様々な事情があって実親の下で生活できなくなった子どもを養子として迎える養親たちを描いた物語。 現代社会における養子制度を非常にわかりやすい形で描いたドラマとなっています。まず実際に面談をして養親となるのに相応しいかどうか、そしていざ初めての親となった後の苦労と段階的に「養子を迎えるということ」を描いており、学びがあります。普遍的な子育ての苦労と重なる部分も多いですが、逆に養親はある程度の年齢になっている時点でそこと向き合わねばならないというリアルさでもあります。 「親になる」ことに終わりはない―― という言葉、1巻で描かれるエピソードに色々と考えさせられました。 順調に巻数を重ねればその内実写化されそうな内容です。制度的なものを知るという意味でも、社会的な知見を深めるという意味でも、読んでおいて損はないでしょう。
まず美麗な絵に惹きつけられました。表紙絵に心を掴まれた方は、本文の絵も美しいのでぜひ読んでみて下さい。そして、物語としても良いものです。 主要人物たちの持っている秘密、そして各々の関係が複雑に絡まり合い生み出されるドラマ。一話冒頭のモノローグから不穏さを感じずにはいられないですが、これらが一体どこへ帰着するのか楽しみで続きが毎回気になります。 ちなみに、筆者の工藤マコトさんは元々『花もて語れ』『夜明けの旅団』の片山ユキヲさんのアシスタントだそうです。表情の良さや感情表現の豊かさなどは通ずるものを感じました。 『からかい上手の高木さん』の山本崇一郎さん、『吾輩の部屋である』の田岡りきさんに続いてチーム片山も素晴らしい人材をどんどん輩出していますね。片山ユキヲさんの師匠である藤田和日郎さんチームからの良い遺伝子が脈々と受け継がれているのを嬉しく思います。
星を作り、星を壊し、宇宙を廻す「果ての管理者」に選出された青年の物語。ハードすぎず、かといってソフトすぎもしないSFです。 突然、拉致されてしまった主人公が果たして地球に無事に帰れるのかどうかというのも気になる所なのですが…… 何より子どもの頃に空想したような、まったく知らない星のまったく知らない生態を持った生命体や技術、異文化が次々と登場して好奇心を擽られました。単行本描き下ろしの本編では語られなかった詳細設定がまた、図鑑を読んでいる時のような楽しさがあります。 まだ見ぬ世界に憧れを持つ方、変な生き物が好きな方、ぜひこの不思議な宇宙に誘われてみて下さい。
最近の仕事マンガでも特に面白かったのがこの作品です。 妻に先立たれ悲嘆に暮れ、一緒に暮らす娘にも疎まれ家を出ていかれそうになった66歳の主人公がひょんなこたからピンサロで働き始めることになる物語。 キャバクラやソープ、あるいはデリヘルを描いたマンガは多くあれど、ピンサロというのは意外と珍しいです。ピンサロならではのエピソードが序盤から出てきて興味深く読めます。 客のどんな言動を快く思うのか、逆に不快に思うのか、どういう心情やテンションで労働しているのかといった描写は何もピンサロに限ったことではなく普遍的なもので女心の理解にも役立ちそうです。主人公が女の子たちに人気な理由は解る気がします。 余談ですが、店で飼っているハリネズミに密かに私も癒されています。
1つの漫符の意味を解説して、実際に漫符を使用した例を4コマ漫画で描いた本。改めて、漫符の使い方や意味を知ると、意外と「なるほど」という気持ちになれる。 日本の漫画表現における漫符の存在意義と、他にはない使い勝手の良さのようなものを実感した。 実用書のようでもあるが、著者らしいのんびりと、かつシュールな世界観を十分味わえ、ファンであれば読んで損はないはず。 表紙でわかるように鳥獣戯画へのオマージュをされており、表情豊かな動物たちの日常が楽しい。
第一話から面白く一気最後まで読んでしまった。毎回のエピソードが二転三転しつつもいい感じで終わるので全く飽きない。 第一話の火付盗賊改メの幻十郎もいいがその後の事件屋として仕事を全うしつつちゃんと冷血に見せつつも人情っぽい良いところを見せる。いい短編だったが文字がすげー多いのででかい画面で読んだ方が良さそう。 iPhoneで読んだら目が疲れた
サイボーグだし侍で刀でバトルだし簡単に説明できない独特な世界観だけどとにかく読むべし! さすがの面白さだしメカメカしくてwkwkさせるし何より芸が細かい。生命維持装置に繋がれてるのが飼い犬のメタファーになってるんですね。そもそも侍というのが「侍(さぶろ)う者」の語源の通りもともと偉い人の飼い犬という意味ですから、岸本世界観における侍の解釈と、鎖を断ち切った主人公が今後どう変わっていくのか見届けていきたい。
私的『カッコいいハゲベスト10』3位以内に必ず入っているアシェラッドが もうすぐアニメで観れる! 楽しみです
今、マンガを好きだという人の視界にもなかなか入らない作品であるとは思うのですが、個人的には傑作だと思っているタイトルです。 作品の序盤と終盤で作風はだいぶ変わりますし、多分今なら24巻も連載は続いていなかったのではないだろうかとも思います。 ただ、読んでもらえれば分かるのですが、この作品は読者の胸を揺さぶり、訴えかけてくる名シーンが沢山ありますし、主人公が対戦したゴルファー達も、きっと忘れることはないと思います。 ゴルフというスポーツで、明確な形で描かれる勝負の世界。そこで笑い、涙を流す人達は、とても魅力的ですし、作品自体も褪せない輝きを放ち続けています。 マッチプレー選手権で、雨の中で主人公の一八が呟いた一言は、読者にそこまで歩んできた彼の人生の重さを実感させる名台詞であり、スポーツマンガ史に残る名場面として深い共感を与えてくれます。 小学生の頃にこの作品を読むことが出来たのは、とても幸運だったと思っています。 余談になりますが、この作品のあるキャラクターが「帯をギュッとね!」で1コマだけ登場して、当時微笑を浮かべました。 #マンバ読書会
母の日だし、おすすめしとこう。 ミスミソウのイメージが強すぎてホラーが得意なんだと思ってたけど、違った。作者本人の母の話。よくあるいい話っぽい語り口じゃないのが良い。 母の若い頃のやんちゃを私も聞いてみようと思った。
ハラハラドキドキはしないけど安定感があっていいですね。 名取さんマジでいい男すぎて付き合いたいです。
まだ1巻なのか〜 早く次巻が読みたいです。 「あの人は本当は怒りたいんじゃないの?」とか、直達くんはいい子ですごく空気を読む子ですね。 個人的にニゲミチ先生が毎回面白くて好きです。
※ネタバレを含むクチコミです。
さいとう・たかをのSFというなかなか冒険的な組み合わせで読む前から色々複雑な心境だったがその感は当たっていた。 各エピソードの根本になるものはあるが、なんかいろんな方面に話が広がっていて「えっこれで終わり」という気持ちになった。 一番面白かったのがマッドサイエンティストが娘を模して作ったアンドロイドが成長して子供を産むシーン。 何を言っているかわからないと思うが本当なんだな...
両親は駆け落ちしてもいいけれど、雨は降っていたほうがいい。 田島列島の約5年ぶりとなる新作は、いきなり非常に印象的な雨のコマから始まっている。しかも、その雨を介して、人と人とが出会う。降りつのる雨は街を浸して、水たまりには雨の波紋が幾重にもひろがり、濡れしきる道路は自動車のヘッドライトから伸びる二つの閃光のひかりを反射している。 およそ何年もマンガというものを読んできたけれど、ここまで明確な雨、降っていなければならない雨、人と人とが出会うべくして出会う雨というのを私はほかにあまり知らない。因縁のふたりはこの雨を介して邂逅することになる。始めはふたつだった傘が、今度はひとつになり、さぁ未来はどうなるのか。それは私たちには及び知らないことだけれども、邂逅のたびに降るこの雨が、どうやら海に向かって流れることだけは確からしい。
とても面白かったです 少し話は難しいですが、楽しめました。
戦闘の演出がすごいうまいと思う
人魚禁漁区をコミティアで手にしたときに「この人何者なんだ」と驚いたのを今も忘れません。 もちろんダンジョン飯も傑作ですが、短編集にこそこの方の圧倒的魅力、実力、表現力を確認することができます。もちろん本書以外の短編集にも同じことが言えます。腰抜かしますよ。 なので、久しぶりに新作短編が読みたいと思うのはわがままでしょうか…。
本編はもちろん扉絵、映画・同時上映短編映画、もはや忘れられたグッズなど、ワンピースに関わるものなら、知名度の有無を問わないどころか、むしろマイナーであればマイナーであるほどネタとして積極的に採用するようなワンピースオタク漫画です。 主人公のツッコミの切れ味が良いので、独立したギャグ漫画としても十分な面白さがあります。ワンピースを通読しているなら、ぜひ。
いきなり出てくる地球外生命体「木星エイ」のネーミングとかエーテルからエネルギーを抽出するシステム「ELT」のネーミングとか、タイトルの通りベタなスペースオペラものなんですが、ストーリーもベッタベタなのである種の安心感があります。主人公が運び屋で、仕事中にヤバい連中に付け狙われ、「積荷の正体やいかに!?」ってな具合です。安心感……!!
困っている人を見ると自分が減っていく気がすると言う主人公だけど、身を削って人を助けようとする姿はそのうち彼自身が消えて無くなりそうで痛ましい。その呪いのようなものに唯一気づいて反発してくれたクラスメイトの女の子の存在は、彼の孤独や不安が「いつかゼロになる」になると思えるような希望に思えた。
20代の頃と思われる神戸での新生活が語られます。 日常(?)を面白おかしくツッコみ倒します。相変わらずのノリで面白いww
化粧品&バス用品メーカーの経理部に所属する麻子と、商品開発部の名取のオフィスラブ・コメディ。 ピュアラブのつもりで読み始めたら、あらら展開早くてびっくり。どエロじゃないですか(褒めてる)。 第一話は読切で、そのまま連載が決まったらしいのでなるほどという感じ。 麻子の匂いが嗅げなくてシオシオになっちゃてる名取くんがいい。
雑誌で読んで単行本で読んで今回久しぶりに読み直したが前回読んだ時よりも圧倒的に面白い。この読みかえすたびに前回よりも面白いと感じたのは坂口尚の「石の花」とか以来だ。 特に晴巻君の話は、内容が素晴らしすぎてなんと書いたらいいかわからないくらい好き。何がいいかって「読めばわかるよ」の一言しかない
1話読んで「ふむふむ…ん!?」となる。 〜という漫画だったというオチを最初からかましてきてグッと心つかまされた。 日常こそ素晴らしい。 方言の強いおばあちゃんとか家の横にキャベツ植わってるとこは相変わらずでいいですね。 ヨシノズイカラ https://sqex.to/v9n
良かった点 ・表題のTVジャック ラスト・ファイトは最初から最後までタイトルになるまでの流れを書いてあり良かったが救いがない内容でもあった。 総評 ・劇画座招待席シリーズは何読んでも面白いな
タイトルの「みやこ」は物語の舞台である京都と表紙の美女ミヤコさんの名前を表したダブルミーニングになります。全話に登場する訳ではないのですがミヤコさんの存在で物語が繋がっていきます。そこに無理がないように思うのは作者自身がストーリーを作ることを楽しんでいるからな気がします。巻末の描き下ろしマンガも本編と続くような内容で面白かったです。個人的に一番好きなのは舞妓さんと女優さんの交流を描いた話です。まるで文豪が描いた小品のようでした。これは唯一ミヤコさんとは関連がないのですが作品全体に深みを持たせてると思います。
マイナースポーツ「カバディ」を取り扱う王道スポーツ漫画。 スポーツ漫画の醍醐味が詰まってます。 ネタスポーツとして認知されていた『カバディ』という題材が凄く面白いスポーツだと、灼熱カバディを読んで初めて驚かされました! 『カバディ』は、チーム戦でもあり、個人戦でもあり、パワーもスピードも身体能力も精神力が、有利にも不利にも働くのは『カバディ』ならではです。 ルールは「カバディなんて知らねェ」と馬鹿にしていた主人公視点で進むのでルールが分かりやすく、頭の中に入ってきます。 とても熱く、どの巻も面白く、読むのをやめられません。毎話、熱量が凄く、いわゆる微妙な回やヒキ回が無いのが凄い! 登場人物の成長だけではなく作者や作品自身の成長が読み取れる程、作中が進むたびに実感し、連載を読めて私は幸せです! 思わず涙を流すほど愛おしい話もあり、どのキャラクターも愛おしいです。 スポーツ未経験者でも思わず深く共感し、絵や演出が直接胸に刺さるのも魅力的です! 灼熱カバディが理由で、現実の競技カバディをする人やサークルが増え、現実に影響を与えていく姿は登場人物達と同じくらい、とても面白いです!
セブンティウイザンを最後まで読んでなかった者ですが(すみません)、続編が連載されていて驚きました。3人共元気そうで本当に良かった。 もう愛が、愛が溢れてしょうがないですねこの漫画は。溢れる涙もキラキラ輝いてるしで、眩しいったら。 未来ちゃんを授かってからこの夫婦は明らかに絆も深まって、活力がみなぎってる。 ただ、こんどはお父さんに癌が…今度こそ最後まで見届けたい。
何を求めて、どこに向かっているのか…さすらい歩く渡世人の頭には、いつも食べ物のことが頭から離れない。 他人とのコミュニケーションでは言葉は最低限。 しかし頭の中ではかなり饒舌。猪肉のぼたん鍋を食べた日には、脳内で猪と食うか食われるかのバトルが繰り広げられる。 一見、クールな一匹狼かと思いきや、下手な句を読んでしまったり、ちょっと抜けてるところが親近感がわきます。面白かった。
主人公の女の子がかわいくてこじらせてていい感じに意地が悪いのが良い!! 人から良く見られちやほやされることを生きがいにしている女子高生の瓦木叶(かわらぎかのう)ちゃん。 クラスメイトに乗せられうっかり絵が上手い発言をしてしまうが、実際はクソど下手な叶ちゃんのもとに現れた他の人には見えない手のひらサイズの小さなじじい。 寝てる間に身体を乗っ取り凄まじい絵を描くそのじじいの正体は葛飾北斎!? 葛飾北斎は満足するまで絵を描きたい。 叶ちゃんは完璧でありたい。 互いに利害が一致し利用し合うことに! 他人にはいい具合に無害な女の子の小ズルさというか、本質は置いておいて良く見られたいという浅ましさが出ていてとてもいいし、たまに出すかわいくない顔芸も素晴らしいし、じじいがちょうどちょっとキモくて絵が凄くて生活に小波乱を起こしそうないいバディ感を醸し出している。 女の子は良く見られたいという理由で頑張っている基本的にはちょっとアホで残念な女の子なので必然的に幽霊であるじじいがいいツッコミ役になっていて、誰がツッコミやってんだよ感はあるものの、何も知らないアホな小娘よりすべて知り尽くして無茶苦茶やるじじいのほうがまともだわなと納得。 2話目で早速葛飾北斎が大いにやらかしているので、叶ちゃんのその場しのぎのカバー力が試されていて面白かった。 今後、絵画の素材や技法がたくさん出てきそうなので単純に面白くなりそう。 ブルーピリオドなどと合わせて読みたい。 もしも葛飾北斎が人生の続きを現代で生きたらという妄想はロマンがあってとても好き。 シオリエクスペリエンスのジミヘンや、少し違うけど刃牙道での宮本武蔵然り。 現代で無双するのか、どこの時点で成仏するのか、いやそもそも絵に終わりははいから満足しないでしょ?とか、ヒカルの碁的に叶ちゃん自身も成長するのか、どう展開するのか楽しみ! 少し気になるとしたらタイトルが葛飾北斎目線っぽいところ。 いや、どっちとも取れるか・・。
人の心を読める一家で、そんなことできちゃうとまあひねくれてくるわけで。 着眼点はそこでなく心を読める人間以外の人間が面白い構図になってる!ってとこなんですけど。 心を読まれると心の声としてセリフの横に本音が書き連ねられます。 つまり心を読まれる側の人間がどう動いて、本音はどう思ってるかがわかるわけで! これスゲー! 心を読むってありきたりなテーマなのにこんなに面白くなるんですね… あとみんな可愛いです 登場人物好きになってくる 一巻からずっと面白いしなんか癒されるので是非
マンバ通信の記事で知り、Kindle Unlimitedに入ってたので読んでみました。3作品からなる短編集なのですが、どれもこれもお話の完成度高い! 表題作の「恋はなに色?」はオープニングがすごくいい。 縦割りのコマで、主人公のナレーションと物語が同時に進行し、ページを捲って天使がドーーンという見せ方がもう上手いな〜と、ワクワクしながら読みました。 主人公は秀才だけど地味な紅。双子の妹は勉強は苦手だけどとっても可愛い藍。この漫画のいいところは、紅が自分の器量のことをまーったく悲観していないところ!周りにいじられても凹んだりしないのは、本当に自分の見た目のことで全く悩んでいない証拠で、そのあっけらかんとしたありようがすごく素敵。 いわゆる「サバサバ系」とも違う、本気で容姿を気にしてない自然体なところがスキップとローファーのみつみちゃんぽい(2人ともとてもかわいいです) 昔の少女漫画特有のコメディパートのあのノリと、ミシェールの耽美な天使姿のギャップ…! この両立が、やはり少女漫画の魅力だとあらためて感じました。 その他に高飛車な女子大生と双子の青年の恋を描く「お気に召すまま」と、病気で留年してかつて出会った少年と同級生になる「恋の不等式」も収録されていて、この2作品もまあ〜!設定を活かしきってて面白い!! 昨今の**「イケメンのイケメンな言動にときめく」マンガではなく、登場人物たちの関係性や心の変化を楽しむマンガ…!**これはすごいぞ!! 1冊の中でめちゃくちゃ楽しめる恋愛短編集です。 https://www.amazon.co.jp/dp/B075J9CZTJ/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_wXQ0Cb9HYA1Z6
いまのところ土偶が無敵すぎてこれからどう立ち向かうのか全く予想がつかない…!犠牲者の数も半端じゃないぞ、本当に大丈夫なのか!?ハニワット!! 12話目でやっと主役が出てきた。 武富先生って、奇天烈な髪型のキャラを普通に出してくるのが好き。
時に、途方もない才能が世に生まれ落ち、そして、それほど大きな支持を得ることなく、シーンからフェイドアウトしていってしまう。 そんなことは、どんなジャンルにも、よくあることだろう。漫画界にも、それこそ数え切れないほど「幻の逸材」は存在してきたと思う。 しかし、明らかな才能のきらめきに満ちているにも関わらず、なぜ彼らの作品は多くの読者を得ることができなかったのか。 もちろん理由はそれぞれだろうし、それは読者サイドからは掴みきれないことだ。 私たちは、ただ、その単行本を初めて読んだ時の、新しい「なにか」に触れたという心の震えだけを、それ以降、モヤモヤとただ胸中で反芻することしかできない。 私にとって、下村富美はそういう才能だった。 『仏師』のプチフラワー版コミックスを読んだ時、「ああ、この漫画家さんはすごい。絶対来る」と確信したのだが、それ以降、下村はそれほど活躍することなく消えていってしまった。 後にイラストレーターとして多くのヒット小説の装画などを担当しているので、「消えた」と言ってしまったら失礼かもしれない。 しかし、その漫画作品が持つ、素晴らしい絵のクオリティーと奥行きのある物語は、「花の24年組」や「ポスト24年組」に匹敵するような才能であったと、今も思う。 もっと下村富美の漫画を読みたいと、ずっと願っているのです。
猫十字社という奇才がかつていたことを、もっと思い出さないといけない。 佳品『小さなお茶会』のほうが少し有名だとは思うのですが、やっぱり『黒もん』ですよ、『黒もん』! 例えば、今や大きな潮流となっている「BL」的なるものの前段としてのJUNEについてとか、その源流『風と木の詩』まで遡るタイプの言説は、それなりにあると思うのですが、少女漫画的「少年愛」を、「男色!」として破壊的なギャグで表現したのは、この猫十字社『黒のもんもん組』をもって嚆矢とする…とかいうテキストは、ほとんど見ないですよねえ。 でも、そういう意味で、山上たつひこ『喜劇新思想体系』や新田たつお『怪人アッカーマン』に並ぶインパクトですし、少女漫画ギャグ史的には、少年漫画史の巨大なる高峰『マカロニほうれん荘』に匹敵する重要性を持つ作品だと思うんです。 (連載時期的にも作風的にも、『マカほう』の影響は強いだろうなあ) とにかく、これだけ好き勝手やってる少女誌のギャグなんて、今はほとんど存在しない。 本当に、当時の『LaLa』は、ものすごいラインナップでした。 とはいえ、もう40年以上前の漫画になっちゃうのか…。 『黒もん』完全版というのが出ているのをマンバで知りましたが、やっぱり今の読者には『県立御陀仏高校』や『華本さんちのご兄弟』から入ったほうが、読みやすかったりはするのかもしれませんね。
結婚する姉と弟の話をはじめ、どの話も心温まる話。 なんでもなさそうなことなのに順序を変えてあるから読んだ時に「あ〜なるほど〜」としてやられた気持ちになるんでしょうか。漫画はやっぱ面白い。 死とか結婚とか人生の節目はやはりドラマがある。 このマンガがすごい!で本屋に平積みしてあった時に読見ましたが今読んでもいいですね〜
湯浅政明が「映像研には手を出すな!」TVアニメ化、NHK総合で放送https://natalie.mu/eiga/news/330503 https://youtu.be/87d3a47rxcg 監督作品 テレビシリーズ ケモノヅメ( 原作・監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテ・演出) カイバ(原作・監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテ・演出) 四畳半神話大系(監督・脚本・絵コンテ・演出・挿入歌作詞) SHIN-MEN(監督・絵コンテ・演出・作画監督・原画・OP作詞) ※6話でムトウユージに交代 月の魔法姫プリティラビィ(シリーズディレクター) ※フォトカノ劇中アニメ ピンポン THE ANIMATION(監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテ・演出) アドベンチャータイム(監督・脚本・絵コンテ) ※シーズン6エピソード7 劇場版 マインド・ゲーム(監督・脚本) Kick-Heart(原作・監督・脚本・原画) 夜は短し歩けよ乙女(監督) 夜明け告げるルーのうた(監督・脚本・製作) これ「少女終末旅行」みたいに作者本人が参加してくるやつじゃないですか!?楽しみすぎる〜〜
自分は確実におたくなんですが、コスプレという分野に興味はそれほどなくて、話題になっていたから読んだのですが、本当に色々考えさせられ、心に深く突き刺さりました。 もしこの作品を読んで何も感じない人は、幸運なのか無趣味なのか想像力がないのか、そのどれかだと思います。 コスプレイヤーがいつまでコスプレを続けるのか。その問いかけを「容姿」だけに限定して読んでいるならば、無縁に考えるかもしれません。しかし、この作品が問いかけ、そして考えさせるのは、誰にとっても「年齢」というのは無縁ではいられないからです。 例えば、身体を動かす趣味、ランニングやスキー、草野球やサッカーやフットサルを一番の趣味にしている人は、それを加齢によって諦める未来を想像してしまうと思います。あるいは、スタンディングのライブに行けなくなる年齢。老眼で文字か読めなくなる未来。この作品の表象はコスプレですが、読者は恐らく、自分自身にとって大事な趣味というものを諦める瞬間を、嫌でも考えてしまうのではないかと思います。 勿論、結婚や出産で趣味と離れてしまうことはあると思います(作中でも語られています)。しかし、多分我々の生きている「今」は、それらの人生のイベントの後でも趣味を続けられる環境がある程度整えられています。 かつて、「老いは恥ではないのだよ」と語って40歳を過ぎてからチャンピオンにカムバックしたボクサーもいました。しかし、どうあっても「老い」は現実に訪れるものです。寿命が伸びている今、自分が趣味を諦めることになる可能性について考えることは、体験として貴重なものなのではないかと思います。
様々な事情があって実親の下で生活できなくなった子どもを養子として迎える養親たちを描いた物語。 現代社会における養子制度を非常にわかりやすい形で描いたドラマとなっています。まず実際に面談をして養親となるのに相応しいかどうか、そしていざ初めての親となった後の苦労と段階的に「養子を迎えるということ」を描いており、学びがあります。普遍的な子育ての苦労と重なる部分も多いですが、逆に養親はある程度の年齢になっている時点でそこと向き合わねばならないというリアルさでもあります。 「親になる」ことに終わりはない―― という言葉、1巻で描かれるエピソードに色々と考えさせられました。 順調に巻数を重ねればその内実写化されそうな内容です。制度的なものを知るという意味でも、社会的な知見を深めるという意味でも、読んでおいて損はないでしょう。