人間のリアリティ
ストーリーもさることながら、刻刻は人間の描き方がよかった。とくに家族側の俗物のお父さんが印象的だった。普通バトルものでは味方サイドの人間は成長する。それは大人でも、子供でも関わらない。良い見せ場を作り、退場したり、心を入れ替えたりする。しかし、お父さんは最後まで俗物のままである。 主人公や他の人物たちも成長というよりは、見えていなかった本質が徐々に見えてくるという形をとっている。この分かりやすい成長譚でないところが、自分には面白かった。ニートの翼が急に大活躍したりもしない。力を持っている人間が、ただ力を使う。 大きな出来事が起こるからといって人が変わったようになる、なんてことはなく、その本質が出る。そういう意味だとある意味リアルだなと思った。