喧嘩商売のテーマは「最強の格闘技は何か」
だとは思うが、このテーマはとても難しい。
このテーマを扱った漫画や小説は幾つもあると思う。
より正しい回答を出そうと、
マニアックに論じる内容の作品もあれば、
「ボクシングなんて殴るしかないだろ」とか、
「柔道なんて相手が裸なら何も出来ない」とか、
単純明快な比較論や、
主観的というか、好みの世界を作品化しただけの
ような作品もある。
そもそも個々の選手の個人的資質による部分とか、
何を持って勝敗や強さを判断するかとか色々あるし、
武器や反則の使用の是非まで考えれば、
「最強の格闘技はこれだ」とか、とてもじゃないが
答えのでない、出しようがない問題だとは思う。
けれども今も昔もこれからも、多くの人が
「最強の格闘技は何か」という問題について
議論し作品にもなっている。
なぜなら、それを考えるのは楽しいから。
想像だが木多先生は
「最強の格闘技は何か、に答えを出すのがテーマ」
の漫画としながら、
佐藤十兵衛という、
卑怯だろうがなんだろうがバレなければ反則もして勝つ、
という悪魔のような性格の主人公により、
「勝ったものが最強、そのほうが面白い、が裏のテーマ」
の漫画を描こうとしているように感じる。
それはけして「最強の価値」や「最強を論ずる事の楽しさ」
を否定したり異論を唱える考えではなく、
これも面白いでしょ、という考えで。
そして実際に、それで凄く面白い漫画になっていると
勝手ながら分析している。