たか
たか
2024/01/24
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趣味と仕事の間で揺れる正直おじさん【1巻の感想】
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ひょうげものの1巻が出た頃はちょうど大学生で、流行っているからと読んでみたのですが、焼き物はよくわからないし日本史は苦手だしオジサンしか出てこないし全く楽しめませんでした。 が、今になって読むと武人と趣味人の間をグラグラしてる人間味溢れる主人公・左介が愛おしくてしょうがない…! **(自ら手をかけそうになった妻を抱きしめながら)俺はもう全身武人だ…名物に目がくらんだなど過去のこと** ↓ **大名物「荒木高麗」を見て膝から崩れ落ち敵を見逃がす代わりに手に入れる** いや手のひらクルックルで草。まだ1話も経ってないぞ!!! 左介の焼き物への造詣の深さ、良いものを見ると思わずテンションが上がってしまうところ、より深い知識を持つ人への敬意。そして自分なりの審美眼。 初めて読んだ大学生の頃から10年以上たち、会社員として働く傍ら趣味人(※アニメ・漫画オタク)として知識もコレクションもどんどんと深みを増している今、左介には共感しかありません。友人の結婚式と推しの誕生日が被ったときは左介みたいに口をキュッとさせながら出席しました。 そしてなにより、左介の食レポならぬ「美術レポ」がうますぎて、骨董品なんて集めてないのに城一つ買えるバチクソ高い茶碗が欲しくなってくる。YouTubeで美術チャンネルやって欲しい。 日本史の中でも戦国〜安土桃山時代が一番苦手なのですが、美術品という「趣味」を切り口に描かれるため、名前は聞いたことある有名なおじさんたちのプライベートが垣間見えて、親近感が持てて読んでいてすごく楽しい! 再読ってしてみるものだなとしみじみ思いました。
たか
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2024/01/15
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ヒトの理から外れた二人の青年を描く珠玉の北欧風ファンタジー
マンバの新連載ページでこの美麗な色使いのサムネイルを見かけ、「あとでゆっくり読もう」と積んでいた作品。こんな…こんな…面白いものが読めるなんてもう拝むしかない…。 繊細に描かれる北欧風ファンタジーが作品のメインで、ボーイズによるラブはほんのスパイス程度の、いっっっちばん面白くて毎秒読みたいのに数が存在しないハチャメチャ有り難い作品。ファンタジーが好きなら倦厭しないで絶対読んでほしい。 「1話が釣りから始まる漫画名作説」がありますが本作もそれに漏れません。もうとにかく美しくて…その美しさにほぅっとなっているとこにサラリとナレーションで告げられる「伴侶」の文字。どうやったらこんな美しいお話が描けるんですか…?(現場猫) https://comic-ogyaaa.com/episode/14079602755481235339 農奴や神話など。しっかりとその土地の文化を感じさせる重厚な土台があるからこそ、黄泉の国から返されたイェンスと声の出ない男――地上で奴隷として生きることになった元人魚・ヴァンの関係性の尊さが際立ちます。 絵から伝わる木々や海の美しさ、イェンスが作る温かい食事の旨さがとにかく素晴らしくてうっとりしてしまう。初めてヴァンに拵えた黒パンにチーズを乗せて焼いたものなんて、幼い頃にハイジを観て得た原体験が刺激されてありえないくらい美味そう。 イェンスがヴァンを救うため伴侶に申し出る3話では、ヴァンが差し出した林檎(知恵の実)を2人で分け合って食べていて1人で勝手にはわわ〜となりました。でもこの2人はエデンから追放されるんじゃなくてむしろ2人だけの楽園に住むことになるんだ。エモすぎる…。 https://i.imgur.com/U3Hib4q.png (▲『魚と水の森』3話より) 今このタイミングで3話まとめて読めて本当によかったです。これと1話の時点で出会っていたら続きが読みた過ぎて体がねじ切れていました。ねじ切れなくてよかった。 本郷地下先生の過去作を見てみたら、いくつかタイトルだけは存じ上げている作品があって「なるほど。名のある主でいらっしゃったか…」という気持ち。 年始からこんな最高に良質なファンタジーが読めるなんて2024年いい年すぎます。
たか
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2024/01/12
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おじさん×おじさんの温泉版『耳をすませば』
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 二十代をトップ営業マン&ホストという消耗する世界で生きてきた主人公の宇大(28歳)は、自らの人生に疑問を感じていた。そんな時とあるクチコミを頼りに訪れた大自然の秘湯に価値観をガラリと変えられてしまう。  それから2年。あのクチコミを投稿したレビュワー『癒やしん坊』を先生と私淑しその足跡を辿る旅を続けていた。毎年先生が訪れるという温泉で、一緒になった客がチェックアウトしたあと宿のゲストブックを見てみると、なんとそこにはさっきまでなかった癒やしん坊先生のコメントがあって…!  1話がほぼほぼ、おじさん×おじさんの『耳をすませば』で最高でした!!😂 宇大にとって癒やしん坊先生は師匠。2年間焦がれ続けた師匠にようやく会え、弟子となること認めてもらい、お風呂まで一緒に頂けた!……と思ったらヒラリと躱される展開に痺れました。  癒やしん坊先生もどんな方かと思えばまだアラフォーとお若く、スナフキンっぽいというかカカシ先生っぽいというか…偏屈ではないけどマイペースで一筋縄ではいかない風格があって好きです。  まだ1話ですがどハマリしてしまいましたし、なんならドラマ化する未来まで見えました!早く続きが読みたい!!
たか
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2024/01/05
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真夜中の友達とタバコ #読切応援
新年早々ものすごい読み切りを読んでしまって感動してます。 「大きな数(意味深)」が頭の上に浮かんでいるクラスメイトの地味で暗い女の子と親密になっていく様子が描かれた、重松清の小説のような繊細なジュブナイル作品。 夫婦円満な両親のもとに生まれ、一軒家に自分の部屋と学習机を与えられ、夏休みには男女6人でプールに行く予定がある平均より少し恵まれた男の子・瀬戸。 お母さんの交際相手のタバコを一本だけとって、声を聞かなくて済むよう公園で時間を潰している女の子・鈴本さん。 ある日突然、瀬戸が人々の頭の上に「タバコを吸った本数」が見えるようになったことで、鈴本さんの数の理由を知るために鈴本さんに接近する…というあらすじ。 スマホも電話もないなかで、公衆電話からワン切りして意外と頻繁に瀬戸に連絡する鈴本さん。 仲のいい友達とは話さないことを鈴本さんとなら話せる瀬戸。 息子が頻繁に夜中に抜け出してることに気づきながら、お母さんには内緒で見守ってくれるお父さん。 その人が持ついろんな顔が少しずつ見えるのが物語に奥行きを出していてすごく好きですし、丁寧で生活感のある背景描写のお陰で、2人が生きる中学生の世界をリアルに感じられるところもたまりません。 そして何より、「思春期とタバコ」という切っても切り離せない関係を真正面から描ける・描かせてくれるジャンプ+すごいなという気持ちでいっぱいです。 家庭と学校という狭い世界のなかに閉じ込められ抑圧され苦しい思いをしている子供には、規範を破り軛から解放されている僅かな時間が大事な安らぎになります。 「未成年(やそう見える人物)がタバコを吸う描写があるからNG」などのように思考停止したガイドラインではなく、この作品が何を描きたいのかを真に理解したうえで許可を出してくれる編集部には感謝しかありません。 もうほんと最高すぎるなあ…最高すぎる。 両先生にはコンビでこういう中高生のお話もっとたくさん描いてほしい…!そして短編集にして売って下さいお願いします。 供給に飢えて重松作品を読んで生きながらえようかなという気持ちにすらなってるので、ガチでお願いします。
たか
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2023/12/28
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『鉄鍋のジャン』各巻の感想
ジャンプでアイシールドがやってる頃から『鉄鍋のジャン』はずっと読んでみたかったのですが(ヒル魔に似てるから)、このたび全巻買っても700円というものすごいセールがやってたので読み始めました。 ▼1巻 あの有名なマジックマッシュルーム回がまさか1巻だったことにびっくり。 そしてジャンの傍若無人なキャラは知っていたものの、キリコさんがこんなにも魅力的な女の子だったとは! 優秀で根性が合って気が強くて可愛い…! コックコートを着てるときの中華風のシニヨンキャップをしたダブルバンも可愛いですが、オフで髪を下ろした姿もメチャクチャ可愛い〜! 洋風のお部屋で飾り切りの練習してるとこでキュンとしました。 いい性格してるシャンに一歩も引かない度胸、素敵です。 まさかの逆ラッキースケベ展開も、あの2人らしいやり取りですごく良かった。 あの高飛車で傲慢なジャンが、祖父から日常的に暴力を振るわれながら修行をしてるシーンはむごい…と同情する一方でちょっとグッと来るものがありました。 あと50人前の野菜炒めに失敗して泣くところが最高でした。 本気じゃないやつはヘラヘラして失敗を正面から受け止めないから泣いたりなんて絶対しない。 料理に本気で向き合ってるからこそ泣くほど悔しいわけで、純粋な思いを痛いほど感じてジャンのことが好きになりました。 すぐ読み終わるかなと思って手に取ったら、びっくりするほど1巻が長くて大満足の読み応えでした。 早く続きが読みたい〜!冬休み中に読んでいこうと思います。