🌏海外マンガの情報が何でも集まるトピマチュー・バブレ/Mathieu Bablet ペネロープ・バジュー/Pénélope Bagieu ダニエル・クロウズ/Daniel Clowes ニック・ドルナソ/Nick Drnaso アンナ・フィスケ/Anna Fiske キム・ジェンドリ・グムスク/Keum Suk Gendry – Kim リトルサンダー/Little Thunder リチャード・マグワイア/Richard McGuire メルワン/Merwan ルネー・ノールト/Renee Nault ルーク・ピアソン/Luke Pearson シリル・ペドロサ/Cyril Pedrosa ダヴィッド・プリュドム/David Prudhomme パコ・ロカ/Paco Roca ティー・ブイ/Thi Bui エイドリアン・トミネ/Adrian Tomine バスティアン・ヴィヴェス/Bastien Vivès ティリー・ウォルデン/Tillie Walden http://www.idea-mag.com/idea_magazine/393/ http://www.idea-mag.com/wp/wp-content/uploads/2021/03/idea393_cover_S.jpg
『テヅコミ』にも『メトロポリス』の二次創作を寄稿していたマチュー・バブレ氏が2016年に出版したディストピアSFです。先月に邦訳版が発売され、その電子版もこの度配信され始めました。 太陽が超新星爆発を観測しようとする青年からスタートするプロローグ。そこから100万年後のお話としてストーリーが始まるスケールの壮大さにまず惹かれます。 広大無辺の宇宙空間における、ちっぽけな人間にとってはあまりにも巨大すぎる現象も含めて、美しいヴィジュアルで物語られていきます。 バンドデシネらしい緻密な画風で、ほとんどのコマが背景までみっちり描き込まれているので物語への没入感を強く高めてくれます。コロニーの中の小さなユニットでの生活が見てとれるような描写など、好きです。 「音楽は? 文学 芸術…学問は? それは無から心の奥底から立ち現れる恩寵の輝き 人間は消費のみの存在ではない」 といったセリフに見て取れる言葉選びも好きです。 とある衝撃的なシーンと、そこで爆発する感情には大きく心を動かされました。どんな遥かな未来となりテクノロジーが進歩しようとも、人の人たる所以ら変わらないのはSFらしいテーゼを感じられるところです。 反物質、ホモ・ステラリス、アニマロイドなどさまざまなSF的単語が飛び交いながら、ドラスティックに進んでいくドラマに、気付くと夢中になってページを捲っていました。 ハードで骨太なSFを楽しみたい方にお薦めです。