元々はクール教信者さんが2008年からwebマンガとして投稿していた作品で、作画としてヨハネさんを迎えてマガジンRにて商業作として連載を開始した作品。 ベースとなる物語は誰もが知る御伽話「桃太郎」。小国の姫・サルトリーヌ(サリー)の住む城に日本から来た少年・キビツミコトが訪れるところから物語が始まる。ミコトを追ってきた鬼が小国を襲ったことをきっかけに、ミコトとサリーの鬼との戦いの旅が始まる…というお話なのだが、単純なバトルものとして展開していかないのがこの作品。 「正義の反対はまた別の正義」という言葉があるが、本来"悪"として描かれるはずの鬼たちの背景もページ数を割いて描かれる。最初こそ人間の生活を脅かす存在として描かれるが、鬼たちが主人公一行を襲う動機も殺された仲間の敵討ちであったり、人間社会から迫害されたことにより生まれた羨望・怨念であったり、徐々に"完全悪"ではない存在として描かれていく。そして、主人公であるミコト・サリーの存在も"完全なる正義"としては描かれない。ミコトは鬼を全て討ち滅ぼすべき存在として捉え、サリーは鬼を対話により分かり合える存在として考え、共存の道を見つけるために旅をする。特にミコトの鬼に対する感情は強烈な怨恨として描かれており、少なくとも鬼に対する思想についてはサリーと完全に対立する形をとっている。(もしかしたらミコトのこの怨恨の感情が人間の心に巣食う"鬼"である、という意味もあるのかもしれない) つまりこの作品は「人間 vs 鬼」というバトルマンガの体を取りながら、ミコト・サリー・鬼という三者の"正義"同士の戦いの物語でもある。大方この鼎立の構造に明確な"正解"を出すことは出来ないが、対立する者同士の共存という恐らく三者の中で最も困難な道を選んだサリーが旅の果てにどのような答えを出すのか、それがこの作品の最大のテーマなのではないかと思っている。 と、すごい畏まった作品紹介をしてみたが、そもそもミコトとサリーの冒険譚として読んでも、亜人との遭遇や人間社会の内部にある差別の構造など様々な困難に直面し乗り越えていく様が面白い。ちなみに共に旅をしていくっぽい書き方をしていたが、ミコトとサリーは基本的には道中を共にしない(訪れた街でたまたま出会うことはあるが)。それは上記の考えの相違も一因なのだがもっと大きな理由もあって…それは本編を読んでからのお楽しみということで。 6巻まで読了
週刊少年サンデー2019年31号に掲載された、ガチガチにガチの硬派なファンタジー漫画。これを雑に「異世界漫画」と呼び、一般的な異世界モノと同じカテゴリには絶対入れたくない…! https://twitter.com/tano_so/status/1146183694077456384?s=20 異世界にやってきてしまった女子高生・アールが、「黒いマスク」を手がかりに同じトーキョーからやってきた人間を探しつつ観光を楽しむというストーリー。 ・雨の降りかたで120もの呼び方がある街 ・50年に一度ボードゲームの一手を指す街 ・寝相の悪い街 など、文化や習慣が異なる街が魅力的に描かれていてたまりません…! アールの移動手段「クロ」についての説明をあえてせず省いているところも、世界観を想像する余地を残してくれていてすごく好きです。 またたった1コマだけ描かれているアールの回想シーンで、現在とは違う「まだセーラー服(しかもリボンがない)を着ていたアール」が描かれていて、言葉を使わずに時間の経過を伝えているところが見事でした。 田埜宗一先生が描くファンタジーの世界への「流離譚」。絶対読んだほうがいい読切です…! https://csbs.shogakukan.co.jp/book?comic_id=31113 (画像は本編より)
題名を見て 「海って楽しいよ!」「海はいいところだよ!」 という感じのマリン・レジャー漫画かと思って読み始めた。 だが冒頭から出刃包丁を棒の先につけた銛で 魚を狙っていて、あれ、違うみたい、と思った。 更に、あからさまに漁業権無視のサザエ獲りとか始めたので あーこりゃ中途半端なダメなサバイバル漫画かと思った。 ソレも違った。 そのへんは話の導入部、伏線的な展開だった。 父親が事業に失敗し、海岸沿いの田舎で 一人暮らしをすることになった少女。 半自給自足的な生活をせざるを得ず、 海に入って食材を狙うが上手く行かない。 そこに地元の中学生男子との出会いがあって・・ 当初は海の食材の採り方や料理の仕方が中心で、 レジャーとしての捕獲・採取が楽しい、とかの 描写はあまりなかった。 食材ゲット!腹が満たせる、嬉しい! という感じはあっても。 「いそあそび」というより「いそごはん」 という感じがした。 だが、ほとんど常に腹ペコ状態の少女も 意外とタフで前向きなキャラだったりするので 悲壮感とか貧乏くささはあまり感じない。 それでいて食材をゲットしたときには とても嬉しそうな笑顔や仕草を見せる。 なので、「海って楽しいよ!」と ストレートな展開の話で見せられるよりも、 一周回った上で「海って楽しいところなんだな」 と感じさせられた。 サバイバルというほどの厳しい狩猟を行うわけではない。 我を忘れて没頭するほど楽しい遊びをするわけでもない。 海沿いの田舎の集落での生活を、都会暮らしより素晴らしいと 主張しているわけでもない。 友達止まりで恋とか愛にはほど遠い中学生な夏。 面白くは描いているが、それを絶賛しているわけでもない。 海がある集落の生活だから、 食べることとか遊びとか、生活の殆ど全てに海が関わるんだよね、 という感じの、 一見は奇抜な設定のようで、結構色んな部分で 自然体の中学生の海岸物語だ。
ヤングキングアワーズ8月号から始まった、ねこと家電にまみれた新連載!! 惑星間航行技術を持つまでに発達した超文明では、戦争により知識人を殺しまくった結果崩壊し、バカだけが生き残った。ネコの姿をした「ムー」は、バカでも使える遺産でなんとか地球までたどり着き、主人公の家で科学技術を学び直すというあらすじ。1話では電子レンジがテーマ。 「アワーズ 2019年8月号」 http://www.shonengahosha.co.jp/book_Info.php?id=7896 メカが上手い!女の子がかわいい! そしてなによりネコの仕草・表情ががかわいいいい!!! 「惑星間航行できる宇宙人が全員宇宙船を作れるわけじゃない」とキレるムーが好きwww 煽り耐性がなかったり、摩擦熱も知らないくらいおバカなくせにロズウェル事件の技術(※高度な宇宙人の技術)を学ぼうとしたり、いい性格してる…! 次回以降どんな家電が登場するのか楽しみです! (画像は1話より。とってもキュートなネコに見えるが…)
アニメ化に際して色々騒動があったのは作者にとっても作品にとっても気の毒でしたが、作品自体はめちゃめちゃ素晴らしいです。 最初のシリーズ「ヒトランダム」ではだばだば泣きましたし、それ以降の作品もどれも切なく苦しく力強く感動的で、ラノベで恋愛でここまでできるのかと驚きました。 コミック版も可愛らしく良くできていますが、読んで「悪くないな」と思ったらぜひ原作小説かアニメを見てほしい。近年流行った「君の名は。」的な恋愛モノが好きで、かつ「君の名は。」に物足りなさを感じた人には特にオススメしたいです。あの映画で新海さんがあえて省略した "入れ替わり" 当事者たちに起こったココロの変化の描写を、逆に徹底的に掘り下げた作品が「ココロコネクト」だからです。
たった5巻でこんだけのことができるのかと言った感じ。 1巻で一度読むのをやめてしまいましたが、これは5巻一気に読むものだったんですね。 どのキャラクターも魅力的で全員違う。 たくさんのことが詰め込まれているのにまとまっている。 読んで良かったです。
専業主夫の育児漫画といえばそうなのですが、主人公の徳田直は人間関係も仕事も全く上手くいかず、産休を終えた妻が職場復帰したのと同時に専業主夫として家事育児をほぼワンオペで行うことになった、アスペルガー症候群の男です。 直は一つのことに固執したり、人の発言をそのまま受け取ってしまう、また嘘や社交辞令が一切言えないため、周りの人から距離を置かれることも多いが、どうすれば息子の太郎を無事に健やかに育てることができるかを、納得できるまでとことん考え、調べ、時には自分で実験し、身につけてゆく。 バリバリ働く妻が、とても明るくて物分りが良く直の最大で唯一の理解者です。周りの人もだんだんと理解を示していきます。 難しいことは描いていないので、サラサラ読めます。 発達障害に対する理解につながるだろうし、育児するうえでの有効な知識も得られると思います。 結局、育児は母親と父親どっちがやろうと大変であることには違いがないですね。でもやらないと得られない発見や楽しみがあるんだろうな、と思います。
ジャンプ漫画の流れを変えてしまった漫画かもしれない。 昔からの少年漫画とは劣等感をもつ少年が何かがきっかけで成し遂げたい目標をもち、それに向かって突き進む様が描かれることで読者は勇気付けられる、そんなイメージが強い。 漫画の漫画、仕事漫画が出てきた時点で夢、希望がすごく現実と近くなる。 この漫画を境にどこかファンタジーの想像もつかないような世界を書き表す漫画から現代の趣味嗜好に迎合した仕事漫画、恋愛漫画が多くなったように感じる。 それはさておき、この漫画が面白いことには変わらない。 むしろ、漫画における「嘘」の部分がリアルに近いことで読みやすい少年漫画の文体で、知らない現実を垣間見ることができる。 漫画家の厳しい世界をエンタメに昇華すると言う点ではありえないだろ〜と言う設定もしばしば。 ジャンプのトップにすぐに立てるところと、おじさんが漫画家で設備が全て整っていると言うアドバンテージがあるところ。 そういう違和感も多分、編集とか業界部分がリアルなせいかなと思う。 飽きさせない漫画ではある。 恋愛部分も含め、人間関係も含め、リアルな部分と驚きと知識、そして表現力で殴ってくる(ぐらい情報量が多い)。 大畑健の絵が好きな人は読むし、漫画を描いている人漫画が好きな人は読むしかない。 アンケート重視の仕組みが崩れつつある今は、この漫画ではもう違ってきているところもあるのかもしれない。いい時に連載して完結した漫画だと思う。
タイトル通りカレー漫画です! 料理漫画多すぎて食傷気味になり避けてしまう最近ですが、1ジャンルを掘り下げ型と思えば面白い。 一重にカレーと言っても色々あるんですね…長編なのですが1話1話安定感があります。 だいたいカレーと可愛い女の子が多い話。 読んだ後はもうカレー食べることしか考えられなくなります。 ココイチに置いてて欲しい
あらすじに不器用な恋愛とあるが、最初から何もかも上手くいっているように見えますね。みんなコミュ力は低くないと感じる。 でも読めば人気の理由はすぐわかる。 宏嵩が寡黙なキャラに見えて、モノローグやなるへのメールではヲタク全開なところは好き。ヲタクって表向きは普通にしてても頭では「ドゥフ」とか「ブヒャーwww」って言ってるよね。実際に口に出してる人もいるけど。 仲が良い故の、というのは理解できるけど、ブスとか貧乳とかを面と向かって言う描写はあまり多くないほうが良いなと思った。
バットマン最大の宿敵といえば犯罪のカリスマ、ジョーカーです。 狂人である彼が正気を取り戻した時、ゴッサムに何が起こるのか、バットマンは彼を裁けるのか?という「もしも」を描いたシリーズ。 単に善悪の設定を入れ換えただけでなく、ブルース・ウェインという上流階級と、社会的弱者ジャック・ネイピアという対立構造を描くなど、現代のアメリカ社会を背景にしたテーマ構成が秀逸で、説得力があります。 市民の味方として声を上げた「ホワイトナイト」が現れたことで、法に縛られずに暴力を振るう「ダークナイト」とビランの違いはどこにあるのかという問題が浮き彫りになり、バットマンのフォロワーとして声援を送っていた読者の心も揺さぶられることに。 アルフレッドが病に倒れたことで深まるブルースの孤独、何時ジョーカーに戻るかわからない不安を抱えたジャックの葛藤…。 「ふたりのヒーロー」が悩み、傷つき、それでも戦うようすには胸が熱くなること必至です。 シリーズのヴィランも総登場するほか、ジョーカーを付け狙う黒幕ネオ・ジョーカーの設計などオタクが喜ぶ要素もタップリ。 特にクライマックスのバトルは『スパイダーバース』的なお祭り感があってテンション爆上がり。 映画になってくれ…!! 設定の奇抜さだけではない上質なエンタメに仕上がっているので、バットマンを読んだことがない人にこそ読んでほしい一作です!
※ネタバレを含むクチコミです。
グロいけど読んでしまう 環とか顔可愛いし違和感あるはずなんだけどこのアンダーグラウンドな世界に馴染んでる 女性作家が描いてるとは思えない
すごいのが少年漫画然とした本誌に乗っていても見劣りしない絵の上手さ。 ただストーリーがびっくりするほどタイトルそのまんまで、何も始まる前に終わってしまった感がすごい。その突然の展開が面白いのかもしれないけど、個人的にはもっと長いページでちゃんとストーリーを読んでみたかった。 アオリによると「投稿直後で担当GET&本誌掲載」だそうなので、次回作に期待しています…! https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156648475896
サラリとタイムスリップして寿司を握ります。 タイムスリップというより不思議な夢を見て寿司屋與兵衛が憑依してしまった感じ? なぜだ、どうして俺は寿司が握れる…! 理屈すっ飛ばして寿司を握る漫画。女も寿司も上手に握ってやるぜ! 一貫してどの男も女には優しく寿司には厳しい… 寿司を握る漫画的には一番最速なのでじわじわと面白いです。 寿司ネタとシャリの知識は勉強になります。 寿司大好きなのでこういう食い方してみたいと思うばかり
かなり骨太な中華王朝の泥沼劇。伊藤悠先生を思わせるような絵柄と、目的を果たすために、敵の行動も罪のない者も全て利用する皇子の策謀がよかったです。 部下2人だけキャラデザと言葉遣いが妙に現代風だったのが個人的に気になりました…。これだけ硬派な中華歴史物語を描ける人はなかなか少ないので、無理してギャグシーン入れたり現代風にアレンジしたりしないで、ぜひシリアスに徹してほしいなと思います。 次回作が読めるのを楽しみにしています…!! https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156666690764
あ~~~(語彙力の喪失) 去年の暮れくらいから書店のコミックス新刊で見かけるようになった、コミック百合姫のファンタジー路線、正直とても好みです。 いずれも間違いなく百合・恋愛マンガのプロの仕事と見受けられる美しさと尊さを兼ね備えた描写と、一級品とまでは言えないものの凛々しく気高く描かれた戦士による戦闘とが融合しています。とりわけこの作品「万葬不踏の欺神迷宮」の描線の美しさ、キャラクターデザインの繊細さなどは一線を画しています。
かりんとうもあげものに入るのか。 神保町のなすやという天ぷら屋が出てきたのが地味にウフってなった。いもや行ったことないけど。 サクッと読める短い話から、じんわりできる長めの話まで、あげものにまつわるオムニバス短編。全部面白かったけど、からあげのおじさんの話が最後のオチ含めて秀逸すぎた。 表紙を開いて気づく遊び紙のしかけは感動!
ゴツめのおじさまに惚れる美少女。 第二、第四火曜日とはまさにイブニングですね(雑誌) なぜ恋をしたかの理由が欲しかったですけど、女の子の笑顔が可愛いので恋する女の子は見ていて幸せな気分になるのでこれはこれで良し
今となっては伝説のギャグシリーズですが、時代がもう少し遅ければ大川ぶくぶややしろあずきのポジションに収まっていたのは彼だったに違いない……。地獄のミサワの面白さが風化したとは思わないけど、今は消費のサイクルも激しいのでミサワのスタンプを使うのが躊躇われます(ポプテピピックのLINEスタンプも使うのやめどきを見極めるのが難しい。私は使う頻度が減ってきました) ──と思って調べたら『地獄のミサワ(格下のやつに送る用)』というスタンプのタイトルが秀逸すぎて買いそうになったw
「ぱにぽに」終了後即はじまったという氷川へきるの作品。公開を急いだのは、「まどマギ」前後に起こった魔法少女ブームに合わせたものと思われます。 あらすじとしては、かつて現れた地球への侵略者とそれを迎え撃った魔法少女の後日談という今となってはポピュラーな設定。「魔法少女特殊戦あすか」をはじめ元・魔法少女のストーリーは数多いですし、最近では世界を救った後の勇者の日常モノも流行っていますね。 ただしそこはさすがの氷川へきる先生作品、凡百のそれとは一味違います。アクションものでありながらギャグでもあり境目が曖昧(というか巧妙に切り替えてくる)なので、ギャグ演出だからこそできる『そんなのアリかよ』と叫びたくなる展開をシリアスな本筋ストーリーに取り入れながら進んでいくのでガチで展開が読めない! なによりポップでキュートでスタイリッシュな絵柄ですよね。
アニメを1晩で見て漫画も買いに本屋へ行った記憶がある。 エヴァは漫画は漫画、アニメはアニメ、映画はまた別で楽しめる。 漫画も映像とはまた違ってそれなりに面白い。 表現媒体が違うとシンジのキャラクターも三者三様になってしまうのは不思議なところ。
「軽井沢に引越す」のだと親に思い込まされたまま長野に引っ越した女子高生・ひゆみの話。お母さんのキャラが立ちすぎてて面白い。 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156666692119 路地や、寂れた駅前の描写がすごいリアル。 わさびご飯はぜひ現地に行った際には食べてみたい…!! お洒落なカフェもカラオケもない新天地で、ひゆみがどう楽しみを見出していくのか楽しみ。 (画像は1話より。こんなん笑うわ)
好きな漫画で、そう何回も読みはしないんだけどたまに読み返したくなる漫画があります。 蟲師もそんな漫画の一つですね。 舞台となる時代がはっきりとあるわけではなく出てくるものも架空の生き物ですが、なぜか読んでてしっとりとした日の裏山を思い出します。 一概におとぎ話ともギンコの紀行文とも何とも言えないジャンル区分。 むしろこれで一個のジャンル確立させてる気もします。 作者はこの話、どこから想起されてるのかわかりませんが絵も話に合っていて独特で今読んでもいいなぁと思える作品。 最近の漫画を読んでると、こういう作品ってもうなかなか出てこないのかな思ってしまいます。
あらすじもなにも表紙がすべてを物語っている漫画です。全年齢向けですので直接的な露出や接触の描写はほぼなく、いわゆる「見えそうで見えない」をキープしながらも、それでも強烈に読んでてドキドキさせるおそるべき筆力でした。 とはいえただ官能的なだけの漫画ではありません。 都会に憧れオシャレに勤しむ田舎の少年は、東京から転校してきた冴えない少女に失望してしまいます。それがひょんな偶然から恥ずかしい秘密の性癖を共有する仲となってしまい、しだいに田舎者であるコンプレックスとドロドロに混ざり合って深みに嵌っていってしまいます。 ド変態どうしの彼らの気持ちは正直よくわかりませんが笑、背徳的で切なくてなぜだか胸が締め付けられます。 同時に収録されている2つの短編もなかなかに強烈ですので、全1巻ですが読み応えはあります。
今最も画面が魅力的なマンガのひとつだと思います。 Fateと言ったら何をおいても英霊同士のド派手でスリリングな戦闘が一番の魅力。本章は剣豪サーヴァント同士の決闘がメインテーマで、少しカスレたような描線が高速の剣戟戦とベストマッチしてます。 人物の描き方・表情、レイアウト、アクションの設計など、とにかく端から端まで絵が半端なく上手い。 紙で味わいたいタイプの線なのですが、電子版にはカラー(すげー上手い)も収録されているので両方買うと2倍楽しめてお得です。 FGOのゲームだとマスターの立香ちゃんはヴィジュアルが出ないので、マンガで活躍が見れるのは嬉しい。武蔵ちゃんとのコンビ感もバッチリで見てて楽しいです。 単行本冒頭のダイナミックあらすじなど解説も充実してるので是非未プレイでも気後れせずに読んでほしいです!
上京してきたはいいものの、アパートに駐輪場がついてなかった自転車好きのゆうみが主人公。間違えて降りた駅で、同じ電車に乗っていた女の子・奈緒が「スゴイ折りたたみ自転車」をケースから取りだしたところに、思わず話しかけるというあらすじ。 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156666691897 スッキリした線でリアルに描かれるメカ(自転車)と風景は読み応えがあるし、女の子2人の表情がイキイキしててとてもかわいい! 1話の最後には、これから登場するであろう女の子たちとしまなみ海道が描かれ、これは最高に丁度いいほのぼの漫画になる予感がします…! 1話の折りたたみを展開する瞬間すごい好きです…!
表紙が可愛くて思わずジャケ買いしたマンガですが、中身も負けじと可愛かったのでよかったです。 お淑やかなお嬢様がドSな女王様に返信して戦います。テイスト的には一昔なつかしい感じのドタバタコメディ。全2巻ではあるものの、おしおきしたいタイプの人にもされたいタイプの人にも対応したポリバレントな作品にあっていてお買い得感があります。 まあ何をおいてもまず私が最優先に重要視している項目をパーフェクトに満たしていたので試し読み即買いでした。べらぼうに絵上手い。
別冊マガジンでいい感じに可愛い自転車マンガがはじまりました。 少女2人が出会い、自転車を通じて街に眠る「素敵」を再発見しながら友情を深めていく──というのは『東京自転車少女』と同じですね。『ARIA』のような「素敵再発見」的な日常マンガは最近の別マガの得意とするところでもありますね(『ふらいんぐうぃっち』や『あかまつ』など) 折りたたみ自転車という絶妙にニッチなところを突いてきていますが、ここからどう掘り下げあるいは広げていくのか、折りたたみ自転車乗りとしても応援していきたい所存
高校生になったら、友達もたくさんできて、遊びも勉強も全力で取り組んで、時にぶつかっては泣き、絆が強くなる、そんなTHE青春を謳歌できると思い込んでしまったほど、影響力のある作品です。翠みたいな友達が欲しかったし、翠みたいな先輩も欲しかったし、翠みたいな先生に教えてほしかったけど、現実はそう上手くいかなかった…。 今までの人生でいちばん好きな生徒会です。 ここまで完璧な高校3年間は他に見たことがない。
大正まで遡るとファンタジーのようなテイストになるので漫画とは不思議です。 和菓子とか赤飯が出てくると日本だなぁと思いますけど。 生きたこともないのにノスタルジーな気持ちにさせてくれる漫画。 恋愛のシーンも恋愛ものと言うよりヒューマンストーリーですね。 昔と今の感覚のズレで瞬時にわからない場面はあります。 例えば「尋常小学校に通っています」とか 祖父母、下手したら曽祖父母世代の話なので尋常小学校じゃ何歳だっけ、今の高校生ぐらいで皆結婚していたなら早熟でもないのでは?と思ったり 日常の中にある小さな幸せを再認識する漫画、ほっこりするのでおすすめです。
ストリートファイト好きなら避けて通れない作品 柴田ヨクサル作品は「これが描きたい」と言う思いがそのまま漫画になってて嫌いになる要素がありません。 将棋が描きたい、ストリートファイトが描きたい、むちむちの女性が描きたい、そのまま漫画にできるのは本当才能だと思います。 今連載中の東島丹三郎は仮面ライダーになりたい、ブルーストライカーで少しでも興味を持ったら古い作品も読んでみることをおすすめします。
槙ようこを通って来ていないのでこれを機に読み漁ってます。 ゆずゆちゃん可愛い! 作者が描くのをやめても漫画はずっと残るので読める時に読むべきですね。 ゆずゆときっぺいの対比がいいです。 少女漫画に子供が登場するとイライラしてしまうことがあるんですが、この漫画からはそんな感じ全くしません。 重い設定なはずなのに暗い気持ちにもならない、素敵な漫画です。
なろう系の俺TSUEEEE、おっさん主人公、突然の追放というあたりまではテンプレだが、そこに拾った少女を守る父親という要素が入ることで、しっかりオリジナリティを出している良作。 しかし、主人公は朴念仁キャラなのだが、そこに若干のイラつきを感じなくもない。 自分自身に呪いをかけた勇者(の取り巻き?)のことを忘れてのんびり放浪するのはまだいいのだが、かわいい娘を襲った犯人を捜そうという気にならないのは疑問。 序盤でスルーされたそれらの謎や疑問点が今後明らかになっていくことを期待しつつ、親子の世直し旅を楽しみに読み続けていきたい。
ロボ娘、(当時としては非常に斬新だった)元気の良いメガネっ子、ポットで出来た(?)家、ほぼ全員どことなくおっちょこちょいな登場人物たち…。 このマンガ、今考えてみたら当時の鳥山明先生の好きなもの、かわいいと思う物の純粋な集まりのようにも見える この手の"ギャグよりも自分の好きなものを詰め込んだ形式のギャグマンガ"は意外にもめちゃんこ少ない(他に思い当たる物が下手したらあらゐけいいち先生の漫画しかない程に) もしかしたらこの時の鳥山明が一番鳥山明らしかったのかも知れないと思うのだ 実際、描いていて楽しそうに見える。
友達が授業中に描いたような、それでいてマンガであることが既にギャグになっている(マンガやトレンディドラマで使われがちなセリフや智恵子抄のコミカライズ)、高度なギャグマンガ。これをやれと言われても実際は難しいのだが、これでいいんだ、と錯覚させてくれる。
スポーツで汗を流す青春って妬ましいですね。僕が一人きりの部屋で不健康な汗をかいていたとき、グランドや体育館で健康的な汗をかいていた彼らは、きっと美人マネージャーと幸せな関係になっていったのでしょう。僕は2次元な彼女と不適切な関係になっていたというのに……。ああ妬ましい。今回紹介する『ガンバ! Fly high』も“スポーツ”と“ねたみ”というキーワードは欠かせません。「オリンピックで金メダルをとりたい」と、逆立ちもできない運動音痴の藤巻駿が飛び込んだのは、県最弱の平成学園体操部。そこには、一芸だけは秀でた三馬鹿トリオの先輩、内田、真田、東がいた。藤巻のひたむきな姿に3人も影響されて――。そんなプロローグから始まる『ガンバ~』の主人公・藤巻駿は典型的な少年漫画の主人公です。はじめはどんくさいけれど、眠った大きな才能をもち、努力を厭わない。あっと言う間に日本代表になり、世界初のオリジナル技を発明するまでになります。しかしこうなると、なんとも感情移入できなっなくなってしまいます。「努力とかいいながらも、結局“天才”の物語かよ」と。ああ妬ましい。しかし、『ガンバ~』はひとあじ違う。後半になると、完璧超人となった藤巻から、藤巻に追いこされてしまった3馬鹿トリオにフォーカスが移るのです。身近にいる天才・藤巻が世界の舞台で活躍するのをみて、感動しながらも焦りを感じた内田と真田は、自分なりの努力を重ねます。しかし、どうしても、どうしても、藤巻の背に追いつくことができない。藤巻に逆立ちを教えた内田は言います。 「俺はあいつに負けたくねえのよ! 体操の技術がどうとか得点がどうとかじゃなく、一生懸命ガンバるってことにおいて!」 決定的に実力の違う天才の背中を見ながらも、そんな気持ちをストレートに吐きだし踏ん張り続ける3馬鹿トリオこそ、読者が感情移入に足る、真の主人公だと思えてならないのです。これは、ひとつの【凡人萌え】マンガの極みと言えるではないでしょうか。そうジメジメした部屋の中で思うのです。
JC巫女とかね、もふもふした熊とかね、私の大好物がメインになった作品が『くまみこ』でございますよ。まいった!可愛すぎてね、何度も何度も何度も読み返しては、鳥取砂丘のように乾いた私の心に、じょうろで水をまいて潤いを感じさせてくれるような、そんな作品です。 舞台は東北地方のどこかにある熊出村。はっきりいって限界集落な熊出村には、中学生巫女の雨宿まちという少女と、人語を解する、半ば神の使いとして崇められている熊のナツがいます。 まちは都会に憧れていますが、長い田舎暮らしのため、一般常識はよくわかっていません。その点、クマのナツはブルーライトカットメガネをかけ、Nexusを操り、なぜか現代社会にとても詳しかったりします。 可愛らしいまちと、わりとリアルよりな造形ながらもふもふとした毛並みとつぶらな目が魅力的なナツのゆるい日常が限界集落を舞台に繰り広げられます。 都会に出たいというまちに、ナツはテストとしてユニクロでヒートテックを買いに行かせたり、ヴィレッジヴァンガードでDVDを買いにいかせたり……、そのどれもが、まちにとってはとてつもなく難しいことなで、いつも慌てふためいてしまうまちが非常にカワイイのです。 このまま延々と、まちの可愛らしさとナツのもふもふを語っていてもいいのですが、ちょっと待って欲しい。 はたして、この熊出村の山奥度合いがどのくらいかなのでしょうか。国道沿いのユニクロまで自転車で40分、ヴィレッジヴァンガードが入っているイオンも、国道沿いにあるようです。当然、ファッションセンターしまむらもあります。私個人が田舎の尺度にしておりますコメリ(ドライブしているととんでもない山奥にあってビックリすることがあります)がどのくらいの距離にあるのかが非常に気になりますが、数値的にみれば、意外と都会…な気がしなくもありません。 しかし、描かれている村の雰囲気や田んぼや森の様子は、ドライブで道に迷った時に、「助けがこないかもしれない」と不安に感じるような日本のど田舎の風景そのままです。都会に生まれ育った人間もなぜか感じる郷愁といっしょに、一人と一匹のとてつもなくカワイイものを愛でるのが、この『くまみこ』なのです。
一言にバカといっても、松竹梅と様々なレベルがございます。ちょっとしたバカ、うんざりするようなバカ、極めつけのバカ……。実生活では本当に勘弁してほしい所ですが、漫画に出てくるバカからは元気を貰えそうな気がします。『黄金のラフ ~草太のスタンス~』の主人公、藤本草太はそんな、見ているだけで元気がもらえる、そこぬけのバカなのです。 藤本草太は抜群の身体能力を持つバカ。池のなかにあろうが、グリーン方向に木が生えていようが、どんな状況でもバーディー、イーグルを目指すアグレッシブすぎるゴルフのため、全く勝てません。そんな草太に目をつけたのが、同じく全く勝てないプロゴルファー、谷田部光一と太子治の二人。谷田部光一は、完璧なスイング理論を持ちながら、自分の小さな体格ではそれを発揮できません。コース戦略やグリーンの芝を読むことにかけては誰にも負けない太子治は、ノミの心臓でそれをいかせないでいました。自分たち一人では全く勝てないかもしれないけれど、3人合わされば勝てるようになるかもしれないと思った、谷田部と太子の2人は草太を強引に誘い、世にも珍しいゴルフチーム「チームきりたんぽ」を設立します。谷田部が草太のスイングを完璧にし、実際のコース戦略は太子がたて、実際にクラブを振るのは草太という形です。 それぞれの突出した能力を合わせれば一人前以上になるかと思いきや、草太の突き抜けたバカっぷりのために、スコアは極端な乱高下を描き、それに合わせてジェットコースターのようにブンブン振り回されるストーリー展開がこの作品の魅力です。 この無茶目なストーリーを楽しく読めるのは、極端に個性的キャラクターがいるからです。ゴルフエリートの道を歩み、向かう所敵無しなのに、なぜか草太のことが気になってしょうがない花咲司。国内最強のゴルファーで、品性はお下劣なマイト竿崎。見た目はどうみてもジェームズ・ブラウンな、世界ランキング1位のムーベス・ジェラウン。どのキャラクターもクセは強いものの、なぜか愛着が湧いてくるのが不思議です。 中でも特に良いキャラクターがキャディの太子治。いじけっぽく弱気なのに、草太のバカに影響されて開き直り、急に強気になったりします。試合中の草太のショットに怒ったり泣いたり、一緒に踊ったり…それが妙に可愛いのです。 そうです。この漫画の魅力はゴルファーとキャディの掛け合いにもあります。実際プレイする人間と、彼らに道筋を示す人間。単純に二人三脚ではないところに、人間関係の面白みがあります。 奇跡のイーグルが出た次の回は崖下寸前からのショットに…。かと思えば、なんでもないところで一気にスコアを落としたり…。わかっていてもドキドキするし、ワクワクするし、感動する…。決してゴルフの王道ではないけれど、漫画の超王道なような気がします。
ツンデレって言葉があります。これは、そっけない態度をとる美少女が、好意をもった相手につい、いじわるをしてしまうような、大体そんな意味で使われる言葉です(べ、別にあなたのために解説したわけじゃないんだからね)。ツンが相手へのいじわる、デレは相手への好意ですね僕も御多分にもれず、ツンデレには色々とうるさいのです。さまざま、古今東西のツンデレキャラを思い浮かべ、何が至高で究極のツンデレかと考えると、やはりこれは『ラーメン発見伝』の芹沢達也(42)を挙げざるをえない。 『ラーメン発見伝』はラーメンが趣味の普通のサラリーマン・藤本が、様々なラーメンと出会い、自分自身のオリジナルのラーメンを完成させ独立する、そんな物語です。2000~2009年のラーメントレンドから、ラーメン経営の難しさにまで言及しているので、0年代ラーメン文化の通史ともいえる作品です。主人公・藤本のライバルになるのが、至高のツンデレ芹沢達也(42)。名前からもわかる通り、男。それもスキンヘッドです。芹沢はフードコーディネーターとしても有名ラーメン店の店長としても有名な、ラーメン界のトップ。自分にとって有用な人間には人当たりはよく、無用な人間に対してはとてつもなく冷徹です。多くの客を「舌バカな人間」と馬鹿にし芹沢は邪悪な笑顔と共に名言を吐きまくります。「ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ。」この芹沢が、巨大な壁として藤本の前に立ちふさがり続けるのです。それも、26巻にわたって!昨今の、すぐに負け、すぐに味方になってしまう安いライバルに見習ってほしいくらい、骨太です。芹沢は藤本のことを認めながらも、それをおくびにも出さず、「所詮、優秀なラーメン・マニアでしかない」と挑発しつづけます。お前は経営者の苦しみも知らない、ただのマニアでしかないと。芹沢とそれを追う藤本の戦いも、はるばる26巻をかけてようやく終わります。これでついにデレるか?と思ったらそれでもまだデレない。芹沢達也しぶとい!まだデレない。そして最終回。独り立ちをする藤本についに芹沢達也はデレるのです。26巻ずーと藤本のライバルでいつづけた男(42歳)の至高のデレを、是非みなさんにも味わっていただきたいですね。
街のおかしなもの、気になることって誰しもあるんだろうけど、面倒くさかったり怪しさにビビったりして普通はスルーするのがあたりまえ。しかし清野先生はそれを日常の一部にして楽しめる才能に溢れています。 文句なしに面白い赤羽の魅力満載ガイドブック! ちょっとした探究心が日常を楽しくしてくれるって事を教えてくれる一冊です!
やっぱり絵柄はかなり好きだなーちゃんと女の子可愛いし… 鬼より画力が上がっているように見えるけど、こっちのほうが後に描いたのだろうか。 主人公が最後にとった行動が正解かどうかはわからないし、あの行動があった故のあのオチかも知れない。お別れの時に松子に「神様なんかいない」と言った心境を考えると、きつい終わり方だな…。 ちなみにこちらが反響が大きかった「鬼」 https://shincomi.shogakukan.co.jp/viewer/84/04/402/
正直、共感とは少し違うものを感じた。それは単純に主人公と自分の年齢差だと思うけど。ただ主人公の身に起こったような身体やメンタルの変化は、もう遠い話ではないのだろうな。 変化を自覚したときには、こういうものだから、今までどおりに行くわけがないからという考えに切り替えられる、受け入れる体制をとれるようになっていたい。 主人公は、おそらく更年期の症状があらわれているんだろうというところで、年下の同僚にちゃんと現状を説明して「おかしかったら言ってね」と伝えているけれど、それはなかなか出来ることではないよなー… この作品を読んでより思ったけど、40代をおばさんと呼ぶには早い。というか、つまり、おばさん(おじさんも)かどうかは年齢で決めるものではない。 おばさんじゃない40代になりたい。
もともと、子どもができたら仕事と家事と育児をこなすスーパーお母さんを目指していた二ノ宮先生ですが、あまりにも旦那さんがデキる人過ぎて、ダメママになってしまった日常を綴るエッセイです。 最初から最後までもう笑いっぱなしです。 育児をしなさすぎて筋力がつかず、抱っこは5分でギブアップ。子どもには家でも外でも「パパがいい」と泣かれる。旦那にクソバカ女と言われても、我が道を行く二ノ宮先生の姿には「さすが」と思ってしまう。 東村アキコ先生のママテンもそうでしたが、漫画のアシスタントたちも子育てに参加するんですよね。使えるものは使うというのができるから上手いこと仕事も育児も回ってるのかなと思いました。 子どもが2人以上居ると、育つうちにそれぞれの個性も際立ってくるので読み進めるほどに面白さが増します。 ダメママぶりに子供のほうがしっかりしてくるという現象も生まれ、しまいには夫に反社呼ばわりもされてしまいます。笑
完結したので読んでみました。 可愛い絵とは裏腹に狂った感じでした。
全編、おそらく鉛筆で描かれているために騒々しい客の声も心地の良い賑わいに感じられる今まであまり読んだことがないタイプのグルメ漫画。 主人公の朔良は週末の夜遅く、亡くなった父が残した手帳に記されているお店をひとりで巡っている。子供の頃は多忙で一緒にいる時間が少なかったが、父の足跡をたどり思い出を共有することで、空いてしまった隙間を埋めている。 遅い時間帯の食事はカロリーの面で気になるが、できるだけ父の記録したものは注文するのがポリシー。 専門用語や、わからない食材の名前などは店員に聞き、食事の内容によって飲むお酒も変える。とくに朔良はお酒の飲みっぷりがよく、気持ちがいい。 1人で飲んでいる人間はほとんどいない店に、躊躇なく入っていけるのがすごい。そういうの憧れるけど難しいよなー… 料理や店の雰囲気の描写に説得力があるから、絶対にモデルにしている店があるはずなのに、情報が一切載っていないのもこの本の特徴。 ただ、両国にある店の回でとても印象的な名前のメニューが出てきたので検索したところ、すぐにヒットした。笑 こうやって自分で調べれば朔良が行った店には行けるのでは、と思う。 ポスト孤独のグルメ的なコメントがあるけど、これもドラマ化とかするのかな〜
2019年現在では実現しているものは多いが新製品のアイディアと懐かしいパロディの戦闘シーンがいい。連載当時の時代を知らないと面白さが半減すると思うが主人公「山崎宅郎」が各回の登場人物にいう「名言」は今読んでもいい
野球について、ほとんど詳しくありません。 ルールももう忘れてしまったし、バット振っても当たらない。 でもおおきく振りかぶってをチラとみると夏の暑い日、グラウンド、横を自転車で帰るあの日がフラッシュバックするかのように思い起こされます。 まず、野球でてっぺん取るぞ!と意気込むような主人公でなく、すぐ泣く弱い主人公を置いた時点で勝ちだと思いましたね。 そのせいでメンタル面、スポーツにおいて一番重要なんじゃないかと思う部分を語ることができる。 他の技術面重視のスポーツマンガに比べて切り口が面白いなと思いました。 初めて読んだ時は友人と「うまそう!」を連呼してました。懐かしいです。
現代と昔のモンゴルを行き来してなおかつ西夏の文字がテーマなので複雑です。 でもその複雑さと読むのが煩わしいと一瞬でも思わない表現力、さすがとしか言いようがありません。 バトルのスピード感のある筆の運び、めちゃくちゃ好きです。
『ダイの大冒険』は、幼心の僕にとってバイブルでした。それは、全国のこども達が真似し、僕も友人の後頭部に痛打を与えた必殺技・アバンストラッシュやブラッディスクライド。弟子たちを護るために散ったアバンの生き様。極悪非道ながら悪の美学を見せつけたフレイザード。美しき格闘家でヒュンケルとポップの間で思い悩む少女マァムとそのおっぱいで。幼き頃からダイを見守っていたパプニカ王国の王女レオナとそのおっぱい……、……いや、ホントはおっぱいなんてどうでもいいですがね、一応書いておかければいけないと、僕の魂が叫ぶのです。ともかくなにもかもが子どもたちを惹きつけてやみませんでした。中でも一番惹きつけられたのは、ポップというキャラクターの存在です。『ダイの大冒険』は国民的RPG『ドラゴンクエスト』の世界を下敷きに描かれたアクションファンタジー。世界を滅ぼそうとする大魔王バーンを倒すため、数奇な運命の元に生まれた勇者・ダイが仲間たちと冒険をするという筋書き。ダイの仲間のひとりがポップという魔法使いの少年です。このポップは、ダイの兄弟子にあたるのですが、登場したてはとにかく酷い。人間が腐ってる。仲間を見捨てて逃げるは、逃げた罪悪感をごまかすために自分に都合のいい、言い訳をするわ。もう見てられない。そんなポップは、さまざまな人々の働きかけによって変わっていきます。ダイを見捨て、逃げ出したポップを小悪党・まぞっほが言います。「勇者とは勇気ある者ッ!! そして真の勇気とは打算なきものっ!!相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃあないっ!!!」そして、胸に残った小さな勇気を振り絞り、ポップは強大な敵に立ち向かい、そこからポップは変わり始めていきます。(やさぐれているまぞっほにも、後半で思わぬ見せ場があるのが『ダイの大冒険』の素晴らしい所です)様々な因縁や血統、才能をもった他のキャラクターに比べ、ポップは普通の臆病な人間でした。戦わなければいけない理由もなく、逃げてばっかりだったポップは、長い物語の最後には、勇者・ダイの最も信頼できる存在へと成長していくのです。ゲームの『ドラゴンクエスト』の世界で“勇者”は、ただ一人、世界を救うこと運命づけられた、生まれながらに特別な存在でした。けれどこの『ダイの大冒険』において描かれた勇者は、なけなしの勇気で全て立ち向かっていった“臆病者”だったのです。
元々はクール教信者さんが2008年からwebマンガとして投稿していた作品で、作画としてヨハネさんを迎えてマガジンRにて商業作として連載を開始した作品。 ベースとなる物語は誰もが知る御伽話「桃太郎」。小国の姫・サルトリーヌ(サリー)の住む城に日本から来た少年・キビツミコトが訪れるところから物語が始まる。ミコトを追ってきた鬼が小国を襲ったことをきっかけに、ミコトとサリーの鬼との戦いの旅が始まる…というお話なのだが、単純なバトルものとして展開していかないのがこの作品。 「正義の反対はまた別の正義」という言葉があるが、本来"悪"として描かれるはずの鬼たちの背景もページ数を割いて描かれる。最初こそ人間の生活を脅かす存在として描かれるが、鬼たちが主人公一行を襲う動機も殺された仲間の敵討ちであったり、人間社会から迫害されたことにより生まれた羨望・怨念であったり、徐々に"完全悪"ではない存在として描かれていく。そして、主人公であるミコト・サリーの存在も"完全なる正義"としては描かれない。ミコトは鬼を全て討ち滅ぼすべき存在として捉え、サリーは鬼を対話により分かり合える存在として考え、共存の道を見つけるために旅をする。特にミコトの鬼に対する感情は強烈な怨恨として描かれており、少なくとも鬼に対する思想についてはサリーと完全に対立する形をとっている。(もしかしたらミコトのこの怨恨の感情が人間の心に巣食う"鬼"である、という意味もあるのかもしれない) つまりこの作品は「人間 vs 鬼」というバトルマンガの体を取りながら、ミコト・サリー・鬼という三者の"正義"同士の戦いの物語でもある。大方この鼎立の構造に明確な"正解"を出すことは出来ないが、対立する者同士の共存という恐らく三者の中で最も困難な道を選んだサリーが旅の果てにどのような答えを出すのか、それがこの作品の最大のテーマなのではないかと思っている。 と、すごい畏まった作品紹介をしてみたが、そもそもミコトとサリーの冒険譚として読んでも、亜人との遭遇や人間社会の内部にある差別の構造など様々な困難に直面し乗り越えていく様が面白い。ちなみに共に旅をしていくっぽい書き方をしていたが、ミコトとサリーは基本的には道中を共にしない(訪れた街でたまたま出会うことはあるが)。それは上記の考えの相違も一因なのだがもっと大きな理由もあって…それは本編を読んでからのお楽しみということで。 6巻まで読了