絵はステキ、お店の単価が異常に高くてびっくり、鰻の回は1万以上お支払い、ずいぶん金持ちな主人公だなと。遺産でも入ったOL設定かと思う違和感
後ろを振り返るのも生きていればこそ
素敵なお酒の飲み方を教えてくれる作品。 日常を洗い流すように飲み干すだけがお酒じゃなくて、誰かと楽しく騒がしく飲むだけがお酒じゃなくて、大切な宝物をそっと撫でるような静かなお酒がここにはありました。 朔良が深夜に1人で父の手帳に記された店を巡るのは、決して悲しさや寂しさ故のものではなく、父のことをもっと知りたいという気持ちからくるものなのかなと思いました。 故人と話すことは叶わないけれど、歩んできた道を振り返ることで見えるものがあるんだなと感じました。 亡くなった父の遺した手帳を辿るという、ある意味では後ろに進むような行為が朔良の血となり肉となる。 この物語の構造が何よりも素晴らしいなと思いました。 死者へ祈りを捧げられるのも、美味しいお酒と料理を楽しめるのも、生きているからこそできること。 今日のような寒い夜に、誰かを想いながら読みたくなる作品でした。