映画化もされたタイトルであり、この作品を読んだ方もそれなりにはいるかとも思います。
前の2作品(文庫版が手に入りやすいのではないかと思います)は、バンドマンの主人公である「僕」(恐らくみうらじゅん自身を投影している)の焦燥を題材にした、青春を描いた作品なのですが、この作品はみうらじゅんが友人に捧げた鎮魂歌である、とも言えると思っています。
前作から登場していた、岩本という男がいます。バンドマンから転身し、タレントとして成功を収め、芸能人として「僕」の生き方を笑う-
そんな嫌味なキャラなのですが、この作品で岩本は癌に冒されていることが発覚します。
タレントとして虚栄を張っていた岩本ですが、病床で「僕」に対して「歌いたい」と、本音を打ち明けます。
この岩本という男には、モデルとなった人物がいます。まだ学生だった頃ですが、その人物の闘病記を読んだことがあり、闘病中にレコーディングしたアルバムも聴きました(そのアルバムにはみうらじゅんも参加しています)。
劇中で、岩本は闘病しながらライブで歌うのですが、モデルとなった人物もまたライブで歌いました。
マンガとこの人物には相違点もあるのですが、大切な友人を亡くしたことが、この作品を描くきっかけになったのだろうと思います。
今の自分より若くして旅立ったその男性の名前は、池田貴。ほとんどの方はその名前では分からないと思います。池田貴族という芸名でも、分かる方は恐らくある程度の年齢以上にはなると思います。
彼が残した最後のアルバムへの、みうらじゅんの「貴族、歌えるのか?」というコメントがとても印象に残っているのですが、YouTubeにはそのアルバム「MiYOU」の楽曲があるので、もし良かったら聴いて貰えれば、とも思います(アルバムのタイトルは、遺していった幼い娘さんの名前です。その子が成長してアイドルになり、結婚·出産をしたと知り、年月というものを感じています)。
作品の話からは逸れている気もしますが、この作品にはそんなモデルがいた、ということを知ることでまた違う風景も見えるのではないかと思います。

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