ベテラン作家の埋もれていた名作短編が待望の復刊! 現在入手困難となっている『片々草紙』(1992年/話の特集刊)から8作品、また近作2本(「アックスVol.108」「キッチュ 3.5号」)を収録。 普通に生きる人々の人間味溢れる物語を飾ることなく描き、また近作では最後まで枯れることのないあからさまな人間の煩悩を、著者自身も長年経験した介護の現場を舞台に、圧倒的な画力と巧みな人物描写で描かれたドラマは絶品! 恋愛、夫婦関係、介護、孤独な老人、と重たくなりがちなテーマを、気取らず自然体で、善も悪も平等に織り交ぜて描く事の出来る著者は日本マンガの歴史においても貴重な存在。2017年12月より「ビッグコミックオリジナル増刊号」にてシリーズ連載『ぼっち死の館』を開始、と70歳をすぎてもマンガ表現にさらに磨きがかかる齋藤なずな、久々の作品集です。 収録作品 「夕暮れへ」「沖の稲妻」「インコの神」「ドッグフードを買ってお家に帰ろう」「カウントダウン」「螺鈿の舟」「銀杏」「スカートの中」「トラワレノヒト」「ぼっち死の館」
著者が6年がかりで描き下ろした意欲作。敗戦の気配を察知して日本に絶望する虚無的な小説家と、過去に女郎屋、飲み屋で働いていた不感症の女。戦争に生かされた二人の刹那的な同棲は、空襲の日々で高ぶり、そして終戦で終わりを告げる…。戦争への興味から坂口安吾の異色作に入り込み、膨大な資料による時代考証と、原作であるGHQ検閲前の無削除版「戦争と一人の女」、「続戦争と女」「私は海をだきしめていたい」を一つの話に構成しマンガで表現。坂口安吾と近藤ようこのコラボレーションによる最高傑作が遂に誕生!
14頁の描き下ろしと膨大なる加筆修正により、著者の代表作品がついに復活! 著者の思い入れが窺われるほどに緻密な手直しでより濃厚な仕上がりで、薄幸の少女「みどりちゃん」の頬につたわる涙もグッと心に迫る、これぞ新生「少女椿」也! この商品に対するお客様の声
小説を真似た連続毒殺事件発生。犯人の狙いは作者である猟奇推理小説家垂紅介なのか? 表題作「月喰う蟲」の他、「マンガの鬼」に発表された「モチーフ」もあらたに収録した改訂版。光と闇が錯綜する傑作短編集。
ジャカルタ、カメルーン、イラン・イラクの国境、そして東京、とそれぞれの場所から時空を越えて召喚されたそれぞれの人達のそれぞれの人生が、「ヴァルファールト」と名付けられた一台の傷ついたピアノの運命と共に奏でられる。シマトラ得意の思わせぶりな間と時間の交差の連続の中で、自由自在に流れていく物語は、いつしかトロイメライに託された、ピアノが見続けてきた夢へと変調して行く…。お待たせしました、シマトラ待望の第三作。そのずばらしき秘密を御覧あれ~。
「ガロ」掲載作を全網羅 「ねじ式」(オリジナル2色バージョン)「噂の武士」(4段組バージョン)他、 65~70年発表の代表作を初出誌サイズで一挙に再現。 単行本未収録を含むカットやエッセイも可能な限り収録し、 単行本により微妙に異なっていたセリフもオリジナル無修正版とした定本的集成。 完全作品リストを始めとする最新版年譜を付した決定版!
代表作「くそばばの詩」ロスト・エピソード、「2年D組上杉治」幻の最終話も収録! 初期代表作+未収録作で唯一無二の天才劇画の真価を問う! ひよこ書房(大西祥平)が作品セレクト&3万字インタビューを担当。
貝に嘗めとられてしまった少年と巻き貝の子供。二人の少年が摩訶不思議な場所を彷徨い旅をする、奇妙な行きて帰りし物語。アックス誌上で連載された「空の巻き貝」を大幅に加筆修整再構成。 解説/町田康
「1970年代前半から中盤にかけて、松本さんは人知れず、自身のキャリアの真骨頂とも言うべき作品群を発表していたのだ」──大西祥平 解説より 「駒画」の提唱者にして後に続くオルタナの始祖、松本正彦が到達した叙情作品を一挙収録! 著者について 1934(昭和9)年11月24日、大阪市都島区に生まれる。9歳の時に父が病死、45年3月、太平洋戦争で空襲が激化、都島で空襲を受け、街は壊滅。母と妹とともに、焼夷弾の雨の中を死体を踏みながら逃げまどう経験をする。その後避難した堺でも空襲に遭い、大きなトラウマを残す。中学時代、級友の影響で手塚治虫作品にのめり込み、定時制高校在学時に手塚宅を訪ね、マンガを語る手塚の情熱に感動。処女作「地球の最後」を一気に描きあげ、大阪の小さな出版社、東洋出版社(のちの八興/日の丸文庫)に持ち込みをする。「地球の最後」は採用されなかったが、続いて描いた「ユーモア学校」が「坊ちゃん先生」と改題の上採用、デビューとなる。54年、八興で辰巳ヨシヒロと出会い、交流が始まる。「ユーモア学校」「サボテンくん」など、日常のリアリティに根ざしながら斬新な構図を取り入れた作風は従来のマンガ表現の一歩先を行くものであった。55年には八興より人気と実力を買われ、それまでと比べ大判のA5判単行本を手がけるようになり、「快男児」「地獄の顔」「金色の悪魔」を執筆。また56年1月に発表した描き下ろし単行本作品、私マンガ的メタ・コミックの形式をとった「都会の虹」で、オムニバス形式に挑戦。これがのちに短編集『探偵ブック 影』へと発展。56年4月に『影』に発表した短編「隣室の男」は、その後「劇画」と呼ばれることになる新たなマンガ表現の原型として大きな影響を与える。56年8月大阪天王寺区細工谷町で、同じく八興日の丸文庫からデビューしていたさいとう・たかを、辰巳と三人で合宿。「新しいマンガ」について日々激論を交わし、結果、56年9月、新たなマンガの手法を示す言葉として「駒画」という呼称を思いつく。後に辰巳ヨシヒロが提唱する「劇画」より一年以上先んじたアイディアであった。57年暮れ、新たな活躍の場を求め上京。折からの貸本マンガ短編集ブームで多忙を極めるが、それがかえって粗製乱造を招き、また貸本マンガ業界の凋落もあり、63年頃からは「土曜漫画」などの大人漫画に新天地を求める。70年代に入り、ひばり書房の描き下ろし単行本「かあちゃんキック」(72年)、「パンダラブー」(73年)でギャグマンガを手がける。72年頃から、『土曜漫画』、『リイドコミック』などに叙情的な佳編を発表して新境地を開拓。その後、79年より小学館『ビッグコミック増刊』に「劇画バカたち!!」を不定期連載(84年まで)。87年からは切り絵作家に転向。年に数回、個展を開く。2000年、ギャグ作品「パンダラブー」が突如再評価され、ひよこ書房からインディーズ出版(のちに描き下ろし新作を加え、2002年、青林工藝舎から再出版)。2003年8月、スキルス性胃ガンが発見される。2005年2月14日、胃ガンのため永眠。没後、初期劇画への功績と、それまでは知られていなかった70年代の叙情的作品への評価が高まり、その先進性、重要性が改めて注目されている。2009年9月現在、カナダおよびフランスで、過去の作品を集めた短編集が企画進行中。
希望に胸躍らせ上京、しかし大学では彼女も出来ず、冴えない毎日を悶々と暮らす拓郎の前に、150年の時を経て甦ったお市ちゃん(事情有り)が現れる。可愛いのか気持ち悪いのかよく分からないが、不思議な力を持つお市、そしてロックに生きることを目指し、日々の不安と怒りと焦りをバンド活動にぶつける拓郎、そんな二人に待ち受ける運命とは…。何かをやりたい、何かを見つけたい!でもこんな俺に一体何が出来るんだ!?…。かっこ悪くて不器用にしか生きられない若者の切なくも熱を帯びた青春物語!
モブキャラ(通行人)にはモブキャラなりの人生がある。 地元の短大にどうにかこうにか入学したボンクラな男の青春譚。 彼女もいない、人生になんの目的もない主人公・歩留よしおが見出したものとは?
何もないけどそれなりに幸せ。 身近にいたら地味に面倒くさいけど、名もなく貧しいながらもそれなりに楽しく生きている、12人のおじさん達の物語。ユルめな雑草系人間賛歌! 『アックス』の連載に描き下ろしを加え単行本化!
よしっ ミチルちゃん 行きましょ 行くって どこに 行くんだよ 80~90年代に発表された単行本未収録作品集。カラーマンガ「葉子の庭」16頁収録。
80年代を間近にひかえた秋の頃ーー ヒネヤ商店街は、今日もにぎやか…… どころじゃない!! 騒音、異臭騒ぎ、公権力介入、デモ、路上演劇、乱闘… 商店街の喧騒をよそに、カナエカナコはいつものマイペース。そして、コミュ力不足は健在です。 前作「チュウチュウカナッコ」に続くカナッコシリーズ第二弾!!
70年代も終わり。そんな頃ーー 福々軒のウエイトレス、カナエカナコはコミュニケーション能力ほとんどゼロ。そんなカナコと、わりと人生下手、かもしれない人々による、ペーソスあふれるキュートなボンヤリ物語。 ヒネヤ商店街は、今日もにぎやか。
パーティで知り合った作詞家の北川進と若い女性ナナ。肉体の渇望と孤独を埋めあう二人の不安定な関係をバックに、変化と崩壊を生んだ80年代を総括しながら近未来のphを模索する、マンガ表現の限界に挑んだ問題作。
〝普通の人生〟の裏側には 〝激情の人生〟が隠れている。 その狭間に彷徨う人の心を丁寧にすくい上げ、 見事に物語として仕立て上げた初期傑作短編集! 1986年『ビッグコミック』誌上で「昭和61年度前期ビッグコミック賞入選作として掲載された「ダリア」を含む12作品を収録。 ◎収録作品 「ダリア」「春嵐」「多夢気(たむき)」「春の靴」「桜花」「やびぁ!」「玄関」「お茶の時間」「銀杏(いちょう)」「富士」「陸に上がる魚」「夜鳴く鳥」
バンドブームも去り、32才になった中島は、ロックであることの意味に行き詰まる。そんなある日、ライバルの岩本の体に異変が…。ロックとは何か? ロックに生きることとはどういうことか? 自己を疑い、自己を信じながらも葛藤を続ける中島の前でロックの神様が歌う…。 夢だけでは進めない、そして後戻りもままならない年代の苦悩が胸に迫る、日本のロックミュージシャンのバイブル「アイデン&ティティ」第三部、遂に完結!
蛹の中の生あたたかい鼓動に包まれ、 生えたばかりの羽に抱かれ、 少女は何を夢見る、何をたくらむ…。 だれもが心の底にかすかに記憶している奇妙な感覚が、少女のエロティズムの匂いと一緒に脳裏の中に甦る、なぜか奇妙でどこか懐かしく、そんな絶対的な孤独を密やかな線で描いた短編集。 第二回アックスマンガ新人賞林静一個人賞受賞を果たし、アニメーション「電車かもしれない」で注目を集め、また立体作品「はこにわ虫」で草間彌生賞を受賞する等、様々な才能を発揮する奇才の新人作家、初の作品集!収録作品 「小林加代子」 「2001年版逆さの思い出」 「はこにわ三部作」 「おしゃれ」 「楽しいい生活」 「美しい町」 「虫時計」 「てんとう虫のおとむらい」 「爪を切った夜のこと?22」 「雨の白シャツ」 「一本目の傘」 「つめきり物語」
本当の、家族って? 友だちって? 恋って? そして私だってチヤホヤされたい!! 謎の仕事をする父親とおおざっぱな母親と暮らし、友だち(?)からは“ブー”と呼ばれ、情けない目にあってばっかりの女子高生・桃子。 彼女の想いはクラスのみんなに届くのか?
何故?彼らはここにいるのか… 福満しげゆき幻の初期短編集「10年たって彼らはまた何故ここにいるのか…」(幻堂出版)収録作品に加え、描き下ろし最新作「さらに10年たって彼らはまた何故ここにいるのか…」、デビュー作「娘味」ほか初期傑作短編を収録。
恐らくご自身と同年代を主人公に描かれているので、新しい作品になるほど登場人物も年を取り、内容も「老い」や「死」についてが中心になりますが、表現する力はよりイキイキとしているように感じます。 どの作品もまるで存在したかのようにリアルな人物描写なので、ストーリーというよりも人生を読んでいるようです。年齢や境遇によって読後の感想も変わると思うので、次に読み返した時に自分が何を思うのかも楽しみです。