今日は展覧会の紹介をしたいと思います。
と言っても、大型連休に向けての案内じゃないです。会期は4月23日(日)まで。大型連休までのんびり待ってたら終わるやつです。急いで行ったほうがいいやつ。
で、渋谷のアツコバルーというギャラリーにて開催中の展覧会、『バロン吉元 / 寺田克也 バッテラ[bateira]』に行ってきました。60年代から劇画作家として活躍し、『柔俠伝』などの作品で知られるバロン吉元さんと、そのバロンさんのマンガを小学生時代に読んで衝撃を受けた世代のイラストレーター・マンガ家の寺田克也さんの二人展です。
タイトルの「バッテラ【bateira】」というのは「バロン・寺田」→「バロ・テラ」→「バッテラ」から。寿司?と思ったら、ほんらいポルトガル語の「バッテラ[bateira]」には「小舟」という意味があるそう。絵の描き込みと圧がハンパなくて、「マンガというよりアートでは?」という作品を作り続けているという点で共通している二人が、同じ小舟に乗り合わせたらどうなるか……という展覧会がこのバッテラ展というわけです。
会場のアツコバルーは渋谷の東急本店の先にあります。ファミマが入っているビルの5F。
靴を脱いで、入場料の500円を受付で払います。500円という時点ですごく安いのですが、なんと1ドリンクつき。実質タダみたいな値段だし、ドリンクを飲みながら絵を見ることができるの、すごくいい。
会場に入ると、まず寺田さんの作品が目に飛び込んできます。寺田さんの作品はデジタルとアナログが半々くらい。これはダンボール素材に紙用マーカーで描かれたもの。
これは福島のライブペインティングで、ふすまに描かれたもの。
ちなみにどの作品のタイトルも、鉛筆で直書きしてあります。中には、(おそらく寺田さんによる)ラクガキつきのものも。
会場の中央には、寺田さんとバロンさんがライブペインティングで制作中の絵があるのですが、それはいったん置いといて、その先にはバロンさんの絵が。
どーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!
写真だと伝わりにくいかもしれませんが、寺田さんの繊細なタッチの線画を見た後で、バロンさんの絵を見ると、けっこうフィジカルなレベルで驚きがありますよ。これはぜひ会場で見てほしい。
それにしても。
バロンさんって、昭和の時代の劇画のイメージが強いけど、ここで描かれている絵はその時代のものとはかなりイメージが違います。あと、メカっぽい絵も描くんだなと。
バロンさんの絵を見ていて気づいたのですが。90年代に描かれた絵もあるのですが、大きなキャンバスに描かれたものはどれもこの1、2年の作品です。
バロンさんの娘であり、この展示会を企画したプロデューサーでもあるエ☆ミリー吉元さんがちょうど会場にいらっしゃったので、そのへんの話を聞いてみました。
──寺田さんは過去に展示会を見たことがあるのですけど、バロンさんの展示を見たのは初めてで。バロンさんが絵を描き始めたのは、わりと最近のことなんですか?
描くは描いていたんですよ。80年代中頃から。その頃は「バロン吉元」じゃなく別の名義で描いていたんですけど。
──えっ、どうして?
漫画とは別にゼロのキャリアから作品を発表したかったようで、あえて別のペンネームを使っていたそうです。でも「バロン吉元」としての活動が50周年を迎えるタイミングで、絵のほうも同じ名義で、と。大きなキャンパスに描くようになったのは、大阪芸術大学で教えるようになったのがきっかけです。教授室の中で大作を描くようになって、それからは年々、作品が巨大化しています。
──それで大型の作品の年度が最近のものばかりなんですね。
さて。会場の中央には、寺田さんとバロンさんがこの会期中に描いているライブペインティングの作品があります。
これが寺田さんの作品。ペンで直接描いてるっぽいけど、下書きのあとが全然ないな……。
これがバロンさんの作品。
ライブペインティングの初回は、二人とも5時間近く描き続けたそうだが、それを見ていた客からも、自分の絵、二人が描いている絵の模写、二人の肖像画など、絵を描き始める人が続出したらしい。さらには、女の子がバロンさんの絵のところに行き、猫の絵を書き加えるという一幕も(絵の左下に描かれている)。その時は会場がかなりどよめいたとのこと。
で、このライブペインティングのラストが、4月15日・16日に開催されるのです。これはもう行くしか!
【イベント情報】
『バロン吉元 / 寺田克也 バッテラ【bateira】展』
2017年3月18日(土)~4月23日(日)
会場:東京都 渋谷 アツコバルー arts drinks talk
時間:14:00~21:00(日・月曜は11:00~18:00)
定休日:火曜
料金:500円(ドリンク付)
会期中イベント
4月15日(土)寺田克也 公開制作
4月16日(日)バロン吉元 公開制作
両日とも14時頃開始予定。
4月21日(金)19時開始
『バロン吉元 画俠伝』刊行記念トークイベント
出演:バロン吉元、山田参助、エ☆ミリー吉元 他
バロン吉元本人とその実娘でキュレーターのエ☆ミリー吉元、そして『画俠伝』編者の漫画家・山田参助が、バロン吉元作品の「今だからこその新しさ」を語りつくします。
当日は、画集の付録としても封入されているテーマ曲『揺籃行 〜画俠伝のテーマ〜』(泊+KEBABJOHNSON)の生演奏も予定しています。