽しめればいいですね。

それでは『法月理栄の世界』第12回いずれ書きますので、又お目に留めて頂ければ幸いです。

 

 

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