弥次喜多 in DEEP
まず、絵柄で好き嫌いがあるかと思います。私も始めは苦手な絵だなと思って読んでいたのですが、世界観が幻想的で不可思議なギャグに笑いつつ、心動かされ、ハマっていきました。作品世界にどっぷりつかれて濃密な体験ができる漫画です。
恐らく弥次郎兵衛と喜多八は他者の走馬灯に入り込む事ができる。死の直前のタヌキや隠れキリシタン、オカマや鳥が生前叶えられなかった望みを肯定するのが彼等の仕事であろう。こういった現実が幻覚か、判別の付かない物語は古くから文学などにも存在するアイデアである。しかし、この漫画がそれらと一線を画すのは、ギャグ漫画として描かれているからだ。どんなに荒唐無稽な事が起きても、結局夢オチという本来許すまじ物語もギャグ漫画というジャンルであれば何が起きても許せてしまうのである。現に普通のギャグ漫画ですら、あり得ない事の連続の描写でリアリティが無いなどと冷静なツッコミなど入れないだろう。
しりあがり寿の、ギャグで世界を変えようとする覚悟のある線が生き生きとこちらを誘ってくるのだ。物語の後半、彼はニーチェの超人思想をテーマに話しを展開していく。それは、このギャグ漫画を無意味な物語にしたくなかったからであろう。
お伊勢さん……そこにいけば、ふたりは幸せになれる……。ドラッグ中毒に苦しむ喜多さんと、その優しき恋人・弥次さんは「お伊勢参り」の旅に出た。光と陰、生と死、妄想と現実が入り交じり、道ならぬ仲のふたりの前に、道はつづく。ご存じ弥次喜多、愛と命の道中記がはじまる!
お伊勢さん……そこにいけば、ふたりは幸せになれる……。ドラッグ中毒に苦しむ喜多さんと、その優しき恋人・弥次さんは「お伊勢参り」の旅に出た。光と陰、生と死、妄想と現実が入り交じり、道ならぬ仲のふたりの前に、道はつづく。ご存じ弥次喜多、愛と命の道中記がはじまる!