ジャンプ作品より遙かに上質なエンタメ
この漫画が他の作品と比べて、優れている決定的な点はサスペンスである。 サスペンス描写が圧倒的に上手い。世界観設定に対して、キャラクター同士の命のやり取りが行われる際の‘間’の使い方、駆け引きが適切なコマ数で描写されていく。サスペンスを急ぎすぎることも、もてあそぶことも無い適切なコマ数である。線による描写はガッチリと安定感のある線で止まった時の中を表現するには運動的な線よりも、こちらの方が良いのかもしれない。ただ、線は寄生獣の作者、岩明均と似ていてこの作家特有のものは感じられなかった。
刻刻、すごく面白いのに読んでいる人も知っている人も少ないからもっと読まれてほしい。
誘拐犯VS樹里+じいちゃん(兄と樹里の父は戦力外)の戦いっていうシンプルな構図がまずいい。
派手なビームとか召喚獣みたいな異能系バトルではなく、天才同士の戦いとかでもなく、ニートを多く輩出する普通より落ちこぼれ気味の一家と寄せ集めの誘拐犯の戦いで、敵方を味方に引き入れて状況を有利にしていくリアルな戦いがすごくいい。
交渉材料が味方になったら戦闘終了後、通報しないとか。すごい地味だけどかなり一般的な感覚でリアル。
止界術で時間が止まっているから、作中の時間は全然進まないんだけど、昔にあった事件とかが絡んできて、人間関係がどんどん複雑になって、最後は誘拐犯のボスとの決闘がかなり面白かった。
止まった世界の感じとかの感じもなんかリアルに描かれてて超すごいから、マジでいろんな人に読んでほしいわ