かしこ
かしこ
2020/09/25
ネタバレ
「部長島耕作」感想まとめ
日本の不況がこんなに島耕作に影響するとは…。前シリーズの課長島耕作では海外に行ったり、巨額の資金を動かすような仕事がしょっちゅうでしたが、あれは幻だったんじゃないか…?と思うくらいスケールが小さくなってしまった。しかし思い出せるキャラクターは全員再登場するのでそういう面ではとても楽しい。 【バブル崩壊期】 初っ端から不況。あんなに苦労したコスモス・スタジオ買収やベトナム半導体工場も結果的に失敗し、中沢社長もそれらの責任を取り辞任することになった。中沢社長が活躍する話を期待していたから残念だけど仕方ない。島耕作も早期退職か出向をしなければいけない立場になる。 【ワイン貿易会社期】 初芝電産貿易でワイン部門の新専務になり完全にワイン漫画になる。大町久美子とは結婚を前提としない真面目な交際をしていたが、彼女に他に恋人が出来たこともあり何となく疎遠になる。島耕作から「年齢のせいか…50歳をすぎたら恋愛に対して億劫になってきてる…」という弱気なセリフが出るとは思わなかった。それと入れ替わるように女秘書の高市とバー・チャコのママが登場する。 【レコード会社期】 今度は子会社サンライトレコードの立て直しを命じられる。リストラする側になるのも心苦しいですね。美空ひばりをモデルにした大物歌手も登場したけど、まるで宇多田ヒカルみたいな14歳の天才少女がアイリーンとの間に産まれた島耕作の娘だなんて…欲張り設定すぎないか!と笑ってしまった。島耕作プロデュースのオーディションも実際に開催したんですね!大人になった奈美と一緒に仕事をしたり、中沢相談役が亡くなったり色々あったけど、京都で出会った元芸者のかつ子が再登場したのが一番ドキドキした。 【福岡の販売センター期】 博多山笠でふんどし姿になったりご当地ネタが多かった。ここで再会した今野社長は前シリーズから悪役として島耕作の邪魔ばかりしていたけど、最後は良好な関係になれてよかった。自殺した大学時代の同期は学生島耕作にも登場するのかな。最終回はモーニング編集部から電話で「次回から取締役島耕作にタイトルを変えます」と告知されるお茶目な演出だった。 ライバル候補の元部下だった八木の存在も気になりますが、大泉相談役の財産を典子が相続したら初芝電産の株はどうなるんでしょう…?取締役島耕作の活躍を読むのが楽しみです。
かしこ
かしこ
2020/09/22
ネタバレ
「課長島耕作」感想まとめ
島耕作シリーズに手を出してしまうと道のりが長いので尻込みしていたが、課長島耕作を読み終えた今は次の部長島耕作が早く読みたくて仕方がない!その前に自分の為の備忘録として感想をまとめておこうと思う。 【オフィスラブコメ期】 読み切りのつもりで描かれた第一話の時点ではまだ係長だった。「島耕作 本日35歳 胸がキューンと熱い 人生まん中あたり」なんてモノローグのつくようなラブコメちっくな話が多い。今思えばこの時の島耕作は本領発揮していない。若かったな〜。 【ニューヨーク期】 ここで出会ったアイリーンとボブとの三角関係は楽しそうだった。ただアイリーンの子供の父親がボブじゃないことを島耕作は知らない。後に離婚する妻に対しては「結婚前から上手くいかない予感がしてた」というセリフをもらしてたので、これがどういう意味なのか他のシリーズで確認するのが楽しみだ。 【大町久美子初登場期】 初めはなんだこの気が強そうな女は…と思ったけど大町久美子が登場してから更に面白くなった。島耕作らしくなり始めたと思う。でもまだ銀座のクラブのママ典子との関係の方が濃厚だった。典子のパトロンである大泉専務に関係がバレたけど、専務が典子に「別れたくない」と言って土下座したのが印象的だった。典子が大泉専務を「裕介ちゃん」と呼んでいるのもいいですよね。同期入社のエリート樫村はライバルだと思ったら島耕作のことを好きだと言い出したので驚いた。男にもモテるんだ…。 【京都期】 前後の展開からすると一番地味かもしれない。宇佐美専務やフグ料理の女将など親しかったキャラクターが亡くなることも多かったけど、忘れられないのは元芸者のかつ子かな。あまり良くない言葉だけど本当にいい女だったと思う。島耕作との別れは読んでて切なかった。 【派閥争いに巻き込まれてクビ寸前期】 大町久美子の父親は初芝電器創始者の吉原初太郎だったことが判明する。派閥争いに勝つ為に1千5百万株を持っている創始者の愛人だった久美子の母親を探しにバリ島まで行く。母親の愛子は規格外すぎるアグレッシブさで圧倒された。特に創始者の吉原会長とその後を継いだ木野会長と愛子の三人の関係がすごい。そんな中でも一番の見所は中沢部長の裸踊りでしょうか。 【フィリピン期】 島耕作が仮面舞踏会に忍び込む話はここだったのか…!非日常的でエロティックなシーンだったけれど相手のソフィアとはワンナイトラブだった。確かに島耕作はモテるけどやたらめったら女とそういう関係になる訳でもない。優秀な秘書のローラとはお互いに好意はあったがプラトニックな関係を貫いた。帰国するきっかけになったのはフィリピンで一緒に働いていた樫村が反政府ゲリラに襲撃されて亡くなったから。ゆくゆくは社長になるだろうと言われてた樫村の死は衝撃的だった。 【コスモ・スタジオ買収期】 すっぽん料理屋の女将のアフターサービスも有名なシーンだと思ったけど、女将はそれ以後は登場しなかった。今度はハリウッドの映画会社を買収する為にロサンゼルスに行く。ここで会社を辞めてニューヨークで社交界デビューした大町久美子と再会する。一方、日本では社長に就任した大泉が脳梗塞で倒れる。身体に麻痺が残り落ち込んでいる時に典子が言った「羊羹友達でもいいからずっと私の側にいて!」のシーンは感動した。 【クライマックス期】 買収に成功したのでタイに滞在している有名プロデューサーをスカウトしに行ったりもするが、なんといっても中沢部長の社長就任がめでたい!いかにも脇役といった風貌だったのが社長にふさわしいキャラクターになっていくのを見ていたので、中沢部長が社長になる決意をした時に島耕作が涙を流した気持ちがとてもよく分かる。大町久美子は別の男との結婚が決まっていたが結納の席を抜け出して島耕作に「きちゃった!」する。結婚はしないけど関係は続くという終わり方だった。いつだって島耕作にアプローチするのは女からなんだなぁ…。最終回では「部長の島耕作です」と自己紹介している。典子と娘の奈美がそれぞれ島耕作とツーショットになるシーンがあるが、これは課長島耕作の中で最も優れた脇役が二人だったからだそう。 部長になった島耕作も一寸先はセックスしてるのか見届けたいと思います。
かしこ
かしこ
2020/09/06
オリジナル・ウエディングの制作会社を経営するカップル
『にれこスケッチ』をきっかけに鴨居まさね先生を知って過去作を読み始めました。『SWEETデリバリー』は「もうすぐ2000年だ!21世紀だ!」なんてセリフも登場する20数年前の作品ですが、読んでて古いな〜と思うような違和感とか物足りなさが全くなかったです。ドラマ化したらいいんじゃないか!?と思ったら、もうしてました!そりゃそうか。でも原作とは大幅に違う筋書きだったようですね…。原作ではオリジナル・ウエディングの制作会社を経営している実与子とマコトはもう5年も付き合ってるという設定なんです。これがいいのに変えちゃったのか。仕事もプライベートもずっと一緒だけど、実与子はマコトのことが好きで好きでたまらない、だから不安になっちゃう…でも、そんな実与子をただの重い女と感じさせないのが鴨居先生の力量ですね。喜怒哀楽の心の動きにユーモアを含めてくれるから重い愛情も毒っぽくないのかな。ウェディングを依頼した新郎新婦も社員のデコラちゃんも第2の主役のような感じなので脇役らしい脇役がいない、登場人物全員が主人公のような漫画でもありました。
かしこ
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2020/08/10
笑ったり泣いたりするだけが青春じゃないんだ
10数年前の多感な時期に読んでものすごく印象的だった作品。途中までは学園生活の楽しさ満載なので、当時キャラと同じく学生だった自分は夢中で読んでたんですけど、結末がとてもシリアスでショックを受けました。それまでが楽しすぎるんです!私にとってよしながふみ先生のイメージは「フィクションだけど容赦なく現実を突き付けてくる」ですが、この作品がきっかけだと思います。だからこそ信頼できるし面白いんですけどね! 主人公の花園春太郎は白血病の治療の為に一年一ヶ月遅れで高校生になりますが、自己紹介で病気のこともカミングアウトするし、すぐにクラスメイトとも馴染みます。注目すべきなのは漫研メンバーです。その一人である武田さんの作品「ルイジアナにひな菊咲いて」がきっかけで展開していくエピソードが最高に面白いです。最初はひっそりと趣味で描いていましたがクラス中で人気になり、文化祭で演劇をするまでに発展します。漫画の中の漫画をここまでネタにしてくれるなんて感動ですよね。気になった方は読んでみて下さい。そういえば初めて油淋鶏の存在を知ったのはこれがきっかけでした。
かしこ
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2020/07/29
マグロの餌として生きる女の奮闘記ギャグ「大漁!まちこ船」
脱サラして漁師を始めた小川はすれ違ったマグロ漁船に小柄な女の子が乗っているのを見つける。彼女の名前は「まちこ」。実はただのマグロの餌である…。船長から釣り竿の針を口に付けられ海に飛び込みマグロに食われる、それが彼女の仕事、そう!使命なのです。最初はひ弱な都会人の小川に興味がなかったまちこですが、だんだん恋愛モードに入っていきます。なぜなら卵を産んだから。見た目は人間の女の子ですが何故か産卵するんです。自分が産んだ卵に小川から「かけてもらおう」と思い立ってから色んなすれ違いが起きるんですけど、すごいですよ。超爆笑モノです。何を言ってるのか分からないと思いますが、本当にそういう漫画なんです。私にとって「大漁!まちこ船」が理想的な漫画の一つかもしれません。それくらい大好きです。 もう一編の「戦え! 北極警備隊」は三宅乱丈先生の思い入れがものすごくある作品のようです。近未来SFギャグ漫画なんですけど、何が起こるか分からない具合で言えば「大漁!まちこ船」よりすごいです。どちらも傑作であることは間違いありません。大船に乗った気持ちで読んで大丈夫です。
かしこ
かしこ
2020/07/05
カムバック新連載「地域の相楽さん」
短期集中連載されていた「地域の相楽さん」がシーズン2として新たにスタート!これまでの計4回のお話がとても面白かったので、連載復活は嬉しい限りです。だいぶお隣さんと仲良くなりましたが、まだ設楽さんの素性?は知らないようですね…。 ちなみにこれまでのあらすじ。町内会に新しく入ってきた相楽さんは中性的な見た目でかっこいい。引っ越してきた当初は一軒家にひとり暮らしなんて…と、近隣住民に不思議がられていましたが、町内のゴミ拾いでの仕事っぷりのよさ、回覧板まわし騒動で見せた意外な熱血さ、大晦日に神社で配る豚汁作りでの機転のきかせ方、を経て徐々に受け入れられてきた模様。 実は…という程でもないかもしれませんが相楽さんは女性です。あまりにもクールなので、第1話では町内会の全員が「男性なのかな?女性なのかな?でもすごく聞きにくい」と悩んでいて、そこがすごく面白かったです。私も正直どっちなんだろうって思いながら読んでいました。相楽さんはあらゆる物事を推理するクセがあることがずっと描かれていましたが、それも職業がミステリー作家だからということがシーズン1の最終話で判明してます。そのことをお隣さんはまだ知りません。 毎回クスッと笑えるところがあって個人的に激推しの新連載です!!