かしこ2021/05/17ルイ16世がカッコいい乃木坂太郎がフランス革命の漫画を描いたらそりゃ面白くない訳がないです。主人公は平民ながら身分による貧困を無くそうと奔走するギデオン、そして訳あって幼い頃のギデオンと本当の兄弟のように育った美しい貴族の男ジョルジュ。大人になった2人が再会するところから物語は始まりますが、革命を起こすという共通の目的があるものの、手段が全く違うので対立してしまいます。ギデオンはあくまでも平和的に政治で世の中を変えようとするんですが、ジョルジュは暴力でもって革命を起こそうとするのです。しかしジョルジュがそうした考えに至ったのには自分の出生に秘密があるからで…。実はここまでが2巻なんです。3巻からはマリー・アントワネットも登場して更に面白くなっていくきます。ちなみに自分も前半はあまり乗れなかったのですが、後半になるほどハマっていきました。しかし『第3のギデオン』で注目して欲しいのはマリーじゃないんです。彼女の夫であり、愚鈍な王として有名なルイ16世なんです!フランス革命が舞台の作品ですが、結婚や家族…そして「父と子」がテーマでもあるので、尚更に「国父」としての葛藤が見えてくるんです。本当のルイ16世ってこういう人だったのかもって思いました。第3のギデオン乃木坂太郎 山中聡1わかる
かしこ2021/05/16大横山飴の新作がコミックビームに載っているだと?!普段は成年コミックを買わないのですが、2019年に大横山飴さんの『落ちない雨』が発売された時は迷わず購入しました。コアな漫画ファンの間で話題になっていて、絵を見た瞬間にこれは絶対買わなければ!と思ったことを覚えています。成年向けなのでもちろんエロいんですが、それ以上に絵に湿度がある感じがいいんですよね。当時は大横山飴さんもTwitterをされていたと思うんですけど、いつの間にかアカウントを削除されていて、今何をされているのか気になっていた作家さんでした。それがまさかのコミックビームに新作が載っているだと?!最高ですね。 「離々遊転」は2人の男が正月に山奥の神社を目的地にドライブする話です。ほとんどが車中の会話で淡々と物語が進むのですが、後部座席に白い梅の花が一枝だけ落ちていて、1人の男にはそれを白い帽子の少女が持っているように見えるんです。男が何も言わない少女に「よければ一緒に行きませんか」と声をかけると車の外にも付いて来るようになって…という、なんとも不思議な話なんですが、映像的な画面の流れとのアンバランスさがすごくよかった。『落ちない雨』とは少し違う作風でしたが、やはり大横山さんにしか描けない空気感があるなと再認識しました。ものすごく才能のある作家さんだと思う。描き続けて欲しい。離々遊転大横山飴7わかる
かしこ2021/05/14ネタバレちさ×ポンがこういう漫画だったなんて…いや〜これは女性にオススメの漫画ですね…!女が読んでも辛かったから男性が読んだらもっと辛いと思う。当時のヤンジャン読者はどう受け止めながら読んでたんだろう。いい漫画なのは間違いないけども!!!! 最初は青年漫画らしいエッチな展開で始まるんですよ。主人公のポンタも恋人になる千砂ちゃんも恋愛に疎くて、でもエッチなことにも興味があって…っていうお決まりのドキドキな展開で、また中野純子先生の絵が上手いのでしっかりエロいんですよ。そんな感じで完全にエロだと思って読んでたら、2人の気持ちにスレ違いが起き始めるんですね…。ポンタは早く一線を越えなければと焦るんですが、千砂ちゃんはそこまで心の準備が出来てない。でもポンタにそれを言えない。言えないことがストレスになって、気晴らしにバイト先の後輩とデートをしてしまうんですが、そいつが悪い奴で。千砂ちゃんはレイプされてしまうんです。この事件で受けた心の傷の描写が生々しくて読んでいて辛くて、特に悪夢にうなされるシーンでは泣いてしまった。でも2人を支えてくれる人もたくさんいるし、そこでかけてくれる言葉に救われるんです。 ポンタみたいな男性がいるかどうかは分かりませんが、とにかく女性心理描写はリアルです。私もこんなことがあったら千砂ちゃんみたいに悩むだろうなってシーンがたくさんありました。展開も女性向け漫画っぽいところがありますが、これは青年誌じゃなければ生まれなかった傑作です。ちょっとオススメしにくいけど読んでみて欲しいな。ちさ×ポン中野純子11わかる
かしこ2021/05/13ネタバレ残酷なのに気持ちいいどちらかと言えばキラキラ!の方が好きかもしれない。でもここまで振り切れてるのってなかなかないと思う。残酷な展開が心苦しいのに何故か気持ちよくも感じてしまう。女教師だけじゃなくてお姉ちゃんとも…ってのも徹底してますね。3巻に付いている〈成年コミック〉のマークも格好よく見えてきます。ゴトウユキコ先生が安達哲ファンらしいですが「さくらの唄」を読んで納得しました。さくらの唄安達哲2わかる
かしこ2021/05/12「幸せ一貫」を語ろう最初は孫娘サッチのキャラが今時どこにもいないような女学生って感じの女子高生だったのでなんとなく読んでて小っ恥ずかしかったんですが、寿司職人のおじいちゃんが数年に一度の出来の最高の寿司を高卒で弟子入りしたサッチのお兄ちゃんに食べさせるとこから面白くなりました。そこからオバQみたいな髪型をした寿司の達人も登場して、普通の寿司屋だと思ってたけどこのじいちゃんはタダものじゃないんだ!ここからもっと面白くなるぞ…というところで終わってしまった。続きが気になる。幸せ一貫倉田よしみ4わかる
かしこ2021/05/04かっこいい漫画ってこういうことだろいつか読もう読もうと思っていた赤色エレジーを読みました。正直に言うと「林静一=萩の月=イラストレーター」のイメージがあったので、最初は読んでいても1コマ1コマが静止画のように見えていたのですが、どんどんどんどん流れるように動き始めていくんですよ。主人公である貧乏な同棲カップル2人の職業がアニメーターなんですが、林静一先生もキャリアの最初はアニメーターからスタートされていたんですね。物語の中でも重要なセリフを彼女が言う前に扇風機の風で描いていたアニメのカットがバラバラと飛んでいくシーンがあるんですが、あそこが一番好きでした。でもラストもかっこいい…。これはまさに語り継がれていくべき一流の作品ですね。「ph4.5グッピーは死なない」も読みたいんですが電子書籍もないし、どうやって手に入れればいいんだろう。地道に古本屋を回るしかないのかな。赤色エレジー林静一1わかる
かしこ2021/05/03ちばてつや先生の人生の名エピソードがたっぷり!満州引き揚げや赤い虫の話はひねもすのたり日記にも描いてあったので、ちばてつや先生ご自身が人生を語られる時に欠かせないエピソードなんだなと思いました。日本へ向かう船の中で友達のキョウちゃんが亡くなるシーンはやっぱり何度読んでも辛いし、編集さんとキャッチボールをしていたら体調が回復するシーンは何度読んでも面白いです。今回「トモガキ」を読んでちば先生がトキワ荘グループと交流するきっかけになった話を初めて知りました!めちゃめちゃ面白いですね!ちば先生がふざけて大怪我してしまい、石ノ森章太郎先生や赤塚不二夫先生らトキワ荘のメンバーが描きかけの原稿のペン入れと仕上げをしてくれることになるんですが、本当に「もう!ちば先生ったら何してるの!爆笑」みたいなふざけた理由で大怪我してて笑っちゃいました。でも一歩間違えば二度と漫画を描けなくなっていたような大怪我なのでヒヤリもしますが、笑いあり涙ありの素敵なエピソードでした。あしあと ちばてつや追想短編集ちばてつや4わかる
かしこ2021/05/02ネタバレ酸いも甘いもあるラブコメ途中まで…というかヒロインがアイドルの頂点を極めるまでは少年マンガのラブコメとして最高点。男の子が片思いしてる時の気持ちがすっごく伝わってきて、こんなのリアルタイムで読んでた読者がうらやましいくらいに思ってたんだけど、後半からはドッと展開が変わる。でも天使みたいな女の子なんて本当はどこにもいないんだよって1話目の冒頭のモノローグでも書かれてたし、最初からこういうストーリーになる予定だったんだろうな…。「なにひとつうたがわず 好きな女のコに夢を見てのめりこんで 宗教的信仰にまで高めるのは 制服きてる連中にしか できない能力だよ」ここすごく好きだった。ラストで実は秀才の主人公が東大に入学したら、途中で発狂して登場しなくなった奥平くんがシレッと同級生として出てきて笑いました。奥平くんのシーンもかなりヤバくて好きだった。キラキラ!安達哲
かしこ2021/05/01サンクチュアリ読んでみたまず史村翔って武論尊なんだ…っていうところに驚きました。文庫版で読んでたんですけど1巻に当時を振り返ってのコメントがあって、それを読むと天下の池上遼一先生と組むとあって、かなり編集長にビビらされたらしいです(笑)。プレッシャーから北海道の牧場に逃走したこともあったそう…。 ヤクザが出てくることは何となく知ってたけど、こんなに規模がデカいストーリーだったとは…!サンクチュアリってこういう話なんだ。現実ではありえないような展開でも、池上先生のキャラがカッコいいから納得しちゃいます。でも北条と副署長が結ばれるシーンは神々しすぎて「なんだこれ〜!」って声が出ました。キメ顔の似合う男前がたくさん出てきますが、一番好きなのは渡海さんです。サンクチュアリ池上遼一 史村翔
かしこ2021/04/25私のまんが道もここから始まりました小学生の頃、友達がいなかったので休み時間は図書室にこもって手塚治虫作品を読みふけってました。「火の鳥」「ブラック・ジャック」「ブッダ」は卒業するまでに何周したか分からないくらい読みましたが、やっぱり「火の鳥」は特別ですね。当時クラスメイトのことをロボットだと思ってた自分にとって「火の鳥」に描かれていることの方がよっぽどリアルな世界として感じられました。それというのも手塚治虫って読み手が大人だろうが子供だろうが誰であろうと関係なく真剣に語りかけてくるんですよ。確かに難しいところは読み飛ばしていたかもしれないけど、それでも子供だった自分でも正しく作品を理解していたと思っている。絵の力もすごいしね。だから今でも手塚治虫のことを漫画の父として尊敬してるし、この体験があるから漫画のことを友達だと思い続けられるのです。大人になると違う見方もできるようになっちゃうけど、子供の時とまったく同じように感動できる作品ってこれだけかもしれないな…と最近ふと思ったのでした。火の鳥手塚治虫6わかる
かしこ2021/04/25カレー沢薫先生の連載中の作品で一番好き!カレー沢薫先生って今現在5作品くらいを同時に連載されてますよね。漫画だけじゃなくてコラムなども合わせたらそれ以上だと思いますが、そんな中でも私が一番楽しみにしている連載が「なおりはしないが、ましになる」です。自分の部屋がめちゃくちゃ汚いのは発達障害が原因かもしれない?病院に行ってみよう!という実体験&レポ漫画なんですが、何が一番好きかというとカレー沢先生のギャグが冴え渡ってるところですかね。誰でも気楽に読めるところがいいです。編集者さんが見つけてくれた都内の病院に飛行機で通っているんですが、よくよく調べてみたらカレー沢先生の住んでいる地域には大人の発達障害について診てくれる病院がないことが判明したのには驚いたなぁ…。世の中的にコロナで通院も大変だろうけど長く続いて欲しい連載です。エッセイ漫画としては旦那さんとの絶妙な夫婦仲が見どころかな。なおりはしないが、ましになるカレー沢薫2わかる
かしこ2021/04/20ネタバレ読んでよかったいい作品には人それぞれに出会うべきタイミングがある。なので誰かより先に読んだとかそういうのってあんまり意味がない。作品がよければよいほどタイミングが重要だと思ってる。私にとってザ・ワールド・イズ・マインを読むべきタイミングは今だったんだろうけど、とにかく疲れました…。エネルギーをくらいまくるのでここ数日は食欲もなかったです。しかも面白いとか面白くないの尺度で測れる話じゃないから…なんだろう、まだ呆然としてます…。 あまりにも唐突に始まるし、主人公たちは平気で人を殺すし「あれ?もしかして5巻から読んじゃってる?」って確認しちゃったくらい最初は混乱しました。暴力的なシーンについていけず、途中まではどこか冷めた気持ちで読んでいたのですが、やっぱりマリアが仲間になるところから見方が変わりました。というより自分の中にもそういう暴力性があるって気づかされたんです。読み終えて本当によかったと思いました。真説 ザ・ワールド・イズ・マイン新井英樹1わかる
かしこ2021/04/18山岸凉子先生のマジでガチの怖い漫画大人になってから読みましたがマジで怖すぎてビビりました。ちょっとトラウマです。マンバで表示されてる単行本の画像だと何故かフランス人形が表紙になってますが、実際に物語に登場するのは日本人形です。山岸凉子先生が日本人形のホラーを描いたら、そりゃ最恐でしょう…。でもグロくはないので普段はホラーを読まない人でも読めちゃうんです。もちろん怖い漫画が大好きな人にもオススメです。 電子書籍化はされていないのですが、潮出版社の選集の第一集に収録されているのと、文庫版「わたしの人形は良い人形」として出版されているので、割と手に入りやすいです。わたしの人形は良い人形山岸凉子
かしこ2021/04/16すごい楳図かずおって天才なんだ。漫画家にとっての本当の天才ってこういうことなんだ。そして今日から私の人生は『わたしは真悟』以後になってしまった!読んでいる最中から頭がぐわんぐわんするような衝撃。この人智を超えた愛のSF物語が「奇跡は誰にでも一度おきる だが おきたことには誰も気がつかない」のフレーズで始まるのがたまらない。わたしは真悟楳図かずお7わかる
かしこ2021/04/15主人公のカッコいいシーンが1度もないけど…こんなに最初から最後までカッコ悪い主人公が他にいるのだろうか…。しかも昆虫(ていうか宇宙人?)に寄生されてからは意識なんてほとんどなかったですよね…性欲に支配された人間モドキみたいな状態になってましたよ!『お前を犯す!いや犯させて頂く!そして自殺する!』『クソ女!』などヤバいワードも盛りだくさんですが不思議と不快な気持ちにはならず、始終「何だコレは…笑」と思いながら読みました。カオスな世界感が好きな人にはたまらないのではないでしょうか。「虫にも心ってあるんだろうか?」くらいは考えたことあるけど、虫とのセックスなんてどうしたらそういう発想を思いつくんだろう…。ムシヌユン都留泰作2わかる
かしこ2021/04/12ニューウェーブと呼ばれた漫画家の一人アニメ監督の今敏が大友克洋の下で仕事をしていたことは有名ですが、「影響を受けたのは白山宣之」という発言があったことをユリイカの特集で知ったので、白山宣之に興味を持ちました。大友克洋、高野文子、さべあのま…などと共に漫画界のニューウェーブと呼ばれた作家の一人で、特に大友克洋とは映画について語り合ったりとても仲が良かったようです。 復刊ドットコムから再出版された「幻の花」も読みましたが、初めて白山宣之作品を読むなら「地上の記憶」からの方がいいなと思ました。ちなみに「地上の記憶」は遺作集でもあるので、超豪華ニューウェーブ作家仲間からの追悼文も収録されています。それを読むと白山宣之という作家の人物像や作品のよさが尚更よく分かる。どうしてこんなに素晴らしい才能が埋もれてしまう世の中なんだろう…。地上の記憶白山宣之6わかる
かしこ2021/04/11近藤ようこ先生も月刊ASUKAで描いてたんだ!80年代に月刊ASUKAに描かれた4作品が収録されています。表題作の「水の蛇」は少女から女性になることの葛藤がテーマなんですが、これが少女雑誌を読んでる女の子に向けて描かれたものなんだと思うとドキッとします。自分が思春期に月刊ASUKAの読者としてたまたまこの作品に出会っていたら、頭ではまだ理解できないかもしれないけど心には深く刺さっていたはずです。後半にはビッグコミックに描かれた4部作が収録されていますが、やっぱり掲載誌によって作品の雰囲気は全然違いますね。水の蛇近藤ようこ2わかる
かしこ2021/04/08私は3巻が好きですもうすでに熱いクチコミがある作品なので自分が書かなくてもいいかな…と思ったのですが、個人的な読書感想備忘録として残しておくことにしました。 一回読んだだけじゃ内容を把握するのが難しいと思う…。私は二回目を読んでようやくストーリーの全体像を理解できました。あえて、よくある起承転結で物語を作ってないんだと思います…多分…。一回目を読んでる時にはジグソーパズルを組み立てるように色んなことが明らかになっていくなぁと思いましたが、二回目はストーリーの流れが自然過ぎて伏線なのかどうかも曖昧なところがヨーロッパの映画みたいだなって思いました。あんまり伏線っていう概念がないのかも…。分かりやすい展開の漫画ばかり読んでいたのでとても新鮮でした。こういう風に漫画のストーリーを作ってもいいんだという発見もありましたが、雑誌連載で発表していくのは大変だっただろうなと感じたのも正直なところです。「彩度」とか「きらめき」の言葉以上の意味はあるのか?とか、二回読んでも分からない部分が多々あるので完全には理解しきれてないんだろうな…。でも3巻が特に好きです。エイス Aiming for the ace伊図透7わかる
かしこ2021/04/06長寿アニメのような面白さ!柿野家の一人っ子、小学生の実子ちゃんは町内で犬を飼ってる家を四十七ヶ所巡るほど大の犬好き。そんな実子ちゃんが迷子犬を拾ってタネと名付けて飼うことになりますが、実はその犬の正体は宇宙人だったのです…! とはいえ、あんまり宇宙人的SF要素はありません。どちらかというと実子ちゃんの売れない漫画家の叔父さんの方が活躍してます。でも単行本の帯コメント「長寿アニメのような面白さ!」は本当でした。太田基之作品ってハマるとクセになりますね。かきのたね太田基之1わかる
かしこ2021/04/04やっぱり土田世紀いいなぁ各短編に作者のコメントがあるのがいいですね。前中後期それぞれの作品の要素が凝縮されているような気がするので、土田世紀を何から読んでいいか迷っている人はとりあえずこれから読んでみるのもいいのではないでしょうか。全1巻ですし。私は「HOT MOON」が一番好きでした。それについてのコメントもよかった。ここ最近読んだ漫画の中でダントツ「自分も頑張ろう」って励まされた。土田世紀短編集 ノーサンキューノーサンキュー土田世紀
かしこ2021/04/03漫画家・高野雀さんも憧れる才野!普段どんなことを考えて生きてたらこんな漫画を描けるようになるんだろう。同人誌で発表された作品が主なので万人向けな話ではないし、自分の理解も全く追い付いてないと思うのですが、傑作なのは間違いないです。雪国生まれの青年が東京の蕎麦屋で働く女の子に恋をする「タグレッツ」、ボケちゃった元高校球児のおじいちゃんを見守る「アルプススタンド」は割と分かりやすい話でした。芸術家が宇宙に行く「ママール・フ・モモール、なりに」は難しかったです。しかし難解でもこれが一番の傑作です。それだけは分かる!各作品に解説も付いているので、何度も読み返して理解を深めようと思います。関根美有傑作選 はびこる愛関根美有1わかる
かしこ2021/03/30私が初めて読んだ近藤ようこ先生の作品表紙がすごくカッコよかったので手に取りました。内容は坂口安吾の小説をコミカライズしたものになります。原作小説が発表された当時はGHQから大幅に検閲された影響もあって評価はあまり高くなかったそうですが、近藤ようこ先生は2001年に講談社文芸文庫から出版されたGHQ無削除版を元に漫画にされているのでパンチがすごいです。まず「夜の空襲はすばらしい」から始まります。 戦時中にどうせ日本は負けるんだと思いながら生きていた男女がいて、二人は夫婦同然に暮らしてるんだけど、戦争が終わったらこの関係も終わるんだろうってお互いに心の中では思っている。女は貞操観念にダラしなくて、でも不感症で、男は全部を知っていて一緒にいたけど、戦争が終わりを迎えて…という話です。 読んでいて理解はしていると思うんですが言葉にするのが難しいですね。改めて読み返してみたら、あとがきに「青林工藝社に漫画化のアイディアを承諾してもらってから完成までに6、7年かかっている」と書かれていたのに驚きました。でも、こんなにすごいものはそれ程の年月がかかって当然だと思います。戦争と一人の女近藤ようこ 坂口安吾
かしこ2021/03/29モノローグが切なくて胸が苦しくなるけど最高ヒモ男に捨てられたイラストレータの塔子、塔子とルームシェアしてる普通のOLちひろ、自由人のフリーター里子、学生の頃からの男友達に今も片思いしてるデリヘル嬢の秋代。4人の「どこにでもいるような」女の子達のお話です。 塔子、ちひろ、秋代は色んなストレスを抱え込んじゃってて、ハッキリ言って病んでます。でもそんな彼女達のことをどこか他人事とは思えないんですよね…。フリータの里子だけは割と心が平和なんです。朝寝坊して公園を散歩しただけの何も起きない一日でも幸せだと言える里子がいるから、他の3人のエピソードも暗い気持ちになり過ぎないで読めました。でも最終的にはちゃんと闇から抜け出してると思うんだよなぁ〜。単純なハッピーエンドではないけれど。strawberry shortcakes魚喃キリコ1わかる
かしこ2021/03/28永島慎二先生公認?パロディ永島慎二先生の「漫画家残酷物語」を読まれたことがある方はぜひこちらもお読み下さい。第1話は登場人物もストーリー展開もそっくりなパロディ作品です。かなり下ネタが多いですが、クオリティーが高くて感動しました!第2話からは永島先生風のキャラクターが登場するオリジナルストーリーになっています。なぜかオチが日野日出志のパロディになっていたり、新トキワ荘を名乗る若者達が登場したりして面白かったです。唐沢なおき先生の元版と新版のあとがきと、評論家の呉智英さんの作品解説も読み応えがありました。漫画家超残酷物語 青春増補版唐沢なをき1わかる