怨みを晴らす行為は、最終的には虚しさが残るだけなのかもしれません。ただ、怒りというものが与えてくれる力もまた、生きる糧となるとは思います。
個人的な話ですが、自分に謝りたいとか詫びたいと言っている人間の話を聞きました(仕事とプライベート、それぞれ1人ずつです)。正直な感想ですが、一生抱えてろとしか思えません。自分に対して負い目があるからなのですが、彼らの行為を許さない自分の狭量さとともに、その怒りを自分は日々のエネルギーに充てています(自分にとっては話のネタにしている部分もありますし、狭量さを笑い話にもしています)。
自分の遭ったひどい話を客観視して笑いに出来ているうちは、多分大丈夫だと思います。
笑い話に出来ないようなシリアスを抱えている方が、この作品を読んで、慰みとなるならば幸いなのではないかと思います。
他者を支配したいという欲求を持っている方は、この作品を読んで震えて下さい。
そして、他者から怨みわ買うような行為はなるべく避けなければなあと凡人は思ったりもします。今後の復讐に期待してます

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夫を社会的に抹殺する5つの方法 【単行本版】 三田たたみ
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三田たたみさん原作の、今年の初めにドラマ化もされた作品です。 元々は縦スクロールのフルカラー作品でしたが、単行本版として一般的な左捲り見開きマンガとしても今回発売されました。 最近また「旦那デスノート」における旦那の飲食物に不凍液を仕込み続けて秘密裏に衰弱させる手口が話題になっており戦慄しましたが、事実は小説より奇なり。とはいえ、言うまでもなく重大な犯罪ですのでそんなことは絶対にしてはいけません。 現実でひどい夫に苦しめられている妻の方は、せめて本作を読んで溜飲を下げるくらいにしておいていただければと思います。 こちらはモラハラやDVが酷すぎる旦那に対して物理的・精神的に復讐を果たしていく物語で、激しい抑圧からのカタルシスが描かれます。読んでいて妻のあまりの窮状がかわいそうになり、ただ殺すだけでは飽き足らない生き地獄を味わわせるための復讐に駆られるのも無理からぬことだと感じます。 主人公にはこんな男のことは人生のゴミ箱からも削除して20代の内に新たな人と新たな幸せを見つけて欲しいと思いますが、それでも復讐せずにはいられないほどの辛み、悲しみ、苦しみ、憎しみが募ってしまっています。 人が鬼と化するほど傷つけられた心というのは外からは見えないですし、ましてや傷つけた方は軽い気持ちでしかないというのがえてして不条理です。 不倫や夫への殺意などのキーワードに引っ掛かる方にお薦めします。
魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春
長い時を経て #1巻応援
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ナベテツ
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原作小説を読んだのは中学生の頃、近所の図書館で借りたことがきっかけでした。30年後にこの作品がコミカライズされると聞かされたら、少年はどんな感想を抱いたのでしょうか。 ドラクエなどのRPGに多大な影響を与えたウィザードリィ。死亡したキャラの蘇生に失敗すると灰になり消滅してしまうというシビアな設定が、この世界を伝える物語のタイトルとなり、やがてコミックへと転生を遂げました。 版権の都合で、ウィザードリィの固有名詞は一切使えず、アイテムや呪文、固有のモンスター名などは全て変わっています(ガディは原作よりだいぶおっとりしてる気もします)し、気を抜くと先の展開のネタばらしをしてしまいそうになりますし、ここでもなるべく注意をして言葉を選びたいと思います。 昭和~平成のファンタジーのコミックも好きなタイトルはあります。ただ、令和に描かれるとやはり迫力が違うなあと感心しますし、(物語を既に知っているとはいえ)迷宮での冒険がどのように描かれるのか、展開を楽しみにしています。ペース的に、原作を描ききるには相応の話数が必要だとは思います(稲田先生はかなり丁寧にストーリーを紡いでいますし、連載の継続の一助にでもなれば、との思いでこの口コミを投稿しています)。 魅力的なキャラはこれからも沢山登場しますし、日本のファンタジーの金字塔として語り継がれるベニー松山さんの傑作を、1人でも多くの人に知って貰えれば(原作小説、紙だと高騰してるんですよねえ。電子で簡単に買えるんでまあ良い時代になったなあと思います)。 続編の「風よ、龍に届いているか」や外伝の「不死王」もコミカライズされて欲しいもんだと、古いオタクは願ってます(不死王はKindleで100円ですからほんと良い時代です。一応紙でも持ってます)。
機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
幻獣達の物語
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ナベテツ
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ジョニー・ライデンという名前を知ったのは、テレビのガンプラのCMでした。アニメには出ない、設定先行のキャラであり、知名度と実像が一致しない、謎めいた呪文のような存在でした。 ガンダムを下敷きにしたアンソロジーなどでその姿を描かれることがあり、短編は幾つか持っていますが、26巻ものサーガになるとは思ってもみませんでした(沖一さんの短編集が佳作であると思います)。 一年戦争の最中、エースパイロットを集めたジオンのキマイラ大隊。多くの謎を残したまま闇に消えた「幻獣」。エース達を率いたジョニーに関しても、様々な噂が錯綜しており、それが様々なジョニー像の由縁であると作中で語られます(この辺がアークさんの作劇の巧みなところだと思います)。 作中はZZから逆シャアの間の時期であり、他の 作品で語られて来なかった空白の時代でした。制約のある中、過去作の登場人物やMSを絡め、先行作品へのオマージュやアークさんの過去の作品との関連性もあり、宇宙世紀に描かれた新たな歴史の一篇として、この作品の完結を祝いたいと思います。宇宙世紀の物語を知らない人にはちと勧め辛い作品ではありますが、戦闘シーンの格好良さも含め、ガンダム好きに勧めたい名作です。
がんばりょんかぁ、マサコちゃん
誠実な官僚と陥穽 #1巻応援
がんばりょんかぁ、マサコちゃん
ナベテツ
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以前に赤木雅子さんと相沢冬樹さんのノンフィクションを読んでおり、連載が始まったと知った時、単行本を楽しみにしていました(確か6月くらいに発売予定が出たので、伸びたのにやきもきしていました) 流石に森友事件を知らない人はいないと思いますが、幸福な夫婦を襲った不幸な事件であることは、論を俟たないところです。 赤木さんという人は、官僚として誠実に職務を果たそうとした人でした。本来の官僚というのは全体への奉仕者であり、特定の人間への利益を優先させるようなことを許容することは自己の存在を否定する事になります。己の職務が犯罪へと繋がるとなれば、官僚でなくとも耐え難いことでしょう。まして、仕事にプライドを持つ人であれば、その苦痛からの解放のために「最後の手段」を用いてしまったことへ何か言うことは出来ないと想像します。 ただ、遺された家族は違います。誠実に生きた人生に何が起きたのか、その事を知り、故人の名誉や尊厳を取り返す権利があります。たとえそれが権力者にとって不都合な出来事であったとしても。 この物語は、遺された妻の戦いの物語です。これからどれほど険しい旅路が待つのか、読者はただ見守るとしかできません。でもささやかながら、マサコちゃんへエールを送れればと思います。
1978年のまんが虫
まだサブカルという言葉も無い時代に#1巻応援
1978年のまんが虫
ナベテツ
ナベテツ
若くして成功を収めた作家に対して、その才能を讃えたり、羨望の眼差しで見つめても、その労苦へと想像力の翼を伸ばすことは難しいのではないかと思います。 作品がヒットして経済的な成功を得たとしても、その裏でどのような苦労を抱えたり葛藤を抱いているのか、受け手が知ることは叶いません。勿論、クリエイターに己の事情を明かす義務は存在しませんし、秘すべき事柄であるのかもしれません。 ただ、どれほどの才能を持っていても、彼ら彼女らも人間です。嬉しいことがあれば喜び、悲しいことには涙する。そんな素顔が垣間見えることが、漫画家マンガというジャンルの魅力の一つなのではないかと思います。 この作品は細野不二彦先生(作中では細納不二夫)がデビューに至る迄の物語です。進路に迷い、不確かな未来への夢と現実との間に揺れるその様は、多くの人々と変わらない、等身大の青年の姿です。 一人の青年の青春譜は、その時代を瑞々しく描いており、当時の世相を知ることが出来る一級品の資料としての価値もあると断言します(ヤマトからガンダムへの間を知ることが出来る作品を、自分は寡聞にして知りません)。 同級生の天才達(河森正治さんと美樹本晴彦さん)やトップランナー(高千穂遥さんや宮武一貴さん達)との交流は、自分の知らなかったことでしたし、日本のサブカルの歴史のページとして広く知られ、読まれて欲しいと願う作品でした。長々と書いてきましたが、シンプルに面白い作品なので、まずは試し読みから是非。
「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~
彼らの存在
「神様」のいる家で育ちました ~宗教2世な私たち~
ナベテツ
ナベテツ
7月の銃撃事件が起きたことにより、本来著者が描きたかったこととはまた別の意味を持つことになったことが、作品にとって幸福なのか不幸なのかは分かりませんが、この国において、他者を搾取する新興宗教が存在する限り、この本は読まれ続けるべきだと考えます。 実在の宗教団体の信者を親に持つ、7人の体験を元にしたノンフィクションは、読者にとって決して遠い出来事ではありません(実際、それらの教団の施設は、身近な所に存在しています) 人間の悩みを減らし、心を救済することが、宗教の本来の目指す姿だと、個人的には考えます。ここで描かれる宗教は、共同体によるぬくもりを与えながら、そこではお布施という名前の収奪が繰り返される、どこまでも「汚い」現実が描かれています(お布施以外にも、様々な形での収奪が描かれています)。 最初の連載が、ある団体からの圧力で中止に追い込まれたことが、後書きにより明言されています。恐らく、広告出稿という形で、様々なメディアに圧力がかけられているであろうことも、容易に想像させられます。 言うまでもないことですが、人間は生まれてくる場所を選ぶことは出来ません。全ての宗教2世に、魂の休まる日が 訪れることを、願います。
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結婚一年目、幸せな専業主婦だった茜(あかね)は、夫の大輔(だいすけ)によって絶望の淵に叩き落される。日ごとに増える暴力、モラハラ、性暴力……。少しずつ心を壊し、夫の言いなりになっていく茜。それでも『子どもさえできれば彼は変わってくれるはず』そう信じていたのに――! 夫に裏切られ、命より大事なものを奪われた茜が選んだのは、復讐という修羅の道……「簡単には殺してあげない。生き地獄をアナタに味わわせてあげる――」
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