※ネタバレを含むクチコミです。
絵柄を見た瞬間、待ってました!という感じで、ここ最近の四季賞受賞作のなかでもかなり好きなやつです。幸村誠先生のコメントにもあるように、いたいけな子どもが大人の道具にされるような設定は読んでいて胸が痛むのですが、単純に「これ描けるのすげ〜…!」と感動の鳥肌が立ちました。そもそも作者名が覚えやすいんですけど、絵柄とかも含めて、ずっと忘れられないくらい強い印象が残りました。なにより忘れられないのは、ファミリーのドン・ニコラですね…。 絶望的な運命に抗うこと無くただ受け入れるしかない子どもたちが描かれますが、どこかメルヘンチックな作風なので面白く読めました。
人類の宿敵だった魔王が弱体化して蘇り、10年のあいだにやさぐれた勇者に喝を入れるため同居することに!スピード感! ファンタジー世界ですが舞台設定はほぼ現代の日本。なので勇者マックスがワンルームのアパートで自堕落生活を送ってたり、近所の公園で酒かっくらったりする姿が拝めます。 人類を救った英雄も敵が居なくなったあとはお役御免で、世間からワイドショーのコンテンツとして消費されているのがなんだかリアル。嫌気が差したマックスは表舞台から姿を消しています。 一方かつての仲間レオは今や敵対国家のリーダーになっており、もうひとりの仲間フレッドからレオを倒すため再び戦うよう依頼(脅迫)されたり…マックスの持つ力がパワーバランスを左右する…とみなは信じているようす。ドタバタの日常を送る魔王と勇者の生活に次第に不穏な陰謀の姿が見え隠れし始めるのはなかなかスリリングです。 マックスも勇者の矜持を捨てたわけではなく一本芯の通った男です。彼がレオとの戦いを通じて、魔王との関係やヒーローとしてのあり方にどう答えを出すのか見届けたいです。
タイトルにホイホイされて読んでしまったやつ。主人公のレン(14)のキャラデザがすごく良くてそれだけで100点!! って感じだった。 トラックに轢かれて転移して、マイクとデンモクを出す「カラオケ」の能力で女の子だらけのパーティの仲間になって、魔王とも仲良くなるという軽く楽しめるストーリー。 異世界に行かなくていいからこの能力ほしい、
気になりすぎるはやく続き!と思っていたので予約注文→読了でスッキリ このギャグ調の顔になりながらもしっかり恋愛するとこがたまりません〜 ああ〜そういく!?そっちいっちゃう!? この恋路もあの恋路もどうなるのか、と目が離せませんね
話のテンポが良くて、面白かった! 私は事件系の話は難しくて、理解するのに時間がかかるのだけど、顔の表情から犯罪者が誰なのか読み解くと言う話だからなのか、1話もしくは前編後編で完結だからなのな分かり易く読みやすかった。 陽一とルナのやり取りも、軽快でダークすぎず、表情からそんなこと分かるんだ!って勉強にもなる。 “上下”で終わってしまうけど、個人的にはもう少し読みたいです。
女の子のあたまにツノが生えてる漫画を、ツイッターで見かけてそこから二階堂さんの名前を知りました。 そのツノの漫画が最初に載っていて、本になって改めて読んで、やっぱり素晴らしい…。 そしてそのあとに続いて掲載されている作品の、多彩なこと。 全体的に多幸感のある話が多いですが、なんて呼べばいいのかわからない感情が生まれてくるような話もあり、いままで二階堂さんのことを勝手に「ツノの漫画の人(もしくはタヌキ)」という認識でいたのが、それはほんのほんのほんの一部でしかなかったんだなとひしひしと感じました。 とくに、この短編集のタイトルの由来になってると思われるセリフが出てくる最後の短編「恋のスイングバイ」。とあるカップルが卒業旅行にドイツへ行くという話が好きです。2人の間にある愛をいちばん強く感じた。
5年位前だが「ハッピーアワー」という映画が、自分の界隈で話題だった。 http://hh.fictive.jp/ja/ ざっくりいうと、それぞれ性格も価値観も異なる妻(一人はバツイチ)たちが、色んな理由で旦那から離れていく(離れていった)というのを描いた作品。 演技経験がない女性をキャストに使ったことで、逆にリアリティが強く、自分は今でもこの映画がすごい印象に残っている。 本作「金魚妻」を読んで、まずこの映画が思いだされた。 本作も端的にいうと、妻が不倫・浮気する瞬間をオムニバス形式で描いている。 巻数を重ねるごとで関連性も出てくるが、基本的には1話完結で色んな家庭環境の妻を描いている。 作者である黒澤Rは女性であることも存分にあると思うのだが、目線というか、女性的な着眼点、ふとした瞬間に起こる衝動的なところが、男子目線で読んでてハラハラさせてくれる。 特に、心が離れる要因として、物理的なDVなどはわかりやすいのだが、そうでない所の描きが秀逸なのだ。 ちょっとした不満の蓄積(えてして価値観に軽微な影響を与え続けるもの)、旦那が何もフォローもしない無関心な様子だったり、退屈だったり、結局わかりあえない関係性を身近な他人とのセックスで満たそうとする流れが、理解できそうで、理解できない。 この感じが、もどかしく男女間の違いなのだろうと読むたびに痛感させられる。 エロスな面が強調されるが、こうした男女の機微も味わい深い作品です。 特に、上記の映画を知っている人は、ハマるかと思います。
自分はいわゆるZOIDS第2世代でアニメやおもちゃ、そしてこのマンガに心動かされていたキッズのひとりです。 迫力のメカ、バトル描写はもちろんですが、戦闘の背景にキャラクターとゾイドの絆が常に描かれていて「ああ、俺もゾイド乗りたい…」と思わずにはいられなくなります。 共和国と帝国の微妙な力関係や政治的な駆け引きが描かれるなど戦記物としても本格派で、ハーマン大尉とシュバルツ少佐ら軍人はじめ、大人キャラはみな味わい深くてカッコイイです。アーバイン兄貴に一生ついていきたい。 読み直していて改めて骨太な物語だなと感じました。 TVアニメとは登場するゾイドや細かい設定に違いはありますが、キャラクターや世界観など大まかな設定はこのマンガ版を元に制作されたとか。ウェンディーヌなどマンガオリジナルのゾイドは魅力的な味付けになっています。 アニメと同じくデスザウラーが登場する予定もあったらしく、そこまで読めなかったのは残念ですが、マンガ版でしか味わえない楽しみがあふれるほど詰まっています!
主人公は田舎から出てきた建築デザイナーを目指す高校生。トップの成績で合格を果たし、持ち前のセンスで先輩やライバルを内装バトルや建築バトルで打ち負かすのだが、すべての実現可能性(最後は高校生が1人ずつ無人島で家を建てる)、評価の内容に納得できないので突っ込みながら楽しむしかない。 とはいえ子供向けにこんな珍しい設定で挑んだのは素晴らしいと思う。これ読んで建築の道を目指した人がいて欲しい。 役に立つ知識としてはピート・ハインのスーパー楕円テーブルと、部屋を広く感じさせるレイアウトは正方形を意識しろというのがある。
主人公の陰キャ・山本くんは、特に仲良くもない、むしろ嫌われているような気もしているちょっと恐いギャル・服部さんとふたりきりの掃除の時間、"もうひとりの服部さん"に出会う…!?最初ちょっとホラーかと思った! その正体は、服部さんの「ドッペルゲンガー」。通称ドッペルさんは彼女の隠された本音を山本に教えてくれた。その本音とは……… 「服部さんは山本のことが好き」!? 半信半疑にもドッペルさんの言うとおりに行動すると、なんともスムーズに会話ができるようになったではありませんか。女子と会話が出来たことだけで舞い上がってしまうほどの陰キャ山本だけど、これからドッペルさんに仲を取り持ってもらい、いつかは服部さんと付き合えるのか!?な全く新しいラブコメ。 正直ドッペルさんがいたら服部さんの気持ちが全部わかるんだから、楽勝すぎるでしょ…と思うので、今後はドッペルさんが居るがゆえの障害とかあるんじゃないかなと思います。
結構前にネットニュースで作者のインタビューを見て気になってた作品。マンバのオカルト漫画配信に合わせて1巻読んでみたけど面白かった。 「不良のイジメにしか見えない暴言や机への酷い落書きは、実は全部除霊に必要な行為」という意外性のある設定と、メリーさん・花子さん・背の高い女(八尺様)といった王道オカルトキャラのコントラストがすごくいい。 https://twitter.com/OtosamaLeong/status/1172338034806669312?s=20 裏地に呪言が描いてあるスカジャンを活用するところも、ゲゲゲの鬼太郎の霊毛ちゃんちゃんこっぽくて好き。 王道といえば。この作品自体日本の学校が舞台の王道学園ものなんだけど、実は作者OTOSAMA先生はマレーシア出身で日本の学校には通ったことがないんだとか。サブカルチャーから得た知識だけでここまで完成された日本の学校が描けることに感動…! (↓インタビュー記事) https://www.oricon.co.jp/special/53401/ LINEマンガで読めるので、夏に向けてぜひどうぞ。 https://manga.line.me/product/periodic?id=Z0000302
ひとり3,000円お小遣いあげてもいいくらい可愛い。 (そのお金で3人でスイーツ食べに行ってほしい) ただただ読んでるだけで幸せになれるので、ありがとうございますという気持ちです。1巻で終わらずに、2巻以降も出るのかと思うと喜びで踊り出しそう。 たまにある、こういう基本的に会話だけで成り立っていて特段何が起きてるでもないのに面白いマンガ。それを見つけるととてつもなく嬉しい。 3人とも(ついでにいうなら女子も)みんな可愛いけど、強いて言うなら山口くん推しかな☆ あの掃除用具入れの一件から一目置かせていただいてます…!
クレイジーピエロには最近よく見られる「むしゃくしゃするから誰でも」といった「理不尽」は無い。クレイジーピエロは怒りと憎しみそのものではないかとも思ったりもする。だから自身の行動がもたらす結果といったものには無頓着なのだろう。 クレイジーピエロの生みの親でありかつ一時的に封じ込めた老婆の元を去る際、実際の漫画では無言であるが、自分はこんなセリフを妄想したりした。 「俺達の仲間にピストルの弾を歯で受け止める記述が得意なシルバーがいたよな。彼は面白半分に口にピストルを突っ込まれて殺された。『奴は運が悪かった』なのか。『戦時中だったから仕方が無い』のか。殺されても構わない人間だったのか。」
田舎の高校で、勉強も部活もそれほど力を入れず、異性にもモテることなく、だらだらと毎日を過ごす。そんな若さの無駄使いこそが最高の贅沢であったことを教えてくれる作品。こんなに美しい最終話はそうそうない。 自分も先輩から洋物のエロ本を継承したことを思い出した。思い出す必要なかったのに。
土下座観の違いにより『どげせん』から、RIN先生の『どげせんR』と板垣恵介先生の『謝男』に分裂したとのことだが、実際は作品として世に出す時に要求する水準の違いが原因だったようだ。どっちが面白いかは読者に委ねるということになったが、どっちも割とすぐに終わってしまった。 上から抑えつけるのではなく、ただ下手に出て謝るだけでもなく、「祈り」が込められているところに板垣先生の鋭さがある。もっと読みたかったな。
サウナは好きと言えば好きなんですが、5分くらいで出たり入ったりしちゃうのでまだ真の魅力までたどり着けていないなあと思う今日この頃。正直なところ、お風呂のほうが好きです。 でも昨今空前のサウナブームだしちゃんとした楽しみ方を知ればもっともっと気持ちよくなれるのではないかと思っています。 こちらはまさにサウナのハウツー本といった感じですね。 サウナ〜水風呂の入り方、全国各地のサウナ情報、近隣のグルメなど、ちょうどいいテンポでちょうどよく紹介してくれます。サウナのあとのビールは最強に魅力的!!! そしてプロ熱波師にして「サウナそのもの」という異名を持つ井上勝正氏も登場しています!! 実際のサウナ内での熱波を受けたことはないですが、プロレス会場で井上勝正氏の熱波を受けたことはあります(ただのプヲタの自慢)。サウナじゃなくても熱波は熱いのです。 わりと気軽に行ける範囲に魅力的なサウナがあるんだなあということを知れたので、今度こそ「ととのう」体験をしたいなあと思ったのでありました。
「のぞきが得意な探偵もの」という設定から、見るという行為に潜む暴力性や哲学性にまで踏み込んだ快作。このテーマは『ホムンクルス』にも繋がっているように思うが、何も考えずに楽しめるしキャラクターも魅力的でエンターテインメント性が高い。 タイトルでエロい漫画なのかな?と思って読んでなかったのを後悔した(下ネタや性描写はある)。
世界で一番大変と言われる中国の官僚試験を描いた『儒林外奇譚』がまず素晴らしい。『みるせん』は将棋と自意識が複雑に絡み合った不思議な作品。強くなることだけが全てじゃないことを教えてくれる。『デバッガーノリコ』はゲーム会社時代を思い出した。表題作の『今日の授業は良い授業』は劣等生を教える塾講師が主人公の、心温まる話。 どの話も設定と目の付け所が良いなと思う。実体験が元になっているものも多いようだけど、人生の楽しみ方を知っているというか、何事にも面白みを見出すタイプなのだろう。
なんで、こんなに可愛いのかよ… と、孫を愛でるかのように目尻が下がりっぱなしになっちゃうラブコメです。 2月に1巻が出て、4月に2巻、7月に完結3巻が出ました。まさに自分にとっての2020年上半期のベストに選ぶにふさわしい作品です。 かわいらしい絵柄と、軽快なテンポでサクサク読める本作ですが、改めて難しい題材に挑んでいる意欲作だな〜と思います。 普通、中身が犬の成人男性を独身女性の家で世話するなんて、それなりの恐ろしさというか危うさがつきまとって平常心で読めない気がするんですけど、この漫画に関しては終始ニヤニヤしながら読めるんです。動物に対して抱く無償の愛と、人間同士の愛をごっちゃにして感情も関係もグシャグシャになるのに、陰湿な空気が一切ない。素晴らしいの一言。 あとは、連載追っていたときもずっと思ってたんですけど 瀬野さんというキャラがこのワンコそばにいるにおいてとても重要でした。限りなく大衆に近い人というか、感情移入しやすかったので、瀬野さんの苦悩に共感しっぱなしでした。とにかく瀬野さんの未来に幸多からんことを…(3巻のおまけページは必読!) 誰が読んでも「こんなラブコメ読んだことない!」ってなるはず。 ひとりでも多くの人に読んでほしい。そんで、最終的には10億人くらいが読めばいいと思っています。 路田行先生の次回作に期待大大大🐾
日本人にはあまり馴染みがないですが、中国ではコオロギ同士を戦わせる「闘蟋」は唐の時代から大人気で、現代でも夢中になっている人が多くいる歴史あるものだそうです。 映画『ラストエンペラー』でも、闘蟋の戦士であるコオロギがラストシーンで紫禁城の玉座から印象的に登場していました。 本作は、まさかのそんな「闘蟋」をテーマにしたマンガ! 改めてマンガの「何でもあり」な懐の深さを感じる作品です。『少年の名は』ではイギリスの寄宿学校を、『ギャラクシートラベラーズ』では宇宙の旅を描いた渡邉紗代さんがどうして「闘蟋」に行き着いたのか興味も尽きませんが…… ともあれ、やはり全然知らない世界のお話というのはそれだけで興味深いものです。「闘蟋」という競技に生活や命を賭けている者たち、強いコオロギの見分け方、それを育てて管理する者、実際の蟋蟀同士の迫力溢れる闘いの様子など、この作品でしか見られないシーンが目白押しです。 また、主人公である青年・バービーの悪漢ぶりも本作の特色。バービーには蟋蟀に対するリスペクトなど一切なく金蔓としか思っておらず、「クソ虫」と罵り惨殺します。また、虫だけでなく人間に対しても私利私欲を満たすための道具として利用するだけ利用します。酒と女と金が大好きでありながら、女の子から好意でもらったアイスクリームを悪びれず道に捨てるなどサイコパス的言動のオンパレード。しかしそんな一貫したクズっぷりが不思議と魅力的でもあります。 バービー以外のサブキャラクターたちも魅力的で、香港という都市の猥雑な空気感も見事に表現されている一作です。
怪しくも活気にあふれたとある異世界の大市場で、目覚めると首だけになって売られていた少女・ニアが主人公…!衝撃的だけど描写が美しくて初っ端から引き込まれます。 唐突に現れ、ニアの首を買った男・ナイルと、自分を売ったとされる両親を追うことにするのですが、衝撃的すぎる事実が次々と明らかになります!!とにかく絵が美しいんですが、ニアが目の辺りにする真実はわりと残酷。 謎すぎる男、ナイルと首だけ少女のニア。 複雑怪奇なふたりの関係、今後どうなるか読んでみたい。 続きを希望します!!
何だか切ない胸が苦しくなる気持ちになった。。 自分の気持ちに正直に生きることの大切さとか、大切に思うがゆえの辛さとか、心の葛藤、このマンガに詰まってる。 蒼の好きな人を思う気持ちからくる優しさは、本当の優しさなのか、自分の気持ち抑えすぎてて、もどかしい気持ちにもなる。 半吸血鬼と人間の間で彷徨う蒼は、右目の能力、ちーちゃんへの思いをどうしていくのかな。
すごく嫌い 31でコレはやばい でもこんなやつ多いからイラつく
私は多少趣味やキャリアパスが人と違っても、それを誇りに思うタイプなので全く生きづらさを感じてこなかった。むしろ逆境が活力になっていたりする。 そういう人間からするとこの作者みたいな人はめちゃくちゃイライラして、「そんなんだから駄目なんだよ」「虐められる側にも原因がある」みたいなことを言いたくなってしまう。母親がきつく当たっていたのも分かる気がする。 しかし。こういう人達がどのように感じ、何に苦しんでいるのか、考えたことはあっただろうか?いや、考えることはできないのだ。人の気持ちを想像するというのは、その人の思考方法をインストールしないことには無理と言ってもいい。そして初めて知る。 こんなに細かいことを考えていたのか、と。 とにかく考え過ぎだし、正解があると思い過ぎだし、原因と結果を安易に結びつけがち。自分の中だけで思考が先走り過ぎてずれまくっている(話の中で彼女が納得している答えも私から見ると違っているように思える)。そりゃ生きづらいわ。。 世の中には色んな人がいて、色んな考え方がある。私とは全く違うタイプだしほとんど共感もできないけど、だからこそ非常に参考になったし尊重したいと思った。
狼の母に育てられた少年が主人公。人を斬ることに抵抗がないような野生児ですが殺しの腕は抜群で、老いた母のエサにする死体を探す為に出かけた戦場で将軍に認められ同盟を結ぶことになる程です。この二人の関係は後の「岩屋城の戦い」に繋がります。初めて知ったのですが戦国時代でも最も激しい寡戦(700対50000!!!!)の一つと言われているそうです。第1巻でも人を斬りまくって死体がゴロゴロ出てきますが、絵力は強いのに全然怖くないし、笑える場面がたくさんあるのがいいです。さすがギャグ漫画家だと思いました。 私が笑ってしまったお気に入りの場面は、将軍の息子が落ち込んだ時に主人公の母である狼を見ることで癒されてたアニマルセラピーの場面と、その母が亡くなった時にたくさんの花と一緒にエサにするはずだった人間の頭や腕を埋葬している場面です。特に最後は残酷なのに笑っちゃう名場面だと思います。
名作「地上最強の男 竜」を書いた作者の短編集。ガバメントを持った少年とバイオレンス&ピースを合わせた単行本がフランスが出版されたという話を聞いたので久しぶりに読んでみた。 シュールな展開とか独自のコマ割りとかいくらでもいう人はいると思うが、あらすじにもある通り読む側の感性に委ねられているとしか言えない。原作ありの「超高速の香織」以外は、なんて説明したらいいか全くわからないし読みなおすたびに「こんなマンガだったっけ」と毎回新しい気持ちで読んでしまう。 正しいかどうかはわからないが個人的に納得した内容としては、風忍はベジタリアンで独自の瞑想法で精神状態を高めていき、その精神世界を漫画で表現しているというエピソード 未収録の「緑のおばさんが恐い」とか「最後の暴走族」とか「ハルマゲドン”オウム計画”成功せり!」とかを単行本にしてほしい
死んでしまったひとに、何故死んでしまったのかを問うてもわからない。残されたひとは残されたものから何かを拾い集め、つなぎ合わせて、生きていくしかない。 真言のように幽霊が見えて解剖ができて警察官の友人がいれば別かもしれないけれど、それでも真実にたどり着くのは難しいことだ。 無念を晴らす、真実を突き止めるという行為は死んでしまったひとのためでもあるが、残されたひとが前を向いて生きるための行為でもあるのだと思う。 真言の能力によって、死んでいったひとたちだけではなく残されたひとたちも救われているのだ。 世の中の多くのひとは、幽霊も見えないし医者でも警察でもない。真言のように真実に向かって突き進めるひとは一握りだ。 それでも、残されたひとは生きていかなければいけない。死んでいったひとのことを忘れずに、できうる限りのことをして、前を向いて生きていかなければならない。 生きているひとにも、死んでいったひとにも救いがある世界でありますように。 最後のお話で真言自身にも救いがあったのがよかったなあ。 決して押し付けがましくなく、前を向いて生きるひとを優しく支えてくれるような作品でした。
この世界はどうやら人類が滅んでしまったらしい。廃墟だらけの中を進むのは1体の人形ロボット。そしてそのコックピットの中には1人の少女。この物語は"10番さん"と呼ばれるロボットと、10番さんが"ムスメさん" と呼ぶ少女との、滅びた人類の生き残りを探すまったり緩やかな旅路の物語。 "箱入りムスメ"というタイトルのとおり10番さんはムスメさんのことを異常なほどに過保護に扱い(世界観を考えると当たり前と言えば当たり前なんだけど)、それに反するようにムスメさんは世界のいろんなことに興味を示して好奇心旺盛な振る舞いを見せる。その姿はまるでほんとうの父娘のよう。キャラクターの配置は『鍵つきテラリウム』のようだけど、作品の雰囲気としては『少女終末旅行』に近いかもしれない。 ただ他の作品と違うのは、ムスメさんと10番さんが共に旅をすることとなった経緯の部分。彼らは姉弟ではないし元々の知り合いというわけでもない。彼らが如何にして出会い、そして"父娘"となったのか、その一端が2話で語られるので、まずは2話まで読んでみてほしい。 1巻まで読了
大切な誰かに教わった物。最早分かち難く身についた行為。大好きなそれを、奪われるとしたら……。 ♫♫♫♫♫ バンド活動に飽きていた高校生・伊賀は、小さな年上の女の子・なずなの津軽三味線の音に触れる。 そのとんでもない音に魅了された伊賀は、なずなに三味線を教わろうとするが、なずなはやると言ったりやらないと言ってみたり……。 伊賀が頑なななずなの心の殻を、少しずつ優しく剥いで行くたびに見えてくる、なずなの心の傷は痛々しい。 全3巻中2巻を費やして、なずなが三味線を「弾きたい」と「弾けない」を行き来する物語は余りに繊細で、苦しい。しかし、なずながそのドラマの重さから解放され、自分らしく三味線を鳴らす時、物凄いカタルシスに満たされる。 ♫♫♫♫♫ 自分の三味線の音は血であり、過去であり、自己であるなずなにとって、三味線を奪われる事は、己の存在を否定される事だった。 例えば同じ津軽三味線漫画『ましろのおと』で、祖父の音を捨てて、自分の音=自分の存在証明を得るべく迷走する主人公の澤村雪と、苦しむポイントは違うが「自分の音=自己を鳴らす」という命題は共通している。 むしろ澤村雪の姿は、なずなの姉を神格化し、なずなの姉の様になりたくても叶わなかった、伊賀と同学年の橘ハルコの方に重なる。 『ましろのおと』に興味のある方は、2008年に同様の命題にチャレンジした『なずなのねいろ』も是非、読んでみていただきたい。
なんの前知識もなく読みました! 良いですね、なんかじわじわくる… 激動の人生!みたいなものがくるのかと最初身構えていたのですがそういう訳でもない。でも確かに物語に変化はあって、日常だけど丁寧でたまに落ち込みたまに喜ぶ。 特に良いなって思ったのは明海さんが家族でもないのに冷蔵庫を買おうって言うシーンですね…。 家族でもないいつ別れるかもわからない人と電化製品を買って、「自分が免許持ってるから運転免許なんていらないよ」って言う。 良いとか悪いとか出なく、ああ〜確かにこう言う人いるなって感じで。 そう言うところがリアルで丁寧で良い作品だなと思う訳です。
「負け犬の遠吠え」という言葉からは あまりいい印象を受けない。 その点でこの「ローカル女子の遠吠え」という題名は 上手いネーミングだな、と思った。 「田舎女子の遠吠え」とか「静岡女子の遠吠え」では 田舎や静岡の人から怒られれそうだし。 とあるイチ・ローカル出身女子の話ですよ、と チョットだけネタ対象をぼかしたわけだが、 どうせ一読すれば「静岡かよ!」と ディスり対象は丸判りで、それで問題はないし。 (いや、静岡をディスって良いと言う意味ではないが) 逆に静岡ディスりをもっと前面に出すのであれば 「シゾーカ女子の遠吠え」でも良かったかなとも思うが(笑) 私は「ローカル女子の遠吠え」を読んで、 瀬戸口先生って都会と地方、東京と静岡の 比較感覚とかギャグセンスも含めてリアルだと思い、 眼の付け所とかバランスとかいいなあ、と思いました。 はい、私も静岡県出身です。 子供のころはゴールデン・ウィークは茶摘ばかりで ほとんど遊びになど行けませんでした。 GWに遊びに行けない不幸?とかその他とかで、 私も子供のころは、やはり田舎はメンドクサイ、 都会はいいだろうな、とは想ったりしたわけです。 しかし現実には都会は便利で娯楽も多いけれど お金と時間の両方に余裕があるならば楽しめる、 という面が大きい。 その点、田舎は収入や娯楽は少なくても、 適度に生活を成り立たせて暮らす余裕は確保しやすい。 なので静岡の特徴的なところを 「それが普通」と思えば苦にはならんし、 「そこが良い」と思えば楽しくもなるのですよね。 その辺について主人公の有野りん子さんは 東京生活で疲れて静岡に戻りながらも 東京全否定でも静岡全肯定でも、その真逆でもないスタンスで、 静岡の独特なところを、りん子さんの独特な思考回路で 実感して見つめなおして評価します。やや自虐的に。 その流れとか結論とかが面白すぎる(笑) 漫画ですし、りん子さんがそういうキャラだから 面白いのだからこの漫画はそれでいいしそれがいい。 リアルでは静岡に限らずそれぞれの地方のローカル民は 東京とか都会はいいなあと言いつつ、 地元の独自性を自虐ネタにして笑って生活している 人が多いんじゃないかと思いますけれどね。
「言えなかった」と後悔したくなかったら、言いたいこと言って生きてたほうがいいのかなー。いや、やっぱり時と場合による。まあ、だいぶ登場人物たちと今の自分とでは年齢が違うので、刹那的に生きるみたいなことはできないけど。これを10代の自分が読んでたら、多大な影響を受けそうな気がするよ。 遠回しに伝えて雰囲気で察してもらうとか、あとから意味に気付くとか、そんなような会話じゃなくて、多少口が悪くなっても面倒くさいと思われても、気持ちをストレートに伝えあって、余計なすれ違いとか起こらないほうがいい気がしてきた。 読みはじめは正直「うん、、?」と思ったけど最後まで読んだら、支持される理由がわかった気がする。 これが映画になってるって、凄いな。観るつもりなかったけど気になってきた。
めいみんはいつでも明るいし可愛いし元気出る! ステレオタイプド直球すぎてこんな中華娘いる訳ないと一発でわかるくらいの中華娘めいみんがとにかく可愛すぎる。 アイヤーって言うしおだんごだし体柔らかいしフィジカル強すぎだし、記号感が強すぎて感想としては可愛い癒されるしか残りません。 ちょっと古いお仕事四コマならではの時代錯誤感もまた味わい深く、フィクションみを強くしてくれるのでよいですね。 なんだか辛いこととか嫌なこととか多い今日この頃なので、こういうただただ可愛くて楽しくて元気になれる漫画を読みたくなるんだなあ…。
バチボコに面白い。勝利が約束されたコンビとは思ってはいたがこれほどのシナジーを生むとは…… 導入としての第一巻として完璧すぎたのでまずはコミックスを読まれたし
ひぐちアサが『おおきく振りかぶって』という大仕事に取り掛かるまえの貴重なラインナップのうちのひとつです。併録はアフタヌーンへの投稿作の『ゆくところ』。そして、表題の『家族のそれから』は初めての連載作になると思います。最初期の作品だけあって、たしかに絵が拙かったり、読みにくいところが見られます。だけど、すでに光り輝いている、完全にひぐちアサなんですね。私はこれを、ある冬の日のスーパー銭湯の休憩所でたまたま読んだんですけど、読み終わって、胸がいっぱいになって、すぐに買いに行きました。 さて、表題の『家族のそれから』は、お母さんがインフルエンザで急死してしまい、遺されたのは高校生の兄妹と父。で、この父というのが結婚したての26歳の義父なんですね。ここにぎこちない共同生活がはじまるわけです。インフルエンザですから、季節は冬から春にかけて。ページをめくるたびに裸木の描写がみられ、さらにそれが徐々に芽吹いてゆくのが物語とは直接関係はなしに丹念に描かれています。そうした隅々に空気感というか魂が宿っています。とくに兄が新聞配達から帰ってくるときの早朝の空気感なんかは言うに謂われぬものがある。 『おおきく振りかぶって』の西浦高校にメントレが導入されてから、練習前の早朝の空気をみんなでイメージしてリラックスする描写がありましたけど、そういう物語とは直接関係はないけれど、不思議と印象に残っているワンシーンは、ひぐちアサの最初期から得意とする描写なんだと思います。 で、物語的には、ぎくしゃくした三人は三人とも胸に抱えるものはありながら、とにかく行動しようとする。若い義父は兄妹の父になろうとして、兄はお荷物にならないために新聞配達のバイトをして、妹は家事に専念する。優しさや強さを見せようと頑張るんです。でも、やっぱり、ぎくしゃくしているし、三人とも胸に抱えるものはあるわけです。このことは『おおきく振りかぶって』にも書きましたけど、つくづく、ひぐちアサという作家は、たとえば、強さと弱さという二律背反っぽいものを背反させるのでもなければ、向かい合わせるのでもなく、ともに前を向いていこうとする。あるいは、強さが弱さを抱いてあげるというのでもない。強さも弱さも単体でそこにあって、それぞれで、ともに前を向いていこうとする。この揺るぎない姿勢にはほんとうに感服します。 ちなみにあとがきにこんなことを買いていました。 「ワタシのマンガはワタシだけのモノですが、読む人は、その人だけのモノを構築するんだぞ~~~と実感しました」
西荻窪に佇む本屋バー”葉”が舞台。 “葉”と書いて、ページと読む。 短編になってるけど、一つ一つの物語が最後には繋がっていきます。 お客さんの人生に寄り添うバーで働く2人の人柄がとても良く、一冊の本の内容を交えて書かれてるのでその本にも興味が湧く。 柔らかい雰囲気の優しい気持ちになれる話、文字数が結構多いので、休日とかゆっくり読める日に読むのが良いのかも。
おっさんの気持ちを若い女性のキャラクターに代弁させるシリーズが面白い。おっさんが美少女を愛でるのは何も彼女らを征服したいからではなく、自分がなりたいからなのだが、それもそれで気持ち悪がられそうなので大っぴらには言えない。 読者と一緒に歳を取っていくか、特定の世代をずっと相手にし続けるかは作家としての戦略に関わるが、読者のライフステージの変化によって面白いと思えるかどうかが変わってしまうものが多いように思う。普遍性とは何かというのが逆に分かるし、そこをクリアした長編が読みたい。ぐっとくる細かいポイントを突く観察眼は素晴らしいから。
手塚治虫で好きな作品ってなに?トークをした時に「アドルフを告ぐ」と言う人が必ずいるじゃないですか。なぜかやけにツウっぽく見えるんですよね。ずっと気になっていたのですがようやく読みました。面白い!ですが、私の一番はこれじゃないな…というのが率直な感想です。 ヒトラーの話というのは知っていましたが、他に2人のアドルフが登場する、物語の半分は日本がベースになっている、中東戦争まで描かれている…などなど、あまりのスケールの大きさに驚きました。それにミステリーとしても人間ドラマとしても読み応えがすごいんです。どんなに風呂敷を広げても最後まで面白いってまさに神業ですよね。私が読んだ単行本には手塚先生のインタビューが収録されていて、もっと描きたいエピソードがあったとおっしゃってましたが、もう十分すぎるくらい完璧ですよ…!と思いました。
大人になって読んでみると改めて名作だなあと思う。思うけど、どこらへんが名作なのかと言われたら伊織ちゃんが可愛いところとしか言えない。 伊織ちゃんはとても可愛い。それは絵が美しいということでもあるのだけど、伊織ちゃんはただのイラストではない。伊織ちゃんの水着グラビアはしっかり雑誌のグラビアとして、桂正和先生の代名詞である美しい尻や執拗に描き込まれたパンツのしわも伊織ちゃん個人のものとして目に飛び込んできた。 伊織ちゃんと過ごした記憶が蘇るかのように目に映るのだ。 昔読んだことがあるからかもしれないけど、何故か忘れられない思い出みたいに見える。正直、ストーリーなんてほとんど忘れてるのに。 ある一瞬、伊織ちゃんが「そこにいた」ことを実感するのに、いざ思い出そうとすると途端にぼやけたりする。 まさに初恋の解像度を持つ存在が、伊織ちゃんなのだ。 伊織ちゃんによって目覚めたひと、たぶん多いのでは? 余談ですが フラグスタフとのコラボTシャツめちゃめちゃかわいい超ほしい! https://zozo.jp/?c=gr&did=85752002
何者でもなく、根拠のない自信があり、劣等感もあり、異性が気になり、成果は思ったほど上がらない。自分にも浪人時代があったのだが、この作品は読後に何も残らないところも含めて「あの感じ」を味わうことができる。人間のタイプとしては浪人するような奴が好きだ。
※ネタバレを含むクチコミです。