Veil

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全2巻を30分ほどで読み終えたのですが、まだ夢見心地です。あまりにも2人の関係性が、ファッションが、世界観が良すぎて、物語について分析的なことや自分の感想を進んで書く気になれないですね…どう頑張っても野暮なことしか書けない気がします。

なので「この本の構成」について書こうと思います。

警察官の“彼”は、勤務中に街で“彼女”に偶然出会った。 ふたりの間の微妙な距離感を、 大胆かつ繊細な筆致と小粋なセリフまわしで スタイリッシュに描くオールカラーコミック。


この本の発売を楽しみに待っている間、「まるで美しいシネマのようなコミック&イラスト集」という謳い文句で宣伝されているのを聞き、「結局漫画なのか、画集なのかどっちなんだ?」と謎だったのですが、読んで納得しました。

漫画のように「物語がコマごとに割った絵で語られるだけ」ではない。画集のように「文脈のない絵がズラズラ並んでいるだけ」でもない。

まさに「コミック&イラスト集」と表現するのが相応しい構成になっているんです。しかも全編フルカラー…!


まず驚くのが、表紙をめくるとすぐに目に入ってくる「見返し」や「扉」といった、一般的な漫画ではただ実用的でそっけない部分まで美しく、物語に入り込むための素晴らしい導入になっているところ。
そして各話の「幕間」に当たる扉ページもまた、読者の集中力を途切れさせないよう、世界観に沿って美しくデザインされています。

さらにすごいのが、ストーリーの幕間にイラストと文章を挿入し、複数の表現方法を組み合わせて総合的に「彼と彼女」のことを描いているところ。

あらすじでは本書のことを「まるで美しいシネマのような」と表現していますが、映像・ストーリー・音楽の総合である映画を引き合いに出していて非常に的確だなと思います。


そして読み終わってみて感じたのはVeilのことを世に出回っている多くの漫画と同じものとして分類できないな」ということです。

・今作を出すまで長期に渡り制作されている(2017年〜2019年に発表された作品が収録されている)こと
・アシを雇わず1人で作り上げていること(おそらく)
・フルカラーで高価格であること
・幕間(物語外の物理的な部分)まで世界観の一部となるようにデザインされているところ

こうした特徴を抜き出すと、日本のMANGAというより「日本のBD(バンド・デシネ)」と呼ぶほうが相応しい気がします。

(加えて言えば、日本の漫画の9割(※個人の勝手な体感です)は、商業的な成功に結びつきやすいエンタメ性の高い作品に占められています。そのため、ただただ美しさを追究した芸術性・文学性に富んだ漫画というだけで主流から外れてしまい、やはり日本のMANGAっぽくない。

長々書いてしまいましたが言いたいことをまとめると、自分にとって「Veil」は、作品としてあまりに美しすぎるために漫画と呼ぶことに少し抵抗がある総合芸術です。

百聞は一見に如かずなので、今すぐ手にとって読んでください…!
(紙質と装丁がいいので紙がおすすめです…!)



(2人を並べてあげたい)

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いよいよ第3巻発売楽しみすぎる〜〜!!🥺


3つの芸術の総合作品 美しさしかない本…!にコメントする
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