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たまを 十四歳。廓に生まれた少女が残した季節の記憶。慶応二(1866)年、日本の花鳥風月と異国の文化が交錯する長崎・出島―― 早逝する宿命を背負い、美しくも残酷な季節を生きたある少女の物語。第24回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」受賞!! 高浜寛最新作 『ニュクスの角灯』『蝶のみちゆき』に連なる「長崎三部作」最終節 (あらすじ) 長崎・丸山遊郭の「たまを」は姉女郎・咲ノ介の禿(かむろ)として出島のオランダ商人邸に入る。炊事、洗濯、お使い……日々の労働に四季折々の風物を見つけ、医師のトーンやコックの岩次、フランス人貿易商の息子・ヴィクトール、混血児の小浦百年など個性豊かな人々との出会いに「廓の外」を垣間みる。「お前は大人にならんでええ…」かつての姉女郎・几帳の言葉の意味を測りかねたまま、たまをはいつか来る「その時」を静かに待つ――
完結4巻読みました!高浜寛先生がインスタグラムで最終回について「あえて分かりやすい終わり方にはしなかった。注釈も付けないことにした」と言及されていたのを先に見ていたので受け入れ態勢を万全にしたつもりで読んだのですが、なかなか渋い終わり方でしたね…。はっきりと言ってしまえば第一印象は他の二作に比べても地味かもしれません。でも三部作のラストでこの終わり方をチョイスしたのはどうしてなのかを考えると深いです。
主人公の「たまを」は時代や境遇に振り回されながら生きていてその面ではとても残酷なんですが、異国の珍しい文化に触れてワクワクしたりそういうこともストーリーでたくさん描かれているので、ラストでの遊女である自分の運命を受け入れた後ろ姿を見ても彼女はただの悲しい人ではないという気持ちになれたのです。こういう人生の奥行きを感じる作品って高浜先生らしいなと思いました。
1巻を読んだ時の感想では読む順番は気にしなくてもいいと書きましたが、読み終えてみると「蝶のみちゆき」「ニュクスの角灯」「扇島歳時記」の描かれた順番通りに読むのがオススメかもしれません。