あらすじ止まった世界に絶望する時、人は神へと変貌してしまう。「神ノ離忍(カヌリニ)」という名の異形の神に。樹里(じゅり)は涙を流す――兄の翼(つばさ)が、成す術も無く変化する姿に。間島(まじま)は虚ろな眼を向ける――父が最後にあらわした真実の姿に。共に自分の家族を救いたいと願う2人の女は憎み合いながらも共同戦線を張る。それは、神ノ離忍を故意に呼び出し、その魂を解放するという危険な作戦であった。
この漫画が他の作品と比べて、優れている決定的な点はサスペンスである。 サスペンス描写が圧倒的に上手い。世界観設定に対して、キャラクター同士の命のやり取りが行われる際の‘間’の使い方、駆け引きが適切なコマ数で描写されていく。サスペンスを急ぎすぎることも、もてあそぶことも無い適切なコマ数である。線による描写はガッチリと安定感のある線で止まった時の中を表現するには運動的な線よりも、こちらの方が良いのかもしれない。ただ、線は寄生獣の作者、岩明均と似ていてこの作家特有のものは感じられなかった。