たぬきときつねと里暮らし

かわいい動物たちと田舎暮らし…かと思いきや。#1巻応援

たぬきときつねと里暮らし くみちょう
nyae
nyae

表紙のかわいいふたりは、たぬきときつねが人間に化けた姿。主人公・泰葉がうっかり餌付けをしてしまったばかりに懐かれてしまいます。泰葉とこのふたりが織りなすほのぼの田舎暮らし漫画、かと思いきや、伏線ぽいものが張られていたり、ビックリなことが急に判明したりします。 元々ブラック企業に勤めていた泰葉でしたが、きっぱりと仕事を辞めて心機一転、秩父に住む祖母の家に引っ越してのんびり田舎暮らしを始めた初日にふたり(2匹)に出会います。 いかにも天然アホの子なたぬき・ももと、しっかり者と見せかけてこちらも天然アホの子なきつね・いち。このふたりの可愛いこと。もうそれだけで読む価値があると言い切れます。なのである意味ただのほのぼの漫画としても読めます。 泰葉が元社畜というのもあり、ちょっと顔が疲れてるところとかがやけにリアルで、泰葉が心穏やかに過ごしてるのを見るだけでなんだかこっちもストレスが減るような気持ちに。 3人以外にも、おおらかな泰葉のおばあちゃんや、幼なじみ(らしい)祐介くんの活躍も楽しみですし、まだビックリが隠されているような雰囲気があるので先が気になります。

ワンナイト・モーニング

ワンナイトからの朝ごはん

ワンナイト・モーニング 奥山ケニチ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

一話完結でタイトル通り、男女のワンナイトとそのあとの朝ごはんの話。 読切の第一話が読めていないのだけど、連載開始の2話から読み始めた。 面白い。 奥山ケニチさんのこちらの読切『磯辺くんとパンツ』も読んですごくよかったので今後追っていきたい。 http://www.moae.jp/comic/thegate_isobekuntopants 本当にワンナイトこっきりもあれば、二人の続きを想像させてくれるものもありニヤニヤする。 それにしても、なんだろう、ワンナイト明けの朝ごはんがもう美味しそうで美味しそうで。 前日から漬けておいたフレンチトーストみたいなもので、ワンナイト→朝ごはんの時間経過で、二人の間の親密性という甘い隠し味が読者によく沁みていて食事単体よりも美味しそうに見えるのかもしれない。 不思議だ。 これは発明なんじゃないだろうか。 その朝ごはんにはなにか儀式や通過儀礼にも似た神聖ささえあるような気がしてくる。 暗黙の了解、無言の約束事みたいな気持ちの良いものがそこにはある。 そういえば、映画『モテキ』で森山未來と長澤まさみがベッドで目覚めて、水を飲むか聞いた長澤まさみが、口に含んだ水を森山未來に口移しで飲ませるシーンなんかはもう最高だった。 これは僕の人生ベスト朝ごはん賞に入れたいシーンだ。水だけど。 一晩明けたあとの男女の少し曖昧で甘くて気持ちのいい関係に浸れるいい漫画。 これからはどんなパターンで見せてくれるんだろうと楽しみになってくる。 普段ヤングキングはあまり手に取らないのでこれがきっかけで他の作品も読むことがあるかもしれない。

ザ・ゲームスターズ

補い合う能力を持つ渋い初老紳士2人の頭脳戦

ザ・ゲームスターズ オノ・ナツメ
名無し

モーツーで1・2話読みました。なんか要領つかめないな…そういえばなんで1話なのに人物紹介があるんだろう…と思ったら、もともと2021年10月号にプレ新連載として読切が掲載されていたようで、そっちが実質第1話でした。 その実質第1話の読み切りを読んだのですが、これがメチャクチャおもしろい! 性格こそ合わないものの、互いに補完しあう能力を持った初老の男2人のクリミナルサスペンス 資産家のムーアは 「私には人を嫌う自由がある」 と言ってのけ、かつて自らが飼っている犬と遊びたくてシャボン玉を吹きかけてしまった同じ高級アパートに住む幼い少女(その後何度も謝罪に訪れている)を十数年にもわたり邪険にし続けるような筋金入りの偏屈男。 その少女エリカは、ムーアから長年にわたり「ネズミ以下」の態度を取られたことが、心に刺さった最初の大きな棘となり、知らぬ間にカルトに引き込まれてしまう。 そんな彼女の様子に気づいたマンションのドアマン・ハワードは、ムーアがひと財産を築いた真相を握っていることをちらつかせ、そして自らが持つ不思議な能力を用いて2人でエリカを助けることを約束させる。 カルトの拠点に入ってからの戦いぶりやセリフに痺れましたね。 相手の嘘が見抜けるムーア。 相手の意志と逆の行動を強制できるハワード。 おじさん2人が鮮やかに若者たちをお縄にする様は思った以上にかっこよかったです。 1・2話ではアパートで殺人事件が起こるのですが、これもどんなふうに解決してくれるのか楽しみです。