あらすじ過酷な獄中生活とこの十年間の無理が、戸田の身体を蝕んでいた。戸田は目標への確かな手応えと同時に、自己の生涯もまた、確実に終末へと近づきつつあることを感じていた――だが、「まだ、私は死ねない!」苦労というものは、次から次へとよく続くものだ。これまでも何とか解決してきたが、これからも苦しんでは解決していくだろう。それが信心の力であり、信心の証明なのだ。今の私には、それしか信じられないが、それだけで十分と思っている。