縁は自分で作れる『そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~』

『そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~』

尾添椿先生の『そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~』(KADOKAWA)は様々な人が自分に悪影響を与える親=毒親とどのように物理的・精神的に縁を切ってきたかをまとめたエッセイコミックです。シビアな体験は決して気持ちのいいものではありませんが、自分の幸せを自分で選び取り、「どのような人と縁を持つかは自分で考えられる」というメッセージには安心させられます。

 

『そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~』(尾添椿先生/KADOKAWA)より

 

親というのは本来、子供にとって最初の庇護者になるべき存在です。しかし毒親とはその子供に対して、心理的または肉体的に虐待をする人たち。ある人は意思表示と親の意見が異なると「いうことを聞けない子はいらない!」と言われ、ある人は姉妹間で格差をつけられて育てられ、モラルハラスメントも受けていました。強烈な親兄弟との攻防が描かれます。「こんなことをするのか」という驚きと恐怖があります。エッセイコミックで実体験として描かれているということは、これが誰かにとっては現実なのでしょう。

 

『そんな親、捨てていいよ。~毒親サバイバーの脱出記録~』(尾添椿先生/KADOKAWA)より

 

毒親サバイバーはそんな親となんとか縁を切った人たちです。ある人は両親の戸籍から自分の戸籍を独立させて親による住民票の閲覧を制限しました。両親との連絡を絶ち、喪主になることすら拒否して相続を放棄した人もいます。それぞれが厳しい現実からなんとか脱出し、それぞれの方法で親とうまく縁を切っていきます。代わりに彼らは現在のパートナー含め、自分で選んだ縁を大切にしています。親に頼れない、むしろその親との縁を見直すために、周囲に理解者を持ち、うまく他人に頼っているのです。

今、親を含め周りの人とうまくいっている人は「そうは言っても親なのだからうまくやるべきだ。話せばわかりあえる」と考え、毒親に苦しんでいる人に親と向き合うように助言したくなるかもしれません。しかしこのエッセイを読むと、他人が口を出せるほど簡単な話ではないし、毒親に対し「このような言動をとる人とどう意思の疎通をすればいいのか」と思わされます。

このエッセイのエピソードには、これから父親と絶縁しようとする人も出てきます。このエッセイが、これから自分と親の関係を考えようともがく人の助けになることを祈ります。

 

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