かしこ2020/05/10ネタバレクラスの隠キャ平田くんの秘密安彦晴先生の読み切りはいつも面白いですね。今回はクラス内では隠キャな平田が、学区外の塾では誰からも好かれている陽キャだったという話。でも平田は場所によってキャラを変えている訳ではないんですよね。学校の殺伐とした空気って本当に嫌だなと思います。ありのままの自分が受け入れられてる場所での平田は輝いてましたね。塾の見学をしに来た主人公にいつもと違う自分を目撃された平田ですが、これから二人の関係はいい意味で変わっていくんじゃないかなと思いました。平田の話はぜひ続きが読みたいです!塾での平田安彦晴6わかる
かしこ2020/05/07動物園獣医師さんのお仕事を学ぼう! #1巻応援岩手県の動物園に勤める獣医さんのお話。主人公の星野はケガをした動物の痛みがわかる特異体質の持ち主ですが、物語にファンタジーの要素はそれほど無いです。それよりも動物と向き合うとはどういうことかを現実的に学べる漫画だと思いました。ペット医療と違って動物園医療はまだまだ治療法が確立されていないことが多く、獣医さんそれぞれが試行錯誤して治療をしているということを初めて知りました。読むと動物園の印象が変わります。それと同時に星野については急病になった先輩獣医の代わりに赴任してきた津川との人間同士の話も描かれています。津川は人に対して冷血な印象ですが動物達に関わることにはとても熱いです。怒ると津川弁になるなど根っからの悪人ではないことは分かりますが、彼には明かされてない秘密がまだありそうです。表紙の絵が綺麗だなと思って手に取ってみたらとても面白かったです。イーハトーヴのふたりの先生山口八三1わかる
かしこ2020/05/04いつか続きが読めますように主人公のフローラさんは幼い頃に母を亡くしていて、小津安二郎の映画みたいに「私が結婚したらお父様が1人になってしまうわ」と言って結婚せずにいたのですが、駅で偶然出会った鉄道オタクの変わり者をどうやら好きになり始めて…!という恋物語です。舞台が20世紀初頭のフランスで、純情だけどおっちょこちょいな主人公という昔懐かしい少女漫画な感じもありつつ、かわかみじゅんこ先生がフランス在住(しかも主人公と同じフォンテーヌブローにお住まい)なので文化や背景の描写にリアリティーがあるのがいいです。恋のお相手の男性が超絶イケメンではないのですが、フローラさんが好きになったポイントが「何かに熱中しているところが大好きなお父様にそっくり!」なので、こういうシュチュエーションの方がドキドキできるという方は私の他にもいらっしゃるでしょう。しかし、この鉄道オタクにちょっとよからぬ噂があるようだ…という、とても気になるところで終わってしまっているのが残念です。どうやら掲載誌が休刊になってしまったよう。あぁ〜!続きが読みたいよ〜!ロマンチックな物語にかわかみ先生のトーンワークがばっちりハマっていて夢心地になれます。オススメです!フローラかわかみじゅんこ
かしこ2020/04/28ネタバレ中村明日美子先生の傑作サスペンス考察してもしなくても面白い!自分は1回目は通しで読んで2回目はメモを取りながら読みました!中村明日美子先生の描くキャラクターは男性も女性も美しいですね。ただ眺めて世界観にひたるのも良しです。全2巻でこんなに楽しめる作品はない!と思います。考察ブログもたくさんあるので自分の推理と重ねながら読んだのですが、謎が解けていく程に色んな解釈が出来るので益々面白いです。 ここからはネタバレも含めて感想を書こうかな。個人的な解釈ですが…。この作品の最大のミステリーは藤乃朱と三木桜どっちが秋山富士子なの?ウツボラを書いたのは誰?ということだと思いますが、亡くなった藤乃朱が秋山富士子でありウツボラの作者ですね。とはいえ一番謎が多いのは三木桜だと思います。大手生命保険会社の元OLで横領疑惑で警察に追われていて、違法なクリニックで溝呂木好みに整形した女。三木桜の存在がストーリーを狂わせて面白くさせてますね!警察は三木桜を秋山富士子と誤解したまま逃がして、ラストシーンでは溝呂木の子供を身ごもった姿を見せてます。藤乃朱と溝呂木が自殺するきっかけを作ったのも三木桜ですが、すべてを抱えてこれからも生きていくんでしょうね。2人のことを愛してたのは本当なんだろうな。癒しキャラのコヨミちゃんには幸せになって欲しいです。ウツボラ中村明日美子1わかる
かしこ2020/04/25山と共に生きるマタギ山と渓谷社から出版された文庫版で読んだんですけど、いや〜風景描写の素晴らしさに圧倒されますね!初めはなんで山と渓谷社からマタギが?と思ったんですが、読むと山に登りたくなる、自然に還りたくなります!それと同時に、山の恐ろしさと有り難みも学ぶことが出来ます。山そのものが神なんだ!と。 マタギなので動物を狩るのですが、むやみやたらな殺生はしません。そこには技術と知恵と代々伝わるかたい掟があるのです。熊の恐ろしさはもちろん、猿も大群で襲ってきたり、人間と動物の戦いではいつも手に汗を握りました。どんなに熟練のマタギであろうと一筋縄ではいきません。でも私が一番興奮したのはニホンオオカミとカモシカの戦いです。野生同士の戦いにおいて人間はただの傍観者でしかありません…。これが大自然です…。 最後の湖に現れた巨大生物には驚きしかありませんでしたが、何が起こったって不思議じゃない、山ってのはそういう神秘を含んでいるんだ!と、納得させられたのも事実です。やっぱり風景描写がすごいからでしょうか。マタギ矢口高雄1わかる
かしこ2020/04/18初めて読んだ感想ジョーってこんなに不良だったんだ…って思いました。有名作品なのでキャラクターの名前と名セリフくらいは知ってましたが、実際に読むまでジョーってもっといい子だと思ってました。力石徹との出会いも少年院なんですね。自分みたいに勘違いしてる人は世の中にたくさんいそうです。恥ずかしながら力石の死がクライマックスだと思ってたので、終生のライバルがこんなに早く死んでしまうのかと驚きました。でもそこから力石に致命傷を与えて殺してしまったトラウマをジョーが乗り越えていくという、さらに踏み込んだ物語になっていくのがすごく面白かったです。トラウマがフラッシュバックしてリングでジョーが吐いてしまうシーンが印象的でした。ジョー以外は黒塗りのシンプルな見開きなんですけど、ジョーのショックの大きさが見えて辛い、けどそれを乗り越えていかなきゃいけないんだって思いました。もう一つ好きなのはやっぱり紀ちゃんとデートするシーンです。あれも存分にページを取って一日デートした最後に「わたしついていけそうにない…」と紀ちゃんが言うなんてガーンときますね。これもちばてつや先生がよくおっしゃってる漫画の「間」の効果なのでしょうか。前半は自分が感情移入しやすかったのでチビ連のサチが好きでしたが、脇役って言っちゃうのが失礼なくらい全員が登場人物として必要なキャラになっているので、読み終わると全員好きになりますね。こんなにどのキャラも人生を持ってる漫画は初めて読みました。あしたのジョーちばてつや 高森朝雄4わかる
かしこ2020/04/04まんが道ってタイトルがもう優勝ですよね本屋でバイトしてた時にどしゃ降りでお客さんも来なくて「今日は暇だな〜」とレジでボーッとしてたらサラリーマンが飛び込んできて迷わずまんが道全巻を手に取って買っていったことがあった。今なら分かる。人には雨が降ろうが槍が降ろうが今すぐまんが道を読まなければならない衝動にかられる時があるのだ…。それがまんが道なのだ。 やっぱり一番好きなのは「なろう!なろう!明日は檜になろう!」の名言にあるように読むと向上心が爆上がりするところですね。才野も満賀もめちゃくちゃ才能あるけど、そんな二人だってこんなに努力してるんだから自分だってやってやるぞ!今日がダメでも明日があるじゃないか!明日があるって素晴らしいね…!と思えるんです。 あと、一人だったら心が折れてたけど二人だから乗り越えられたってシーンがたくさんあるじゃないですか。編集者のダメ出しにへこんだり原稿を落として仕事が無くなっても、お互いに励まし合ってるうちに新しいアイディアが浮かんでもう一度頑張ろうって思えたとか。こんな尊い友情が現実に存在したというだけでマジで泣けるし、一人で考え込むのって本当によくないなという気づきを得ますね。 それからなんと言っても手塚治虫先生の存在ですね。やっぱり圧倒的「神」なんですよ!手塚先生は!このまんが道を通して漫画界の神々たちの戯れをのぞかせて頂いてるんです。トキワ荘の敷金3万円を下宿先の両国のおじさんが貸してくれるって言ってくれた時もその優しさに感動したのですが、その後に手塚先生が肩代わりしてくれるという神展開があってビビりましたね。好きなエピソードです。 あと途中で倒産する出版社の編集者で、いつもは目立たないヤツなのに「漫画は映画じゃない。映画みたいな漫画を描いたってダメだ。漫画にしか出来ない表現をしなさい」みたいなことを言い出したシーンが印象的でした。まんが道藤子不二雄(A)3わかる
かしこ2020/03/13ネタバレとくに好きな短編「マヨネーズ」黄色い本に収録されている短編の中で「マヨネーズ」が一番好きです。高野文子先生ご自身もこれは珍しくエロを描きましたというようなことをおっしゃっていたと思いますが、大人の恋愛模様を描いた作品です。 物語の始まりの巧みなカットの連続もかっこいいのですが、やっぱりスネウチさんのキャラクターが魅力的ですね。ひとことで言うとガサツな人です。彼が何にでもマヨネーズをかけることがタイトルの由来にもなっています。 タキちゃんがいつスネウチさんのことを好きになったのか明確には描かれてはいません。でも心の動きって自分でも予測不能だったりしますよね。すごくマンガっぽく描かれているけど実際の恋愛がモデルになっているようなリアルさがすごくあります。黄色い本 ジャック・チボーという名の友人高野文子3わかる
かしこ2020/03/13高浜寛と名作文学「ラマン」の相性の良さよ!原作小説は未読だったのですが高浜寛先生のファンとしてとても楽しめた作品。高浜先生は思春期の頃から小説を読んでいて思い入れが深かったと書かれていましたが、自分が一番好きな短編集「イエローバックス」の雰囲気にちょっと似ているなと思いました。デビュー時から感傷とか老成とかを描かれるとピカイチでしたからね。フランスではかなり取材を受けられていたようなのでフランス語がわかればなぁ…と悔しい思いです。こんなに現地で話題になるのは原作小説ファンも満足する素晴らしい漫画化だからでしょうね。日本のメジャーなストーリー漫画を意識して描かれた「ニュクスの角灯」とほぼ同時期に「愛人 ラマン」のような漫画にも取り組まれる高浜先生はやっぱりすごい作家だなと改めて思いました。愛人 ラマン高浜寛 マルグリット・デュラス3わかる
かしこ2020/03/05「花と頰」にも通じるものがある気がする「花と頬」で話題になったイトイ圭さんのエッセイ漫画です。美術系予備校に通っていた頃から始まって、東京でデザイナーとして就職したけど、色々あって地元の京都に帰ってきたり、すごく好きな人ができたりする話。本当に色々なことが起こるので読んで結構なショックを受ける人が多いかもしれない…。でも自分はふとした時にこの漫画のことを思い出します。大体それは人生が上手くいってない時なんですけど。これを読んだ後に「花と頬」のラストを読むと何だかすごーく感動します。サムデイ・ネバー・カムズイトイ圭1わかる
かしこ2020/02/26美しい謎の少年を追いかける人々の物語自分はその作品を描いたのがどんな人か気になるタイプだと話たら、作品と作家は別だからそんなことは考えないと言われ、この「パースペクティブキッド」を渡された。ひさうちみちお先生のファンは実際に先生にお会いすると作風と本人がまったく違うので驚くのだと言う。 端正なペンタッチで耽美な世界が描かれている。男色や殺人や吸血鬼まで描かれているけど悪趣味なおどろおどろしさはない。追いかけ続ける美少年キッドが一体何者なのか…?ユーモアと美しさの余韻が残って好きな終わり方だった。 あとがきにデビュー前は見た夢の内容そのままのつまらない漫画を描いていたとあったけど、そのプロセスがなければ描かれなかった作品かもしれない。他人の夢はつまらないとは言うけど、話の構成が上手ければそんなことないんだと思う。それがなかなか出来ないんだけど。20代でこれを描かれたのはすごい。パースペクティブキッドひさうちみちお
かしこ2020/02/11岡田史子の漫画は芸術だ元々Twitterで岡田史子っていう伝説の漫画家がいたっていうツイートを見てから気になってたんですけど、古本市でサンコミックスから出版された「ガラス玉」っていう短編集を手に取ったらあおり文がすごくて…。 【極寒の地 北海道で、あふれる想像力と、とぎすまされた感受性を武器に、「意味の病」と必死に戦った表現者 岡田史子。この短編集は、漫画表現にかけたひたむきな情熱の結果であり、彼女の苦闘と挫折の軌跡である。】 あおり過ぎじゃないか?と思ったんですけど、読んでみると本当にその通りで何一つ間違ってなかったです。自分が作品について読み解けているとも思えないし語れもしないんだけど、岡田史子の作品に憧れる者はこれからも絶えずいるだろうけど、誰も彼女のようにはなれないということは分かった。ODESSEY 1966~2005 岡田史子作品集岡田史子
かしこ2020/02/11「生きても生きても雨」というタイトルだった作品ケータイサイトで連載されていたそうです。今から10年くらい前だからほとんどの人がガラケーでポチポチしながら読んでたってことかな?当時としても新しい試みだっただろうに、そんなことを土田世紀がしていたとは驚きです。単行本化に際してタイトルを変えたらしいですが、内容としてはヒューマンドラマかつ夢のように現実味がないところがあるので、原題の「生きても生きても雨」の方がしっくりくると私は思います。土屋セイジっていう自分がモデルのキャラクターが出てきたり、これは奥さんとの思い出をベースに描いてるんだろうなって話もありました。何か特別なことが書いてる訳じゃないんだけどあとがきが良かった。現金を燃やす会土田世紀
かしこ2020/01/30初・岡田あ〜みん初めて岡田あ〜みんの漫画を読みました。誰もが「あ〜みんはすごい!」と褒め称えますが、本当にすごかったです。めちゃくちゃ面白かった。ギャグセンスが今読んでもまったく古くない。鮮度そのまま直送!って勢いで、今だったら青年誌で連載してもウケそうだなと思いました。ヤンマガとかどうでしょう? 私が好きなキャラは学校のアイドル愛咲ルイと変態執事の黒川です。特に黒川は「えっこんなことりぼんで言っちゃっていいの?」ってくらい自分の欲望に素直な発言が魅力ですね。 初あ〜みんが新装版だった訳ですが、こちらは連載終了後の単行本未収録の番外編が収録されているので、あっさりした最終回の後の渡航した夢実と森夜の文通の話など、がっつりした続きが読めます。知らずに未読だった方はこの機会にぜひ!ルナティック雑技団岡田あ~みん4わかる
かしこ2020/01/18バタアシ金魚のカオル君みたいになりたいあなたにとって望月ミネタロウの代表作は何ですか? 私にとってのそれは「東京怪童」なんですけど。こないだ始まった「フレデリック」で【あの「ドラゴンヘッド」と「ちいさこべえ」の作者の新連載がスタート!】と紹介されててビックリしました。あれ!?「バタアシ金魚」は!?と。まあ、代表作があり過ぎるということかもしれませんが…。 私が「バタアシ金魚」を読んだのは10年位前ですが、主人公・カオル君のブレーキが壊れた熱血さが理解できなかった。これは連載当時との感覚が合わないから起こるギャップなのかな?と思ってたのですが、どうやらリアルタイムで読んだ人にとってもカオル君の熱さは時代遅れで、みんなソノコ状態だったそうです。でも圧倒的に表現の仕方が新しくてカッコ良かった!と聞いたことがあります。 岡崎京子のエッセイでも「バタアシ金魚のカオル君みたいに」という言葉がありましたが、カオル君のバカみたいなガムシャラさって、本当はどんな時代でも一番カッコいいことであるべきなんじゃないかと思います。 今、このクチコミを書いてて「ちいさこべえ」の主人公とカオル君って似てるかも?と気づきました。望月ミネタロウが描いている、人間にこうあって欲しいと思う姿(ヒーロー像?)って、初めから変わっていないのかもしれません。バタアシ金魚望月峯太郎9わかる
かしこ2020/01/15ホイチョイ・プロって何なんだろう…?何年か前から気まぐれコンセプトの絵柄が変わったのに気づいていますか?私はマンガ評論家のブルボン小林さんの著書「ザ・マンガホニャララ」を読むまで全く気づきませんでした。ブルボンさんいわく連載が30年以上続いて初代の作画家の方も定年なのでは、とのこと。へ〜!そんなこともあり得るのか!と感心したのですが、気まぐれコンセプトって何かと読み飛ばしがちなんですよね。巻末だし。スピリッツって面白い連載がたくさんあるし。けれど最近になってもしかしてネタを考えてる人たちも世代交代してるのでは?と、ふと思いました。なんとなく自分と同世代の中の人がいる気がしたんです…。アラサーで気まぐれコンセプトのテイストに合わせられるって実はすごい才能がある人かもしれない。これからは気まぐれコンセプトちゃんと読もうと思います。気まぐれコンセプト 完全版ホイチョイ・プロダクションズ2わかる
かしこ2020/01/04ネタバレロボットが人間を捨てる前の歴史?それとも?このマンガすごい!けど、何がすごいのか言語化するのが難しいですね。自分がこの作品を理解できているのかも分からない。 たかが100年しか生きられない人間に比べるとロボットの寿命は遥かに長い。けれどもロボットだって古くなったり壊れたりするから永遠に存在することはできない…はずだった。物語の結末としてロボット達は人間を置いてきぼりにして、機械の身体を捨て意識をデータにし電波に乗せて宇宙に飛ばすことで永遠になることを選んだ。この概念だけが存在する様は火の鳥のマサトとタマミの話のラストのようでもあります。 人間は歩んできた歴史の中で絶えず変化してきましたが、ずっと変わらずにあり続けるものがあります。その一つが幸福を願うということです。博士がロボットの幸せを願ったように、自分自身ではない誰かの幸せを願うことも、人間が積み重ねてきた大切な営みであり、歴史なのです。 これは人間の意志を継いだロボット達の未来に続く話なんだと私は思いました。ロボ・サピエンス前史島田虎之介1わかる
かしこ2020/01/02南Q太作品の中でも特に好き!元旦から電子書籍版の発売通知がきてブチ上がりました。めちゃくちゃ面白い作品なんだけど本屋にないし、まんだらけでも中々見つけられなくて(あっても状態が悪いとか)、困っていたのでとっても嬉しいです。南Q太さんってエッチなのとか暗い話の作品もありますが、「夢の温度」と「オリベ」は私のイチオシ。この2作品があるから私は南Q太のことが好きだし、Twitterフォローするし、マンバで著者フォローするんだよな。内容的には日常モノで1話が2ページのショート漫画です。地味顔で愛想があるのかないのかも分かんないフリーターのオリベが主人公なんだけど、つつましい生活の中にも彼女なりのルールとか信念があって、読んでて憧れる。私はオリベみたいになりたいなと思う。オリベ南Q太2わかる
かしこ2019/12/30ドラえもんよりあさりちゃんが好きでした平成3年生まれですが初めて夢中になった漫画はあさりちゃんだと記憶しております。冬になると親にスキー教室に入れられて毎週日曜日は雪山に通っていたのですが、行きたくなくてゴネてたら1回行くごとにあさりちゃんを2冊買ってもらえるようになりました。凍えて帰ってきてこたつで読むのが至福の時間でしたね。今でもクッキーを食べる時は心の中で「クッキッキ…」とつぶやいています。あと貯金が趣味のタタミお姉ちゃんがピン札は使わずに取っておくと言ってたので真似してます。大きくなるにつれて徐々にあさりちゃんを読まなくなりましたが、100巻で完結した時は感慨深かったです。さみしいというより、こんなに続くと思わなかった!うれしい!おめでとう!という気持ちが強いです。読んで子供に戻れる作品といえば自分にとってこれしかないと思います。あさりちゃん室山まゆみ12わかる
かしこ2019/12/14短編集『心臓』の集大成みたいな読切作品 #読切応援久しぶりに帰省した主人公は東京で女芸人をしている。父と母は兄の子供である孫に夢中で、90歳を過ぎた祖母はボケてきていた。今現在の時間の流れを主人公の視点で語りつつ、そこにボケて子供に返った祖母の記憶と意識が混ざる構成。 祖母が子供だった頃の村では凶作で食うに困った人達が芸を見せて金をもらい歩いていて、同情した父親が彼らを家に泊めたが、翌朝に物が盗まれていたことがあった。主人公はパソコンの画面越しにネタ合わせしていた相方に「どうして里帰りしたの?」と聞かれ「自分は子供に返りたかったのだ」と気づく。子供に返ってしまった祖母と子供に返りたい孫。二人ともそれぞれの過去と現在のしがらみに苦しんでいる。 物語の最後で東京に帰ろうとする主人公を玄関先で呼び止めて「私からもらったと言うな」と祖母がお菓子を握らせる。おそらく祖母のボケた思考回路の中では、子供心に印象的だった貧しさから盗みをしてしまった人物達と、同じく芸をしている孫を混同しているが、この行為は祖母からの泥棒をしたあなた方を恨んでないというメッセージだと思う。主人公は自分が買ってきたお土産を渡してくる程ボケても子供のように可愛がってくれる優しい祖母だと感じている。 ある意味ここで意思のすれ違いが起きているけれど、同時に祖母も孫も救われている。そこに気づけるのは読者だけ、というのも面白い。 短編集『心臓』に収録されていた作品それぞれに登場したモチーフが数多く見つけられた。高野文子のオマージュのような表現もそう。今回の「あんきらこんきら」で一つの完成形に達したような感じがする。けれども奥田亜紀子の進化はまだまだ続くと確信を持てる傑作でもありました。あんきらこんきら奥田亜紀子4わかる
かしこ2019/12/11すべての人に勧められる作品ではありませんが…もし自分がポックリ死んで田舎から親が遺品の整理に来て見つかったら一番ヤバいと思う漫画が早見純かな…。なんせタコシェで買ったサイン入りだし、どんだけ好きだったの?!うちの子どうしたの?!ってビックリさせそう。それでも持ち続けなければならない、必ず本棚の片隅にいて欲しいと思う、そういう作品です。漫画を読んで人が殺せるくらいの狂気を感じたのは初めて。誰かと共有したい訳でもない。自分だけの秘密の悪を持ちたい人は覚悟して読んで下さい。性なる死想早見純1わかる
かしこ2019/12/06今週のモーニングで一番おもしろい漫画だった #読切応援第76回ちばてつや賞一般部門大賞受賞作。 まず扉絵でゴミ袋の中に制服が捨てられてるのがいいですよね。 家出先の男とはどうやって知り合ったのか説明がないのもいい。 結局は一人じゃ何も出来ない、何も変えれない弱い人間であるというヒンヤリとした冷たいオチもよかった。 まだ色んな漫画家の影響が見えるけど、すぐ消化して自分のものにしそう。 https://comic-days.com/episode/10834108156713779026本がある部屋西田荘7わかる
かしこ2019/11/21子供も大人も一緒に読んで成長できるマンガアニメにしたらいいんじゃないかな?今の時代の日曜日の夕方にぴったりな気がする。 小学4年生のスミレちゃんが主人公。両親は離婚していて今は料理人のお母さんと二人で暮らしている。メガネをかけてるけど実はハリーポッターに憧れてかけ始めた伊達メガネ。将来の夢は小説家。スミレちゃんもユニークな性格をしているけど、ロシア人の転校生ソンチェフ君や、マンガ家のお姉さんとか、スミレちゃんの周りの人達も同じくらいユニーク。それぞれに色んな事情を抱えてて、泣きそうになるエピソードもあるんだけど、いつも前向きな捉え方をして終わるのがいい。子供も大人も一緒に読んで成長できるマンガだと思います。 一番最初のエピソードが再婚して広島に暮らすお父さんに会いに行く話なんだけど、最終話もそこに繋がるのが自分はとても好きでした。 すみれファンファーレ松島直子3わかる
かしこ2019/11/13くらもちふさこの良さをギュッと凝縮したような短編ちょっと誤解しがちなタイトルだと思うんですけど「百年の恋も覚めてしまう」なので「冷めてしまう」話とはちょっと違います。けれどもストーリーとしては主人公の笙子が小学生〜大人になるまでの成長物語で、その時々で好きになった片想いの相手に何度も「冷める」からダブルミーニングでもあるのですが。そういうところもくらもちふさこらしくて面白いです。 小学生の時は魚屋さんちの新田君が好きだった笙子ですが、ママから「あの子目と目が離れてておもしろい顔してるわよねー」と言われて急に新田君のことが嫌いになってしまいます。中学生の時に好きだった広瀬君は声変わりする瞬間を聞いて嫌いになってしまいました。高校生の時は友達に紹介された宇佐美君のことを出会った瞬間から「もう会わないだろうな」と思ってたけど、笙子の本心に気づきながら優しくしてくれた宇佐美君の気持ちを知って切なくなったりしました。大人になった笙子は編集者になり漫画家のおつかいで昔住んでいた町の商店街に行きます。そこには新田君ちの魚屋があって二人は再会します。 ほとんどネタバレしてしまいましたが、あらすじを知っていても心に響く作品なのでぜひ読んでください。こんなに少女の気持ちに寄り添って描けるってすごいです。あんなに好きだったのに些細なことで嫌いになったり、自分の不誠実さに反省したり、誰もが経験したことあると思う。そういうことを大げさじゃないエピソードで語れる素晴らしさもある。現実の人生って細やかなことの積み重ねだから、そこを汲み取ってくれることがとても嬉しいんです。 この短編の為に作られたような一冊ですが、その判断はめちゃくちゃ正しいと思います。百年の恋も覚めてしまうくらもちふさこ6わかる