たか
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2020/02/03
いま一番読むべきノンフィクション漫画!!
さてこの作品を購入した経緯ですが、昨年マンバで『惑星をつぐ者』という伝説のジャンプ打ち切り作品を知りまして、そのあまりの完成度の高さに衝撃を受けたんです。 https://manba.co.jp/boards/65021 「戸田尚伸先生の他の作品も読んでみたい!!」と調べてみたのですが、なんと読切作品ばっかりで全然本になってない。『惑星』の他に、唯一出版されていたのがこの『カルロス・ゴーン物語―新・日本経済入門』でした。 戸田先生の作品ということで読みたいな〜とは思いつつも、お硬い実用書的なノリの表紙なので「漫画はおまけ程度で文字ばっかりだったらどうしよう」とビビって購入に踏み切れずにいたんです。 そんな中、2019年12月にあの事件が起きまして「これ今読まないでいつ読むんだよ!!」と1月にはAmazonでポチりました(中古で¥1500)。 https://i.imgur.com/80ExAsV.png その肝心の中身ですがめっちゃ良かったです! 全6話(1話約32ページ)たっぷり漫画が収録されていて、冒頭にはゴーン社長の幼少期の写真と漫画制作時のインタビュー写真が掲載されています。 2002年に発行されたこの作品は、カルロス・ゴーンが、日産再建のため1999年にCOO(最高執行責任者)に就くまでの半生」を描いた物語となっています。 https://i.imgur.com/mW8USdc.jpg (『カルロス・ゴーン物語―新・日本経済入門』第1章 旅立ち 戸田尚伸/富樫ヨーコ) ですので「日産のゴーン社長」として活躍する様は少ししか描かれておらず、「俺達の戦いはこれからだ!!」で終わっていてまるで山王戦で最終回を迎えたスラムダンクのような「面白さの頂点」で終わるスタイル。 しかも作画が戸田尚伸先生なので、目で画面を見たときの満足度も高い。(戸田先生を知らない人はレベルEの冨樫義博先生の絵を想像してください…ああいう格好いいやつです) それにしても、ちょうど私が小学生の頃にゴーンさんが日産の社長になったので、どうしても日産以外で活躍してるイメージがなかったのですが、ミシュランに正社員で入社しそこからグングン上り詰め、ルノー、日産のリーダーとして渡り歩いてきたマジでめっちゃすごい人だったんですね…初めて知りました。 https://i.imgur.com/KBhxQws.jpg (『カルロス・ゴーン物語―新・日本経済入門』第3章 ブラジル・ミシュラン 戸田尚伸/富樫ヨーコ) ゴーンさん、世界で今一番熱い人だと思うので小学館の方はカルロス・ゴーン物語「日産再建編・ゴーンショック&逃走劇編」の出版をよろしくご検討ください。(作画は戸田先生でお願いします!)
たか
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2020/01/30
じっくり丁寧に進むのがいい…
クリスマスにオタクの友人とオススメ漫画を贈りあう遊びをしたのですが、その時にもらったのがこれでした。 「成績優秀な男前と地味で勉強が苦手な主人公の幼馴染」という王道オブ王道、今までの人生で100万回読んでる設定のはずなのに「あぁ〜〜〜…いい…!」と悶えてしまう。 ベタな設定に加え、絵も多く描き込まないシンプルで可愛い感じでそこまで自分の好みじゃないのに面白い…! BLは割と「BL世界にしかいない思考回路の男」が登場することが多い。すぐ惚れて大袈裟にドキドキしたり、何の疑念や羞恥を感じず男同士ベタベタしたり…それで面白いこともあるけど、大半はその「あり得ない都合の良さ」に読んでてしらけてしまう。 一方、「君には届かない。」は、そこんとこがすごくちゃんとしてる。 2人の内面での葛藤や疑念をじっくり描いているからこそ、身体的精神的イチャイチャがなく友達として一緒にいるだけで萌える。そしてほんのちょっとな些細な触れ合いが、とんでもない破壊力を持つのがたまらない…!! ヤマトがカケルを思い、自分の恋心に蓋をしてストイックに幼馴染みの距離を保ち続ける姿が本当にいじらしい。 2巻がメチャクチャいいところで終わってて、まんまとハマりました。「君には届かない。」という切ないタイトルの物語が、今後どう進んでいくのか楽しみです!
たか
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2020/01/23
ネタバレ
生きづらい少年の焦げる青春
白星のギャロップ、スリースター、アオアシなど、最近のスポーツ漫画は「友情・努力・効率的なトレーニング」だけでなく、憎しみや怒りといった負の感情を肯定しているところが本当に読んでて楽しい!! この剣に焦ぐもまさにそのタイプ。サイコミ・裏サンデーのスポーツ漫画は本当に面白くて困る…! https://cycomi.com/fw/cycomibrowser/chapter/title/99 中学生の主人公・了一は高校生をビール瓶で血塗れになるまで殴ってブチのめす、「八王子の鬼子」という二つ名通りの苛烈な暴力衝動を抱えた少年。ある日友人たちが万引きしているときに補導に受け、26歳の高潔な警察官・小宮から剣道で指導を受けることになり…というあらすじ。 小学生の妹と2人だけで半額の惣菜を汚い箸の持ち方で食べるという絵だけで、了一の家庭環境が語られるところがすごく好き。 初めて了一が剣道と出会うシーンは、了一が抱えているあまりの暴力衝動にゾッとする。与えられた竹刀を故意に折って殺傷力を高め、致命傷を与える気で振り抜き、口に含んだ水を顔面に吐きかける……。しかし、こんな「鬼子」と呼ぶにふさわしい手の施しようのない暴れ振りを、小宮は傷を負いながら大人として見事に諭してみせる。 人間の悪行のせいで暴れる化け物や動物を、人が深い愛情で傷つきながら受け止めるシーン(ナウシカとか)は心を打たれるものだけど、この作品は了一がこんなにも鬼子になってしまった理由が1巻時点では不明だからその暴力がただただ怖い…。それが面白い…! 絵は全体的に拙さがあるけれど、演出、決めのシーンの迫力など、表現したいものがしっかりしているから、読んでいてあまり気にならない。指導で了一が小宮に一撃喰らわせた技「片手左上段」がその後の鍵になる演出は燃えました。 青春でスポーツだけど全く爽やかじゃない。怒りや苦しみで焦げついた10代もあり寄りのありだと思います!!
たか
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2020/01/21
休載があまりにも惜しい名コミカライズ…
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偶然このコミカライズを知り、美麗な表紙に惹かれて読んでみた作品。1巻の発売が2013年とのことで一体どういうことか調べると、連載先のサムライエースが休刊となったタイミングで休載。映画化に合わせて再開予定だったとのこと。 https://natalie.mu/comic/news/106687 が、結局その後発売されたのは映画のコミカライズ 「空海 -KU-KAI- (夢枕獏/睦月れい 全2巻)」だった…という流れのもよう。(もっと経緯に詳しい方がいらしたら是非教えて下さい) **スタイリッシュさと色気・生々しさを兼ね備えた線のタッチが好き。**背景や衣装も史実に基づいた説得力のある描写がされているところもいい! また、硬派で一辺倒の落ち着いた語り方をするのではなく、コメディシーンでは漫画らしいデフォルメも使われていて、読んでいてすごく楽しかった…! 最近は「リアリティライン」という言葉もあるけれど、硬派な世界観を壊さない絶妙な加減で漫画っぽさが加えられていて本当にすごいと思う。 逸勢と空海、2人の心の動きも本当に丁寧に描かれていて、作品世界にガッツリのめり込むことができました。叶うなら何らかの形で、一応の完結に持っていってほしい作品です。 (画像は1話の扉絵。これだけで期待しかないし、期待通り最高の本編だった)
たか
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2020/01/16
共感度MAX!大都会・江戸に疲れた地方を侍を描く【山村東 最新読切】
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こまとちびやフクなど、江戸×猫マンガの名手・山村東先生の最新読切。今回は猫がメインではなく上京してきたお侍さんが主人公。なのに共感度MAXですっごく面白かったです!(なお、ちゃんと猫も出てきます) ▼過去作『フク』 https://comic-days.com/episode/10834108156649962736 いや〜期待を裏切らない良い読切でした…! 物語の主人公は、1カ月前に豊後国(大分)から参勤交代で江戸へ出てきたばかりの侍・清十郎。 50万人が暮らす大都会・江戸は、少しの無礼など誰も気にもとめないし、蕎麦の注文の仕方もよくわからない。しかも名誉なお役目と思っていた参勤交代は、実は誰にでも出来る仕事だったと気づいてしまい、清十郎、めっっっちゃストレス感じまくり…!という、**東京で働く地方出身者にはたまらないお話です(笑)** 猫が居なかったら作中のストレス指数はもっと高かったこと間違いなし! ある日、15、6歳の女の子が巾着切り(スリ)を働く現場を目撃したことで物語が動き出します。 ストーリーも面白いのですが、山村先生の描く精緻な江戸はいつ読んでも惚れ惚れします…!差配さんやこはぜ町ポトガラヒーなど、江戸文化あふれる作品が好きな方におすすめです! ▼本編掲載ページ『Dモーニング』 http://dm.m.eximg.jp/viewer/1540/1542/ (画像は本編より。共感しかない)
たか
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2020/01/09
ネタバレ
読後感心地よすぎ…!
「女子×スケートボード」とかいう俺得すぎる漫画があると知ってすぐ買った作品。読んでメッッッチャ良かったです…! https://comic-days.com/episode/10834108156722745863 主人公のあこはレンタルビデオ屋で社員として働いてるアラサー。ゆるーいカジュアルなものばかり着ていて、キラキラした女性らしいファッションとは無縁。特別にそのことを気に病んだりもしてなくて、その格好のまま高校時代の女友達と飲みに行くし、気取らないプレゼント(むき出しのDVD)を渡したりする。 2年付き合ってる脚本家の彼氏がいるけど、向こうに結婚する気はまったくない。インスタは2、3年前に初めたけど1回も投稿したことがない。 ある日飲んで帰って、植え込みに倒れ込むとすぐそばの段差を女の子のスケーターが飛び降りて…というあらすじ。 1話で登場した「ロード・オブ・ドッグタウン」が1巻の最後ででちゃんと繋がる展開が熱い! あこはボーッとしているように見えますが、それはいい意味でマイペースということでもあります。自分以外子供しかいない初心者クラスに参加し、恥ずかしさ吹っ切って、ちゃんと楽しめるのは誰にでも出来ることではないと思います。 自分も少しだけスケボーに挑戦したことがあるので、主人公が悪戦苦闘している姿には共感しかありません。 ちなみに私が好きな動画は女の子がとんでもないスピードでダウンヒルするやつです。「もっとちゃんと厚着して…!」って心配になりますが、同時に女の子らしいファッションで滑りを楽しむ度胸と自由さには憧れを感じずにいられません。 https://youtu.be/2SYv-HJ8NqE
たか
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2019/12/25
恋の形の可能性について描く
2017年にPixivで読んで衝撃を受けたハチャメチャにすごいやつ。まず絵がとても良いんですよ。生々しさと繊細さの両方を兼ね備えた画風、心の動きを見事に描写する美しいコマ割り、そして2人のコミカルな部分を表現するのにピッタリな独特のデフォルメ。最高すぎます。 そしてなにより**2人の人物像がすごく解像度が高いのが、良い。** 主人公の月島一騎(いっき)と先輩の唐木田透真はともに美術講師を努めるクリエイター。いっきは「誰かを好きになるけど性欲は一切ない人」。唐木田は「自分を好きになってくれた人の気持ちに応える人」。 どんなファッションが好きとか、お互いのいないところでどんな風に振る舞っているのかとか。**読み進めていくうちに2人のことが実写映画のようにハッキリ見えてきて、存在感が本当にすごい。** https://i.imgur.com/ln6cZ2P.png (『初恋、カタルシス。』鳩川ぬこ) 出会い、破局、交際…1年にわたりいろいろな場面での2人のやりとりを追っていくことで、大長編を読んだような充実感があります。 この作品は起承転結のストーリーがある物語ではありません。2人が壁を乗り越えたり、何かを手に入れたりという大きなゴールがない。そしてそれが、この物語の最大の魅力だなと思います。 **2人の日常をただ切り取って、絵と文章で丁寧に心の動きを追っていく。**あまりにも良すぎる…最高です。 そして**「まず恋愛をすることに焦点があって、それを語るうえでいっきのノンセクシャルの部分について言及が必要不可欠」**…という話の構図が作品を洗練されたものにしていると思います。** https://i.imgur.com/wscQM9W.png (『初恋、カタルシス。』鳩川ぬこ 「この部屋物が多くてバカみたいだ」っていうセリフは悲しみの底にいる人にしか出てこない素晴らしいセリフだと思います) 「本屋でどの本棚に置くか」と言われればBLなんだろうけど、一つの恋愛漫画としていろんな人に読んでみてほしい作品です。 https://www.pixiv.net/en/artworks/66054688 https://manba.co.jp/boards/111584 【おわりに】 「フィクションであっても正しく(理想的・模範的)に描かれるべき」という当事者の方の主張について意見することは避けますが、私は「初恋、カタルシス。」の描く現実的な不完全さ(唐木田の無理解・性暴力の強要)を理解したうえで大好きです。
たか
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2019/12/25
ただの日常が超愛しい これはとてもいいものだ…!
コテリ先生のVeilを買いに久々に本屋に行って見つけたのがこの作品。あまりにも表紙の雰囲気が良すぎて読む前からすごく期待していたのですが、その期待に200%応える最高のやつでした。 https://res.cloudinary.com/hstqcxa7w/image/fetch/c_fit,dpr_2.0,f_auto,fl_lossy,h_365,q_80,w_255/https://manba-storage-production.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/uploads/book/regular_thumbnail/301208/d84f9ae2-0d12-4fb4-a70b-f9d362622d12.jpg まるで小説や映画のようなゆったりとしたテンポで二人の日常が進んでいき、じっくり2人のいる世界を味わうことができるのがとにかくいい…! そしてさらに、そのゆったりした物語が、スッキリとした細い線で描かれる繊細な絵とマッチしているのが最高。時折2人の顔が「簡単な顔」になるのだけれど、それが古き良きの少女漫画のデフォルメみたいで可愛くてホッとします。 https://i.imgur.com/9qOsRho.png (『月とすっぴん』アケガタユウ 「しほに電話できるから外回り大好き!」と言うアカリちゃんの尊さよ…!) **最初のエピソードを読むだけで、「ああ、2人はこういう子たちで、いつもこのぐらいのリズムと距離感で付き合っているんだな」というのがビンビン伝わってくるのが、んも〜〜〜っ!すごくいい…!** しほのことが好きで好きで、それを全身でアピールするアカリ。そっけなくて口数は少ないけど、アカリのことをちゃんと想ってるしほ。 はあああああ、尊ぇ〜〜〜…すご…。 個人的には、アカリちゃんがしほのことをメッチャ深く理解しているところに最高に愛を感じます。 1話でしほはアカリちゃんがウキウキ楽しみにしているデートに寝坊してくる(※当然のようにお洒落しないですっぴん)のですが、アカリはそのことを責めない。 ちゃんと「しほちゃんはそういう人だから」と、ありのまま受け入れている。**相手を自分に合わせて変えようとしないところがもう、愛。** とにかく読んで良かった。2019年の締めにこれが読めて本当に良かった…!今は「こんなに良いものを描いてこの世に送り出してくださり誠にありがとうございます」という、感謝の気持ちでいっぱいです。 優しい世界に触れたくなったらとき、ぜひ本作を手にとってみて下さい。 https://twitter.com/akegatayu/status/1204612716704325633?s=20 https://manba.co.jp/boards/113866
たか
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2019/12/24
ネタバレ
レは◯◯◯のレ(困惑) わけわからなくて好き
眼鏡の主人公・想一と面長ツーブロック・友梨は、大事な友人の春樹を事故で失ったばかり。想一は春樹の遺品に未開封のコンドームを見つけ、「春樹の好きだった女の子・吹石さんをレイプしよう」と友梨と計画する。 ### 何を言っているんだお前は…???🤔🤔🤔   もし1ページ目の **「選考委員・藤島康介氏、困惑!」「いい意味で、気持ちの悪い作品」** というアオリを読んでいなかったら読むのをやめていたかもしれないレベル。 想一曰く、「セックスする時、膣に直接触れているのは春樹のゴムだから、それはもう『春樹のセックス』」という理屈らしい。なるほど、一応筋は通っている。 吹石さんはいつも外を走っているスポーツ少女で気が強く、「春樹が仲良かったのはこんな意味不明なことを考えるやつらだったのか」と2人のことを唾棄している。 吹石さんをレイプするため、2人は綿密に計画を立て前向きに努力を重ねていくのだが、計画を実行しようとしたその瞬間、吹石さんは別の男たちに連れ去られてしまう。 主人公たちは致命的にモラルと知性が欠けているのに、その一生懸命さ・純粋さになぜか感心させられてしまった。 藤島康介先生の **「どう考えてもゲスで嫌われる視点で描いているのに、なぜか青春になっている。妙に信念がある、怪作」** というコメントがこの作品の全てを的確に表現していて唸りました。2019年の怪作読切をぜひお楽しみ下さい。 https://comic-days.com/episode/10834108156671800747
たか
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2019/12/18
ネタバレ
鉄血の男が少女を拾う…!!
もともと気になっていた遠藤達哉作品ではあったのですが、SPY×FAMILYの「このマンガがすごい」インタビューを読み、この「石に薄紅、鉄に星は」が原型となっていると知り、ソッコーで積読を消化しました。 いや、もうメッチャ面白い…!すごい。 本ッ当に漫画が上手い! WEBで冒頭4ページが読めるのでまずはそちらを読んで下さい。 https://jumpsq.shueisha.co.jp/sqcrown/2017spring/ishiniusubeni.html **・しょっぱなに登場する魔法生物がかわいい** (王道少年漫画の資質を感じる **・ガスの19世紀の兵士っぽい武装がいい** (ファンタジーに説得力がでる) **・遠藤達哉らしい隠せない闇** (ミ゛ーシャを生んだ理由・サラッと指がもげて戻らない) このへんの要素に、さすが遠藤先生だな〜とテンションがあがりました…! この作品は、SPY×FAMILYの原型というだけあって、「戦う男、訳ありの強い女性、事情を抱えた幼女」の3人が登場したり、幼女の振る舞いが愛らしかったりと共通項が多いです。 SPY×FAMILYは「暗いの禁止」を合言葉に制作されているそうで、翻ってこちらは**ギャグシーンの合間に見える「ダークでシリアスな良さ」がたまらない…!!** そして物語の終盤、ガスがミ゛ーシャの目を見て語りかけ強く抱きしめ、頭にキスを落とすシーンはもう、そんなん…そんなん…!😭愛しさで胸がギュウギュウに締め付けられて苦しいくらいでした…。 https://i.imgur.com/LsbcU0X.png (『石に薄紅、鉄に星』遠藤達哉) そして物語のオチも、少しだけビターで切ないハッピーエンドとで、やはりSPYより対象年齢が上(ヤングアダルト向け)な感じがしました。 読んで損はないどころかホント、めっちゃいいので、ToLOVEるが表紙の「ジャンプSQ.CROWN 2017SPRING」をポチって下さい…!! https://www.amazon.co.jp/dp/B06XPGLXCK/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_DYD-DbKFVD41X 【あらすじ】 主人公のガスは魔物学者の父の下に生まれた戦士。幼い頃から生物に囲まれて育ったため毒や麻痺が効かず、「鉄血のガス」と呼ばれ活躍している。 父を亡くして間もないある日のこと。森の中でメドゥーサの少女と出会い、石化が効かないガスは彼女に気に入られてしまう。 彼女のねぐらに行くと、そこには母親が記した育児日記が残されていて、そのメドゥーサが捨てられたことを知る。 研究にしか興味がない父の関心を得ることなく死別したガスは、好奇心から彼女を王都へ連れ帰ることにする。 【ボツ案イラスト】 https://twitter.com/_tatsuyaendo_/status/1098505812102721536
たか
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2019/12/17
3つの芸術の総合作品 美しさしかない本…!
全2巻を30分ほどで読み終えたのですが、まだ夢見心地です。あまりにも2人の関係性が、ファッションが、世界観が良すぎて、物語について分析的なことや自分の感想を進んで書く気になれないですね…どう頑張っても野暮なことしか書けない気がします。 なので「この本の構成」について書こうと思います。 https://j-nbooks.jp/comic/original.php?oKey=175 この本の発売を楽しみに待っている間、「まるで美しいシネマのようなコミック&イラスト集」という謳い文句で宣伝されているのを聞き、「結局漫画なのか、画集なのかどっちなんだ?」と謎だったのですが、読んで納得しました。 漫画のように「物語がコマごとに割った絵で語られるだけ」ではない。画集のように「文脈のない絵がズラズラ並んでいるだけ」でもない。 まさに「コミック&イラスト集」と表現するのが相応しい構成になっているんです。**しかも全編フルカラー…!** https://twitter.com/_K0TTERl_/status/1202975764280299520?s=20 まず驚くのが、表紙をめくるとすぐに目に入ってくる「見返し」や「扉」といった、一般的な漫画ではただ実用的でそっけない部分まで美しく、物語に入り込むための素晴らしい導入になっているところ。 そして各話の「幕間」に当たる扉ページもまた、読者の集中力を途切れさせないよう、世界観に沿って美しくデザインされています。 さらにすごいのが、**ストーリーの幕間にイラストと文章を挿入し、複数の表現方法を組み合わせて総合的に「彼と彼女」のことを描いているところ。** あらすじでは本書のことを「まるで美しいシネマのような」と表現していますが、映像・ストーリー・音楽の総合である映画を引き合いに出していて非常に的確だなと思います。 https://twitter.com/_K0TTERl_/status/1162700555304595457?s=20 そして読み終わってみて感じたのは**「Veilのことを世に出回っている多くの漫画と同じものとして分類できないな」**ということです。 **・今作を出すまで長期に渡り制作されている(2017年〜2019年に発表された作品が収録されている)こと ・アシを雇わず1人で作り上げていること(おそらく) ・フルカラーで高価格であること ・幕間(物語外の物理的な部分)まで世界観の一部となるようにデザインされているところ** こうした特徴を抜き出すと、日本のMANGAというより**「日本のBD(バンド・デシネ)」**と呼ぶほうが相応しい気がします。 (加えて言えば、日本の漫画の9割(※個人の勝手な体感です)は、商業的な成功に結びつきやすいエンタメ性の高い作品に占められています。そのため、ただただ美しさを追究した芸術性・文学性に富んだ漫画というだけで主流から外れてしまい、やはり日本のMANGAっぽくない。 長々書いてしまいましたが言いたいことをまとめると、**自分にとって「Veil」は、作品としてあまりに美しすぎるために漫画と呼ぶことに少し抵抗がある総合芸術**です。 百聞は一見に如かずなので、今すぐ手にとって読んでください…! (紙質と装丁がいいので紙がおすすめです…!) https://manba.co.jp/boards/112451 https://manba.co.jp/boards/112451/books/2 (2人を並べてあげたい)
たか
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2019/12/16
ネタバレ
全人類必読の巨大感情がここにある
皆さんは「宝石商リチャード氏の謎鑑定」という小説をご存知ですか?私は結構前に本屋で雪広うたこ先生の美麗な表紙を見かけて以来、存在は知ってはいました。 2020年1月9日よりTVアニメが放送されるとのことで、これは予習せねばと思い、つい先週初めて第1巻を読んだんです。 いや、もう、本っっ当にヤバくて…!! **「なんでこんなすごいものがあるって皆教えてくれなかったの……?」 「というか、なんでこんなすごいのにまだ世に全然知られてないんだよ…!?!!」** …と衝撃を受けました。 (▽原作小説『宝石商リチャード氏の謎鑑定』辻村七子/雪広うたこ 1巻) http://orangebunko.shueisha.co.jp/ob-control/images/2015/11/12_hoseki.jpg 先に述べておきますが、**書影や設定だけ見てキャラ付けが先行した中身ペラペラの女性向け作品(英語で言うところの「fujobait=腐女子の餌」)のように思った方がいましたら、その先入観は大きな誤りです……大損こきますので認識を改めましょう。**自分がそうだったので。 この作品がどんな物語なのかざっくりまとめると、 「宝石の知識に富み、心の機微に通じ、思いやりとデリカシーに溢れた、日本人以上に美しい日本語を操る『ジュエリー・エトランジェ』の店主リチャード氏とお茶くみ大学生正義くんのお仕事漫画」 です。 タイトルにもなっている、持ち込まれる宝石や依頼人の状態から背景を推察する「謎鑑定」のパートは、まさに謎解きの風情たっぷり。 宝石やジュエリーの解説がしっかりされていて面白いのはもちろんのこと、何よりこのメインキャラクター2人の関係性がとにかくヤバい(語彙力) 高田馬場にある大学に通う主人公・正義(せいぎ)くんと空前絶後の美貌と言語能力を持つマルチリンガル宝石商・リチャード氏。 2人は初対面から少しずつ関係を構築していくわけですが、その距離の詰め方が本当に思いやりに満ちていて奥ゆかしくて、人情に満ち、繊細で、丁寧で温かい宝石商……。 心配りに長けたリチャードと、そんな彼の姿を見て上品な気遣いと思いやりを学んでいく正義くん。 2人の感情のやり取り、永遠に見ていたい……。 やがて2人の間には互いに大切に思い合う恋愛や親愛を超越した**いわゆる『クソデカ感情』**が生まれ、それがもう……あまりにも美しく尊い…。 もはや「宝リチャ」以前の自分を思い出すことができません。 **というか私は今後の人生でこの2人以上の超弩級巨大感情を抱えた2人組に出会える気が全くしません。**そのぐらい、この2人の間にある思いというのは強く美しい。 (原作を読んで衝撃を味わってほしいので、具体的なことは何も書けません……とにかく読んでみてください) そして今回のアニメ化と同時に始まったこのコミカライズは、原作の素晴らしさの片鱗を存分に感じさせてくれます。第1話は2人の出会いのシーンで、メインPVよりちゃんとビールをかけられた様子がわかりやすくなっててよかったなと思います。 (原作ファンとして「あれも描いて…!」という要望は山のようにあるのですが、無益なので胸に秘めておきます) 今後「漫画版・宝石商」が物語を紡いでいく中で、原作と同じ部分・違う部分が出てくることと思います。その差異を楽しみながらエトランジェの2人を見守り、そしてコミックスを買ってしっかり貢いでいきたいです。 【TVアニメ公式】 https://youtu.be/nIpDFNCNrU8 https://jeweler-richard.com/ 【シリーズ公式】 http://orangebunko.shueisha.co.jp/book/series/%E5%AE%9D%E7%9F%B3%E5%95%86%E3%83%AA%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%89%E6%B0%8F%E3%81%AE%E8%AC%8E%E9%91%91%E5%AE%9A
たか
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2019/12/16
絵が可愛い星座バトル漫画!
星座をテーマにしたバトル漫画をジャンプで描くなんて、スラダンのあとに黒バスを描くくらい勇気がいることではないかと思うのですが、この読切は絵もストーリーもちゃんと独自の味を持っててよかったです…! 面白いかと言われると個人的には「うーん」という感じ。もう少し光星くんが普段どんな風にすごしているのか、人となりがわかれば父との確執&一時和解にもっと感情移入できたと思います。 一方で絵柄は、柔らかくて温かみがあって、とにかくキャラクターが可愛い!!そしてキャラデザがすごく素敵!(特に主人公が覚醒するところがカッコかわいくて良かった) **「キャラの魅力」という点では、堀越耕平先生に共通するものがある**と思うので、ぜひ読んで可愛さを味わってほしいです…! https://i.imgur.com/X7lXl06.png (『綺羅星のメリル』川口勇貴 より) >**【あらすじ】 >光星(こうせい)は幼馴染の女の子・早乙女と、同じ学校に通う高校生。ある日バイトに急いで向かっていると、自分のウール100%マフラーが突如生き物のように喋りだした。彼女の名前はメリルといい、太古の魔術師・ノアが宇宙のエネルギーを地球のために使うため生み出した「聖星座(アステラ)」の1人だった。 メリルは、JAXAに勤め妻の死に目にも帰ってこないという光星の父が死んだと告げ…。**
たか
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2019/12/12
ネタバレ
格好良すぎて超お洒落!!ロンドンの大学生が市長殺人事件に巻き込まれる
12月12日より始まった月刊コミックビームの新連載!マンバの新連載・読切情報トピックを見て、タイトルとサムネイル画像の色使いに惹かれて読んだのですが…もうこれ最高すぎでは???「こんなんほぼ海外マンガじゃん!!!」と大声で叫びたくなる絵のお洒落さ…!!**まずビームの表紙がやばい最高…!** https://i.imgur.com/ckRMplQ.jpg 主線がないカラー絵、独特のデフォルメ、吹き出しの尻尾が繋がってるところ、絵から漂う西洋の香りにもうベタ惚れです。しかもストーリーもめっちゃ硬派!しかも舞台がロンドン!好きになるところしかない…!! https://i.imgur.com/BuUJoly.png (『Lost Lad London』シマ・シンヤ 1話) 1話で好きなのがこの「電車とプラットフォームの隙間にご注意下さい」というアナウンスシーン…!! ロンドンの地下鉄といえば「Mind the gap」の放送と注意書きが有名ですが、それがさらりと環境音で表現されててめちゃくちゃ感動しました…!! 作品名「Lost Lad London」の「消えた青年」とは死んだ市長のことなのか、それとも別の人物のことなのか…。そして作中たびたび現れた紙飛行機の暗示が気になります…!早くも第2話が楽しみです。 ……っていうか、シマ・シンヤ先生 is 誰???ネットに情報が全然ない…マジで何者なんだ。 【公式サイト&試し読み】 Lost Lad London | ビームコミックス | 月刊コミックビーム https://comicbeam.com/product/Lost%20Lad%20London/ >【あらすじ】 アル・アドリーは、養親から自立するため冬休み中もアルバイトに励む予定の、ロンドンに住むカラードの大学生。ある日、友達とメッセージのやり取りをしながらイーリング・ブロードウェイ行の電車に乗ると、その2日後テレビは市長のキング氏が地下鉄で刺されたという事件一色となっていた。 >アルが買い出しに行こうと鍵を探していると、一昨日着ていた上着のポケットに血塗れのナイフが入っていることに気づく。そこへ来客があり、警察を名乗る男(エリス警部)がやってきて…。
たか
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2019/12/11
ネタバレ
期待しかない!!あまりに切ないダンピールの恋…!!
2019年も師走に入ってこんな最高の新連載がサンデーで始まってしまうとは…!!!予想を上回る超良質な恋愛マンガで興奮が止まりません!!ネタバレするので未読の人はこの続きを読まないでぜひ本編読んで下さい⚠️ 【第1話】 https://sunday.tameshiyo.me/USOTSUKI00 https://i.imgur.com/goBTtCN.jpg 吸血鬼と人間のハーフ「ダンピール」の高校1年生・蒼(そう)は、真っ直ぐすぎて周囲からとっつきにくいと思われている柏木に、中学生の頃から想いを寄せている。その柏木はというと、絵画教室で出会った「しーちゃん」という先輩のことがずっと好きで、同じ高校を選ぶほど憧れている。 ダンピールの目には相手を見つめると誘惑(テンプテーション)できる力があるが、蒼は吸血鬼の父の誘惑が切れ母が自殺したことを激しく憎み、自分は眼鏡をして能力を抑え使う気は全くない。 恋が永遠に叶わないことを願う蒼だったが、ある日学校で事件が起き…というあらすじ。 https://i.imgur.com/x2w9jTU.jpg (『嘘月-ウソツキ-』ミナミ 1話) いや〜〜〜も〜〜さあ…!!!こんなん少女漫画じゃん…!! **少年漫画だけど、物語のフォーマットは限りなく少女漫画なのがすごい!!**蒼がどれだけ柏木のことを愛おしくかけがえのない存在だと思っているか、モノローグをガンガン使って丁寧に描写されていて、んもう…!切なくてギュンギュンします…!! 1話のこのページ見てこれ!! https://i.imgur.com/ObouizX.jpg (『嘘月-ウソツキ-』ミナミ 1話) はああああ…もう… 使い古された表現ですが、尊いとしか言いようがない… 野暮なのは百も承知で言葉にしちゃいますけど、**「恋してる人間が好きな人を見るときの眩しさを、夕日と重ね合わせている」**この表現…!!堪りません…ただただ美しい。 こんなにも柏木のことを大切に想っているのに、残酷にも蒼の意に反し、誘惑(テンプテーション)が発動してしまって…というところで1話が終わるのですが、ひたすら最高。 **蒼の柏木に対する感情の積み重ね、柏木の不器用な真っ直ぐさ真面目さが描写されているだけに、オチの柏木の連続キスがエロ可愛いのに絶望的に辛い…。** 三角関係する気マンマンでこれから先、辛さが増していく展開しか見えなくてワクワクします。ウェブで1話が読めるので未読の人は本年中に絶対読んで下さい!! https://websunday.net/rensai/usotsuki/
たか
たか
2019/12/09
ネタバレ
これは好きなやつ!末期の兄を救うため弟が手を染める…!
タイトルに「東京/トーキョー/tokyo」が入ってるマンガは、だいたい格好良くて面白い。そして別マガ2020年1月号から始まったこの『23区東京マジョ』はさっそく新たな格好いいトーキョーマンガになる予感しかない…!! https://i.imgur.com/7vlAsqL.jpg (『23区東京マジョ』拝田久 第1話) ___ 【あらすじ】 勉強しなくても学年トップの成績、3階から軽々と飛び降りる身体能力を持つ高校2年生の少年・ハナコは、6年前自分を火事から救った兄・ゼンの治療費を工面するため、人知れずバイトに励んでいる。しかし、兄弟の辛苦が報われることなく、残酷にもゼンの余命は半年だと告げられる…。ある日、ハナコが兄の昔なじみがやっている喫茶店でバイトをしていると、テレビでは「人間の体が円形に貫かれ、臓器が抜き取られる事件」について流れていた。そこへ1人の男が店にやってきて、ハナコがテレビを見る様子を観察し、おもむろに話しかける…。 ___ **主人公・ハナコが腹の中で無力感・怒り・屈辱を抱え、静かに耐えている描写が本当に見事で興奮した。** https://i.imgur.com/1fuN4no.png (『23区東京マジョ』拝田久 第1話) わかりやすく泣き叫んだりして辛そうな様子は人に見せない。**ただ、極自然にトイレ掃除や皿洗いをしながら、テレビに独り言をつぶやきながら自分の臓器を売ったらいくらになるかを計算している。** ドラマでもアニメでもマンガでも、「悲しい時に悲しい顔をする」ような**単純な感情描写ではなく、こういう人間の複雑さを見せてくれる作品に出会うとと無条件に愛してしまいます…最高です。** そして何より**キャラデザと演出が良すぎる…!** マジョのデカめのコート、フードに長い耳、トランク、蓄光の入れ墨。そして初めての出会いは雨の交差点で、使い魔らしきムカデを持っていた新聞に収納。もう格好良さの塊か?? なぜハナコはゼンの顔が見れなくなってしまったのか。 マジョとはいったい何なのか。 2019年も残すところあと1カ月、こんなに気になる新連載が始まるとは予想外ですごくワクワクしています。早く2話で詳しい話を教えてくれ〜〜!!! 【第1話】 https://pocket.shonenmagazine.com/episode/10834108156720538772 【拝田久先生のTwitter】 https://twitter.com/hisashi_haida/status/1203867692668612609