高浜寛先生は長崎を舞台にこれまで二つの作品を描かれてきました。手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞された『ニュクスの角灯』は有名かと思いますが、一作目は長崎・丸山遊郭の遊女である「几帳」が主人公の『蝶のみちゆき』です。今作の『扇島歳時記』はこれら長崎三部作の最終節になります。時系列で言うと『蝶のみちゆき』『扇島歳時記』『ニュクスの角灯』になりますが、読む順番はあまり気にしなくてもよいと思います。むしろ未来から過去にさかのぼって読んでいくのもありかもしれません。『扇島歳時記』で主役になるのが全作品に共通して登場する「たまを」で、遊郭で生まれ育った彼女が大人になるまでの物語なのですが、他の二部作をすでに読んでいて先の展開を知っているからこそ、どう繋がっていくのか楽しみです。個人的には『蝶のみちゆき』が大好きなので「几帳」が登場してくれたら、もう他に何も言うことはないくらい嬉しいのですが。

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高浜先生がなぜ長崎を舞台に作品を描かれているのか今まで気づかなかったのですが、先生の出身地である天草は以前は長崎だったそうで、方言などのルーツがとても似ていると、読み直した「ニュクスの角灯」のあとがきに書いてありました。長崎の遊女達は出島のオランダ商人のところへ通ったり、異国の文化がとても身近だったようで、独特な風習が見れるのも面白いですよ。

完結4巻読みました!高浜寛先生がインスタグラムで最終回について「あえて分かりやすい終わり方にはしなかった。注釈も付けないことにした」と言及されていたのを先に見ていたので受け入れ態勢を万全にしたつもりで読んだのですが、なかなか渋い終わり方でしたね…。はっきりと言ってしまえば第一印象は他の二作に比べても地味かもしれません。でも三部作のラストでこの終わり方をチョイスしたのはどうしてなのかを考えると深いです。

主人公の「たまを」は時代や境遇に振り回されながら生きていてその面ではとても残酷なんですが、異国の珍しい文化に触れてワクワクしたりそういうこともストーリーでたくさん描かれているので、ラストでの遊女である自分の運命を受け入れた後ろ姿を見ても彼女はただの悲しい人ではないという気持ちになれたのです。こういう人生の奥行きを感じる作品って高浜先生らしいなと思いました。

1巻を読んだ時の感想では読む順番は気にしなくてもいいと書きましたが、読み終えてみると「蝶のみちゆき」「ニュクスの角灯」「扇島歳時記」の描かれた順番通りに読むのがオススメかもしれません。

ダイヤモンドの功罪

最新話で綾瀬川が覚醒したぞ!!

ダイヤモンドの功罪
かしこ
かしこ

最新話でついに!綾が覚醒をしましたね!エヴァで言うところの覚醒と同じ意味なので心配ではありますが、これから益々タイトル通りの「功罪」っぷりを発揮してくれることでしょう。 ということで単行本を読み返してみました。運動神経だけではなく、身体能力、そして頭脳と、スポーツをする為の全てに恵まれた小学5年生の綾瀬川。U12の日本代表でもエースに選ばれ、他の代表選手からも「俺の世代にはずっとコイツがいるんだ…」と恐れられる程の逸材っぷり。しかし綾瀬川の本心は只々みんなと楽しく野球がしたいだけ。そう、綾本人も自分の才能に傷ついているのです。でも誰もそれを知らない。いてもイガくらいかな? 私は野球に関して全くの無知なんですがそれでもハマるのは、これが「才能」の話だから。やはり圧倒的な才能は人を翻弄するんですよ!!恐ろしやです。 日本代表の並木監督があのまま綾の面倒を見てくれたらよかったけど、このまま足立フェニックスで限界まで投げ続けたらプロになる前に選手生命が絶たれそうで心配ですね。ストーリーの冒頭で何回か高校球児になった綾が出てくるけど「この試合で壊れてもいい…!」と言ってたのが気になる。それがどういう意味なのか。やけっぱちなんだろうか。今のところ理解者になりそうな人が大和しかいないけど、東京と大阪で距離もあるし、大和もプレイヤーになりたそうだし、どうなっちゃうんだろう…。 将来は大谷さんのようになってくれたらいいのにな〜と思うのも綾にとっては大きなお世話なんだよね。とにかくハッピーエンドであってくれ!!と願いながら読んでます。

おうぎしまさいじき
扇島歳時記 1巻
扇島歳時記 2巻
扇島歳時記 3巻
扇島歳時記 4巻
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獅子と牡丹

獅子と牡丹

聖なる秘宝を求めて……血脈と宿命のサーガ 富永電(あきら)は地元・天草の地金買取「天竺トレーディング」で働く29歳。 母は早逝し、ギャンブル依存の父と二人で暮らしている。 彼には幼少期から繰り返し見る夢がある。 曇天の海、死人のような影、仄暗い地下トンネル…… 不穏な夢と虚しい現実をもてあまし、未来を諦めかけた彼を追いつめるように、ある日、父が多額の借金を残して失踪し…… 第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞作家・高浜寛が描きだす血脈と宿命の一大叙事詩。

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メゾン・ド・ねこ

メゾン・ド・ねこ

かわいい、ほほえましい、奥が深い……ねこ漫画とイラストの「集合住宅」。描いた人は有永イネ、大川ぶくぶ、今日マチ子、黒田硫黄、コンノトヒロ、櫻井エネルギー、桜井のりお、左藤真通&市丸いろは、真造圭吾、高浜寛、竹内佐千子、たむらあやこ、土塚理弘、中川いさみ、ひぐちにちほ、深谷かほる、藤沢カミヤ、松本救助、やまだないと、横山キムチ、はらだ(イラスト)。『夜廻り猫』単行本未収録のカラーイラスト掲載。

薔薇が咲くとき

薔薇が咲くとき

フランスで生まれ育ったローズは、日本人の父の顔を見たことがなかった。フランス人の母は5年前に自殺。自分を可愛がってくれた祖母も他界している。孤独な40代を送るローズのもとに、ある日、日本から父の訃報が届く。相続の手続きのためにしぶしぶ京都へ向かった彼女は、美術商だった父の助手を務めていたポールに出会い…… 全世界で200万部超『優雅なハリネズミ』著者による長篇小説を 第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」に輝いた高浜寛がフルカラーで漫画化! グラフィックノベルの新たな傑作、日仏同時刊行!!

愛人 ラマン

愛人 ラマン

フランス文学の不朽の名作を世界で初めて漫画化!! 物語が始まった時、私は十五歳半だった―― 1929年、フランス領インドシナ。現地のフランス人女学校に通う貧しい少女は、ある日メコン川のボート乗り場で華僑の青年と出会う。少女は金と快楽のためと割り切って関係を持つが…… 世界を虜にする叙情と官能の作家・高浜寛がフランス文学の“あの名作”を世界で初めて漫画化!! (オールカラー作品)★第21回文化庁メディア芸術祭「優秀賞」受賞第一作 ★「アングレーム国際漫画祭2020」公式招待

イエローバックス

イエローバックス

飾らずに生きる人々の日常の物語。叙情的かつ映像的な作品世界と人物描写で衝撃を与えた第一作品集がリニューアル。描き下ろし新作『My Life With K』を同時収録。

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トゥー・エスプレッソ

トゥー・エスプレッソ

日仏同時発売!! 絶美の漫画家・高浜寛、待望の復活!! 海を越えた漫画家がみつけた、愛と再生の物語。 「ぐだぐだな人生だけに落ちている宝石を手渡された」 ――穂村弘(歌人)

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泡日

泡日

泡日、ファニーフェイス・ファミリー、我らの世代が生きのびる道を教えよ、赤い実、The shock of recogition、過ぎ去った恋と少量の飲酒について、山日記。

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蝶のみちゆき

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「ごめんね寂しか思いさせて……大丈夫そうそう長くは待たせんけん……」遠く響く三味線に異国の言葉が混じり合う長崎丸山。絶世の花魁と重い病を抱えた一人の男の過去が、やがて密やかな“愛と死”の物語を紡ぎ始める……“世界”がいち早く評価した孤高の俊才・高浜寛が、長崎丸山に生きる遊女の「切なすぎる純愛」を洗練を極めた筆致で描く。国内の漫画家、海外のバンド・デシネ作家、映像作家など、ジャンルや国籍を問わず多くのアーティストたちから熱い注目を集める傑作!!<世界の巨匠たちが絶賛!!>今、最も読まれるべき漫画がここにある。知っているようで知らない時代、美しき遊女のお話。なんとも気負いのない絵と語りのうまさが際立つ――心が揺れる。高浜寛の物語表現は描く度に高まってゆく。(谷口ジロー/フランス芸術文化勲章受章作家)本作『蝶のみちゆき』の少なからぬ魅力はヒロイン・几帳が湛える穏やかな悲しみにあり、読む者を幕末・明治の遊女の世界へと導く官能と情緒にある。私たちは初期作品からずっと高浜寛の繊細な仕事に注目してきたが、彼女はこの作品により世界的コミック作家の最高峰へ至る新境地を切り拓いたようだ。(ブノワ・ペータース&フランソワ・スクイテン/アングレーム国際漫画祭大賞・文化庁メディア芸術祭大賞『闇の国々』著者)

四谷区花園町

四谷区花園町

「1回の人生やけん、好きな人と楽しく生きたら良かと思わん?」太平洋戦争前夜。新宿の片隅に咲いた、小さな、小さな恋の花。昭和初期の花園町。風俗雑誌「性ノ扉」のライター三宅至心は、取材先のデッサン教室でモデルをしていた混血の娘、アキと出会う。やがて恋が芽生え、慎ましくも賑やかな二人の生活が始まっていくが…。世界でその才能を認められた孤高の叙情派作家・高浜寛が新境地を切り拓いた初の連載作品。表現する喜び、信念をつらぬく厳しさ、誰かとめぐり逢う奇跡、愛しぬくことの尊さこれは魂の物語です。――こうの史代(漫画家)素晴らしい青春漫画の王道だ!“エロ”はどんな時代にも生きる勇気を与えてくれる。映画にしたいと思った。――行定勲(映画監督)

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